有頂天

 

1年ほど前、娘氏とハイキング(という名の岩探し)でとある岩場にたどり着いた。GoogleEarthとネット上の断片的な情報から、ソコソコの岩がありそうだと予想していたが、ソコソコどころか立派なボルダーが鎮座していた。ローカルクライマーの足跡を感じながらチョーク跡のあるラインをいくつか登ったあと、スローピーなリップラインが目に入った。苔の状態とチョーク跡の無さから未登の可能性を感じつつ、ホールドの乏しさから簡単ではないことが伺えた。

その後、@gniyama 氏から情報を共有してもらい、SDスタートからマントルを返す既存ライン「雁ヶ腹摺(がんがはらすり)」が存在しているが上部に抜けるラインは未登らしいと判った。

トライはスローパーってこともありコンディションを待って12月から開始。2日目にはあと一手に迫まり、こいつぁ年内に完成させて気持ちよく正月を過ごしてやるぜとほくそ笑んでいた。今にして思えば典型的なフラグである。

しかし3日目、止めるだけと思ってた最後の一手はとうとう止まらなかった。よりにもよってクリスマス、家族はどーしたんだという批判は甘んじて受けよう。サンタはいい子のところにしか来ないってのはガチなんだな。サンタの代わりに@gniyama氏がいたけど。

とはいえ収穫がなかったわけではない。微妙なホールディングの調整でムーブが劇的に良くなり、終盤に多少なりとも余裕が生まれた。そういえば、こういう細かい最適化って好きだったよな。ムーブが洗練されたことも嬉しいが、初心というか大切な何かを再確認した気がする。

そして年明け登り初め。最後の一手をもう一度観察。すると今まで見落としていたホールディングに気がつく。どうやら最後の一手ではなく二手だったのだが、まあそんなもんだ。しかし繋げてみるまでは正直よくわからない。入念にアップしてトライを開始した。岩はパリパリだが気温が低すぎてシューズが弾かれる。一度足が抜けるが最終局面まで来る。比較的順調だがやはりヨレを感じる。さっき作ったばかりのムーブをこなす。なんとか止まった。あと一手。けっこうヨレてる。ひよったら終わると手を出す。ヒールがぬけて振られる。落ちなかった。

登れてみると思った以上に嬉しかった。ホッとしたとかじゃなく単純に嬉しかった。それがまたよかった。

 

 

課題名は同じ岩にある「怒髪天」からインスパイアを受けて「有頂天」と命名。例によって完登前から名前は決めており、「怒髪天」と対になる名前を思いついた時は相当なドヤ顔だったと思われる。とはいえ「怒髪天」と双璧をなす課題が出来たと自負している。グレードは初段から二段のどこかになると思うが再登者の意見を待ちしております。

最後に、@gniyama氏をはじめ、このエリアを守り育てている全てのクライマーに心からお礼申し上げます。

空木岳ボルダー

森林限界を超えたところでボルダーがしたくなって中央アルプスは空木岳へ行ってきた。

当初は一泊二日で縦走にボルダーを交える予定が天気と予定が噛みあわず、前夜から歩き始める弾丸ツアーへ変更。

午後22時半、空木岳登山口からスタート。木々の隙間からわずかに月が見えるが暗い。ソロで初見の山域を夜間行動するのは控えめに言って怖い。ルートファインディング的な話もあるけど、まあなんだ、お化けなんていないんだぜ。日中だと全く気にならない枝が折れる音や遠くで鳴く鹿の声にいちいちビクビクする。熊よけも兼ねてポッドキャストを再生しながら歩みを進める。正直ポッドキャストなかったら心折れてたかもしれない…

午前3時半、ようやく森林限界を抜け一気に視界が広がる。


背後には下界と雲海、南アルプスの稜線。これこれ、こういうのが見たかったんですよ。到着したら秒で寝るつもりだったが絶景を前に写真を撮ったりはしゃいでたら午前四時半。駒石上でオープンビバーグ。

ようやく寝入った頃、風が強くなってきて目が覚める。シュラフから外を見ると南アルプスの稜線が赤く燃えている。寝てる場合じゃねえ。さっそく朝活を開始する。たぶん1時間も寝てない。

