月別アーカイブ: 2016年3月

春の魔物

久しぶりにソロボルダーに行ったんだけど、登れたのはハイボールな5.7くらい。スラブ、マントル、前傾SD、カンテ等々、どれもこれも中途半端なトライで成果なし。

それなりに楽しかったけどやはり悔しい。
…いや、結構悔しい。

そういえば去年も春シーズンは初段3本、5.12a1本とイマイチ振るわなかった。秋シーズンが初段4本、二段1本、5.12a5本なので、数字の上からも春の不振が見てとれる。

たぶん春には魔物がすんでるんじゃないかと思うわけです。しかも二匹くらい。

 

一匹目、雪山

まずは最大にして最強の魔物、「雪山」

こいつのフェロモンったら尋常ではなく、どれほどスルーを決め込んでても最終的にはアイスやらスノーハイクやらアルパインに行ってしまう。

シーズン前はオレも言ってたんだよ「今年はアイスはいいかな。フリーの調子良いし、専念しようかな」って。

しかし蓋を開ければ低山トレッキングを含めてなんやかんやで4回。さらに今年はトラッドやらマルチピッチに手を出したからもーーー。

 

二匹目、なまくら

で、そんな感じで雪山へ行ったり城山、城ヶ崎エリアでルートクライミングしてると、ボルダーに必要なハードムーブが出せなくなってきます。

ボルダーにおけるハードムーブの成否は、課題やムーブに対する集中力が大きく影響していると考えています。この集中力は、対象への分析やシミュレーション、鍛錬、思い入れなどによって高めることが可能です。ここら辺をカミソリのように限界まで研ぎ澄ました結果、

「初めはできるとは微塵も思わなかったムーブができるようになって限界突破で完登したぜ。ひゃっはー!」

というカタルシスへと昇華し、ボルダーの醍醐味って正にこれだろ、と思ってます。

しかし、集中力には限界がありカミソリ級の集中力を維持できるのは1,2課題程度です。もちろん、RPグレードから2−3グレード下回る簡単な課題を数多くトライする選択肢もありますが、経験的にそういう日は「不完全燃焼な日」として記憶されることが多いです。

一方、ルートクライミングでは思い入れの深さは同等でも分析やシミュレーション、鍛錬は異なってきます。必要とされる集中力もカミソリではなく、包丁くらいがちょうどいいイメージでしょうか。限界まで研ぎ澄ますより、汎用的な切れ味と耐久性や確実性を求めます。

そういったことが影響してか、ボルダーとは対照的にルートクライミングでは簡単な課題をトライしても「今日はいろんなルートを楽しんだ日」として記憶されます。

ちなみにアルパインに関しては包丁どころかナタか斧くらいのイメージです。

春シーズンのボルダー不振の主因は、ルートとアルパインの比率が増えたことによる切れ味不足、集中力のなまくら化にあるんじゃないかなーと思っています。

さらに拙いことに、なまくらカミソリでボルダーに挑んだ結果、準備不足が露呈してルートよろしくエンジョイクライミングにスイッチしようとします。しかし前述したようにボルダーを楽しむには限界まで研ぎすますことが前提、ボルダーではエンジョイクライミングは成立しないのです(あくまでも個人的に)。なまじルートではエンジョイできているだけに、いっそう大きな落差を感じることになります。

挙げ句の果て、スランプに陥りボルダーにとどまらずルートの成果も伸び悩むことに…

 

まとめ

ずいぶん長くなったのでまとめると、

  • アルパイン、ルートクライミングの頻度アップ
  • ルートクライミングは簡単なグレードでも楽しい
  • アルパインはそもそも限界トライしない
  • 限界に挑む機会が減る
  • ボルダーと異なるスキルを鍛える
  • ボルダーのスキルがなまくら化
  • ボルダーに復帰
  • ボルダーのスキルがなまくらのまま
  • 限界トライするための準備不足露呈
  • 簡単なグレードでは不完全燃焼するだけ
  • やたらと不振が誇張されスランプに陥る

という感じかなっと。

念のため言及すると、「なまくら」なのはあくまでもカミソリを要求した場合だけ。包丁やナタとしては十分な切れ味があり、繰り返しなるが「汎用的な切れ味と耐久性や確実性」を追求したから。カミソリ、包丁、ナタにそれぞれの特性があり、優劣をつけるものではないってことを強調したい。

とはいえ研ぎなおさないとボルダーは楽しめないんだよなー。さーて研ぎなおしますよー!

