カテゴリー別アーカイブ: ボルダリング

月の黒兎

「有頂天」を登ったあと、「月の黒兎」なるラインを登った。

岩の場所はエリア内でもアプローチ最短、多分車から3分とかからない。遊歩道が右に流れ始めるところを左下方に降りて行く。不法投棄が残念だが岩からは見えない。(焼石に水とわかりつつちょっとずつゴミを拾っている。なにもしないよりはマシかな…)

そこにエリア最大クラスのスラブと120~130°のハングがある。

カサEさんとスラブのラインを2本登ったあとにハングに取り付く。顕著なカチから中間部のクレーターを経由してリップに出るラインを妄想するが、初手からなんもできない。取り先は高いアンダーホールドだ。加えて130°。果てしなくクレーターが遠い。

しれっとクレータースタートに切り替えるが、高いアンダーホールドでスタートするのも楽な話ではない。さらに腰が下がった状態でリップに…出れない。微妙に足位置を調整すること小一時間、ようやくリップが止まる。スタートで楽な足を選ぶと初手が出せなくなるパターンであった。危うくどハマりするところだったが万事解決、これで完登目前と2手目を出すが遠い&痛い。なんとか止めるが今度は足が上がらない。カサEさんがふと「直上できるのかなあ」などと言い出すが、あのクソ遠いスローパーに何を夢見てるんだと臍で茶を沸かして無事敗退となった。

だが後日、驚きの事実が知らされる。

いやはや、試しもしないで無理と決めつけた己の不明を恥じるばかりである。

数週間後、娘氏に付き添ってもらって直上ラインをトライ。心なしか前回より近く感じる。とりあえず地ジャンでリップにぶら下がり飛ぶ。…意外に距離は出る。スローパーもインカット部分があり保持感はよい。そうか、これは可能なラインだったのかと改めて納得。

数トライの末、無事スローパーを止めて完登。なんでもやってみることが大事。とてもよい勉強になりました。ちなみにカチからクレーターに繋げるラインとカチから直上するラインは継続案件なのでセッション熱望中です。

有頂天

 

1年ほど前、娘氏とハイキング(という名の岩探し)でとある岩場にたどり着いた。GoogleEarthとネット上の断片的な情報から、ソコソコの岩がありそうだと予想していたが、ソコソコどころか立派なボルダーが鎮座していた。ローカルクライマーの足跡を感じながらチョーク跡のあるラインをいくつか登ったあと、スローピーなリップラインが目に入った。苔の状態とチョーク跡の無さから未登の可能性を感じつつ、ホールドの乏しさから簡単ではないことが伺えた。

その後、@gniyama 氏から情報を共有してもらい、SDスタートからマントルを返す既存ライン「雁ヶ腹摺(がんがはらすり)」が存在しているが上部に抜けるラインは未登らしいと判った。

トライはスローパーってこともありコンディションを待って12月から開始。2日目にはあと一手に迫まり、こいつぁ年内に完成させて気持ちよく正月を過ごしてやるぜとほくそ笑んでいた。今にして思えば典型的なフラグである。

しかし3日目、止めるだけと思ってた最後の一手はとうとう止まらなかった。よりにもよってクリスマス、家族はどーしたんだという批判は甘んじて受けよう。サンタはいい子のところにしか来ないってのはガチなんだな。サンタの代わりに@gniyama氏がいたけど。

とはいえ収穫がなかったわけではない。微妙なホールディングの調整でムーブが劇的に良くなり、終盤に多少なりとも余裕が生まれた。そういえば、こういう細かい最適化って好きだったよな。ムーブが洗練されたことも嬉しいが、初心というか大切な何かを再確認した気がする。

そして年明け登り初め。最後の一手をもう一度観察。すると今まで見落としていたホールディングに気がつく。どうやら最後の一手ではなく二手だったのだが、まあそんなもんだ。しかし繋げてみるまでは正直よくわからない。入念にアップしてトライを開始した。岩はパリパリだが気温が低すぎてシューズが弾かれる。一度足が抜けるが最終局面まで来る。比較的順調だがやはりヨレを感じる。さっき作ったばかりのムーブをこなす。なんとか止まった。あと一手。けっこうヨレてる。ひよったら終わると手を出す。ヒールがぬけて振られる。落ちなかった。

登れてみると思った以上に嬉しかった。ホッとしたとかじゃなく単純に嬉しかった。それがまたよかった。

 

 