まずは駒石の正面クラック。

初見ではジャミングで登ろうとしたが高所の花崗岩は風化が激しく足が決まらない。結局レイバックでサクッと登る。他にもいくつか登って、完全に日が登り切った頃ようやく朝食。フリーズドライにお湯を入れすぎてお粥となったおこわを食す。

その後、発熱トラバースを数手やってみるがメンタル不足で敗退。快適なハンドクラックだと思うが状況的に肚をくくれなかった。

頂上に向かって歩き出す。綺麗なダブルカンテをSDで登る。

駒石同様こちらも岩肌が脆いが許容範囲。周辺にはハングやワイドもあったのので他にもラインはありそう。

さらに上がっていくと被ったクラックに遭遇。これはすごい。

下地も高さも申し分ない。何よりもこの傾斜、120−130度はあるだろう。クラックは強烈に利きそうなハンドサイズ。早速トライする。予想通りの快適ハンドで足を切っても問題なし。リップ付近のガバを捉えると少し脆い。やや左からトップアウト。間違いなく三つ星課題だが、すこし気になるのが板状のチョックストーン。ジャミングには耐えてくれそうだがガバを強引に引くと脱落するかもしれない。というわけで四つ星課題としておく。ぜひ多くの方に登っていただきたい。

頂上まで上がってランチ&仮眠タイム。頂上周辺にもボルダーはあるが思ったより高さのある課題はなかった。もうすこしゆっくり探せばいいのが見つかるかもしれない。岩小屋ルーフもあったがホールドは乏しく、次世代に委ねようと思う。

昼前に下山開始。同じルートで降りる。真っ暗闇をビビりながら降ったルートはとても気持ち良く紅葉も美しかった。

ストロンブレイカー ノーグレーディング

 

ゴールデンウィークはいろいろと登った。

リハビリと称して「正面壁右岩稜線」のマルチピッチから、カサメリの「はるな」、「ストロンブレイカー」、「瑞牆大橋下ルーフクラック」など。

あらためて書き出すと4課題にすぎないが、それぞれ特色があって印象深い。

なかでも「ストロンブレイカー」は強く印象に残ってる。「はるな」を登ったあと軽い気持ちでカサE氏と取りついたのだが、「こんなところにクラック課題なかったはず」という先入観からロクに調べもせずにトライを開始する。(なお、トポにはバッチリ記載されている。山ちゃん教えてくれてありがとう)

まあ結果的にそれはよかった。自分で判断せざるを得ないし、「5.11c」とあればトライしなかった可能性は高い。

ちなみに我々の当初の読みでは5.10aから5.10cであった。

 

で、登ってみると読み通りフィンガーからハンドサイズ。右上ラインなので右足の置き場所に困る。核心のジャミングやプロテクションで試行錯誤しつつトップアウト。カムは0.4が比較的多かった。

しっかり休んでレッドポイントを狙うが核心のプロテクションで力尽きる。まあ前日マルチ登ってるし致し方なしとこの日は撤収。グレードについては疲労もあり、加えてクラック経験が足りなさすぎてなんともだが、当初の読みは大きくずれていないように思えた。

 

 

数日後、今度は家族でカサメリ。この間、ストロンブレイカーをどう登るかを考えていた。
選択肢は3つ、

  • 普通にリードする
  • ロープソロでリードする
  • ボルダーとして登る

結果的にボルダーを選択したのだが、その理由はざっと以下

  • ビレイヤーの確保が難しい
  • ロープソロは未経験
  • 斜面沿いなので山側に飛べば落差を減らせる
    • もっとも谷側にふっ飛ぶと落差は増える
  • すでにプロテクションありで全貌を知ってしまってるので冒険性をもとめるとボルダーしかない
  • フレッシュな状態なら不確実性のあるムーブはほぼない
  • ボルダーとしてギリ許容できる数少ないチャンス

他にもあった気もするが、ボルダーとして登るのがもっともクリエイティブだと思えた。

 

家族をモツランドに残してオランジュへ。クラックの状態を確かめるために中間部まで上がる。めちゃくちゃ快適。クラックの状態云々より、体の状態がよい。前回はどんだけ疲れていたのだろう。

