湯河原トラッドⅡ

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湯河原正面壁へトラッドクライミングに行ってきた。パートナーはM坂氏。前回「No1ルート 5.10c」を登ったので今回は「小ハング左凹角ルート 5.10d」でも登ろうかなーという目論見。

 

No3ルート 5.10a OS

まずはアップということで「ベビーピナクル 5.9」を登ってから「No3 ルート」を登る。クラックのサイズがワイドからフィンガーまでと変化に富んでいて面白い。快適にOS。

 

小ハング左凹角ルート 5.10d OS

そして本題のルートに取りつく。ハング直下でやや躊躇するがプロテクションを信頼して進む(一本目はケミカルボルトだしね)。不安定な体勢でアンダーを保持しながら苦しげにカムをを決める。ハングを超えて一息つくがそこからも全身を使うクライミングが展開され内容があって面白い。

お互いに一撃できたので一旦休憩。

 

ロングラン 5.10d 2p OS

長いルートがあるっぽいので偵察に行くとケミカルが打たれたカンテが目に入る。周辺にカムが決まりそうなリスがあるのでレトロトラッドできるんじゃないかとアイデアが膨らむ。一通り想定を話し合って、最上部の木をサミットに設定し登攀開始。

ところが早々にクラックが閉じてボルトルートに合流。再びカムが取れそうなクラックが出現するが既にテラスに到達、ピッチを切る。核心は超えたが上部ピッチもあなどれない。しかも高度が上がるほどに砂っぽくでワイルド。楽しいお気軽マルチだった。

 

コナン 5.9 FL

右壁に移動して少しだけ「スパイダーキッド」を冷やかしてから締めに「コナン 5.9」を登る。極めて快適。

最後に「小ハング右凹角ルート」をビレイして撤収。M坂氏のクライミングがしばらく会わないうちに劇的に安定していてびっくりした。プロテクションの判断もムーブの選択もスムーズで気負いがない。

正面壁の主要なトラッドルートは登れたので次のステップに進みたい。色々選択肢はあるけどやはり花崗岩、昇仙峡かな。

龍神淵

紅葉狩りに行ってきた。行き先は名栗。クライマー的には河又といったほうが通じるかもしんないが、本日の目的は紅葉である。0歳時のアウトドアデビューとして奥武蔵は便利が良い。クライミングなんつう野蛮なアクティビティが行われているとはニワカには信じられない。

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とはいえ名栗湖湖岸は針葉樹主体の植林地帯。昇仙峡や瑞牆・小川山のような真っ赤な紅葉ではない。もう少し植生に多様性を残して営林してくれたらなーと思う。

 

 

とりあえず有間渓谷を詰め「龍神淵」まであがる。釜の手前にベースを作ってコーヒを入れようと思ったらライターを忘れたことが判明。コーヒどころかラーメンも喰えない。しょうがないので予定を変更して岩登りなどで時間を潰す。

 

龍神淵

 

釜を成す見事なスラブを登る。木の枝と落ち葉により沢登りの亜種みたいなクライミングになる。上から掃除もできるがこういうのはあるがまま登るのがいいんじゃないかな。全力で木を掴みまくったが完登を主張しておく。既登かもしれないが初登ならそのまま「龍神淵」と呼びたい。

 

水龍

 

それから釜の手前にある前傾ボルダー。SDにうってつけな顕著なガバからスタートを試みるがどう考えても初段以上。ってことでスタンドでトライ。足切れ全開だがなんとか完登。もっと合理的なムーブがあると思うが体感2級くらい。ジムナスティックな好課題だった。

ちなみにSDで登れたら鳳師と名付けたい。(大局将棋で水龍の成駒が鳳師なんだと)

 

ニジマス

撤収後、ラーメンの代わりにマス釣場で塩焼きを頂いて帰宅。里山とか川で遊びつつ岩も登れる奥武蔵は子連れクライマーの強い味方なんじゃないかな。全力を出しきるようなクライミングは難しいけど色々と工夫次第で楽しめるはず。

スラブ三昧

 

三連休の初日だけ瑞牆山ボルダーへ行った。4時ちょうどにソーメイを起こして4時半にINOさんと待ち合わせ。朝の空気が随分冷たくなりました。

普段より一時間早いけど交通量が多い。こいつを見越して出発を早めたINO氏は慧眼たるやマジリスペクトである。ソーメイは韮崎のコンビニに到着するまで熟睡。

 

