月別アーカイブ: 2015年5月

故障のトレンド

昨日、ホームジムに行くと「クライミングにおける故障のアンケート」的なものがあったので記入してきた。医療系団体が実施しているアンケートとのことで、期待値も高い。故障の予防や治療に関して、情報やノウハウが蓄積され共有されるとありがたい。

摂ブログのアナリティクスでも「膝」「故障」「ドロップニー」といった検索ワードに対するトラフィックは常に一定以上ある。やはり故障に悩むクライマーは多いのだろう。

ちなみに個人的な故障歴は下半身、それも左足股関節から膝に集中している。クライマーの故障と言えば「指」「肘」「肩」などが多数派と思われるが、僕自身には当てはまらない。それら部位の故障も経験しているが、いずれも軽度な故障だった。

「左足股関節および膝の故障」で診断名が付いたものは「腸腰筋炎」「膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)」がある。「膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)」に関しては明確にドロップニーで痛めたと言い切れるが、「腸腰筋炎」の原因は曖昧だ。ヒールフックやサイファーの後に受傷したような気もするが確証はない。

原因ムーブはともあれ、右足にはほぼ問題が無く左足に集中していることから、右足と左足に差異が有るのは明白だ。その差異こそが弱点であり、それを特定し克服すれば改善に繋がるだろう。そこで左足股関節の稼働域と柔軟性に注目し、クライミング前に股関節廻りのストレッチを入念に行うことにした。昨今のトレンドではクライミングのようなスポーツの前にスタティックストレッチを入念に行うのは逆効果であるとされているが、結果としてコンディションは向上したと感じている。

ちなみに股関節の改善によりドロップニーも改善することができた。経験的に、股関節の内転稼働域が狭いとドロップニー時の膝負担が大きくなると感じていたが、チバトレの千葉さんに質問したところ、概ね間違っていないようだ。

そんなわけでここ半年くらい大きな故障は起こしていませんが、皆様におかれましても末永く達者で登りつづることを切に願うのであります。

CrackBerry

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先週のなんちゃってクラックに引き続き、今回はガチクラック。舞台は瑞牆ではなく小川山。遂にクラックデビューを果たしてきました。

ちなみに今回は2days。おなじみUEchangと金曜夜発で土曜はスポートルート、ジムメイトのS氏と廻り目平周辺。日曜は姐さんにご紹介いただいた山岳グループに混ぜていただきマラ岩周辺、余った時間はUEchangと石楠花ボルダー。スポート、クラック、ボルダーと一粒で三度美味しい週末を満喫してきた。

 

とろろ

 
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というわけで土曜は「とろろ 5.12a」にアタック。S氏の「イムジン川 5.11c/d」と交代でトライ。といっても完全に探り便の私と対照的にS氏はOSを視野に入れたガチトライ。厄介なプロテクションに悩まされOSは逃したが3トライでRP。圧巻の登りだった。初めてNPのビレイを任されたけど、ボルトルートより格段に緊張する。やードキドキした。

本題のとろろは苦戦しまくったが2トライでムーブ完成。長い上に傾斜が強く好ルート。脆いのが玉に傷だが絶対に登りたい一本だった。問題は小川山へスポートルートで来る機会があまりないってとこ。

 
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[イムジン川のライン]

 

龍の子太郎

 
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そして翌日、初の本格クラックデビュー。もちろんトップロープでレッツジャミング。秘伝のテーピングを施しハンドジャムをねじ込む(姐さん、リード&テーピングありがとうございました)。

が、いまいち効いてんのか自信が持てない。

手の甲が痛いのは確かだが、保持してる実感が希薄。それでもゴソゴソと探ると「痛みと保持の妥協点」みたいなのが朧げながら見つかり、なんとか高度を稼いでいく。息を切らしながらプロテクションを回収し、レイバックからやや強引にマントルを返して無事トップアウト。

初めて外岩をリードした頃の感覚が蘇るようだった。

 

カサブランカ

 

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そして名作「カサブランカ 5.10a」。なんとビレイをしてくださるのは開拓・初登者である竹本氏。こんな贅沢が許されていいのか分からないが全力で登る。

出だしから思ったよりも悪いが、ガバまで辿り付きレスト。そこから「超快適ハンドジャムパート」と噂される中間部に突入。しかし、まだまだ余計な力が抜けず超絶パンプに加え、フットジャムがスタックして悶絶。心が折れそうになりながらようやく切り株に到達する。そこから先も何度も諦めそうになったが耐えに耐えて遂に終了点へ。