一度クライムダウンして今度は核心直下まで。核心はやはり少々緊張する。山側に飛べば…とか言ってたけど濡れた露岩に苔が生えているのでできれば飛びたくない。着地で盛大に滑って肘をぶつけて滑落するイメージが浮かんでくる。

地上に降りて「本当にやるのか」とあらためて問い直すが、リスク的にもムーブ強度的にもできない理由は乏しい。何よりロープもカムも持たずにムーブを起こすことが思っていた以上に楽しく、この選択は間違っていないと思えた。

短いレストの後、再び取りつく。

中間部のハンドまでサクサク上がる。やはり快適。フィンガーを交え核心まで。少し甘いシンハンドを決め意を決して足を上げる。するとシンハンドがバチ効き。前回はチョークアップする余裕など皆無だったが、今は違う。余裕のチョークアップからビクトリージャムへ。ルンゼを詰めて取りつきへ戻った

とても良い課題だった。
この場を借りて初登者に敬意を表したい。

 

おそらくボルダーとしては登られていないと思うが、高さや内容を踏まえると「ノーグレーディング」とするのが良いと思っている。

 

ヒヨッコの集い

 

イノ+ミケと登りに行った。このメンツで登りに行くのはいつぶりだろう。ほんの数年前までは毎週のように岩に行ってた気がするが、思えば全員30代だった。今ではミケちゃん以外は四十を迎え、色々と変化に晒されながらもそれぞれにクライミングを続けている。

とはいえ周りを見渡せば、自分より長く登ってる強々オヤジクライマーはゴマンといる。

妙な感傷に浸ってしまったが我々など未だヒヨッコに等しい。

 

ヒヨッコ

本日、ヒヨッコどもはSSKにあった。便所横の◯臭シリーズが狙いである。朝イチで現場入りするとまあ寒い。極悪そうな左上クラックを眺めてヒヨッコにはまだ早えーなと早々に移動する。

とりあえずアップだということでお寺裏に上がる。シャーク〜夕影〜朔風〜刻一刻と岩巡り。この谷筋だけでも魅力的な岩は多い。パワフルなハングラインが見えたので今度やりたい。

 

夕影

一通り岩を愛でること小一時間、 シャーク上部のボルダーに取り付く。これぞSSKと言わんばかりのバリバリの粒子が手に刺さる。後から来たローカルさんに「夕影 初段」という課題を教えてもらったのでトライしてみる。

ハンドジャムが効きそうなのでクラックグローブをはめて取りついてみる。うむ、どうもしっくりこない。まあいつものことさ…と思ってるとなんということでしょう。

核心でバチ効きである。

イノ+ミケにもジャミンググローブを貸した上でジャミングの優位性を熱弁するが、いまいち賛同を得られず。

曰く、
「グローブがずれる」
「効いてるのかよくわからん」
「っていうかエイドですよね?」
などなど。

ちなみに私はクラックグローブはもとより、チョークやクライミングシューズもエイドギアだという論を支持しているが、その話はまた今度。

とりあえずムーブはわかったのでRPトライするが指皮の消耗激しく変なところで落ちまくり。全容がわかってしまうとどうも雑になってしまう。「わかったからもういいかな」と思わんでもなかったが、ちょっと休憩してトライ。完登することができた。

グレードは初段が妥当だと思うがジャミングしないと難しくなりそう。

ちなみに、ついでに触った「がんばれひろしくん」(ひろしじゃなかったかも)は3級とは思えぬ悪さだった。

 

 

 

朔風快晴

その後上部に移動してスラブ・カンテを登る。

すでに指皮の消耗激しく粒子を握り込んでると手汗が滲んでくる。風が吹いてるタイミングを狙って右カンテを完登。後で調べたが「朔風快晴 初段」らしい。上部でカンテに身をかわしたがフェイス側だけでもトップアウトできそうではある。その場合はワングレード上がりそう。

吉田さんのブログを読んでも上部のラインははっきりわからないが、まあこういうのは自分が見えたラインでいいと思う。

その後「韋駄天 1級」を地ジャンで登ろうとイノさんとセッションしたが止まらず。しれっとスタティックで登る。その後もイノ氏は果敢に飛び続けていた。初心貫徹の漢である。

