月別アーカイブ: 2014年1月

梅とヒールの迷宮ーラビリンスー

パイプライン 初段

長かった。通算3日。こっちのヒールは甘いぞ、そっちのヒールは悪いぞと、幾多の罠と幻影に惑わされた末、遂にヒールの迷宮から生還。

ムーブに関しては前回書いた通りで、新たに試した事は特にない。今回も1トライ目からヒールがきっちり安定、リップまで進む。惜しくもリップのカチが捉えられず落ちるが、もはやレッドポイント出来なければ嘘である。しかし前回はそこから迷いに迷ったあげく、結局不発。同じ轍を踏まない為にも、気合いを入れて迷いを断ち切る。リップ取りの引きつけを確認して2トライ目。

スタートからリップまでこれ以上無く安定したムーブで繋ぐ。体幹が良く効いている。そしてヒールフック。悪くない感触だが不安が無いと言えば嘘になる。とは言え迷いは禁物。意を決してそろりと左手を解放する。ヒールがどうのと言うより体幹の安定感が別次元。そして危なげなくポッケを取る。引きつけてリップへ。少しズレたが修正してマントルを返し……..めでたくレッドポイント。

ヒールが死角に入ってしまうのでヒールの位置ばかりに意識が及んでしまったが、終わってみると体幹の使い方だった。そして体幹を活かすにはホールディングやムーブも重要なんだけど、疲れのないフレッシュな状態でトライするのも重要。当たり前だが、その辺が今回の勝因となった。

 

梅林ボルダー

本日の任務が完了したので、後は種まき&エンクラ。48さんの「秋晴れ 初段」に付き添って梅林ボルダーへ。 48さんを上部から撮影しながらガンバコール。見事なRPをカメラに収める。

AKIBARE

初めは興味無かった「秋晴れ」だが、トライを見るとその魅力に開眼して種まき。ムーブ解析が楽しそうだけどトライを見ちゃったのでさっくり解決。この手のトラバース課題はムーブ解析が醍醐味なので、ちょっともったいない気もする。さすがに指皮が痛いので次回の宿題に。

アイアンメイデンもポッケまで繋がったので次に収穫しよう。しかし難しい3Qである。ティックマークが酷いので念入りにブラッシングしてから移動。

 

ダイヤモンドスラブ2Q

お次ぎはスラブ修行僧のsenkatz師の案内で「ダイヤモンドスラブ2Q」へ。滑り台の様なフェースと相対する。角度も申し分無く「さあ、滑ってくれ!」って感じ。トポには「(カンテは言うに及ばず)トゥルットゥルの部分だけつかて滑って登ってね」と書かれている。

当然ここで、「何処までがトゥルットゥルなのか」に付いて議論が巻き起こる。あらゆる可能性を含めてゼロベースで提案をして行く私に対して、スラブ修行僧から容赦ない却下の結果、左サイドの薄いアンダーカチと左下のフットホールドが封印される事態に。およそホールドらしいものは皆無である。

とは言えグレードは2Q、なんとかなるだろう。僅かだが粒子を探りエッジを効かせ乗り込む、そしてスタート……

 

 

んー立てませんな。

 

「粒子なんて飾りです」と言わんばかりに左足が滑る。全く立てる気がしない。ホールディングやムーブを探るが選択肢が乏しく意味をなさない。こうして、もはや滑り台でしかない石塊を前に、永遠と思えるスタート輪廻が出現する事となった。

しかし、トライを繰り返すうちに僅かであるが乗り込みが良くなってくる。

幾星霜のトライを経て、遂にスラブ修行僧がスタートを止める。惜しくも二手目(足?)で滑るが、大きな前進である。僧曰く「スラブは浮遊感」とのことだが、舞空術の話だろうか。そういえばパイプラインをトライしてると強烈な太陽拳を喰らった。きっと私には計り知れない極意があるに違いない。

舞空術はともかく、後に続けと精神統一を行う。深く息を吸い込みゆっくりと完全に吐ききる。丹田に落ちきった所で、ふわりと離陸する。止まった…!やはりクライミングは呼吸だ。非常に気持ちがいい。惜しくも二手目でスリップするが、解脱の時近し。

その後、トライを重ねるごとに手の保持も向上し、呼吸も安定してくる。そして遂にsenkatz師が完登。続いて拙僧も完登。非常に良い課題、良いトライだった。

 

