月別アーカイブ: 2016年4月

太刀岡山三種競技

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連休初日は指皮温存のために安山岩の岩場をセレクト。行き先は太刀岡山。ほんとうは榛名黒岩で「キメイラ 5.12a」を登りたかったんだけどお天気には勝てない。

パーティーはソーメイとワイフとUEchangとワタシの4名構成。チョーナンは部活だ。

 

ヴァレンタイン・イヴ 5.10b/c RP

小山ロックに上がると一番乗り。やや気温が低い。でもって壁も濡れている。とりあえずアップで簡単そうなやつに取り付くがフリクションが悪くスメアが効かない。岩も冷たくてホールドが持てない。でもって濡れてる(二度目)。

結局テンション入れてトップアウト。アップにならないのでリピートしてRPしておく。

 

おさわがせしました 5.11d/12a RP

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UEchangとワイフのビレイを挟んで「おさわがせしました 5.11d/12a」の思い出し便。前回トライしたのはちょうど一年前。初手と核心の強度が高かったのをよく覚えている。

あいかわらず初手が悪いがまあなんとか。そして核心へ。錆び付いたアンカーを見て一年前の記憶が蘇ってくる。ここではあまり落ちたくない。しかしムーブの強度が…と思ってると前回気がつかなかったフットホールドを発見。劇的にムーブが楽になる。

その後は記憶通りのクリップ姿勢からトラバース。上部のマントルも危なげなくこなしてトップアウト。

次のトライで完登できちゃうなーと思ってると核心後のトラバースでまさかのスリップ。ダッセー。次々トライでRP。

一年前はあんなに難しく感じたルートがサクッと登れたことは嬉しかった。フィジカルよりムーブの解析やリードクライミングへの慣れなどテクニック面が向上したように思う。少しはクライミングがうまくなったに違いない。(スリップしたけどな)

 

 

太刀岡山右岩稜 4p目

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大一番が終わったので付近を探索。鋏岩下部のスカイラインに露出感サイコーのボルトラインを発見。大興奮してUEchangとトップ&フォローで登る。調べた感じでは「太刀岡山右岩稜 4p目」かと思う。今度は取り付きからマルチピッチで登りたい。

 

ボルダー開拓

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右岩稜4P目の裏はルンゼ状となり手頃なボルダーがある。下地は落ち葉で天然のクラッシュパッド。ソーメイ、UEchangと初登大会。7級くらいのスラブ課題を登った。

 
IMG_5031[木漏れ日が美しい]

 

一通り遊んでUEchangの「ハッピーバースデー 5.11a」をビレイ。さすがの強さでスイスイと高度を上げていく。あまりのスムースさに完登を確信したが最後の2,3手で無念のフォール。テラスでもう少し休めば間違いなく登っただろう。実に惜しかったが、こういう戦略性がルートクライミングの面白さだよな。

 

義理チョコ 5.9 MOS

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UEchangがレストしてる間に、NP課題の「義理チョコ 5.9」にトライ。短いがハンドサイズのクラックだ。仕入れたばかりのキャメロットを嬉々としてセットする。

ジャミングで抜けようと足掻くが上部がハンドとフィストの中間くらいでうまく決まらない。結局スラブ面のポッケを使いつつトップアウト。充実したのでもう一回登る。

 

ハッピーバースデー 5.11a 再登

UEchangが2トライ目をきっちりRPしたので、ワークアウトがてらに再登。改めて登ってみていいルートだと再確認。

前回登ったのはなんと3年ぶり。初めてここを訪れた時だ。時間の流れは早い。あの頃はワンデイの中でスポートルートとトラッドルートとボルダー開拓を同時開催しようなんて発想はなかった。そりゃあ、チョーナンも大きくなるわけだ。

サーキットの狼

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兼ねてから温めていた計画をついに実行に移す時がきた。そう、ボルダーサーキットである。

「アルパインクライミング考 (横山 勝丘 著 )」で紹介されていたボルダーサーキットについて、S兄貴と盛り上がったのは去年の暮れ。当初はマルチピッチトレーニングの一環くらいの位置付けだった。