童子岩

とりあえずアップ。パリッパリの花崗岩を期待していたがヤヤ湿っぽい。適当にスラブを登ってトポにはない「ナツメの花」と「小藪の細道」の間に位置するスラブラインを登る。割りと良いラインだった。1000夫妻とスラビスタが合流して談笑。

ソーメイは6歳くらいの頃にトライした「ナツメの花」をRP。よくできました。

 

十六夜セション

最近スラブの楽しさを多少なりとも理解できるようになってきたのでINOさんとセッション。以前は「スラブ?なにそれおいしいの?」って態度でしたが変わり身の早さには定評があります。

じっくりムーブを考えよう…とか思ってたけど他のパーティもいるとサクッと核心まで解決。いや、けどこれ「解決」って呼んでいいのかな…ムーブをコピーしただけって感じが…

ま、核心ムーブ起こせなかったからいいか(何が

ソーメイと周辺のボルダーで自由に遊ぶ。

 

山梨市エリア

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山形県エリアからパノラマコース(大面岩アプローチ)を200mくらい辿り左手から入る小沢を詰めるエリア。この呼び方は定着してるんだろうか。そもそも「山形県エリア」って名前からして…いや、言うまい。

ラーメンを食べつつ周囲のスラブを触る。山形県エリアより更に湿っぽいが気付かないフリだ。簡単なヤツをいくつか登って難しそうなヤツにトライ。スタートのムーブがなかなか良い。中間部から上部にかけては指力と精神力が問われる。何とか粘ってレッドポイント。

ソーメイはムーブを修正しながらスラブにマシンガントライ。指皮が減らないので思う存分撃てるのが良いらしい。完登はできなかったが今までで一番楽しかったとか。登れなくても楽しいって、お前、それ、クライマーじゃね?

 

水晶スラブ

少し上がって綺麗な水晶が生えているスラブを登る。

中央のスラブラインは快適。

左のスラブはのっぺりしたフリクション系。

ちなみに落ちると足がなくなります。

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夕方頃に再び山形県エリア(ややこしいな)にもどって「インドラ」を初トライ。初手から悪い。体幹もヨレてるんで早々に撤収。こいつはフレッシュな時に再訪したいな。

パンプすると死ぬ病について

先日、江戸川橋で512a/bをOSした。それまでのOSグレードが5.12aだったので、文字半分だけ更新したことになる。半分とはいえ地味に嬉しい。ついでに5.12cを一回だけトライしてみたがこちらも好感触。ムーブを忘れさえしなければ次で登れそう。5.12cを2tryで完登できたとすれば自分的には快挙である。(ただジムリードって半年に一回くらいしかやんないんだよな)

最近のジム頻度は週一回程度、滞在時間は3時間前後。よく聞かれるのが「それでどうやって調子キープするの?」だが、パンプ耐性や持久系の対策をメモしておく。

 

バンザイニギニギ運動

パンプ耐性向上のため「両腕をバンザイして握ったり開いたりを一定時間行う」というトレーニングを行っている。おおむね週二回くらい、もちろん自宅で。個人的にはわりと効果を感じているのでもう少し補足したい。

動作の注意点

  • 呼吸を一定に保つ
  • 腕はしっかり伸ばすが肩や胸郭はできるだけ脱力
  • パンプしてから2−3分継続する
  • 辛くなったらシェイク入れてもいい
  • チョークアップライクに腕を下げてもいい

効果と目的意識

  • パンプ発生までの時間を長くする
  • パンプ発生からパンプ限界点までの時間を長くする
  • パンプ発生からの回復時間を短くする
  • 持久力向上を目的として最大筋力や保持力の効果は求めない
  • パンプしてもプロテクションセットできるメンタルをつくる
  • パンプしても次の一手を出すメンタルをつくる

以上、パンプと共に訪れる辛い時間を如何に平穏に過ごすかっていうライフハックでした。特にボルダラは「パンプすると死ぬ病」にかかってる人が多いので(パンプすると一瞬で心折れるとか。自分がその最たる例だった)騙されたと思って試していただきたい。

 

