ストロンブレイカー ノーグレーディング

 

ゴールデンウィークはいろいろと登った。

リハビリと称して「正面壁右岩稜線」のマルチピッチから、カサメリの「はるな」、「ストロンブレイカー」、「瑞牆大橋下ルーフクラック」など。

あらためて書き出すと4課題にすぎないが、それぞれ特色があって印象深い。

なかでも「ストロンブレイカー」は強く印象に残ってる。「はるな」を登ったあと軽い気持ちでカサE氏と取りついたのだが、「こんなところにクラック課題なかったはず」という先入観からロクに調べもせずにトライを開始する。(なお、トポにはバッチリ記載されている。山ちゃん教えてくれてありがとう)

まあ結果的にそれはよかった。自分で判断せざるを得ないし、「5.11c」とあればトライしなかった可能性は高い。

ちなみに我々の当初の読みでは5.10aから5.10cであった。

 

で、登ってみると読み通りフィンガーからハンドサイズ。右上ラインなので右足の置き場所に困る。核心のジャミングやプロテクションで試行錯誤しつつトップアウト。カムは0.4が比較的多かった。

しっかり休んでレッドポイントを狙うが核心のプロテクションで力尽きる。まあ前日マルチ登ってるし致し方なしとこの日は撤収。グレードについては疲労もあり、加えてクラック経験が足りなさすぎてなんともだが、当初の読みは大きくずれていないように思えた。

 

 

数日後、今度は家族でカサメリ。この間、ストロンブレイカーをどう登るかを考えていた。
選択肢は3つ、

  • 普通にリードする
  • ロープソロでリードする
  • ボルダーとして登る

結果的にボルダーを選択したのだが、その理由はざっと以下

  • ビレイヤーの確保が難しい
  • ロープソロは未経験
  • 斜面沿いなので山側に飛べば落差を減らせる
    • もっとも谷側にふっ飛ぶと落差は増える
  • すでにプロテクションありで全貌を知ってしまってるので冒険性をもとめるとボルダーしかない
  • フレッシュな状態なら不確実性のあるムーブはほぼない
  • ボルダーとしてギリ許容できる数少ないチャンス

他にもあった気もするが、ボルダーとして登るのがもっともクリエイティブだと思えた。

 

家族をモツランドに残してオランジュへ。クラックの状態を確かめるために中間部まで上がる。めちゃくちゃ快適。クラックの状態云々より、体の状態がよい。前回はどんだけ疲れていたのだろう。

一度クライムダウンして今度は核心直下まで。核心はやはり少々緊張する。山側に飛べば…とか言ってたけど濡れた露岩に苔が生えているのでできれば飛びたくない。着地で盛大に滑って肘をぶつけて滑落するイメージが浮かんでくる。

地上に降りて「本当にやるのか」とあらためて問い直すが、リスク的にもムーブ強度的にもできない理由は乏しい。何よりロープもカムも持たずにムーブを起こすことが思っていた以上に楽しく、この選択は間違っていないと思えた。

短いレストの後、再び取りつく。

中間部のハンドまでサクサク上がる。やはり快適。フィンガーを交え核心まで。少し甘いシンハンドを決め意を決して足を上げる。するとシンハンドがバチ効き。前回はチョークアップする余裕など皆無だったが、今は違う。余裕のチョークアップからビクトリージャムへ。ルンゼを詰めて取りつきへ戻った

とても良い課題だった。
この場を借りて初登者に敬意を表したい。

 

おそらくボルダーとしては登られていないと思うが、高さや内容を踏まえると「ノーグレーディング」とするのが良いと思っている。

 

ヒヨッコの集い

 

イノ+ミケと登りに行った。このメンツで登りに行くのはいつぶりだろう。ほんの数年前までは毎週のように岩に行ってた気がするが、思えば全員30代だった。今ではミケちゃん以外は四十を迎え、色々と変化に晒されながらもそれぞれにクライミングを続けている。

とはいえ周りを見渡せば、自分より長く登ってる強々オヤジクライマーはゴマンといる。

妙な感傷に浸ってしまったが我々など未だヒヨッコに等しい。

 

ヒヨッコ

本日、ヒヨッコどもはSSKにあった。便所横の◯臭シリーズが狙いである。朝イチで現場入りするとまあ寒い。極悪そうな左上クラックを眺めてヒヨッコにはまだ早えーなと早々に移動する。

とりあえずアップだということでお寺裏に上がる。シャーク〜夕影〜朔風〜刻一刻と岩巡り。この谷筋だけでも魅力的な岩は多い。パワフルなハングラインが見えたので今度やりたい。