しかし、色々と準備を進めていくうちに「ひょっとして我々はとんでもなく楽しいことをやろうとしているのではないのか?」と期待値は上がった。

その後、課題を選定しタクティクスを考えたり妄想を膨らませていると、「初見の課題に対して体力と精神力と集中力を全力でぶちこんで、踏破ならぬ登破を成し遂げたい!」というモチベーションがフツフツと沸き上がり、もはやトレーニングの一環ではなくサーキットそれ自体が目的となった。

そしてGW目前の週末、例年より新緑の早い瑞牆にS兄貴とHSyungと共に降り立った。初見という条件を満たすためハットエリアを舞台にV1からV5までの20課題を厳選し、ボルダーサーキットがここに開幕した。

 

オロチ V5 FL

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序盤戦は「オロチ V5」周辺のボルダー。去年ちょろっとだけ訪れこの辺りは確認済み。

とりあえず「みのりんカンテ V1」「みのりん凹状 V1」「ミズガキハイ V2」などでアップして本日の第一核心「オロチ」へ向かう。S兄貴とHSyungが目を丸くして「え?これじゃないよね!?そうだよね?」という表情を向けているが気づかないふりだ。

「ま、ハイボールは早いうちに打った方がいいから」と彼らの目を見ないでセッション開始。

顕著なポッケとカンテ際のスローパを確認して気合いをいれる。サクッとフラッシュ。上部の緊張感も程よい。S兄貴とHSyungも無事RP、幸先のよいスタートとなった。

正直なところ、早々に敗退課題を出したらどうしようとか思っていたけど心配無用。みんな強かった。

そして「マッドステップ V2」「ホワイトシャーク V3」を程よい緊張感で登り、「ガビンアレート V3」でジムナスティックに遊ぶ。どれも面白い課題だった。

 

IMG_4902[スラブの苔は気にしないのがマナー]

 

穴くまじろう V5 RP

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中盤戦は林道上部に移動。一本手前の踏み跡から入ったため迷う。30分ほどの岩探しを経てS兄貴が穴くまじろう岩を発見。

「段々フェイス V2」のポジティブなカチでフェイスクライミングを楽しみ、胎内くぐり&枯葉ラッセルで「穴くまじろう V5」へ抜ける。見事なポッケホールドと強傾斜に惚れ惚れ。

初手とリップ取りを失敗するが、3トライくらいでRP。非常にいいラインだった。トポにあるように背面の傾斜がなければ見栄えのいい世界的課題だったかもなー。

その後 「森とら V3」が狭すぎるのでリップトラバースに過大解釈し、「スティープファンタジー V4」は地面から三角カチに手が届いたのでそのまま抜ける。この二つ、トポに明確な記載はないが前者はクラックのみ、後者は薄カチスタートと思われる。…ヤバイくないすか?

 

IMG_4930[カチが悪い]

 

そんごくう V5 OS

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さらに上部に上がって「クリスタルキング V4」、マントル部が苔むしているが気にしない。余裕があれば「ダイアモンド 凹角 V6」「山ガール V7」を冷やかしたいところだったが時間が押しているのでスルー。

「ちょはっかい V2」を快適に登り、予定にはなかったが隣の「そんごくう V5」に心惹かれサクッとオンサイト。ガンダーラ岩は魅力的なラインが豊富なのでまた来たいと思う。

 

山のアナアナ V3 OS

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そしてサーキットも終盤戦へ。尾根を越えるとハイボールなスラブが目に入る。「山のアナアナ V3」である。程よい高さと美しいスラブにヒャッハーしているとS兄貴、HSyungの両氏からドン引きされる。

丁寧に足を拾ってリップへ上がるとのっぺり。慎重にマントルを返す。S兄貴とHSyungもきっちりRP。やはり終盤こそスラブ、それもハイボールが面白い。

踏み跡を下りながら「マントル練習 V1」「マントル入門 V1」で基本をおさらい。マントルは重要な技術です。

 

穴課長 V4 OS

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空模様が怪しくなってきたあたりで最後の核心「穴課長 V4」にトライ。最後の穴が遠く、これまたマントル核心だったがしっかり完登。おまけで「ケロモリスラブ V2」「スラブ右 V1」を登り、全20課題をコンプリート。