ジムトレ

ついでにジムに関しても触れておく。ジムでは基本的にボルダーしかやらないが、最後の15分くらいはテキトーに長モノを登る。こちらもパンプしてからが勝負でレスト体勢を挟みながらとにかく粘る。周りからすればいい迷惑だろう。こちらはパンプ耐性向上だけでなくクールダウンにもなってるみたいで翌日の筋肉痛とか疲労感が軽減される。

あ、あといい汗かいて締められるからビールがうまい。

 

握力とはなにか

バンザイニギニギ運動は「クラッシュ力」的な動作となる。理想的には「ホールド力」的な動作でパンプを発生させたいが自宅では難しそう。現状ではパンプ発生の手軽な方法と割り切っているが、いずれは「ホールド力」的な動作によって効率よくトレーニングできるようになりたい。(最大筋力と筋持久力ともに)

ちなみに調べるまで握力が三種類に分類されることなんて知らなかった。もしかすると専門的には更に細分化できるのかもしれない。そして同じことは「保持力」や「体幹」など半ばバズワード化してる概念に対しても言えるんじゃないかと思ってる。

三峯クラシコ

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背の高い、すっきりとしたラインを登ってきた。

すっきりしてるのはラインだけではなくホールドもすべすべ。キメ細かくなんなら碁石かよってくらいの三峰のボルダーは一度だけ、4年前の暑い日に訪れている。

その時はフリクションと無縁のような岩肌と、垂壁前後の渋い課題内容に今ひとつピンとこなかった。

さらにその後、花崗岩のフリクションや石灰岩の強傾斜を知るにつれ、この岩場の存在は記憶の片隅へと追いやられた。

 

カンテ 2級 RP

4年ぶりに訪れた三峰は前回とはうってかわってどんよりしていた。だれだよ晴れるっていったやつは。

曇っている三峰は少し雰囲気が違う。不気味ってほどではないが独特の緊張感みたいなのがある。うまく言えないが眷属信仰が根付いたのが妙に納得できる。

そんなことを考えながら「涼しいマントル」の岩でアップ。最後に黒本でOTSとなっている「カンテ 2級」をトライ。どっち向いてんだよってホールドを引っ掛けながらバランシーな足上げ。最近ホントにこういう課題が楽しい。実に味わい深い。

三峯ならこの手の課題に事欠かないだろうと思ってたが、自分の慧眼っぷりが恐ろしい。

 

池田カンテ 1級 RP

そしてシルクハット岩。「一輪車」か「池田カンテ」をトライするつもりだったが、一瞬で「池田カンテ」に心を奪われる。

じっくりとオブザーベーションするが何せすべすべ。こりゃあ触って見ないとわかんねえだろってことで速攻でOSトライ。

一瞬、スローパーを使うか躊躇したが限定とか野暮なことは言わないだろうと、見たまま感じたままに手を進める。数手進んだところで行き詰まって飛び降りる。あっけなくOS終了。やっぱそんな簡単なわけないよな。着地点はすこし気になる岩があるくらいで概ね良好。

ムーブを微調整しつつラインを理解してゆく。予想ではあと2手ってところだが下から見るとホールドが良いのか悪いのか判然としない。とりあえずブラッシングして感触をつかむ。

そして本気トライ。組み立てたムーブどおり進み次の一手を睨む。冷静に捉える。更にもう一手。少し緊張感のあるマントルを返して岩の上に立った。

岩の形、ムーブ、高さ、ロケーションと全てが揃った素晴らしい課題だった。これ以上のラインが他にあるだろうか。自分もこんなラインを残してみたいと心から思った。

それと同時に、ブラッシングなどせず完全に未知の部分を残して登るべきだったと少し後悔した。

 

ひも

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それから本日の主題、「ひも」を初トライ。限界グレード以上のボルダーを触るのは久しぶり。見た目はそんなに難しくなさそう。とりあえず適当に離陸してみる。そんなに悪くない。

だが小一時間ほど同じムーブで打つがまったく進展なし。一旦ゼロベースで再検討。あるじゃないですが、いいスタートホールドが。おもむろにヒールフックを繰り出すが股関節がヤバい。焦らずゆっくり身体に馴染ませてとりあえず初手を出す。超絶あまい。2手目なんて出せたもんではない。