課題名は同じ岩にある「怒髪天」からインスパイアを受けて「有頂天」と命名。例によって完登前から名前は決めており、「怒髪天」と対になる名前を思いついた時は相当なドヤ顔だったと思われる。とはいえ「怒髪天」と双璧をなす課題が出来たと自負している。グレードは初段から二段のどこかになると思うが再登者の意見を待ちしております。

最後に、@gniyama氏をはじめ、このエリアを守り育てている全てのクライマーに心からお礼申し上げます。

空木岳ボルダー

森林限界を超えたところでボルダーがしたくなって中央アルプスは空木岳へ行ってきた。

当初は一泊二日で縦走にボルダーを交える予定が天気と予定が噛みあわず、前夜から歩き始める弾丸ツアーへ変更。

午後22時半、空木岳登山口からスタート。木々の隙間からわずかに月が見えるが暗い。ソロで初見の山域を夜間行動するのは控えめに言って怖い。ルートファインディング的な話もあるけど、まあなんだ、お化けなんていないんだぜ。日中だと全く気にならない枝が折れる音や遠くで鳴く鹿の声にいちいちビクビクする。熊よけも兼ねてポッドキャストを再生しながら歩みを進める。正直ポッドキャストなかったら心折れてたかもしれない…

午前3時半、ようやく森林限界を抜け一気に視界が広がる。


背後には下界と雲海、南アルプスの稜線。これこれ、こういうのが見たかったんですよ。到着したら秒で寝るつもりだったが絶景を前に写真を撮ったりはしゃいでたら午前四時半。駒石上でオープンビバーグ。

ようやく寝入った頃、風が強くなってきて目が覚める。シュラフから外を見ると南アルプスの稜線が赤く燃えている。寝てる場合じゃねえ。さっそく朝活を開始する。たぶん1時間も寝てない。

まずは駒石の正面クラック。

初見ではジャミングで登ろうとしたが高所の花崗岩は風化が激しく足が決まらない。結局レイバックでサクッと登る。他にもいくつか登って、完全に日が登り切った頃ようやく朝食。フリーズドライにお湯を入れすぎてお粥となったおこわを食す。

その後、発熱トラバースを数手やってみるがメンタル不足で敗退。快適なハンドクラックだと思うが状況的に肚をくくれなかった。

頂上に向かって歩き出す。綺麗なダブルカンテをSDで登る。

駒石同様こちらも岩肌が脆いが許容範囲。周辺にはハングやワイドもあったのので他にもラインはありそう。

さらに上がっていくと被ったクラックに遭遇。これはすごい。

下地も高さも申し分ない。何よりもこの傾斜、120−130度はあるだろう。クラックは強烈に利きそうなハンドサイズ。早速トライする。予想通りの快適ハンドで足を切っても問題なし。リップ付近のガバを捉えると少し脆い。やや左からトップアウト。間違いなく三つ星課題だが、すこし気になるのが板状のチョックストーン。ジャミングには耐えてくれそうだがガバを強引に引くと脱落するかもしれない。というわけで四つ星課題としておく。ぜひ多くの方に登っていただきたい。

頂上まで上がってランチ&仮眠タイム。頂上周辺にもボルダーはあるが思ったより高さのある課題はなかった。もうすこしゆっくり探せばいいのが見つかるかもしれない。岩小屋ルーフもあったがホールドは乏しく、次世代に委ねようと思う。

昼前に下山開始。同じルートで降りる。真っ暗闇をビビりながら降ったルートはとても気持ち良く紅葉も美しかった。

ストロンブレイカー ノーグレーディング

 

ゴールデンウィークはいろいろと登った。

リハビリと称して「正面壁右岩稜線」のマルチピッチから、カサメリの「はるな」、「ストロンブレイカー」、「瑞牆大橋下ルーフクラック」など。

あらためて書き出すと4課題にすぎないが、それぞれ特色があって印象深い。

なかでも「ストロンブレイカー」は強く印象に残ってる。「はるな」を登ったあと軽い気持ちでカサE氏と取りついたのだが、「こんなところにクラック課題なかったはず」という先入観からロクに調べもせずにトライを開始する。(なお、トポにはバッチリ記載されている。山ちゃん教えてくれてありがとう)

まあ結果的にそれはよかった。自分で判断せざるを得ないし、「5.11c」とあればトライしなかった可能性は高い。

ちなみに我々の当初の読みでは5.10aから5.10cであった。

 