トップロープでこれだけ充実したのはいつぶりだろうか。

その後、強々女性クライマーがスイスイと超快適パートを駆け抜けていく様を見ながら撤収作業。
姐さん、竹本さん、お付き合いいただきました皆様、勉強させていただき誠にありがとうございました。

絶景スラブとクラックの謎

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たまには趣向を変えてスラブとクラック(!?)だけのワンデイを過ごしてきました。

 

亀甲めぐり

 

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クライマーにとっての新たな聖典「瑞牆 クライミングガイド」の下巻最後の方に掲載されているルート。写真から伝わる開放感がハンパない雰囲気で、これは夏前に登るのが吉と即決。今回のメインターゲットとした。

トポ掲載通り出だし核心だけどそこは簡単。
その後、露出感抜群のスラブをダイクに沿ってトラバース。

—-絶景!
なんだけど緊張感も抜群。
しかもスラブスキルが低すぎて超絶苦戦。

緊張感と日差しから手汗で滑り、次のクリップがやたらに遠く見える。だが、ここへは景色を眺めにきたのだ。従ってPASSも装備しているし、もちろんカメラも携帯している(落し止め付き)。僕は速やかにテンション撮影の準備に入った。

 
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終了点から眺めた八ヶ岳と南アルプスは美しかった。

 

十六夜

 
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降りてくると十六夜でUEchangとノブタソに合流。ちょっとだけセッション。スタートにコツが必要で面白い。両足マッチまで進んだところで離脱。

 

私も三倉に連れてって

 

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さて本日のもう一つのテーマ、クラック。ねじねじの岩場にあるOWに挟まってみる。しかし、、何もできない。ワイフと「意味わかんねー」「上手い人どうやってんだー」と盛大に敗退。助けてクラックマスター。

 

チョーサイコールーフ下部

最後に本気出しとこうかと「チョーサイコールーフ下部 5.11c」に取り付く。しかし、西日がこれでもかと照りつけ、全くホールドが持てない。取り合えずムーブはバラしたが、次くるのは秋以降になりそう。

メガネ男子

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およそ一年ぶりに裏御岳。台風の影響で未明から雨だった割にはアスファルトは乾いてる。澤ノ井酒造さんの前を通り過ぎながら、こりゃあコンディションは上々だなっとほくそ笑んだ。午後二時過ぎ、護岸岩に到着。なんたる重役出勤。

しかし、林道から降りて行くに従い、見えてきたのはどんよりアンニュイな護岸岩。ビショビショとまでは言わないが、明らかにモイスチャー。一瞬、御岳へ転戦が頭をよぎるが重役出勤過ぎるので却下。ホールドの掃除とチョークアップで何とか登れるように整備していく。

掃除とストレッチを終えるとアップがてらムーブのチェック。なにせ一年ぶり、序盤の遠いデッドができなかったらどうしようかとムーブを起こすが、2tryくらいでサクッと止まった。

これは期待大と、やおらスタートから繋げようとするとスタートでスッポ抜け。盛大に尻餅を付く。「フリクション、なにそれ美味しいの?」と言わんばかりの抜けっぷり。再び転戦が頭をよぎるが、こんな時はチャートに良く効くおまじない「奥多摩の沢よりは湿ってない、むしろドライじゃん!」で気を取り直す。

その後、昨年の最高到達点「リップまで後一手」に迫るが、デジャヴの如く落る。右手の甘い最終ホールドが保持できず、リップに繋げられないのだ。

「ここは一つ肚をくくってリスキーなデッドでリップを取るか」とリスキーデッドを放つが、やはりフォール。しかもギリギリの着地点、あと数センチずれていたら沢ポチャである。そうなっては「奥多摩の沢より〜」とか言ってられない。早々に戦略を変更する。しかし、解決の糸口が見つからないまま、トライ数は重なっていった。

「この一年、お前は何をやってたんだ」という不甲斐なさと「いや、一年前はこんなマシンガントライはできなかったはず、やっぱ成長してるかも」という想いが交錯する中、ふと手順を修正、右手の飛ばしをクロスに変更した。すると、なにやら良い予感。更にフットホールドと下半身の使い方で右手最終ホールドが劇的に改善。これならリスキーなリップ取りもこなせると踏んだ。

レストを挟んで繋げトライ。余裕をもってリップに迫るがミートせずフォール。それでもこの時点で完登を確信した。

 

