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空木岳ボルダー

森林限界を超えたところでボルダーがしたくなって中央アルプスは空木岳へ行ってきた。

当初は一泊二日で縦走にボルダーを交える予定が天気と予定が噛みあわず、前夜から歩き始める弾丸ツアーへ変更。

午後22時半、空木岳登山口からスタート。木々の隙間からわずかに月が見えるが暗い。ソロで初見の山域を夜間行動するのは控えめに言って怖い。ルートファインディング的な話もあるけど、まあなんだ、お化けなんていないんだぜ。日中だと全く気にならない枝が折れる音や遠くで鳴く鹿の声にいちいちビクビクする。熊よけも兼ねてポッドキャストを再生しながら歩みを進める。正直ポッドキャストなかったら心折れてたかもしれない…

午前3時半、ようやく森林限界を抜け一気に視界が広がる。


背後には下界と雲海、南アルプスの稜線。これこれ、こういうのが見たかったんですよ。到着したら秒で寝るつもりだったが絶景を前に写真を撮ったりはしゃいでたら午前四時半。駒石上でオープンビバーグ。

ようやく寝入った頃、風が強くなってきて目が覚める。シュラフから外を見ると南アルプスの稜線が赤く燃えている。寝てる場合じゃねえ。さっそく朝活を開始する。たぶん1時間も寝てない。

まずは駒石の正面クラック。

初見ではジャミングで登ろうとしたが高所の花崗岩は風化が激しく足が決まらない。結局レイバックでサクッと登る。他にもいくつか登って、完全に日が登り切った頃ようやく朝食。フリーズドライにお湯を入れすぎてお粥となったおこわを食す。

その後、発熱トラバースを数手やってみるがメンタル不足で敗退。快適なハンドクラックだと思うが状況的に肚をくくれなかった。

頂上に向かって歩き出す。綺麗なダブルカンテをSDで登る。

駒石同様こちらも岩肌が脆いが許容範囲。周辺にはハングやワイドもあったのので他にもラインはありそう。

さらに上がっていくと被ったクラックに遭遇。これはすごい。

下地も高さも申し分ない。何よりもこの傾斜、120−130度はあるだろう。クラックは強烈に利きそうなハンドサイズ。早速トライする。予想通りの快適ハンドで足を切っても問題なし。リップ付近のガバを捉えると少し脆い。やや左からトップアウト。間違いなく三つ星課題だが、すこし気になるのが板状のチョックストーン。ジャミングには耐えてくれそうだがガバを強引に引くと脱落するかもしれない。というわけで四つ星課題としておく。ぜひ多くの方に登っていただきたい。

頂上まで上がってランチ&仮眠タイム。頂上周辺にもボルダーはあるが思ったより高さのある課題はなかった。もうすこしゆっくり探せばいいのが見つかるかもしれない。岩小屋ルーフもあったがホールドは乏しく、次世代に委ねようと思う。

昼前に下山開始。同じルートで降りる。真っ暗闇をビビりながら降ったルートはとても気持ち良く紅葉も美しかった。

乾徳山ハイク&クライム

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最近定番となりつつあるソーメイ&スラビスタとのトリオパーティで乾徳山。前日の雨の影響で湿気ムンムンだったがボルダーもハイキングも楽しかった。

 

太平高原−道満尾根

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太平高原からアプローチ。牧場に家畜は一切いなかったがどういう位置づけなんだろうか。

 

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尾根上のボルダーを偵察しながらすすむ。

 

扇平

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月見岩を登るソーメイ

 

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富士山をバックにカンテラインを登る。

 

苔絨毯スラブ

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サイコーに美しいスラブを見つけるが美しい苔絨毯をまとっている。秋に来てトライしてみたいが、この美しい絨毯をはがして良いんでしょうか。

 

とりあえず裏面のジムなスティックな課題を登る。三ツ星課題だがリップは沢かよってレベルでビショビショ。トップアウトも濡れた苔絨毯のおかげでワイルド。

 

髭剃りチムニー

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今回の目玉、髭剃り岩。チムニーはこれ以上無いくらい快適。スラビスタもご満悦。

 

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ソーメイも挟まってみる。まさかのニーバーサイズ。

 

雨乞い岩

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ハイボールというか若干フリーソロな雰囲気の雨乞い岩。スタートはカンテにあるピンチからガバカチにデッド。快適なムーブ。登山道脇なのでトライする場合はハイカーへの配慮が必要です。

 

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雨乞い岩横のスラブも気になる。これも秋にトライしてみたい。

 

鳳岩

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鳳岩の鎖場はロープをつけて登る。フルボディハーネスもそろそろサイズアウト。

 

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富士山のシルエットを背景に記念撮影して早々に下山。

 

雑感

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というわけで往復4時間くらいのトレッキングで、チムニーとハイボールと薄被りと超簡単なクラックで遊んだ。

これを「アプローチ4時間でノーマットボルダー」と捉えると変態感が半端ないんだけど、「トレッキングしながら見つけたボルダーを楽しむ」と捉えるとカジュアルでいいんじゃないかな。