ほぼレストを入れないまま、7時間半に及ぶボルダーサーキットは幕を閉じた。

 

 

本気のエンクラ

冒頭で紹介した「アルパインクライミング考」の受け売りだが、クライミングはちょっとした工夫や視点を変えることによって楽しみ方は無限に広がる。

つい最近までボルダリングではエンジョイクライミングは成立しないというスタンスだった。限界グレードに挑戦する以外に高い充実感を得る術はないと考えていたのだ。しかし、今回の経験を経て入念な計画とタクティクスがあれば限界グレードや高負荷のムーブがなくとも非常に充実することがわかった。

そう、エンクラも本気でやれば最高に楽しいのだ。

また一つ新たなクライミングの楽しさに目覚めた気がする。なによりもそいつが嬉しい。(そろそろ限界グレードも打ち込むけどね)

鳳来峡デビュー

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つよぽんパイセンにお誘いいただいてMetz先生と鳳来峡デビューしてきました。

東名川崎から3時間ちょっと。意外に近いじゃんホーライ。

 

セーラームーン 5.12b ランジ落ち

つよぽんパイセンが「がみけん君ならうまくいけば一撃。ま、うまくいかなくても2撃かな」と心理攻撃を仕掛けてくるので平静を装ってマスタートライ。

アップのつもりでモカシムでスタートしたが早々に後悔。3クリップ目前後でフォール。

そのままムーブを探って前腕がパンパンになりながらも最終クリップまで到達。さて、どーすんだと辺りを見渡す。

ずいぶん上の方にガバ棚らしきエッジが見える。往きの車でランジがどうとか言ってたのはこれのことかと納得するが、てっきり核心は終わってるもんだと勘違いしてたのは内緒。

ランジ体制を作るがホールドが悪くて飛びづらい。なんやかんや調整して無理やり抜ける。

2トライ目はムーブ探りのつもりだが一応RP狙い。当然、そんなイージーなわけはなく3クリップ目を調整してテンテンでランジまで。相変わらずホールドが悪いができるだけ脱力してフンワリランジ。ふわり夢気分に止まる。

何度か飛んで感触をつかむ。「これ、いけるかもなー」と思ったのが甘かった。

つよぽんパイセンのランナウトがボールドな「マジカルライン5.12b」をガンバしたり、Metz先生の美しいムーブに感嘆したりして3トライ目。

追い込まれながらも割とスムースにランジに入って、ハイふんわり。

距離は十分だったが凹凸を捉えられずフォール。非常に惜しかった。だが本当の過ちはここで今一度ホールドをよく見なかったことだった。4トライ目、いやというほど思い知ることとなる。

 

インカットガバは右

再びレスト。つよぽんパイセンが一気に洗練させて「マジカルライン」にあと二手と迫り、Metz先生がしっかりと「セーラームーン」をRPするのを見届けてヨレヨレの4トライ目。

ややムーブを間違えたがランジ直下に入り、苦しいランジを放つ。だが無情にも左手はホールドを保持できなかった。

しばらくブラブラとぶら下がった後、ランジで抜ける。そして止まらなかったガバ棚を改めてしっかりと観察した。そこにはフンワリとキャッチしていた膨らみの右横に大きくえぐれたインカットガバがあった。

 

反省

日曜の疲労が肩まわりと指皮に残っていたことや、最近この手の課題とご無沙汰だったことなど、ネガティブな要因はあれど今回のパーティと岩のコンディションからすると登れたはずの一本だった。

2トライ目の好感触なランジに固執してしまいホールドをよく観察しなかったのが最大の敗因。インカットガバへランジしていれば止まった可能性は高い。

最近ムーブのバラシや最適化はあまり深追いせず、可能な限り未知の部分を残して登りたいと思っている。できればハングドッグに頼ることなくグラウンドアップに近い形で登りたい。そんな思いからビクトリーホールドを触り倒すことはしなかった。

だがビクトリーホールドを触らずとも、しっかりと観察すればムーブやホールディングをイメージすることができたはずだ。今回は端的に言ってサボったつーか手抜きをしちゃったんだな。