 

夕影

一通り岩を愛でること小一時間、 シャーク上部のボルダーに取り付く。これぞSSKと言わんばかりのバリバリの粒子が手に刺さる。後から来たローカルさんに「夕影 初段」という課題を教えてもらったのでトライしてみる。

ハンドジャムが効きそうなのでクラックグローブをはめて取りついてみる。うむ、どうもしっくりこない。まあいつものことさ…と思ってるとなんということでしょう。

核心でバチ効きである。

イノ+ミケにもジャミンググローブを貸した上でジャミングの優位性を熱弁するが、いまいち賛同を得られず。

曰く、
「グローブがずれる」
「効いてるのかよくわからん」
「っていうかエイドですよね?」
などなど。

ちなみに私はクラックグローブはもとより、チョークやクライミングシューズもエイドギアだという論を支持しているが、その話はまた今度。

とりあえずムーブはわかったのでRPトライするが指皮の消耗激しく変なところで落ちまくり。全容がわかってしまうとどうも雑になってしまう。「わかったからもういいかな」と思わんでもなかったが、ちょっと休憩してトライ。完登することができた。

グレードは初段が妥当だと思うがジャミングしないと難しくなりそう。

ちなみに、ついでに触った「がんばれひろしくん」(ひろしじゃなかったかも)は3級とは思えぬ悪さだった。

 

 

 

朔風快晴

その後上部に移動してスラブ・カンテを登る。

すでに指皮の消耗激しく粒子を握り込んでると手汗が滲んでくる。風が吹いてるタイミングを狙って右カンテを完登。後で調べたが「朔風快晴 初段」らしい。上部でカンテに身をかわしたがフェイス側だけでもトップアウトできそうではある。その場合はワングレード上がりそう。

吉田さんのブログを読んでも上部のラインははっきりわからないが、まあこういうのは自分が見えたラインでいいと思う。

その後「韋駄天 1級」を地ジャンで登ろうとイノさんとセッションしたが止まらず。しれっとスタティックで登る。その後もイノ氏は果敢に飛び続けていた。初心貫徹の漢である。

 

 

両者ともラインが不明瞭だったりフリクション良すぎたりで正確な比較は難しいが、提唱されてるグレードよりやや簡単に感じる。そういえば「歳時機」とかも2級くらいに感じたもんな。個人的には吉田さんのスラブグレードは甘めだと感じている。

もっとも初段のマントル課題「なまはげ」に7年かかった奴が言っても説得力はないか。

最後に刻一刻に上がるが指皮が終わってて何もできなかった。また今度取り組んでみたい。

バイソンと苔

とある岩場でハイク&クライムしてきた。

 

岩質は安山岩で比較的しっかりしている。いわゆる里山って感じで日当たり良好、広葉樹の森の中からは富士山がドーンと望める好立地。地元ではハイカー、クライマーともによく知られた場所でトレイルは歩きやすく、4歳娘とゆっくり歩いて2時間くらいで周回できた。

 

そこで登った一押しの課題、「バイソン」について記しておきたい。

アプローチは駐車場から山腹コースを辿って登山道ボルダー群を抜け、頂上の手前まで登る。登山道から右手下に斜面から突き出したボルダーが現れる。(ちなみに下部にはさらにボルダーが存在する)

4m弱くらいのサイズだが下部にスペースがあり、ぱっと見で面白ムーブ間違いなしの雰囲気。前に回ってみると突進してくる牛に見える。上部の苔が毛むくじゃらにしか見えないつーことで登るまえからバイソンと呼ぶ。

課題は二つ。鼻先からスタートする「ノーズ」とSDスタートの「バイソン」。ここでいうSDとはもちろんスリープスタートのことである。シットなどヌルいことを言ってはいけない。地面に寝そべってバイソンの顎下を眺めていただきたい。(後日LD(lie down)スタートなるものがあると@senkatzさんから教わりました)

「ノーズ」に関しては既に登られている可能性は高いと思う。一方、「バイソン」に関してはひょっとすると初登かもしれない。信頼できる筋にも当たってみたが立派な苔から察するに登られてないんじゃない?というご意見だった。情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非!