「ぺたし」やら「べろんちょ」を登りながらムーブを微調整するが、結局2手目を捉えることはなかった。

ちなみに翌日、猛烈な筋肉痛が股関節を襲った。

 

一輪車 初段 RP

最後は戻ってきて「一輪車」にトライ。スローパーから一気にマントルを返すのかと期待したがさすがに無理だよな。出来るだけスローパー周りのホールドで解決しようと悪戦苦闘したがそれもかなわず。

すこし離れたフットホールドを拾うと一気に可能性が見えたが時間切れで次回持ち越し。

電車に間に合わせるため駅まで40分の道のりを25分で踏破。ちなみに翌日、猛烈な筋肉痛がふくらはぎを(以下略

後日談

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数日後、ソーメイと晴天の三峯で「一輪車」はレッドポイント。晴れてるとまったく雰囲気違うよなーと思いながら「ひも」は2手目がほんの少し触れるようになった。

摩擦力について調べてみた 2017

以前から気になっていたトピックですが、スポーツクライミング教本Rock&Snow077のJack氏の連載で摩擦とか摩擦力について取り上げてあったのでちょっと調べてみました。

 

はじめに

調べてみて分かりましたが、この分野は絶賛研究中って感じで未だ結論が出てないことや一致しない見解があるようです。

摩擦力の発生原因に関しても近年になって新たな理論が出てきたり、わりと変化の激しい学問って印象ですね。今後も法則や理論が覆される可能性は十分ありそうなので、このエントリーのタイトルにも”2017″を加えています。

ちなみに物理とか工学を先攻していたわけではなく基本的に門外漢なので、まあなんつうかポエムだと思って読んでいただけると幸いです。

 

中高で学ぶ摩擦の法則は万能ではない

中高ではざっくりこんな感じで学んだと思います。

 

1. 摩擦力は荷重に比例(摩擦係数は定数)
2. 摩擦力は見かけの接触面積によらない
3. 最大静止摩擦力が動摩擦力よりも大きい
4. 動摩擦力は速度によらず一定である

荷重を P、比例定数を μ とすると、摩擦力 F は次式で表される

F = μP

参考

 

あまり一般的な図ではありませんが上記の法則を斜面に配置したブロックで表現したのが図1です。

fig1図1

 

さてここからが本題ですが、いくつかの研究結果から例外が報告されています。以下の論文や講義内容が法則の破れや例外について触れています。

 

主に弾性体における法則の破れが指摘されています。ちなみに弾性体って何よ?って話ですが、めちゃくちゃ雑にまとめるとゴムとか柔らかくて変形しても元通りに戻る物体です。

一方、中高で学んだ法則(クーロン・アモントン則)は塑性体でほぼ成り立つようです。塑性体って何よ?って話ですが、これまた雑にまとめると金属とか鉱物など硬くて変形すると元通りに戻らない物体です。

余談ですが、Rock&Snow077でJack氏が弾性体の対義として「個体」を用いていますが、なんとなく誤用なんじゃないかと思います(おそらくは「剛体」って言いたかったんじゃないかと)。また、論文内では「塑性体」が頻出するので摩擦を語る上では「弾性体」の対義としては「塑性体」のほうが適切っぽいです。

 

弾性体では荷重が7倍になると摩擦係数は半減する、らしい

クーロン・アモントン則では摩擦力は荷重に比例します。図2で示すように、物体Aの質量が大きくなるにつれて同じだけ摩擦力も大きくなり物体Aはすべり出しません。したがって摩擦係数は変動しません。

fig2図2

 

しかし、先に紹介した入門講座 やさしいゴムの物理によると弾性体の摩擦力は荷重に比例しません。それどころか摩擦係数が変動すると報告しています。具体的には

  • 摩擦係数は荷重の-1/3乗に従う
  • 摩擦係数は荷重が7倍になると半減する

と驚愕の研究結果が報告されています。数値については材質によって異なると考えた方が良さそうですが、ひとまずこの結果に基づいて図1を修正したものが図3です。

fig3図3

 

これをスラブクライミングに当てはめると「同じ性能のシューズでも体重30kgなら傾斜45度のスラブを登れて、体重60kgなら傾斜38度までしか登れない」を意味しています(図4)。

fig4図4

「まじかよ、とりあえず痩せるわ」 って感じですね!!(本音を言うと「体重半分にしても傾斜7度かよ」という印象)