めがね 初段 RP

更にレストを挟んで最終トライ、デッドがややズレたが右手の寄せで修正、クロスへ繋ぐ。足を運んで右手最終ホールドへ。またしてもズレたが、スイートスポットを持ち直す。そしてリップへ。今度は外さなかった。マントルを返し、ここ最近登ったボルダーの中では最も充実した一本を反芻した。

 

 
自分の成長を客観的に知る事は非常に難しい。しかし、以前はハードに感じたムーブを何度も出し、結露したホールドを繋ぎ、ランディングの悪さにも負けず、スポッターも居ない状況で完登できた事は万感の想いだった。

雨雲の到来で駅からの帰路は土砂降り。ずぶ濡れで家に着いた。「あと一本早い電車にのれば…」というワイフに対して僕はきっぱりと言い切った、「ま、奥多摩の沢に行ったと思えばこんなもんでしょ!」

オリーブ男子

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GWに引き続き、カサメリ沢。前回触った「プラチナム」と「ポパイ」の為に。ちなみに最初に断っておきますが浮気性の為にどちらも触っておりません。(ッエ

 

レーザーズエッジ 5.10d MOS

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今回は久しぶりのドラパイセンとMサカ氏とSザキ氏。小クジラでアップしてからのモツランド。浮気(めんたいこ 5.11b)のため放置プレイとなっていた「レーザーズエッジ 5.10d」にトライ。(百岩では10c/dと記載されているが最近刊行された瑞牆リードトポでは10d)

もちろんマスタートライだが、あわよくばオリーブまで頂いてやるぜと鼻息MAX。総数14本のドローをぶら下げて取り付く。いささか重さを感じつつも無事完登。そして「オリーブ」を見上げた。

 

浮気相手は「オリーブ」

全長25mのオリーブはトポの通り被ったラインにガバが散見。これはイケそうと、ビレイヤーのドラパイセンに「オリーブ、頂いちゃいます」と告げおもむろにスタート。サクッとオリーブを頂戴した後、ポパイに転戦する構えだ。もちろんそんな甘い考えが通用するはずがない事は冒頭で述べた通り。

ガバを丁寧に辿り、パンプを抑えつつ高度を稼いでゆく。しかし慎重になりすぎたか核心部に至る頃には割とギリギリ。クライムダウンするがレストポイントを見失い、消耗したまま核心部へ。するとこれまたトポの通り、ビクトリーガバが遥か彼方。「こんなの届かねーよ、ここでランジとかマジすかー」となってフォール。セルフが取れない程のパンプは久しぶりだった。

その後トップアウト、レストポイントの再確認と核心ムーブを確認してロワーダウン。核心ムーブがいまいち悪い。

Sザキ氏に「めんたいこ 5.11b」のムーブを押し売りした後、昼寝。ドラパイセンは「最近登ってないから5.10cがやっとだよー」とか言ってたがあっさり一撃。
IMG_2229[参考にならないアドバイス失礼しました]
そして2try目。ムーブに不安が残るが中間部の大レストを挟めば突破できると踏んで取り付く。ビレイをしてくれるワイフには「昼寝してるんじゃないかってくらい休むのでよろしく」とおよそ本気トライらしからぬエクスキューズを入れてスタート。

レーザーズエッジを抜け、終了点から右へトラバース。やや脆いが広々としたテラスで休む。たっぷり休んだところで「さて戻ろうかな」と来た道を戻ろうとするが、なにやら悪い。「これ、行くのはいいけど戻るの辛いんじゃね」と思いながらも何とか戻って再開。

案の定、核心へ到達するがヨレ気味。予定通りハイステップとガストンで突破し、遠いガバを取るためキョンに入ろうとするが体が入らない。「やっぱこのムーブじゃあ辛いかー」と敢えなくテンション。

若干途方に暮れつつ、ふと見上げると良さげなポッケを発見。「あの1try目はどこ見てたんだよ」と小一時間問い詰めたくなるが、ポッケ一つで万事解決するほどでもなく、3try目の疲労度を考えるといよいよ厳しい。「こりゃあ仕切り直して後日フレッシュな状態でトライかな」という諦めが漂いはじめた時、見つけてしまった。

最高にイカしたムーブを。

詳細は伏せるが、それは外岩で出したことのないムーブだった。いや、インドアでもここまで顕著なアレは滅多にないだろう。不安定かつパワフルだったムーブが、絶妙なバランスと手順で一転、スムーズに上部まで繋がりクリップに不安もない。まさにピースがはまったと確信した。

ロワーダウンしながら「このルート、チョー楽しいー!」を連呼、「たらこ 5.11d」を打つドラパイセンとMサカ氏を観戦しながらレストに入った。
IMG_2248[登ってないとの事だったが、「たらこ5.11d」にワンテンまで迫るパイセン]