ちなみに後日改めて見ると牛より恐竜、いやヨッ○ーなんじゃね?という気がしてきたがあえて「バイソン」のままとしたい。

こだわる理由は上部の苔にある。個人的には下地や苔も含めて可能な限り手を加えないで登りたいという思いがある。だが現実には苔を落とさず登れる岩は少なく、多くの場合苔を落として登られる。

しかし、この課題に関してはそうした掃除は必要なく登れる。そういった意味からも稀有なボルダーだろう。

この先も、訪れたクライマーに立派な毛むくじゃらを愛でられる「バイソン」であってほしい。そう願っている。

 

トワイライト

前回ファンタジスタ的な何かを登ったあと、トワイライトのラインを触った。鴛鴦のスタートから右にトラバースした後、カンテをたどるラインである。サンセットダディのエクステンションということになるが、割と自然なラインに見えるし何よりムーブがおもしろい。

そう、トーフックが出てくるのだ。

初日はトーフックかな…?くらいの感触だったが2日目に足先行トーフックで解決できたので一気に沸き立つ。瑞牆のスラッシュフェイスを彷彿とさせるムーブである(もちろんまだ登れていない)。他に最適なムーブがありそうだがこのムーブにこだわってみる。

しかしつなげてくると足が届かない。結局2日目は時間切れで終了。

そして3日目、相変わらず足が届かないので足先行を諦める。儚いこだわりだった。ホールディングもかなり微調整する。カンテへの一手がリーチを要求されるためオープンで手首の可動域を広く取る。保持優先でカチッてしまうとカンテへの距離が足りず、仮に手が届いてもトーフックで落ちる。ここらへんの調整というか最適化は久しぶりだがやはり楽しい。

ムーブは最適化されたが指皮が終了を告げ、なんと3日目も登れず。

そして4日目。平日なのでよく空いている。

だが前日の雨か雪か、周辺の岩が濡れている。幸いサンセットボルダーは濡れていなかったがどうも湿っぽい。アップ後のファーストトライが抜群に好感触だったが核心の一手を失敗する。やってれば今日は登れるだろうとトライを繰り返すが気持ちが空回りしてるのかむしろ高度が下がってくる。

これは登れないパターンだな。と頭によぎるが長レストを挟んで3トライは粘ろうと気持ちを切り替える。

すると1回目で登れてしまった。

ホールディングとムーブにたくさんの要素の詰まった面白いラインだった。S兄貴に教えてもらった稚鮎の干物を土産に買って帰った。

サンセットボルダー

7年ぶりにサンセットボルダーを訪れた。前回いいところなく終わった「ファンタジスタ 二段」が狙いである。流石に7年も経てば強くなってるはず、あわよくばワンデイ(と言っていいかは当人の記憶力次第)といきたいところ。他にも課題が追加されトポにも掲載されているようだが、めんどくさくて間に合わなかったので買っていない。登るべきラインは紙ではなく岩を見て決めるのが作法(かもしれない)。

湯河原最遠のアプローチをこなしてエリアに向かう。以前より踏み跡が明瞭になってる気がする。到着すると先客が10人ほど。大人気エリアのようだ。そりゃあ歩きやすくもなるな。

よく見ると中野のシュウジ先生を発見。最近ちょいちょいお会いする。

イノキ岩で適当にアップしてファンタジスタに混ぜてもらう。7年前は限定ホールドがどうとかあったが特に気にしない。とは言え以前は存在しなかった or 使われていなかったガバカチが出現しているように見える。コレを取れば登れるだろう、という雰囲気。

下部からムーブを作っていく。カバカチはランジで解決できそうだが振られと下地を考えると思い切りが必要。中継カチはいずれも悪く、足位置を調整しながら試行錯誤する。シュウジ先生が「意外に持てるよ」というので気合入れて中継カチを握り込んでランジ。ガバカチを捉え損なって落ちるが非常に好感触。

その後、しっかりレストを入れてトライ。

中継カチを保持して足位置を微調整、ガバカチへ飛ぶ。振られを耐えて上部に目をやる、カンテ左の弱点をついてトップアウト。よいクライミングだった。(残念なことにシュウジ先生は撤収ずみであった)

さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思うが、このラインはトポに記載されているラインとは異なるようだ。トポではカンテ左へ出ずに右面を直上するらしい。トポがどこまで初登者に裏どりして記載されているかわからないが、おそらく初登時のラインも直上だろう。そう考える理由は、核心のガバカチにある。初登時に存在しなかったとすると、カンテ左に出るのは直上より悪いと予想されるからだ。(憶測してないでトポ見ろよって指摘はごもっとも)