厳密には「登れる/登れない」ではなく「落ちない/落ちる」ですが細けーこたあいいんです。また、摩擦係数と傾斜角の変動は三角関数を使って求めています。尚、繰り返しになりますがこの分野は絶賛研究中なのでこれらの結果は覆されるかもしれません。

 

接触面積と摩擦力

続いて接触面積です。クライマー的には脚置きやホールディングと密接な関係があるので気になるところですよね。

ところが、こちらは諸説ある上に「見せかけの接触面積」とか「真の接触面積」など何やら込み入った話になってきて理解するのが大変です。

雑な感想ですが、ナノレベルオーダーの観測と日常レベルの観測が明確に分離されず混在したまま議論されている印象があります。摩擦力ってナノレベルだと「衝突」なんだけど、日常レベルだと観測出来ないため話がややこしくなってる気がします。かと言って個別には論ずると現象全体の把握がうまくいかなっていうジレンマが…

なんにせよこの分野の核心っぽい雰囲気ですね。(ポエム感)

一応触れておきますとクーロン・アモントン則では摩擦力は見かけの接触面積に依存しません。図5で示すように、物体Aに生じる摩擦力は同じです。

fig5図5

 

しかしクーロン・アモントン則とその現代的意義 P.31では「摩擦力は真接触部位の面積に比例する」と述べています。

一方でアモントンの法則が系統的に破れは、やや逆張りの主張をしていて「摩擦係数が荷重とブロックの大きさの増加とともに減少する!!」と述べています。ここでなぜ接触面積ではなく「ブロックの大きさ」や「ブロックの長さ」など曖昧な表現になっているのか気になるところですが、ついていくのがしんどくなってきたので

考えるのを辞めました。

 

とは言え仮説を立ててみる

個人的には「接触面積が大きい方が摩擦力も大きくなる」を支持しています。

理由としては

  • 摩擦係数が荷重の増加によって減少するのはほぼ間違いなさそう
  • 減少する原因は「前駆滑り」などが指摘されている
  • 「前駆滑り」はナノレベルのゴム負けと考える
  • ナノレベルのゴム負けを防ぐことが摩擦係数の保持に繋がる
  • ゴム負けは一定以上の荷重によって発生する
  • 総荷重あるいは単位面積当たりの荷重を小さくすればゴム負けを低減できる
  • 接触面積を大きくすれば単位面積当たりの荷重を小さくなる

という具合です。「前駆滑り」をゴム負けと解釈すると突っ込まれそうなので先に謝っておきます(しかし訂正はしない)。

この仮説が正しければ

「足裏をベタ置きして接触面積を稼ぐほうが、つま先にピンポイントで立ち込むより有利」

が成り立ちます。
さらに前項の「荷重が7倍になると摩擦係数は半減する」および「単位面積あたりの荷重が7倍になると摩擦係数は半減する」も正しければ、

「ソールの接触面積1平方cmで傾斜40度のスラブが登れる場合、接触面積7平方cmなら摩擦係数200%で傾斜60度のスラブが登れる」

も成り立つはずです。最後のヤツは我ながら暴論な気もしますが、ポエムなのでよろしくお願いします。

 

指皮でも近い結果になるのでは

ところで指皮も当然ながら弾性体です。参考にした資料は基本的にゴムを対象としていますが、指皮も同じか類似した法則に基づくのではないかと考えています。今後はスローパーの処理などに落とし込んで考えていきたいですね。

ちなみに手指・皮膚表面摩擦に関する研究にも「研究も解明もイマイチ」という旨の記述があります。スイムウェア開発とかは表皮と流体の摩擦とかやってそうですが、オリンピック種目になったことだしどっかの野心的な研究者が着手しないかと期待しています。

 


 

長々とここまで読んでいただいてありがとうございます。最後に重鎮スラビスタから頂戴したtweetで本稿を締めくくりたいと思います。

錫杖岳前衛壁

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錫杖岳デビューしてきました。パートナーはおなじみS兄貴。ルートは「黄道光」。北アルプスってことで森林限界を超えた場所でのクライミングを妄想していたのは内緒だ。(行ってみると樹林帯)

 