蛇岩

望外のスラブ2Qを完登し、賢者タイムのまま最後は蛇岩。二本のラインからそれぞれ派生ラインが存在し合計四本の課題を擁する。全てSDスタートのヒールを駆使するジムナスティックなボルダーである。

とりあえず「マムシ 3Q」をバラしてからRP。さすがにヨレててキツい。

続いて「コブラ1Q」へ。しかしスタートが謎。トポには「左手でカチ」と書かれているので、最もカチっぽいホールドでスタート。必然的にクロスホールドになるが慣れると意外にも効きが良くなってくる。ヨレの影響もあり1Qは無理と判断して「ハブ3Q」へスイッチ。苦戦の末なんとかRP。

ムーブを探るのが面白く、先ほどのスラブとはあまりにも対照的だが両者共にクライミングの素晴らしさが詰まっている好課題だった。

まとめ

しばらくボルダーで成果が無かったので、本音を言うと「パイプライン」は嬉しいと言うよりホッとした感じ。一方で「ダイアモンドスラブ」と「ハブ」に関しては純粋に楽しめた。このまま上り調子で「秋晴れ」「アイアンメイデン」、そして「サブウェイ」と続けたい。もちろん、楽しむ事を大前提で。

赤岳鉱泉アイスキャンデー

やってきたぜ、アイスクライミング。ブルーアイスにアックスを打ち込み、アイゼンを蹴り込む、嗚呼、氷瀑の季節。

ice_akadake2

というわけで世間では既に2,3回、訓練されたアイスクライマーなら5,6回は登りに行ってるであろう一月中旬、周回遅れでアイスに行ってきました。

今回はYAMAAN!チームの歩荷にジョイントして赤岳鉱泉アイスキャンディー。チームカーとして就任したJeepでイザ出陣。美濃戸口からのダートに於ける四駆のパワーと安心感がハンパない。かつてこれほどにリラックスした美濃戸越えがあっただろうか。四駆ってマジですごいですね。

鉱泉に到着すると、予想通りデジカメのバッテリー切れ。特にこの日は気温が低かったのでどうしようもない。幸い風は穏やかで時折太陽も姿を見せるので、なんとか登れた。もちろん寒かったけど。

とりあえず一本目を登る。一年ぶりなのでムーブが全く出ない。その上氷が固いのでアクスもはじかれる。二、三本登った所でランチ。小屋の中はスーパー快適。

ice_akadake

その後第二部を開始。腰を入れて立ちこむ感覚が戻ってきたので漸くアイスクライミングっぽくなってきた。残念ながら時間に余裕が無かったので、ラスト一本登って下山。

今シーズンはバリエーション行きたい。

*写真は全てYAMAAN!撮影。多謝!

小春日和は「俊足」で

天気予報が連休中の厳しい寒気を伝えていた。どうやら三連休は極寒の様だ。御岳に繰り出そうものなら凍てついたチャートに苦しむ事は必至、場合によっては早々に河辺のスーパ-銭湯&はなの舞というデブ敗退もあり得る。ようやく体重が戻り始めているというのに、このパターンに陥ってはならない。熟考の末に我々が出した結論は、温泉と海の幸、真冬の桃源郷「湯河原幕岩」であった。

 

HIGHWAY/SUBWAY

翌朝、安定の寝坊により7時に都内を出発するが、東名がどこまでも快適。夏場の渋滞からは想像できないほど快調なドライブを堪能していると、厚木分岐を定刻通りにスルー。大井松田で降りて下道から小田原東で合流(とはいえ20分ロスくらい)。道草、それは人生のアクセントである。

幕山公園目前のいつものセブンイレブンに到着。朝市とかやってるのでニンニクを購入。青森産なのはなぜなんだぜ。

9:30くらいに最上部の駐車場に付くと満車。登山者、クライマー共に賑わっている印象。

見上げると山肌は葉を落とした梅林に覆われ、岩が近く感じる。日当りがよく真冬にも関わらずアプローチで軽く汗ばむ。こころなしか体も軽い。まさしくそこは桃源郷であった。あとは成果さえ出れば…

米粒岩

DSCF3074

俊足」クライマーのスポットをしながらストレッチ&アップ。一応上履きを持ってきているが、「俊足」のほうがフリクションが良いらしい。プロフェッショナルのこだわりである。