もちろん、登り直しという言葉が頭に浮かんだ。しかし、核心後に壁の中で判断したラインは合理的に思えたし、緊張感のあるよいクライミングをした自負もある。そう言ったもろもろを取り消してまでトポあるいは設定ラインをなぞるのはとても不自由に思えた。野暮と言い換えても良いかもしれない。したがって、このままでよいと結論づけた。

ちなみにグレードは初段くらいに感じた。よいクライミングでした。

ついでに。ジムスタッフを多く知ってるわけではないが、シュウジ先生のアドバイスの的確さは他に類を見ない。もっとも、「意外に持てるよ」と「そこはガンバっす」の情報量にどれだけの差があるのかと問われると何も言えないが、その話はまたどこかで。

ゲルニカ

年末年始と城ヶ崎に行く機会があったので、池田功氏初登の「ゲルニカ 5.10d」を登った。トラッドグレードの更新である。フェイス的なムーブではなく、手も足もがっつりジャミング勝負だった。少しはジャミングが上手くなってるのかもしれない。

ちなみにシューズは今回もジーニアス。最近、複数のクライマーから「そのシューズを岩場で履いてるひと初めてみた」という意見を頂戴したが、未だノーエッジはマイナーカテゴリーなのだろう。そう考えるとこのコンセプトを世に出したスポルティバは慧眼というか野心的というか、イノベーターだと感服する。

ストップ・ザ・トマフォーク

ゲルニカの後は隣の「〜トマフォーク」をゆるくトライ。こちらも難しい。毎度のことながらフェイスとクラックはグレーディング体系分けた方が良いのではないかと思う。

この時、いっしょにトライしていた仲間の#3がすっぽ抜ける。幸い#2がセットされていたのでことなきを得た。城ヶ崎は潮の付着によりカムの脱落があるという話は聞いていたが。まさか#3が抜けるとは…下地も良くないしこれからは多めにセットしたい。

一応ムーブは解決したと思われるが滑りがひどくてRPならず。また今度やりたい。

ギャラクシアン 12a RP

6年ぶりにギャラクシアンをトライした。

前回は真夏だったということもあるが、それ以上に花崗岩スキルが足りず、スラブに入るや否や完全にお手上げ。滝のような汗をかいてA0回収したのも今となっては良い思い出である。(もっとも大部分はパートナーの獅子奮迅の活躍による)

6年ぶりにトライすると前回見えなかったムーブやホールドが次々に見つかる。もしかすると前回の記憶を忘れてるだけかもしれないが、中間部のジャミングによる解決は成長の証だと主張したい。

そして長いだけのスラブとおもっていたこのルートが、実際には多彩な内容が詰まった珠玉の一本であることを知った。いったい6年前はどこを登っていたのだろう。

9月のトライではまだコンディションが悪く、いっしょにトライした雀ちゃんと日当たりがあーだこーだと会話した。縁があればチャンスは来るだろうと思って帰路についた。

2週間後、とくにギャラクシアンを狙うわけではなくカサメリ入り。壁を見上げると午前中は日陰に入るようでコンディションは良さそう。

とりあえず青龍を登って、これまた長いこと宿題の「朱雀 5.11a」を登る。2週間前とは比較にならないフリクションの良さに驚愕する。

オランジュに上がると雀ちゃんが既にギャラクシアンをトライしている。圧倒的な安定感を見せながら高度を稼ぐ。さっくり登って降りてくると開口一番「前回の5倍のフリクション」とのこと。まだ肚が据わっていないがこの時間帯を逃せば岩に陽が当たる。意を決して準備する。

結び変えボルトまで上がって第一核心へ。5倍のフリクションとやらは…ガセではなかった。異次元のスメアでどこでも踏めそうな雰囲気すらある。とか思っているとまさかの足スリップ。落ちたと思ったがなんなくリカバー。これが5倍ってやつなのか。そして中間部へ。おもむろにジャミングを差し込む。しかしフリクションが良すぎてスメアでもフツーに登れる。結局多少はジャムったもののほぼフェイスムーブで突破。成長の証は…またどこかで役に立つだろう。

そして上部。すこしずつ陽が差してきて眩しい。あと少しだが緊張感も高まる。上部核心に入るが前回のムーブがうろ覚え。落ちたくない一心で半分アドリブながら突破。最後の小ハングも記憶ほど悪くなくバタつきながらも抜ける。終了点の閉じないビナを自分のビナと交換して息が整うのを待った。

ゴンベイ4

締めに「てるやまもみじ 5.10」とこれまた長い宿題の「ゴンベイ4 5.11b」を登った。

しばらく会ってなかった友人と久しぶりに遊ぶような、そんな気がするカサメリ沢だった。

冬のいざない2P目

まだまだ夏真っ盛りですが5年ぶりに「冬のいざない 2P目」のレッドポイントができた。

 