 

 

両者ともラインが不明瞭だったりフリクション良すぎたりで正確な比較は難しいが、提唱されてるグレードよりやや簡単に感じる。そういえば「歳時機」とかも2級くらいに感じたもんな。個人的には吉田さんのスラブグレードは甘めだと感じている。

もっとも初段のマントル課題「なまはげ」に7年かかった奴が言っても説得力はないか。

最後に刻一刻に上がるが指皮が終わってて何もできなかった。また今度取り組んでみたい。

バイソンと苔

とある岩場でハイク&クライムしてきた。

 

岩質は安山岩で比較的しっかりしている。いわゆる里山って感じで日当たり良好、広葉樹の森の中からは富士山がドーンと望める好立地。地元ではハイカー、クライマーともによく知られた場所でトレイルは歩きやすく、4歳娘とゆっくり歩いて2時間くらいで周回できた。

 

そこで登った一押しの課題、「バイソン」について記しておきたい。

アプローチは駐車場から山腹コースを辿って登山道ボルダー群を抜け、頂上の手前まで登る。登山道から右手下に斜面から突き出したボルダーが現れる。(ちなみに下部にはさらにボルダーが存在する)

4m弱くらいのサイズだが下部にスペースがあり、ぱっと見で面白ムーブ間違いなしの雰囲気。前に回ってみると突進してくる牛に見える。上部の苔が毛むくじゃらにしか見えないつーことで登るまえからバイソンと呼ぶ。

課題は二つ。鼻先からスタートする「ノーズ」とSDスタートの「バイソン」。ここでいうSDとはもちろんスリープスタートのことである。シットなどヌルいことを言ってはいけない。地面に寝そべってバイソンの顎下を眺めていただきたい。(後日LD(lie down)スタートなるものがあると@senkatzさんから教わりました)

「ノーズ」に関しては既に登られている可能性は高いと思う。一方、「バイソン」に関してはひょっとすると初登かもしれない。信頼できる筋にも当たってみたが立派な苔から察するに登られてないんじゃない?というご意見だった。情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非!

ちなみに後日改めて見ると牛より恐竜、いやヨッ○ーなんじゃね?という気がしてきたがあえて「バイソン」のままとしたい。

こだわる理由は上部の苔にある。個人的には下地や苔も含めて可能な限り手を加えないで登りたいという思いがある。だが現実には苔を落とさず登れる岩は少なく、多くの場合苔を落として登られる。

しかし、この課題に関してはそうした掃除は必要なく登れる。そういった意味からも稀有なボルダーだろう。

この先も、訪れたクライマーに立派な毛むくじゃらを愛でられる「バイソン」であってほしい。そう願っている。

 

トワイライト

前回ファンタジスタ的な何かを登ったあと、トワイライトのラインを触った。鴛鴦のスタートから右にトラバースした後、カンテをたどるラインである。サンセットダディのエクステンションということになるが、割と自然なラインに見えるし何よりムーブがおもしろい。

そう、トーフックが出てくるのだ。

初日はトーフックかな…?くらいの感触だったが2日目に足先行トーフックで解決できたので一気に沸き立つ。瑞牆のスラッシュフェイスを彷彿とさせるムーブである(もちろんまだ登れていない)。他に最適なムーブがありそうだがこのムーブにこだわってみる。

しかしつなげてくると足が届かない。結局2日目は時間切れで終了。

そして3日目、相変わらず足が届かないので足先行を諦める。儚いこだわりだった。ホールディングもかなり微調整する。カンテへの一手がリーチを要求されるためオープンで手首の可動域を広く取る。保持優先でカチッてしまうとカンテへの距離が足りず、仮に手が届いてもトーフックで落ちる。ここらへんの調整というか最適化は久しぶりだがやはり楽しい。

ムーブは最適化されたが指皮が終了を告げ、なんと3日目も登れず。

そして4日目。平日なのでよく空いている。

だが前日の雨か雪か、周辺の岩が濡れている。幸いサンセットボルダーは濡れていなかったがどうも湿っぽい。アップ後のファーストトライが抜群に好感触だったが核心の一手を失敗する。やってれば今日は登れるだろうとトライを繰り返すが気持ちが空回りしてるのかむしろ高度が下がってくる。