アップ6Q、スラブ4Qなどで体をほぐし、前回senkatz先生が登っていた米蔵を触る。

DSCF3082左のカチガバを限定するか否かでモヤモヤするが、とりあえず完登。やはり限定が妥当と思われる。帰りにもう一度触るつもりで貝殻へ移動。

パイプライン

今日の本命は「パイプライン初段」である。前回触った時はヒールが安定しなかったが、今回はいきなりパー練で成功。先月完登した「花畑」で「トウフックからの片手解除」というムーブがあり、このときも解除に苦戦したが最終的に「ソっと解除」することで解決。振られを最小限に出来る事に気付いた。このムーブは「パイプライン」でも効果がありそうだったので試してみるとバッチリ。もはや完登は時間の問題かと思われた。

しかし、である。実はスタートを勘違いしていたためスタートのムーブを探る事に。トウフックが良いとの情報は得ていたが自分のポジションが定まらない。とりあえずな足を探しスタートするが、いい加減なスタートだと初手の寄せが精度悪く二手目のデッドでパワーを使いすぎる。

比較的優良なトウフックを探し当てたが、なんと今度はヒールの精度が下がってしまった。仕方ないのでもう一度ヒールを探す。だが色々と試すもあのパーフェクトな安定感は戻ってこない。完全にヒール迷子に陥る。完成度をあげようとしたら逆にバランスが狂った典型例である。一旦気持ちを切り替える事にして、昼食&昼寝。

だが、長レストを挟んでもヒールは戻ってこず。遂に太陽が山陰に隠れてしまい、一気に気温が下がる。フリクションが良くなるので粘るのも一計だが、今回は子連れなので次回に持ち越し。最後に米蔵をもう一度触るが、午前中に持てたカチが保持できない。ヨレですね、って事で閉店。

 

温泉&海の幸

トイレ前に案内用紙があった「こごめの湯」でまったり。案内用紙が割引券になってて900円で入れる。ちなみに貴重品ロッカーの100円は帰ってきません。(キリッ

ディナーは海岸沿いに並ぶ海鮮料理屋に行くぜ!と考えていると俊足クライマーからカレーライスの提案が。「地元の商店を積極的に云々…」みたいな説明でなんとか納得を得て煮魚定食。激スムーズな東名を経て帰りましたとさ。

 

ちょっと「エンクラ癖」

リードの調子が良く、「最高にハイってやつだぜ!」と息巻いていたらボルダーの調子が下降気味。背筋の張りが抜けなかったり肉体的な問題を自覚しているが、それ以上に集中力とかメンタルに大きな問題を感じる。モチベーションが低いのではなく、課題に対して「入っていけない」感じだ。

「エンクラ癖」とでも呼べばいいだろうか。終止ゆる〜い感じで緊張感不足。もっと力を振り絞って登らねばならない。エンクラもいいんだけど、密度の濃いクライミングをやんないと結局満足しないって事を再確認した。

 

ジムリハビリ

蛇足だがジムに関しても備忘録しておく。
秋から外岩三昧だったので、相対的にジムボルダリングの回数減。それに伴い、遠いホールドへのダイナミックムーブ力が低下。また、限界ギリギリのムーブも出にくくなっている印象。外岩固有の着地への備えが無意識にムーブを制限しているのかもしれない。

こういう時はホームジムでオーバーホール。とりあえず中野グレードで8番(130度)まで回復することが出来た。 ジムでムーブを詰めるのはやはり楽しい。もうちょっと外岩とジムのバランスを意識してトレーニングを進めよう。そして、中野グレード9も触ってみないと。

謹賀新年

明けましておめでとうございます。旧年は成果を残せた一方で故障に悩んだ一年でもありました。今年は故障に悩まされる事無く、これでもかって位に登りきろうと思います。

BASECAMP詣

年末年始は北山エンクラ2DAYS、からの正月料理攻め&運動不足。体重が1kgほど増えてしまった。ちなみに北山での成果は将棋入門4Qという、清々しいまでのエンクラっぷり。細かいカチを保持し、磨き込まれたフットホールドに乗る。この手のクラシックな課題は渋いとは思いますが、やはり苦手でした。

つーわけで運動不足を解消するため、詣でて来ましたBASECAMP。最近はボルダーよりリードの成長が著しい。訛った体でもリードなら何かいい事があるはず。本年のクライミングの行く末を占うべく、武蔵藤沢に行って参りました。

出ました中吉!