 
 
 
 
 
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Ken Yamagami(@gamiken_kappalab)がシェアした投稿

今回は娘氏をつれてカサE氏とすずめちゃんに付き合っていただいて小川山キャンプ。初日はテキトーにボルダーを娘氏と遊んだ後に藐姑射岩へ。せっかくなので5年前に敗退した「冬のいざない2P目」をトライさせていただく。前回はフレアパートでなすすべくもなくフォールしたわけだが、今回はギリッギリで耐えレッドポイント。5年の歩みとしては鈍亀もいいとこだがまあ登れたのでよしとしておく。夜は焚き火のよこで娘を寝かしつけて晩酌

翌日は大弛み峠から五状岩へ。初心者コースとはいえ往復4.5hを娘氏はしっかり歩いてくれました。森林限界が気持ちよかった

photo by suzume

In 2021

ここ2年ほど新年エントリーを書いてなかったので久しぶりに書いてみようと思う。

2020年は色々あったわけだが、下の子も3歳になり以前より岩場に行ける回数は増えた。ありがたいことにキャンプ大好きっ娘に育ってくれたので瑞牆や廻り目平に関しては非常にアクセッシブルになった。あとはビレイを習得してくれれば…

昨年最大の成果としてはベルジュエールのレッドポイントだが、その後登ったもので印象に残ってる課題を備忘録しておく。

ナーガ 1級

これは2020年で一番面白かった課題。可能な限り足先行にこだわってスタートしたかったので満足度高し。中間部もバチ効きのフットジャムとハンドジャムで構成される秀逸な構成だった。体感グレードはよくわからないけど2級でもいいのかもしれない。ちなみにチップクラック2級は登れてないぞ。

生命力

ここ数年登った中で、トップアウト後にもっともシャウトした課題。

中間部のポッケを捉えるまでムーブ解析とトライ数を要したが、ポッケを捉えてからは2トライで登れた。リップから先は完全に初見だったので脳汁がMAX。めちゃくちゃ充実した。

初日はスラビスタとセッションだったので、完登はソロが理想的と思っていた。念願叶ったわけだが、登れたら登れたで誰でもいいからグータッチをさせてくれと割と本気で思った。人とはわがままな生き物ですね…

グレードは雷帝と比較すると易しく感じた。新しいトポによると生命力 初段(V8), 雷帝 初段 (V7)とグレーディングされているが、個人的には生命力 初段(V7), 雷帝 初二段(V8)あたりが妥当に思える

Hapinnest You

これは3日ほどトライしているがまだ登れていない。春シーズンには登りたい。めちゃくちゃ面白い。

水際カンテ

年始に御岳に行ったのでかねてより気になっていた池田功の名作にトライ。

下地がかなり上がっているのでお買い得だよと居合わせたクライマーさんに教わる。せめてスタートは地面からやるかとトライ開始。思ったよりホールドはよくてそのままリップまで。

リップは予想通りツルツル。カンテと言うか稜線というかとにかく岩の形状に合わせてもがくとなんと登れてしまった。

え…!? もしかして..これって….二段フラッシュ…ってやつじゃ…

と思いながらスポットしてくださったクライマーさんに「いやでも、ちょっと左上気味でしたかね…デュフフフ」みたいに浮かれポンチな会話をかましてしまったのでかなりキモかったと思われる。

とは言え奮闘感溢れる直登マントルラインも魅力的なので再度トライを開始。だが、見事にスベスベかつ足もない。何度かトライしたのち、下手にホールドを探っても望みは薄いと判断し、リップをマッチして返しきるムーブを選択。

秋冬に緩く継続した懸垂15回3セットの真価を見せる時がきたのだ。

リップマッチから全力でプッシュするがほぼ膠着状態。やっぱムーブ間違ってるんじゃね、という思いと、諦めんな返し切れ、という思いが交錯しているとジワジワ体が上がってきてなんとか完登。期待を裏切らない奮闘系マントル課題だった。カンテ、とは…

 