「アプローチもランディングもクライミングに含まれる」という考え方は割とストイックなスタイルとして受け取られることが多いと思いますが、もっとカジュアルかつ自由なスタイルなんじゃないかなーと。

スポンジみたいに水を含んだ苔スラブを登りながらそんなことを思いました。

春のピクニック

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三連休は遠出やクライミングはなく、家事やらなんやら。
合間を見つけて日和田山にソーメイとプチピクニック。

 

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昼過ぎから電車で高麗駅へ。表参道からではなく男岩・女岩から。見晴し台直下のスラブを軽快にプチクライミング。

ラーメンを食べて巾着田の河原で遊んで帰宅。平和な一日でした。

御嶽神社詣で

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新春登山ってことで御嶽神社にお参りしてきました。

ことの発端は「気軽に奥多摩でバリエーションハイクでもするか」という「バリエーション舐めてんだろ」思考から。

10時台の中央線中野駅発と完全な正月気分丸出しで、登山道の付いていない尾根筋を車内で物色。(ちなみに遅延で御嶽駅に到着したのは12時過ぎであった)

「日の出山北尾根」から一般登山を経由して「御嶽神社」を巡り、「大塚山」から再びバリエーション。「越沢バットレス」上部となる北尾根を下降するルートを定める。

バリエーションルートは一般登山道と異なり、様々な困難が予想される。基本的にルートは整備されておらず、マップにも記載されない。従ってコースタイムは自らで予測し、行動中は常に読図を繰り返し、現在位置を把握しながら前進する。ルート上の危険箇所や崩落なども、行ってみなければ分からない。しかし一方で人が入らない静謐な山中を、自らの判断と発想によって切り開いていく自由と充実を得られる。…はずだった。

 

日の出山北尾根

御嶽駅からケーブル駅方面のバス道を歩き、鳥居をくぐる。想定ではこのあたりが取り付きである。昨年、前穂Ⅳ峰正面壁で取り付き敗退を喫した経験から慎重に地形を読む。

すると、おや?それっぽいところからおじさんが降りてくるではないか。

もしやと「これって日の出山北尾根ですかねー?」と尋ねると「おお、そーだよ!しっかりした道だよー!」と即答。一瞬、デッドエンドでボルダーでもしようかと考えがよぎるがおじさんにお礼を言って取り付く。せめてもと、沢床にわざわざ降りてロースタートから登攀開始。

IMG_3998[超絶明快な取り付き]

前評判(?)どおりの明確な踏み跡を辿りサクっと日の出山山頂に到着。一般登山道をたどり、宿坊に入る。

IMG_4009[お天気は見渡す限りどんより]

IMG_4012[宿坊の軒先に張られているしめ縄に風情を感じる]

IMG_4015[境内からの景色もどんより]

 

大塚山 越沢上部下降

御嶽神社を参拝して大塚山から下降に向かう。それなりに踏み跡が薄くなることを期待しつつ、大塚山頂上から北北西に進路をとる。なんとなくガスってるのがいい感じだ。

IMG_4016[人気のない山頂]

しかし、またしても克明な踏み跡。ま、御岳山ですからね。尾根という尾根、沢という沢が登り尽くされていて当然。

とは言えバットレスを上部からほんのちょっとだけ覗き込みつつ、痩せた尾根を下り、人気のないキャンプ場を抜け、林道を走って電車に飛び乗れば割と充実した一日となった。

IMG_4020[崖下はバットレス(多分)]

自分でラインを見いだし、判断しながら歩くのは楽しい。今回はバリエーションとは到底言えない踏まれっぷりだったが、そういった失敗を含めて既存の情報(トポとかガイドブックなど)と適当な距離を保ちつつ山を巡る。今年はもうちょっとそんな時間を増やそう。

頭文字N

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秋名榛名山に行ってきた。

本当は赤城山に行く予定で県道4号を走っていると、路面凍結のため前の車数台がスタック。自分たちの車もスタッドレスとはいえFF車なのでリスクを避けて転戦。榛名山に向かった。

しかし榛名にやってくると一転、ほとんど雪がない。どうしたものかと考えたあげく、登山道の通っていない「幡矢ヶ岳」を目指してバリエーションハイク。榛名湖に面した稜線から沢筋を下降、幡矢ヶ岳取り付きとなる沢出会いを目指す。南面はほぼ完全に雪が無く、落ち葉と枯れた滝を下るのが独特で面白い。ワイフ同行のため、少々時間が足りず取り付きでリターン。往路をそのまま戻る。

途中で往路を外れ、雪の残る急峻な沢を詰め稜線に乗っこす。つぼ足で少々冷や汗をかきながら突破。ペツルのサムテックが購入以来最も活躍した山登りだったかも。天目山で一服して、雪が残る稜線をグリセードを交えて下降。4時間少々のスーパーライトバリエーションハイキングでした。