もっと気持ちを入れて一本一本に取り組みたいと思いました。

しかし鳳来、次はいつ行けるんだろうか…

笠間トリッキー

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最近、自分の中で強傾斜よりスラブ〜薄被りのテクニカル&トリッキーなラインに強く心惹かれております。

そんな訳で今回は和尚くんと笠間。関東有数の心霊スポットたる彼の地ではこれ以上ない強力な助っ人であります。

 

ホップ岩

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前回から1年以上経過しているのでアプローチに不安を抱えつつ車道を下りていくとボルダーを発見。トポと照らし合わせてホップ岩と判明。本当は扇岩に向かいたかったのは内緒だ。

「素直 7級」「ヨイショ 9級」「罠 6級」と簡単だが面白い課題でアップ。花崗岩デビューの和尚くんは足置きの繊細さに驚愕している。いい反応だ。

さらに「ホップ・マントル 6級」「タンコブ 4級」へ。もちろんOS狙いだったが結果2撃。どちらも良い課題だった。

 

ワシントン岩

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笠間っぽい課題をやりたいってことで「ワシントン倶楽部 2級」を触る。スタート、足上げ、リップまではスムーズに進むが抜けられる気配が皆無。

基本的にヨレない課題だから何度でもトライできるが、和尚くんとペチペチとスローパーを叩いては落ちるの繰り返し。時間だけは着々と過ぎていく。

結局ペチペチ輪廻から解脱できないまま移動。

 

石器人岩

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前回宿題になっていた「石器人スラブ中央 初段」を回収すべく気合をいれる。トリッキーなスラブムーブを期待して胸が高鳴る。

足順を思い出すようにトライを繰り返し、少しづつ高度を上げて行く。何度かフォールを繰り返しついにリップ直下まで到達。

と、ここで気がついてしまったがこの課題、トリッキーでもテクニカルでもないのでは…。

細かいエッジに爪を立てるように保持して足を上げ、リップに手を伸ばす。ただそれだけの課題に思える。もちろん丁寧な足置きは必須だが、意外性のある足位置はない。そんなことよりとにかく保持力がモノを言う。少なくとも僕はそう感じた。

居合わせた親切なお姉さんが「コーヒーでもいかが?」と仰るので、コーヒーブレイクの前に1トライを試みる。何度か足を滑らせるがエッジを渾身の指力で保持しリップへ。足が切れるも意地の完登。

後日、左に逃げると2級という情報を得るが断じて「逃げた」つもりはないので気にしないことにした。

お姉さんの煎れてくれたコーヒーは香り高く、美味しかった。本当にごちそうさまでした。

 

ラブ岩

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首尾よく宿題を終わらせ、笠間を代表する課題「ラブタッチ 3級」へと斜面を登る。

まずは和尚くんがスタート。

左カンテとスメアでおもむろに右カンテをはたきに行くが足が抜けてフォール。まだまだ足修行が足りないようだ。いっちょお手本を見せてやるかと俺氏スタート。

だが、バランスが悪い。おかしい、そんなはずは…と右カンテを叩きに行くが同じく足抜けフォール。何一つお手本とはならなかった。

その後二人で止まらない初手をペチペチ。お互い口に出さないが「これ、さっきと同じ展開なんじゃね…」と不安を抱きはじめる。「ひょっとするとラインが間違ってるかも」と見え見えのエクスキューズを入れてYoutubeで確認。もちろんムーブではなくあくまでラインの確認である。

すると、一気に両カンテをハグするようなムーブが飛び込んできた。そのインパクトたるや凄まじく、初登ムーブだとか地ジャンだとかはどうでもよく、ただ純粋に「ラブタッチというからにはこのムーブしかありえない。私もこのムーブで登りたい!」と思わざるをえなかった。

そして、幾度かの熱い抱擁の末、遂に完登。

カンテを止めた後の足位置も非常に笠間的。充実の一本となった。

え、ライン? 正しかったみたいだよ。

 

ベンチ岩

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やや寒くなったので日当たり良好なベンチ岩に移動。穏やかな日差しのもと、「ベンチ岩 10級」「ベンチ岩SD 2級」を登る。「ワシントン倶楽部」と同じグレードとは思えない課題だが被った面白いラインだった。