で、登ってみると読み通りフィンガーからハンドサイズ。右上ラインなので右足の置き場所に困る。核心のジャミングやプロテクションで試行錯誤しつつトップアウト。カムは0.4が比較的多かった。

しっかり休んでレッドポイントを狙うが核心のプロテクションで力尽きる。まあ前日マルチ登ってるし致し方なしとこの日は撤収。グレードについては疲労もあり、加えてクラック経験が足りなさすぎてなんともだが、当初の読みは大きくずれていないように思えた。

 

 

数日後、今度は家族でカサメリ。この間、ストロンブレイカーをどう登るかを考えていた。
選択肢は3つ、

  • 普通にリードする
  • ロープソロでリードする
  • ボルダーとして登る

結果的にボルダーを選択したのだが、その理由はざっと以下

  • ビレイヤーの確保が難しい
  • ロープソロは未経験
  • 斜面沿いなので山側に飛べば落差を減らせる
    • もっとも谷側にふっ飛ぶと落差は増える
  • すでにプロテクションありで全貌を知ってしまってるので冒険性をもとめるとボルダーしかない
  • フレッシュな状態なら不確実性のあるムーブはほぼない
  • ボルダーとしてギリ許容できる数少ないチャンス

他にもあった気もするが、ボルダーとして登るのがもっともクリエイティブだと思えた。

 

家族をモツランドに残してオランジュへ。クラックの状態を確かめるために中間部まで上がる。めちゃくちゃ快適。クラックの状態云々より、体の状態がよい。前回はどんだけ疲れていたのだろう。

一度クライムダウンして今度は核心直下まで。核心はやはり少々緊張する。山側に飛べば…とか言ってたけど濡れた露岩に苔が生えているのでできれば飛びたくない。着地で盛大に滑って肘をぶつけて滑落するイメージが浮かんでくる。

地上に降りて「本当にやるのか」とあらためて問い直すが、リスク的にもムーブ強度的にもできない理由は乏しい。何よりロープもカムも持たずにムーブを起こすことが思っていた以上に楽しく、この選択は間違っていないと思えた。

短いレストの後、再び取りつく。

中間部のハンドまでサクサク上がる。やはり快適。フィンガーを交え核心まで。少し甘いシンハンドを決め意を決して足を上げる。するとシンハンドがバチ効き。前回はチョークアップする余裕など皆無だったが、今は違う。余裕のチョークアップからビクトリージャムへ。ルンゼを詰めて取りつきへ戻った

とても良い課題だった。
この場を借りて初登者に敬意を表したい。

 

おそらくボルダーとしては登られていないと思うが、高さや内容を踏まえると「ノーグレーディング」とするのが良いと思っている。

 

ヒヨッコの集い

 

イノ+ミケと登りに行った。このメンツで登りに行くのはいつぶりだろう。ほんの数年前までは毎週のように岩に行ってた気がするが、思えば全員30代だった。今ではミケちゃん以外は四十を迎え、色々と変化に晒されながらもそれぞれにクライミングを続けている。

とはいえ周りを見渡せば、自分より長く登ってる強々オヤジクライマーはゴマンといる。

妙な感傷に浸ってしまったが我々など未だヒヨッコに等しい。

 

ヒヨッコ

本日、ヒヨッコどもはSSKにあった。便所横の◯臭シリーズが狙いである。朝イチで現場入りするとまあ寒い。極悪そうな左上クラックを眺めてヒヨッコにはまだ早えーなと早々に移動する。

とりあえずアップだということでお寺裏に上がる。シャーク〜夕影〜朔風〜刻一刻と岩巡り。この谷筋だけでも魅力的な岩は多い。パワフルなハングラインが見えたので今度やりたい。

 

夕影

一通り岩を愛でること小一時間、 シャーク上部のボルダーに取り付く。これぞSSKと言わんばかりのバリバリの粒子が手に刺さる。後から来たローカルさんに「夕影 初段」という課題を教えてもらったのでトライしてみる。