まずは5.10bをアップで2本。その後おもむろにルーフの5.11b。「ルーフのアップにどうぞ」と書かれているが、1テンだろうと予想してスタート。するとそのまま完登。拍子抜けだが新年早々幸先がいいスタートである。

予期せぬOSグレード更新で歓喜に沸くが、最も嬉しいのは最高グレードの更新。そういう意味では中吉ってとこだろうか。そして5.11bOSが意味する所は即ち、「5.12b(大吉)を撃て!!」である。

出るか大吉

レストついでに5.12bの物色を開始。大吉に相応しい(要するに甘め)課題を探る。強傾斜の少ないトラバースを含むラインをセレクト。ホールドも比較的良さそう。しかし核心が読めない。二三箇所の核心候補を擁立しつつスタート。行くぜ大吉‼︎

が、いきなり下部でスタック。ホールドが遠くて怯む。スタティックな選択肢を探るが無い。躊躇せず飛ぶのが吉、とばかりにデッド。その後もグイグイと体力が奪われ、短いルーフにさしかかりテンション。薄かぶりへ移行するパートでも強度の高いムーブを要求される。とは言え自動化できれば大丈夫そう。

しかしクリップが地味に辛い。さらに下からでは知る由もない甘いホールドが出現。しかも2連続。ぬぐぐ、これが第二核心かっ。奮闘しようとも思わずテンショーン。回復を待ってムーブを起こす。ここも自動化を進めれば消耗せず抜けれそうである。問題はレストだが、まあ何とかなるだろう。

そしてようやくトラバース。その後、直上すれば終了点。長い旅だったが可能性を感じる。やはり俺は大吉を引く運命(さだめ)のようだ、とトラバースへ入る。

 

….ん? トラーバスの足が無いよ?

 

目を皿のようにしてフットホールドを探すが、遥か彼方のジブスしか見つからない。嘘でしょ。さっきの第二核心は何だったのか(もちろん核心ですら無い)。テンションしてムーブを探るがどう考えても簡単なムーブでは突破できない。ランジか?(しかし足が遠すぎる)。まさかのキャンパ?(12台に収まるのか!?)
悩んだあげく遠い足に乗り込んでマントル突破。このタイミングでマントル。鬼の所業だが、自動化すれば…いや..うーん…ねえ..?

トップアウトして長レスト。前回の5.12aでもなんとかなったので今回も希望はあるはず、と2try目を出すが薄かぶりパートでクリップできずにテンション。とりあえず3テンでトップアウト。いやー甘くないっすな。今回は中吉で勘弁してやるぜ!

アップとパフォーマンス

ところで最近の傾向として、アップ2-3本後のトライで成果が出る事が多い。このタイミングが最もパフォーマンスが良いのだろう。しかしその後は目に見えてパフォーマンスが低下する。もう少しパフォーマンスを持続させるマネジメント能力が欲しい。

rproof

今年の抱負

幸先よく新年のスタートが切れましたが、正月っぽい事も書いておきたいのでお約束の今年の抱負。やっぱり明文化など公言する事による影響力って大きいよね。

御岳

  • 忍者クライマー返し(2D)
  • 蟹(3D)
  • 私の家(2D)
  • 御岳洞窟(1Q)
  • 鵜の瀬大トラバース(2D)

瑞牆山

  • 日々の暮らし(1Q)
  • 美しき日(2D)
  • 普通の日(1D)
  • ヴォック(1D)
  • 倶利伽藍(1D)

湯河原幕岩

  • パイプライン(1D)
  • サブウェイ(2D)
  • シャクシャイン(5.10d FL狙い)

黒山聖人岩

  • ウェーブ(5.12a)
  • 黒山賛歌(5.11b FL狙い)
  • ピクルス(5.12b)

リードのグレードに関しては5.13aを狙いに行きたいんだけど、面白そうなルートがわからないので明記できない。また、トレーニングに関してはもっとロジカルなトレーニングを取り入れたい。

 

去年の成果

一応去年の成果もまとめてみたけど、改めて列挙してみると少ない。今年の抱負に対して望みが高すぎる気がするけどま、がんばりましょう。

御岳

  • デッドエンド(1Q)
  • デッドエンド横断(1D)
  • 立ち鵜(1Q)

瑞牆山

  • 祭りの花(1Q)
  • ガリガリトラバース(2Q)
  • カラクリ(1D)
  • 百里眼(1Q)
  • 花畑(1D)

湯河原幕岩

  • 貴船(1D)
  • 帰還兵(5.10c)

黒山聖人岩

  • 貂が見ていた(5.11b)

ジム

  • Twall江戸川橋リード(5.12a)
  • BaseCampリード(5.11b)
  • 品川ロッキー130度ボルダー(1Q/1D)