 

ヒップ岩

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〆は当然のハイボールである。

「アンクラ・スラブ 7級」を登り、「フィスト・クラック 6級」に取り付く。ハンドジャムはバチ効きだが、いかんせん抜けが恐ろしく思い切れない。

和尚くんもハンドジャムに果敢にトライ、初めは意味不明という雰囲気だったが極まると「なんだこりゃ、片手が離せる!」と歓喜。

ジャミングで遊んでいると撤収時間が来てしまったので抜けは諦めて「チョックマン 6級」でチムニークライミングを堪能して終了。

終わってみるとスラブ、垂壁、強傾斜、クラック、チムニー、ハイボールと多彩なクライミングが楽しめた一日だった。笠間、また来たいぜ。

 

 

桜とボルダーと先輩風

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百戦錬磨のアルパインクライマー・タロー氏がボルダリングに興味を抱き始めた。昨今のクライミングキャリアパスの流れに全力で逆らっているのは流石としか言いようがない。

というわけで週末は時間的制約からご近所、聖人岩。氏曰く「とりあえず1級か初段を宿題に…」とのこと。

私と言えば「こいつぁ、先輩風を吹かせる千載一遇のチャンス。ボルダリストの底力をアルパインクライマーに見せつけてやるぜ」とばかりに桜が咲き乱れる越生の田園でほくそ笑んだ。

 

柚子 1級/初段 RP

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およそ一年ぶりに触れる石灰岩はやはり厳しい。久しく忘れていた尖ったエッジとスパイクのようなコルネ、乏しいフリクションにゆっくりと感覚をならしてゆく。

一通りアップを済ませて本日のターゲット「柚子 1級/初段」に取りつく。

しかしラインが判然としない。スタート位置から手を伸ばせば7級ラインに合流出来てしまうが、あまりにも簡単になるので却下。スタート後直上し、リップで7級と合流するラインに落ち着く。

タロー君がどう考えても手首に悪そうなアンダーカチに執心しているのを横目に、豪快なランジムーブを提案。検討の末に採用を勝ち取り、先輩風を吹かせることに成功する。

だが、そう簡単にランジは止まらない。どうにも出にくい体勢から、甘いホールドとイマイチ踏み切れないスメアに耐えて飛び出す。振られも尋常ではなく落ちる度に指皮がざっくりと削られていく。

やってればそのうち止まるだろうと繋げトライを2回出すが2回ともリップを捉えてフォール。指皮の消耗も激しく、やや消極的になっているとタロー君が繋げトライ開始。

スムーズな足送りから上部のサイドカチまで淀みなくムーブを繋ぐ。ランジ体勢に入り、不安と気合いがヒシヒシと伝わってくる。次の瞬間、リップを鷲掴みにすると同時に吠えながら気合いのトップアウト。

まじか…吹かした筈の先輩風は一瞬にしてかき消されてしまった。

こうなっては最早あとには引けない。気持ちを入れなおして三度目の正直でリップを止めて完登。

それにしてもこの男、底が知れない。

 

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クールダウン

首尾よく成果を得たあとはゆったりリード。数年来宿題となっている「ウェーブ 5.12a」を冷やかすが、中途半端な気持ちで触るもんじゃないと痛感。タロー君も長年宿題となっている「貂が見ていた」をトライするが二人してヨレを痛感するばかり。

最後に「ダイエットシェイク」から「鯖唐」に抜ける自由なラインを上って終了。

帰路も満開の桜を愛でながら最高のドライブ日和を楽しみましたとさ。

 

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黒岩初上陸

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初上陸の岩場で、初めて目にするルートを、グレードにはあまりこだわらずに、できるだけ多く登りたいなーってことで榛名山は黒岩に行った。

関越道でパラパラと小雨が降ってきたが、現場に降雨の形跡はなし。けどちょっと寒い。

軽くストレッチを入れながらパッキングを確認してアプローチ開始。最近、アップやストレッチはベース設営やギアの準備など諸々の作業と並行しながら行なっている。

最後に仕上げとして大きくスタティックストレッチもするんだけど、その手前で筋温あげたり可動域をほぐしておくとなんつーか「話が早い」感じだ。

 