1P目

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左方カンテのルンゼからアプローチ。アップを意識して大きな動きでルンゼを上がる。荷物がやや重い。

黄道光は薄かぶりのボルトルートで始まる。グレードは5.11a、簡単ではないがオンサイト圏内である。しっかりオブザベーションしてから取り付く。ムーブがピシャリとはまってハング部を突破、ひゃっはーと雄叫びをあげる。てっきり核心部を超えたと思ったらそこからのムーブも一癖あって楽しかった。

なお、後述するが荷物は「やや」ではなく「わりと」重かった。

 

2P目 サンシャインクラック

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続いくハイライトピッチはフォローで上がる。クラックの表面はエッジが鋭い。スッパリ切れた安山岩クラックをイメージしていたが意外と荒々しい。日差しも強まってホールドが滑り、ロープはキンクして上がっていかない。こいつは辛えーと悶えてるとクラックから剥がされしまった。

木登りを交えてなんとか突破。松ヤニで手がべたつく。ワイルドな展開にアドレナリンがマシマシ。

小テラスで交代してリード。ボルトとカムを交えて抜ける。疲労からしょっぱいテンションが入ってしまった。

 

3P目

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最終ピッチ。壁が広い。上部にそびえるハング帯が遠く感じる。下部はボルトが多いので間引きつつ進む。面白いフェイスムーブが続き、快適に高度を上げたところでボルトが途絶える。しばし悩むが直上にハンガーのないボルトが見えた。

#0.5をアンダーに決め数手進む。砕けそうなホールドをスタティックに捉えて祈るようにムーブを起こすと、パキっと剥がれた。スラブフェイスを蹴るようにしてフォール、右臀部をぶつける。

その後、横にクラックがあったことを知る。クラック部のムーブもジャミング一辺倒ではなく変化があって面白い。しかし岩の形状ではなくボルトを追いかけてしまったことが悔しい。テンションを交えながら抜けるが消耗が激しく、終了点についたときは汗だくだった。

ハングを抜けたところで「黄道光」のラインは終わり、その先は北沢デラックスの最終ピッチが続く。正直この場所で終わるのは中途半端な感が否めない。釈然としないも下降を開始。壮絶なロープドラッグと格闘する。

 

軽量化

といわけで荷物が「ほんのちょっと」重かった。どれくらかっつーと5-6kgは確実にあったと思う。ひょっとすると8kgあったかもしれない。さすがに10kgはなかった…と思いたい。

「それ、登る前に気付けるでしょ」って話なんですが、左方カンテルンゼはアルパイン的なので荷物が重くても許容できちゃうんですよね。もちろん「重いな〜」と思ったが特に危機感はなく、「なんとなく違和感がある」くらいの感覚。 でも考えるべきは5.11aから先の行程で、そうすると明らかに重すぎた。

違和感があったということはアラートがあがっていたということ。なのに「気にしすぎ」と無視してしまった。ささいな違和感でも言葉にすれば問題意識が生まれて対応できたかもしれない。今後は積極的に言葉にしていきたい。

ギア周りは毎度難しい。今回はモカシムオンサイトとジーニアスという二足体制だったが、クライミングの内容的にはモカシム一足で対応可能だった。結果論に過ぎないと言われるとその通りだが、グレード、岩質、傾斜を含めて考えれば「ありえる選択肢」だったんじゃないかな。

カムに関しては#4を追加したが結局使わなかった。「どっかで使いたくなるかも」で持っていくことが多いが、そういうシチュエーションって実はあまりない。むしろレアケースな気がする。

もちろん安全性とのせめぎ合いなので簡単に答えは出ない。しかしPASをやめてメインロープでのセルフビレイに切り替えたように、シンプルなほどクライミングは楽しい。

 

ロープドラッグ

三回の懸垂の内、二回でロープドラッグ。ドラッグここに極まれリ。しかも最後は空中懸垂からユマーリングで脱出という壮絶な展開。とはいえ個人的にはいい経験になった。時間はかかったが安全にリカバリーできたんじゃないかと。久しぶりに作ったヌンチャクアブミも悪くなかった。いちばん成長を感じられたのはこの瞬間だったかもしれない。