 

オリーブ 5.11c RP

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そして迎えた、3try目。決して小さくない疲労を感じながらレーザーズエッジを抜ける。今度のレストポイントは終了点。改めて立ってみるとテラスより休める気がする。あの2try目は(以下略

そしてハングへ突入。連続するガバを抜け核心へ、前腕のパンプから逃げるように高度を稼ぐ。既にハイステップが厳しいがガストンへ繋ぎ、そして例のアレに。ピシャリとハマったアレはサイコーにフィールソーグッドだった。だがここで「慎重にレスト」とかしちゃうと恐らく1try目の二の舞。軽くシェイクしてポッケへ、そのまま気合いとともにガバを押さえた。しかしまだ安心はできない。もはやヨレ切っている体をギリギリの所でコントロールして遂に終了点へ。

思っていたより展望が開けなかったので、終了点のハングを乗っこして完登とした。(特に視界は変わらなかったけど)

 

浮気から始まる本気について

IMG_2240[本日の勝負Tシャツ]
というわけで二週連続、浮気からの本気は見事成就。素晴らしいクライミングで花崗岩グレードを更新させていただきました。

5.11cというグレードに対しては2tryで登れるのが理想的ですが、体力的限界に近い3try目で登った事により、結果的に極めて充実度の高い登攀になりました。そして、何度も言うけど「例のアレ」。ホントーに吃驚するぐらいハマッた。事前情報無しで是非探っていただきたい。(体のサイズが合わない場合はご了承ください)

そして次回こそはポパイ、、、なんだけど「チョーサイコールーフ」という魅力的な課題があってですね…

 

Granite Week

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一般的にG.W.って言えばやっぱ「Golden Week」なんだけど、でもね、いつのころからかゴールデンウィークと表記される事は減り、G.W.と表記される事が増えた。これはですね、やっぱ言わなきゃだめなんだと。我々はそういう時代に生きてるんだと。つーわけで声を大にして花崗岩週間を満喫してきました。もちろん定番の瑞牆山で。

 

チョーナンスラブ

 
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今年も家族サービス的なキャンプ&ゆるふわクライミング。しかし、ひと味違うのが「開拓」であります。基本的にクライミングに興味薄なマイソン達ですが、岩の掃除をするのはまんざらではない様子。スラブの苔をきれいに落とし、掃除のついでに初登。実に渋い趣味である。

 

ジュゴン偵察

 
もちろん「ゆるふわ」とは言え恒例のSlashFaceは欠かさず。しかし右足首の微痛が気になったので適当に撤退。その後KZさんに地図まで書いてもらった小クジラ岩に移動。ジュゴンを触るが、いまいち謎。そもそものスタートも良くわからず、これまた適当に撤退。そのまま「たかねの湯」へ。

ところで瑞牆だと「たかねの湯」あるいは「増富の湯」が入浴候補となるが、「増富の湯」の渋さも個人的には嫌いではない。ただ食堂の営業時間が短いとか、休憩室も同時に閉鎖するとかもうちょっと、その、営業努力をですね…

 

めんたいこ 5.11b RP

 
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翌日はカサメリ沢でリード。フリクション抜群の「たぬき 5.10a」で快適にアップ。その後、「レーザーズエッジ 5.10c/d」に移動。順番を待ちの間、周辺のラインを物色してると「めんたいこ 5.11b」が快適そうな気配。瞬時に浮気を決意する。

MOSトライで核心部でテンション。その後、あっさり上部に抜ける。おそらく粘ればMOSしたと思われるが、その後丁寧にムーブを確認して2try目で気持ちよくRP。

 

 
「ワニワニワニ 5.11b」と比較して随分甘い気がするが、あまりに快適だったのでUEchangに強引に進める。しかし「十六夜 初段」の為に温存している彼の意思は固く、2tryで放棄。その後回収のため、再び登って「プラチナム 5.11c」に移動。

 

プラチナム

 
三ツ星ルートとして紹介されている「プラチナム 5.11c」だが、個人的にはそのまま上部に抜ける「ポパイ 5.11d」に興味津々。1ピン目が常軌を逸した高さにあるが、なんて事は無く右から回り込めば問題なし。オブザベーションで想定した通りのカチカチルートで、保持力よりも持久力が重要な印象。2try出してカンテガバを取りにいく所でフォール。

一応、ムーブは固まったので、次回はサクっとRPしてポパイにトライしたいっすな!