夏子 5.8 MOS

まずは簡単なやつから。

核心部でワイフでも届くムーブをごにょごにょと探る。イマイチしっくりこないがとりあえず抜ける。ちなみにワイフはデッドで抜けておりました。

ま、そうなるよな。

 

柿ドロボー 5.10b MOS

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続いて二つ星の立体的なルートをセレクト。中間部の「くの字」にえぐられた変則的なテラスにワクワクする。

実際にはテラスというには傾斜がありすぎるため、入り込むことはなくフェイス面を直上する。上部がやや悪く感じたが、悩むと良くないと思い一気に抜ける。

変化に富む好ルートだった。

 

黒岩老眼鏡 5.10c MOS

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こちらも二つ星だが、うってかわってデリケートな印象のスラブ。

核心まではイージーで、そこからは予想どおりホールドが乏しい。しかも砂っぽい。

あまり登られていないんじゃね?

 

スノードロップ 5.11a MOS

そろそろギアを上げてくぜってことでスッパリしたフェイス。こういう安山岩ルートを登るは久しぶりな気がする。

入念にオブザベーションして取り付く。着実に高度をあげて無事終了点…と思いきや、終了点付近が砂まみれ。

冷静に対処して完登。

 

キメイラ 5.12a トップアウト

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ちょうど昼ごろになったので軽く腹ごなしして南壁上部へ偵察。

イマイチ興味が湧かなかったスラビーなキメイラは実物を目にすると俄然モチベーションアップ。

ロープスケールで25mくらいだろうか。ホールドの乏しいスラブフェイスをテクニカルなムーブで謎解きをするように抜けていく、そんな状況が目に浮かぶ。

とりあえずマスターで取り付く。1クリップ目からやや遠い。痺れるクライミングになりそうな予感が漂う。

左カンテも使い2,3クリップ目まで進むとホールドが見当たらない。登攀ラインは右上気味だが出だしのトラバースムーブから解決困難。カンテと行きつ戻りつを繰り返し、遂にトラバースに成功。

と思ったけど、次の手も足も悪くてそこでフォール。さすがは5.12aのスラブ。

その後、目を皿のようにしてホールドを探し、足をあげたり下げたり、カチやらピンチやらプッシュやら、チクタクまで出てきてなんとか核心を突破。

ほっと一息をつくが、そっから先は砂まみれに加えオールアンカー。相当登られてないと見える。

掃除しながら野性味溢れるスラブをジリジリと抜け最後はランナウトでトップアウト。予感は正しかった。

2トライ目は首尾よくトラバースをこなし、ビクトリーカチに手を伸ばそうとしたが「あれ、ここのムーブどうでしたっけ」とワイフに尋ねながらフォール。足位置のツメが甘かったようです。

しかしこのテクニカルなスラブは実に面白い。ムーブを忘れないうちにもう一度トライしないとね。

 

つる 5.11b トップアウト

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キメイラを探っていると雨がパラついてきたが、もう一本登りたいってことで薄かぶりの前傾カンテにトライ。

こいつも1クリップ目が高い。しかもバランスが悪くてドキドキのクリップ。なんとか抜けるがヨレとヌメリであっさりテンション。とりあえずトップアウトして回収。

コンディションを考慮して慎重にルートを選ぶべきだった。もったいないトライをしてしまったことを反省する。

 

ベルジュエールへ続く道

というわけで本日の主題、「初上陸の岩場で、初めて目にするルートを…」ってのは8割くらいの達成できたと思われる。単純に楽しかったけど、あと2本くらいトップアウトしたかったのが本音だ。

というのも実は裏テーマが存在しており、それは「マルチピッチトレーニング」だからだ。5.10台を主体に5.11bまでを8本継続できたらベルジュエールに向けて良いトレーニングになるんじゃないかと考えている。

もちろんベルジュエールはトラッド主体だし、マルチピッチ特有のロープワークは今回のクライミングからは習得できないんだけど。

その日のクライミングをしっかり楽しみつつ、次につながるトレーニングとなるように創意工夫してゆくのだ。