だが、このトラブルも荷物の件同様に2P目をフォローした段階で予期できたはずだ。扇テラスでロープを整理すれば回避出来た可能性は高い。後続が来ていたこともあって先を急ごうとする心理が働いてしまった。

ちなみに後続は激強ソロクライマーだった。惚れる。

 

何を登るのか

色々と反省点やトラブルがあったが、残念極まりないのが3P目で直上してしまったことだ。

こういう岩場に来てボルトを追ってしまったのが実にショボイ。もっとよく観察すればクラックの存在に気づけたはずだ。できる限りトポや他者の情報に頼らず、自分の目と判断で登りたいと思っていた。しかし結局のところ、誰かが埋めたボルトを頼りに登ってしまった。これをダサいと言わずして何と言えよう。

ホールドが欠けたのは「もっと岩をよく見ろ」という黄道光からのメッセージだったかもしれない。

ぶつけた尻は当分癒えそうにないぜ。

白州尾白川スイム&クライム

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白州尾白川ボルダーでクライム&スイムしてきた。メンツはもはや定番と言って差し支えないソーメイ&スラビスタとのトリオパーティ。ちなみにチョーナンも一緒に行く予定だったが友達との予定が入ってドタキャンっつう親父殺しを炸裂。や、いいんですよ。こうして子どもは大きくなっていくんですなあ。

 

河原のボルダー

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んでコンディションの方はというと、キャンプ場内はどれもビショビショ。まー想定範囲なので早々に河原に移動。テキトーに川遊びしながら周辺のボルダーで遊ぶ。駐車場の売店で購入したトポに顔見知りを見つけてニヤニヤする。

 

足拭きスラブ

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渡渉&足拭きがスタートムーブという冒険心をくすぐる課題。当初は飛び石からジャンプというスタートムーブを提案したがスラビスタから却下される。スラビスタが理想的な右上ラインを描いて完登。後に続こうとするが結構悪い&ボチャンしたくない、という理由から直上(事実上の敗退)。

 

被ったライン

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スラブ右横の被ったライン。水が流れてなければもっと奥からスタートしたいが致し方ない。ムーブは面白かった。

 

よじれるスタート

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一見するとSDスタートからパワームーブな展開を連想する棚ホールドがあるが、ここはSDしないのが作法ってもの。最近ジムのスラブとか緩傾斜で出てくるバランス&体勢辛い系のムーブでスタートをこなす。だいたいなんでもかんでもSDするのってどうな(自粛

 

旭滝

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アプローチ至近の旭滝を見にいく。右壁のクラックにプロテクションが取れそう。

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さらに左岸に大きな洞窟。登れるんだろうか。

その後はゆったり川遊び。

 

天津甘栗スラブ

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天津甘栗に見えなくもないスラブ。適当にラインを引いいて登れる。中央のラインはノーハンドもできそう。

 

白蛇

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トポの表紙になっている白蛇。キャンプ場内で唯一生乾きだったのでトライ開始。するとこれが超絶楽しい。ホールドが濡れているためムーブの制限が強かったが、結果的として非常に印象的なシーケンスで完登。ドライコンディションだと全く違う印象だと思うが(それでもいい課題だろう)、これまでに登ったどの課題よりも面白かったかもしれない。

濡れててもクライミングは楽しめるんだなーと再確認。

 

駒ケ岩、高砂殿

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締めは駒が岩と高砂殿。スラビスタはこの日、ボチャニスタの称号を拝命する。ソーメイの黒戸尾根トライを見守り、高砂殿のラインを登って終了。楽しかったけどすべり台が登れなかったからまた来るかも。

 

 

裏妙義 谷急沢 右俣遡行−左俣下降

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台風一過の影響でいい感じに増水した谷急沢に行ってきた。メンバーはミケ&コバ両氏。ミケちゃんは沢デビューである。

 

右俣遡行

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入渓地点は中木川の堰堤から。東京起点120の遡行図よりやや手間から降りた。川幅が広く気持ちいい。程なくして谷急沢との分岐、更に右俣へと分岐する。

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分岐後すぐにF1が現れる。傾斜もゆるくホールドも豊富。まさにシャワークライムデビューにうってつけ。ミケラインが遠慮がちなのは彼の思慮深さの表れだろう。ちなみに、右壁水線を突破した俺氏は早くもヒルにやられる。