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阿弥陀岳 中央稜

日曜は積雪シーズンの締めに阿弥陀岳中央稜。詳しいレポートは「お気楽山岳ポータル YAMAAN!(ヤマーン)」に寄稿したので是非一読くださいな。

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一応バリエーションルートの範疇に入る「阿弥陀岳中央稜」なんだけど、非常に登りやすいルートでした。登攀要素がないのは承知の上での山行だったが、下山後の一言は「うーん、やっぱ登攀したかったなあ」である。今更だけど第一岩峰の左上ダイレクトが心残り。雪が残っているうちに北稜でも行こうかと真剣に悩んでいる。タイミング的に北稜が間に合わなかった場合、GWに谷川岳というのも良さそう。

 

滑落停止

阿弥陀下山時にグリセードから転倒、滑落に陥り、人生初となる渾身のピッケル制動を炸裂。森林限界でのアクシデントではなく、樹林帯だったので難を逃れたが色々と学ぶ事が出来た。以下備忘録。

      • グリセードからのアクシデントだが、斜面と雪質の評価が甘かった。加えてヨレた膝が対応できなかった。慎重な行動が大切。
  • サミテック52cmだとグリセードにはちょっと短い。分かってた事だけどトレッキングポールの方がコントロールしやすい。しかしポールでは滑落停止できない。
  • 滑落開始直後に頭上でピックを雪面に刺したが止まらず、滑落停止姿勢で漸くストップ。本に書いてある通りで止まった。
  • 雪訓のおかで体勢を作れたが、練習無しでは止まらなかっただろう。何事も練習ですね。

と言う訳で安全に楽しんで行きます。

敗退のバラッド

午前9時、我々は稜線に達した。そこは予想通り暴風が吹き荒れる過酷な環境であった。隊員達の表情はゴーグルに隠され読み取れないが、頂上へのアタックに燃えていただろう。だが私は決断せねばならなかった。そう、敗退を。
涸沢カールはカレー味』より抜粋

つーわけで命からがら赤岳文三郎尾根から敗退してきた次第であります。

当初のプランは地蔵尾根-横岳-硫黄岳-赤岳鉱泉だったが、強風が予想されるので前日に行者-赤岳のピストンに変更。しかしテントを叩く風の音を聞くほどにそれすらも無理っぽい気配に。当日の行動開始時には「稜線までが限界だろう」という諦めにも似た確信を得る。

とりあえず行者までアプローチするが眠い。前日3時間睡眠だもんね、至極当然だ。睡眠スキルが足りないのだ。のび太に見習わねば。

S0011129南沢をすぎたあたりの小沢が完全にFreeze。アイゼン装着してプチアイスクライミングしようかと考えるが眠いのでパス。

行者に到着すると阿弥陀、赤岳は当然ガスの彼方。とりあえず写真でもとカメラを取り出すが、「カードがエラーです」と理解に苦しむ返答。結局カメラは美濃戸に戻るまで復活しなかった。何しに来たんだコイツは。

文三郎尾根を進み森林限界を超える前にアイゼン装着。森林限界を出ると風が強まる。こんな天気でも他にも登山者はいてちょっと安心。高度を上げて行くほど風が強まり、視界も100m弱と行ったところ。


本日は愛機「sum’tec」のシェイクダウン。登攀要素は無いが、石突きブッ刺しまくりで快調。

そして遂に稜線に。尋常ではない爆風が吹き付ける。厳冬期の赤城湖以来の風速。MJの『スムースクリミナル」が再現可能なレベルである。地図上では後40分で赤岳山頂だが、多分行けば片道切符間違い無し。とりあえず耐風姿勢の真似などをしてみてそそくさと下山を開始。こうして我々の敗退劇は幕を閉じた。

登頂できなかった事は残念なんだけど、的確な判断を下せたと思う(過酷過ぎて迷う要素皆無)。プランの変更、敗退地点の予測なども妥当だったんじゃないかな。敗退という結果ではあるが、経験値の上げることが出来たのでそれなりに充実。次は何処行くかなー。

北岳 (広河原-大樺沢-左俣-山頂-肩ノ小屋-草スベリ-広河原)

前シーズンの赤城山スノーハイク以来となる久しぶりのトレッキングは、国内第二位の高峰「北岳」。ルートは非常にメジャーな「左俣からの草スベリ下山周回コース」を設定。特に技術的核心と言えるものは無く、強いて言うならば帰りのバスに間に合わせること。

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大樺沢から北岳を望む。しびれる。

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沢筋はずっと日陰だったので、ようやく日光をあびる。積雪量が中途半端なのでアイゼン無しで通過。稜線に出てから装着。

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バットレスが近い。

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八本歯のコル直下。日が射すと暑い。

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今日も富士山が美しい。

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山頂への西側斜面は若干クラスト気味な部分もあったが、アイゼンが新しいので効きはバッチリ。トラバースも不安要素なし。ピッケルも不要。

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ほい。山頂。何故か集合写真がない。

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肩ノ小屋でランチ。お手製スコーン。

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下山はグリセードからのトレイルランの様なペースで2時間ほどで広河原。バスを待つ間にボルダー。

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クライミングシューズ持ってけば良かった。

行程(1Day)

  • 06:30 広河原
  • 11:30 北岳山頂
  • 12:10 肩の小屋(昼食
  • 13:00 下山開始
  • 14:00 白根御池
  • 15:00 広河原