これは登れないパターンだな。と頭によぎるが長レストを挟んで3トライは粘ろうと気持ちを切り替える。

すると1回目で登れてしまった。

ホールディングとムーブにたくさんの要素の詰まった面白いラインだった。S兄貴に教えてもらった稚鮎の干物を土産に買って帰った。

サンセットボルダー

7年ぶりにサンセットボルダーを訪れた。前回いいところなく終わった「ファンタジスタ 二段」が狙いである。流石に7年も経てば強くなってるはず、あわよくばワンデイ(と言っていいかは当人の記憶力次第)といきたいところ。他にも課題が追加されトポにも掲載されているようだが、めんどくさくて間に合わなかったので買っていない。登るべきラインは紙ではなく岩を見て決めるのが作法(かもしれない)。

湯河原最遠のアプローチをこなしてエリアに向かう。以前より踏み跡が明瞭になってる気がする。到着すると先客が10人ほど。大人気エリアのようだ。そりゃあ歩きやすくもなるな。

よく見ると中野のシュウジ先生を発見。最近ちょいちょいお会いする。

イノキ岩で適当にアップしてファンタジスタに混ぜてもらう。7年前は限定ホールドがどうとかあったが特に気にしない。とは言え以前は存在しなかった or 使われていなかったガバカチが出現しているように見える。コレを取れば登れるだろう、という雰囲気。

下部からムーブを作っていく。カバカチはランジで解決できそうだが振られと下地を考えると思い切りが必要。中継カチはいずれも悪く、足位置を調整しながら試行錯誤する。シュウジ先生が「意外に持てるよ」というので気合入れて中継カチを握り込んでランジ。ガバカチを捉え損なって落ちるが非常に好感触。

その後、しっかりレストを入れてトライ。

中継カチを保持して足位置を微調整、ガバカチへ飛ぶ。振られを耐えて上部に目をやる、カンテ左の弱点をついてトップアウト。よいクライミングだった。(残念なことにシュウジ先生は撤収ずみであった)

さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思うが、このラインはトポに記載されているラインとは異なるようだ。トポではカンテ左へ出ずに右面を直上するらしい。トポがどこまで初登者に裏どりして記載されているかわからないが、おそらく初登時のラインも直上だろう。そう考える理由は、核心のガバカチにある。初登時に存在しなかったとすると、カンテ左に出るのは直上より悪いと予想されるからだ。(憶測してないでトポ見ろよって指摘はごもっとも)

もちろん、登り直しという言葉が頭に浮かんだ。しかし、核心後に壁の中で判断したラインは合理的に思えたし、緊張感のあるよいクライミングをした自負もある。そう言ったもろもろを取り消してまでトポあるいは設定ラインをなぞるのはとても不自由に思えた。野暮と言い換えても良いかもしれない。したがって、このままでよいと結論づけた。

ちなみにグレードは初段くらいに感じた。よいクライミングでした。

ついでに。ジムスタッフを多く知ってるわけではないが、シュウジ先生のアドバイスの的確さは他に類を見ない。もっとも、「意外に持てるよ」と「そこはガンバっす」の情報量にどれだけの差があるのかと問われると何も言えないが、その話はまたどこかで。

ゲルニカ

年末年始と城ヶ崎に行く機会があったので、池田功氏初登の「ゲルニカ 5.10d」を登った。トラッドグレードの更新である。フェイス的なムーブではなく、手も足もがっつりジャミング勝負だった。少しはジャミングが上手くなってるのかもしれない。

ちなみにシューズは今回もジーニアス。最近、複数のクライマーから「そのシューズを岩場で履いてるひと初めてみた」という意見を頂戴したが、未だノーエッジはマイナーカテゴリーなのだろう。そう考えるとこのコンセプトを世に出したスポルティバは慧眼というか野心的というか、イノベーターだと感服する。