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ナメも気持ちよく水量もちょうどいい。むしろ平水だとちょっと退屈だろうな。とくに夏場は。

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小滝が程よい間隔で現れ飽きさせない。

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スラブ滝。ホールドは豊富。

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ハイライトとなる二段滝。ここは是が非でも水線突破だよねーとか言っていたが意外に水量が多かった。すでに寒さが辛くなっているミケちゃんは何やら叫んでいた。

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上部は左のほうが登りごたえがある。

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最後の滝。水流右がやや立っていて楽しい。

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稜線に抜け左俣への途中で浅間山を望む。

 

左俣下降

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左俣は源頭部から広く植生も美しい。

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しばらく降っても依然として明るい。

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全体的にナメ滝で構成されているので下降には最適。途中から登山道も並走するのでエスケープも容易。子連れで簡単な沢歩きが楽しめるなーとか思ったところでまたしてもヒル。なぜか他の二人は一切ヒルにやられなかったんだがどういうことだろう。

最後は深い釜をもつ直瀑にドボンして締め。内容のあるよい沢でした。

十一面継続登攀

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調和の幻想とJoyful Momentを継続登攀してきた。天気予報がハッキリしないため不動沢のショートルートで溜飲を下げようとするも未練タラタラっぷりを見かねたSAT6師匠から「マルチ行った方がいいYO!」と言っていただき突撃。快く送り出してくれてた皆様にはこの場を借りて多謝であります。

 

8:00 調和の幻想

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前回は偶数ピッチだったので今回は奇数ピッチ。Mサカ氏とギアチェックして登攀開始。相変わらず1ピッチ目はキツイ。2ピッチ目は前回も湿ってたが今回も湿りがち。3ピッチ目は一瞬ルートファインディングに戸惑ったが無事解決。

 

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4ピッチ目の木登りと変化に富んだフレークスラブをMサカ氏が抜け、最終5ピッチ目のフレアワイド。前回フォローだったのでリードが楽しみで仕方ない。すると期待を裏切らない極上ピッチ。適度なランナウトと快適なムーブ、最後はピリッとOWで〆。改めて素晴らしいルートだと思う。

 

IMG_8015[適度なランナウト]

 

11:30から懸垂開始、12:00ごろ取り付き。大休止を入れて十一面奥壁へとハイクアップ。

 

IMG_7996[ガスに覆われる末端壁]

 

13:30 Joyful Moment

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アプローチで少々迷ったが大きなロスはなく登攀開始。1−2ピッチを繋げて抜ける。本チャンっぽいが岩は硬く快適。

 

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3ピッチ目はMサカ氏が軽快に高度を稼ぐ。時間的に敗退も覚悟していたが杞憂だった。4ピッチ目はリービテーションがバチ効き。なんだけど慣れてないので結局奮闘系となってしまった。5ピッチ目は歩きから少しだけ登攀。

 

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15:10に岩頭へ抜ける。下降路へのクライムダウンも侮れなかった。

 

装備

crackboulder

今回、装備に幾つかの工夫を凝らした。

まずハイドレーション。この時期は水不足になることが予想されたのでビレイ中の水分補給を確実にこなしたかった。結果、ビレイ中に荷物落下を気にせず適量づつ水分補給が可能になった。水分補給だけではなく心理的負担軽減にも効果的。

次にPASを省いてメインロープでのセルフビレイに切り替えた。以前からカムがPASに引っかかるのを煩わしいと思っていたので、今回思い切って取り除いた。結果、ビレイループ周りがスッキリし、登攀中にカムが引っかかることもなくなった。懸垂下降の時はスリングでカウテールを作って対応。PASは沢やアルパインでは有効だが、岩主体の場合は必要ない気がする。

 

所感

ルート選択が功を奏したようで無理なくマルチピッチ継続を楽しめた。数字的には「2ルート/9ピッチ/最大グレード5.10a」となるだろうか。もう少しアクセントになる要素が欲しい気もするが初回ということを考えれば十分なクライミングだったと思える。

ちなみにアクセントを入れるとなると、ピッチ数15以上とか、5.11aを含めるなど。或は情報の無いピッチを含めるとか、トラッドボルダーを交えるってのも楽しそう。更には沢遡行からの継続とかも良さそう。欲望は尽きない。