ハンドジャムが効きそうなのでクラックグローブをはめて取りついてみる。うむ、どうもしっくりこない。まあいつものことさ…と思ってるとなんということでしょう。

核心でバチ効きである。

イノ+ミケにもジャミンググローブを貸した上でジャミングの優位性を熱弁するが、いまいち賛同を得られず。

曰く、
「グローブがずれる」
「効いてるのかよくわからん」
「っていうかエイドですよね?」
などなど。

ちなみに私はクラックグローブはもとより、チョークやクライミングシューズもエイドギアだという論を支持しているが、その話はまた今度。

とりあえずムーブはわかったのでRPトライするが指皮の消耗激しく変なところで落ちまくり。全容がわかってしまうとどうも雑になってしまう。「わかったからもういいかな」と思わんでもなかったが、ちょっと休憩してトライ。完登することができた。

グレードは初段が妥当だと思うがジャミングしないと難しくなりそう。

ちなみに、ついでに触った「がんばれひろしくん」(ひろしじゃなかったかも)は3級とは思えぬ悪さだった。

 

 

 

朔風快晴

その後上部に移動してスラブ・カンテを登る。

すでに指皮の消耗激しく粒子を握り込んでると手汗が滲んでくる。風が吹いてるタイミングを狙って右カンテを完登。後で調べたが「朔風快晴 初段」らしい。上部でカンテに身をかわしたがフェイス側だけでもトップアウトできそうではある。その場合はワングレード上がりそう。

吉田さんのブログを読んでも上部のラインははっきりわからないが、まあこういうのは自分が見えたラインでいいと思う。

その後「韋駄天 1級」を地ジャンで登ろうとイノさんとセッションしたが止まらず。しれっとスタティックで登る。その後もイノ氏は果敢に飛び続けていた。初心貫徹の漢である。

 

 

両者ともラインが不明瞭だったりフリクション良すぎたりで正確な比較は難しいが、提唱されてるグレードよりやや簡単に感じる。そういえば「歳時機」とかも2級くらいに感じたもんな。個人的には吉田さんのスラブグレードは甘めだと感じている。

もっとも初段のマントル課題「なまはげ」に7年かかった奴が言っても説得力はないか。

最後に刻一刻に上がるが指皮が終わってて何もできなかった。また今度取り組んでみたい。

バイソンと苔

とある岩場でハイク&クライムしてきた。

 

岩質は安山岩で比較的しっかりしている。いわゆる里山って感じで日当たり良好、広葉樹の森の中からは富士山がドーンと望める好立地。地元ではハイカー、クライマーともによく知られた場所でトレイルは歩きやすく、4歳娘とゆっくり歩いて2時間くらいで周回できた。

 

そこで登った一押しの課題、「バイソン」について記しておきたい。

アプローチは駐車場から山腹コースを辿って登山道ボルダー群を抜け、頂上の手前まで登る。登山道から右手下に斜面から突き出したボルダーが現れる。(ちなみに下部にはさらにボルダーが存在する)

4m弱くらいのサイズだが下部にスペースがあり、ぱっと見で面白ムーブ間違いなしの雰囲気。前に回ってみると突進してくる牛に見える。上部の苔が毛むくじゃらにしか見えないつーことで登るまえからバイソンと呼ぶ。

課題は二つ。鼻先からスタートする「ノーズ」とSDスタートの「バイソン」。ここでいうSDとはもちろんスリープスタートのことである。シットなどヌルいことを言ってはいけない。地面に寝そべってバイソンの顎下を眺めていただきたい。(後日LD(lie down)スタートなるものがあると@senkatzさんから教わりました)

「ノーズ」に関しては既に登られている可能性は高いと思う。一方、「バイソン」に関してはひょっとすると初登かもしれない。信頼できる筋にも当たってみたが立派な苔から察するに登られてないんじゃない?というご意見だった。情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非!

ちなみに後日改めて見ると牛より恐竜、いやヨッ○ーなんじゃね?という気がしてきたがあえて「バイソン」のままとしたい。

こだわる理由は上部の苔にある。個人的には下地や苔も含めて可能な限り手を加えないで登りたいという思いがある。だが現実には苔を落とさず登れる岩は少なく、多くの場合苔を落として登られる。

しかし、この課題に関してはそうした掃除は必要なく登れる。そういった意味からも稀有なボルダーだろう。

この先も、訪れたクライマーに立派な毛むくじゃらを愛でられる「バイソン」であってほしい。そう願っている。

 

トワイライト

前回ファンタジスタ的な何かを登ったあと、トワイライトのラインを触った。鴛鴦のスタートから右にトラバースした後、カンテをたどるラインである。サンセットダディのエクステンションということになるが、割と自然なラインに見えるし何よりムーブがおもしろい。