ストップ・ザ・トマフォーク

ゲルニカの後は隣の「〜トマフォーク」をゆるくトライ。こちらも難しい。毎度のことながらフェイスとクラックはグレーディング体系分けた方が良いのではないかと思う。

この時、いっしょにトライしていた仲間の#3がすっぽ抜ける。幸い#2がセットされていたのでことなきを得た。城ヶ崎は潮の付着によりカムの脱落があるという話は聞いていたが。まさか#3が抜けるとは…下地も良くないしこれからは多めにセットしたい。

一応ムーブは解決したと思われるが滑りがひどくてRPならず。また今度やりたい。

ギャラクシアン 12a RP

6年ぶりにギャラクシアンをトライした。

前回は真夏だったということもあるが、それ以上に花崗岩スキルが足りず、スラブに入るや否や完全にお手上げ。滝のような汗をかいてA0回収したのも今となっては良い思い出である。(もっとも大部分はパートナーの獅子奮迅の活躍による)

6年ぶりにトライすると前回見えなかったムーブやホールドが次々に見つかる。もしかすると前回の記憶を忘れてるだけかもしれないが、中間部のジャミングによる解決は成長の証だと主張したい。

そして長いだけのスラブとおもっていたこのルートが、実際には多彩な内容が詰まった珠玉の一本であることを知った。いったい6年前はどこを登っていたのだろう。

9月のトライではまだコンディションが悪く、いっしょにトライした雀ちゃんと日当たりがあーだこーだと会話した。縁があればチャンスは来るだろうと思って帰路についた。

2週間後、とくにギャラクシアンを狙うわけではなくカサメリ入り。壁を見上げると午前中は日陰に入るようでコンディションは良さそう。

とりあえず青龍を登って、これまた長いこと宿題の「朱雀 5.11a」を登る。2週間前とは比較にならないフリクションの良さに驚愕する。

オランジュに上がると雀ちゃんが既にギャラクシアンをトライしている。圧倒的な安定感を見せながら高度を稼ぐ。さっくり登って降りてくると開口一番「前回の5倍のフリクション」とのこと。まだ肚が据わっていないがこの時間帯を逃せば岩に陽が当たる。意を決して準備する。

結び変えボルトまで上がって第一核心へ。5倍のフリクションとやらは…ガセではなかった。異次元のスメアでどこでも踏めそうな雰囲気すらある。とか思っているとまさかの足スリップ。落ちたと思ったがなんなくリカバー。これが5倍ってやつなのか。そして中間部へ。おもむろにジャミングを差し込む。しかしフリクションが良すぎてスメアでもフツーに登れる。結局多少はジャムったもののほぼフェイスムーブで突破。成長の証は…またどこかで役に立つだろう。

そして上部。すこしずつ陽が差してきて眩しい。あと少しだが緊張感も高まる。上部核心に入るが前回のムーブがうろ覚え。落ちたくない一心で半分アドリブながら突破。最後の小ハングも記憶ほど悪くなくバタつきながらも抜ける。終了点の閉じないビナを自分のビナと交換して息が整うのを待った。

ゴンベイ4

締めに「てるやまもみじ 5.10」とこれまた長い宿題の「ゴンベイ4 5.11b」を登った。

しばらく会ってなかった友人と久しぶりに遊ぶような、そんな気がするカサメリ沢だった。

冬のいざない2P目

まだまだ夏真っ盛りですが5年ぶりに「冬のいざない 2P目」のレッドポイントができた。

 

 
 
 
 
 
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今回は娘氏をつれてカサE氏とすずめちゃんに付き合っていただいて小川山キャンプ。初日はテキトーにボルダーを娘氏と遊んだ後に藐姑射岩へ。せっかくなので5年前に敗退した「冬のいざない2P目」をトライさせていただく。前回はフレアパートでなすすべくもなくフォールしたわけだが、今回はギリッギリで耐えレッドポイント。5年の歩みとしては鈍亀もいいとこだがまあ登れたのでよしとしておく。夜は焚き火のよこで娘を寝かしつけて晩酌

翌日は大弛み峠から五状岩へ。初心者コースとはいえ往復4.5hを娘氏はしっかり歩いてくれました。森林限界が気持ちよかった

photo by suzume