今年の抱負

というわけで今年も可能な範囲で登っていこうと思います。特段大きな目標を立てるつもりはないけれど、こどもたちとマルチピッチができると楽しそうだな、と思っている。

ベルジュエール 10pitch 5.11b


パラパラと小雨が降り出した。レインウェアはいらないレベルだが、敗退すべきか否かを意識しつつ4年ぶりのチムニーに挟まった。

#6はスッカスカでまったく効かない。もちろんそれは4年前に経験済み。しかし今回はそれに加えてところどころ結露している。

ズリズリ上がって黒ずんだリングボルトにクリップする。一息ついて上部に目をやると、記憶より近い気がした。甘い考えが浮かぶがすぐさま打ち消し、ただひたすら無心で前進しようと覚悟を決めた。


天気予報

今秋の予報はいつもに増して難しい。当初は土日を使ってベルジュエールからビバーグを交えて蒼天攀路をプランニングしていた。だが七転八倒する天気予報に愛想を尽かして日帰りにシュリンク。それでも午後は崩れる予報。一方、土曜日は登れたっぽい。我々の土曜を返してくれ。


植樹祭発 (5:15)

そんなわけで前夜泊で瑞牆入り。オープンビバーグで霧に包まれながら時折訪れる晴れ間からオリオン座を見てまどろむ。3時間程度の仮眠時間。明日は午前中にカタを付けなければ雷雨に巻かれるかもな…とか考えると…朝になってた。

まだ暗いうちに植樹祭を発つ。


First Pitch (6:40)

ゆっくり登って準備してClimb On。4年ぶりのベルジュは寒くは無いけどシットリ。

ハング抜け口まで登ってロワーダウン、これをアップとする想定で登攀開始。

ハング抜けはちょっと悪い。前回はここでスリップフォールした記憶。慎重に手を進める。無事に抜けると、そのままイケそうな気がする。可能ならマスターで登りたい。次の手を出す。

上部核心に入る。前回は初見でムーブがわからず、そこそこ時間を使って抜けた気がする。ただ4年も経つとほぼ何も覚えていない。慎重にムーブを探る。ホールディングを調整して手を伸ばす。なんとしても登りたいと思った。核心を抜け、歓声をあげた。


2-3nd pitch (8:00)

続いてスラブトラバース。このルートの二大恐怖核心。だが、サクサクとスズメちゃんが突破。流水でヌルヌルのスラブもなんのその。ただでさえ重いシングルロープを引きずって3pitch目まで。小面岩が綺麗にみえた。



4th Pitch (9:00)

一番フレンドリーなピッチ。今回も美味しくいただきました。ちなみに今回はアナサジピンクですが、アッパーの厚み不足でフットジャムが痛い。


5th Pitch

ハイライトとなる大フレーク。ガスに巻かれて辺り一面まっしろ。予報どおり天気は下り坂で気持ちが焦る。ススズちゃんが高度を上げていくがクラック内部は流水でびちゃびちゃ。大胆にレイバックでグイグイ上がっていく。メンタルどうなってるんですかね。


6th Pitch

そして冒頭のチムニー。前回はここで30-40分は格闘したような気がする。だが今回の天候でそんな時間はかけられない。少しはチムニーも上手くなってると信じて挑む。

リングボルトにクリップして、#6をセットしようとギアラックから#6を外す。と、なぜか#4が脱落して遥か彼方に落ちていってしまった。こんなことが起こるんだろうか。呆然とするが、なかったことにして目の前のタスクに手中する。

#6を開き気味に決めた後は一切上を見上げず無心でプッシュで前進する。壮絶な耐久系クライミングの幕が開けた。と、思っていた。

すると…
.
..

………
あれ?めっちゃ快適なんだが…

クラックが少しずつ狭まってきて進みづらくなる。両手を逆手でPushしながら膝と足裏と背中でずりあがる。

落ちる気が全くしない…なんということでしょう。

不意にメットに何かが当たった。チョックストーンだった。前回はバテバテで必死の思いで返したマントルをこともなげに返して、チムニーの抜け口に立った。

できすぎた展開で我ながら嘘っぽいのでこの画像を貼っておこうと思った。


8th Pitch (11:00)

一時強まった雨脚も小康状態となり、これを抜ければ完登は目前というクラック。屈曲したラインで先の展開が読みにくいルートだが、抜群の読みで手堅くOS。

「ガバっぽかったのでしっかり片手固めて出したら登れた」みたいなコメントだったけどつくづくスゲー。


Last Pitch (12:20)


ついに最終ピッチ。またしてもパラパラと雨が降り始める。出だしの被ったクラックがやや悪い。雲が流れていくのを視界の隅に捉えながら最後のスラブを抜け、岩頭へ。

4年ぶりに十一面から眺める瑞牆はいたるところで霧が沸き立ち、雲の切れ間から富士山がのぞいていた。