 

春のピクニック

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三連休は遠出やクライミングはなく、家事やらなんやら。
合間を見つけて日和田山にソーメイとプチピクニック。

 

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昼過ぎから電車で高麗駅へ。表参道からではなく男岩・女岩から。見晴し台直下のスラブを軽快にプチクライミング。

ラーメンを食べて巾着田の河原で遊んで帰宅。平和な一日でした。

全天球アルパイン

中山尾根終了点から #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 
全天球カメラ「RICOH THETA S」を携えて八ヶ岳へ。
城山以来の世紀末トリオ(タロー/S兄貴/ワタシ)でアルパイン&アイスクライミング。
機材協力はもちろんヤマーン!であります。

 

大同心大滝

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初日は赤岳鉱泉でベースを設営したのち、昼過ぎに大同心大滝へアイスクライミング。他のパーティはなく、完全な貸し切りである。

タロー君にリードしてもらった後、カメラをセッティングしてトップロープで登攀開始。

ちなみに気温が低いためバッテリーは長くは持たない。悠長に登っていてはトップアウトする前に撮影が終わると予想された。とはいえ、トップロープである。一気に高度を稼いでハイクオリティな動画をゲットしてやるぜ、と意気込む。

だが、早々に超絶パンプ。乱れまくった呼吸を必死で整え、短いシェイクを繰り返し、可能な限りペースを落とさず登攀を続ける。撮影のことなどどうでも良くなってきたころ、なんとかトップアウト。幸運にもバッテリーは持ち堪えてくれた。

 

[youtubeアプリで見るとVR再生が楽しめるよ!]

 
その後、空身で一巡して回収。夕日に向かって下山。ベースに戻ってS兄貴の絶品ツマミにビールで乾杯するのであった。

 
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中山尾根

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迎えた二日目、中山尾根。八ヶ岳では中級の部類に入る岩稜系アルパインとのこと。

下部岩壁はタローリード。右凹角が一般的らしいが正面から取りつく。案の定、悪い。1ピン目のボルトから右凹角へトラバースし、左上気味に岩場をこなす。テラスを抜け、草付きを左から巻いてピッチを切る。

雪稜をコンテで辿り、上部岩壁基部へ到達。

先行パーティの待ちながら、リードで行くべきか逡巡する。下部岩壁スタート部分は予想外に悪かった。やや及び腰になっていることを受け止め、気持ちを落ち着ける。A0も視野に入れ右凹角から取りつく。冷静にガバを探りながら、ほどよい緊張感の中で高度稼ぐ。ほどなくして抜け口直下のテラスに。ピッチを切りタロー君と交代。

 
[上部岩壁]

 
IMG_4292[上部岩壁抜け口]

 

[高度感がイイ]

 

ピナクルまで上がってくると風が強まる。予報では昼過ぎまで晴れとなっていたが蓋を開けてみると晴れたのは取りつきまで。寒風に煽られながら全天球撮影をこなして一般登山道へ。

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[最後のトラバース]

 
行者小屋への下降路は華麗なシュプールを描きながらシリセード大会。ベースを撤収し、なぜか行きよりも肥大化したバックパックを担ぎ美濃戸へと下山するのであった。

 
 [久々の90Lは重かった]

 

シーズン総括

というわけで今シーズンはたぶんこれでお終い。

山行回数3回、エリアは八ヶ岳と群馬。そこだけを見ると地味な印象ですが、アルパインアイス、スポートアイス、マルチピッチアイス、岩稜系アルパイン、およびそれぞれでリードデビューとそれなりに経験値を積ませていただきました。

これもひとえにご同行いただきました皆様のお力添えによるものでございます。つーわけで来シーズンもよろしくね!