そう、トーフックが出てくるのだ。

初日はトーフックかな…?くらいの感触だったが2日目に足先行トーフックで解決できたので一気に沸き立つ。瑞牆のスラッシュフェイスを彷彿とさせるムーブである(もちろんまだ登れていない)。他に最適なムーブがありそうだがこのムーブにこだわってみる。

しかしつなげてくると足が届かない。結局2日目は時間切れで終了。

そして3日目、相変わらず足が届かないので足先行を諦める。儚いこだわりだった。ホールディングもかなり微調整する。カンテへの一手がリーチを要求されるためオープンで手首の可動域を広く取る。保持優先でカチッてしまうとカンテへの距離が足りず、仮に手が届いてもトーフックで落ちる。ここらへんの調整というか最適化は久しぶりだがやはり楽しい。

ムーブは最適化されたが指皮が終了を告げ、なんと3日目も登れず。

そして4日目。平日なのでよく空いている。

だが前日の雨か雪か、周辺の岩が濡れている。幸いサンセットボルダーは濡れていなかったがどうも湿っぽい。アップ後のファーストトライが抜群に好感触だったが核心の一手を失敗する。やってれば今日は登れるだろうとトライを繰り返すが気持ちが空回りしてるのかむしろ高度が下がってくる。

これは登れないパターンだな。と頭によぎるが長レストを挟んで3トライは粘ろうと気持ちを切り替える。

すると1回目で登れてしまった。

ホールディングとムーブにたくさんの要素の詰まった面白いラインだった。S兄貴に教えてもらった稚鮎の干物を土産に買って帰った。

サンセットボルダー

7年ぶりにサンセットボルダーを訪れた。前回いいところなく終わった「ファンタジスタ 二段」が狙いである。流石に7年も経てば強くなってるはず、あわよくばワンデイ(と言っていいかは当人の記憶力次第)といきたいところ。他にも課題が追加されトポにも掲載されているようだが、めんどくさくて間に合わなかったので買っていない。登るべきラインは紙ではなく岩を見て決めるのが作法(かもしれない)。

湯河原最遠のアプローチをこなしてエリアに向かう。以前より踏み跡が明瞭になってる気がする。到着すると先客が10人ほど。大人気エリアのようだ。そりゃあ歩きやすくもなるな。

よく見ると中野のシュウジ先生を発見。最近ちょいちょいお会いする。

イノキ岩で適当にアップしてファンタジスタに混ぜてもらう。7年前は限定ホールドがどうとかあったが特に気にしない。とは言え以前は存在しなかった or 使われていなかったガバカチが出現しているように見える。コレを取れば登れるだろう、という雰囲気。

下部からムーブを作っていく。カバカチはランジで解決できそうだが振られと下地を考えると思い切りが必要。中継カチはいずれも悪く、足位置を調整しながら試行錯誤する。シュウジ先生が「意外に持てるよ」というので気合入れて中継カチを握り込んでランジ。ガバカチを捉え損なって落ちるが非常に好感触。

その後、しっかりレストを入れてトライ。

中継カチを保持して足位置を微調整、ガバカチへ飛ぶ。振られを耐えて上部に目をやる、カンテ左の弱点をついてトップアウト。よいクライミングだった。(残念なことにシュウジ先生は撤収ずみであった)

さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思うが、このラインはトポに記載されているラインとは異なるようだ。トポではカンテ左へ出ずに右面を直上するらしい。トポがどこまで初登者に裏どりして記載されているかわからないが、おそらく初登時のラインも直上だろう。そう考える理由は、核心のガバカチにある。初登時に存在しなかったとすると、カンテ左に出るのは直上より悪いと予想されるからだ。(憶測してないでトポ見ろよって指摘はごもっとも)

もちろん、登り直しという言葉が頭に浮かんだ。しかし、核心後に壁の中で判断したラインは合理的に思えたし、緊張感のあるよいクライミングをした自負もある。そう言ったもろもろを取り消してまでトポあるいは設定ラインをなぞるのはとても不自由に思えた。野暮と言い換えても良いかもしれない。したがって、このままでよいと結論づけた。

ちなみにグレードは初段くらいに感じた。よいクライミングでした。

ついでに。ジムスタッフを多く知ってるわけではないが、シュウジ先生のアドバイスの的確さは他に類を見ない。もっとも、「意外に持てるよ」と「そこはガンバっす」の情報量にどれだけの差があるのかと問われると何も言えないが、その話はまたどこかで。

In 2021

ここ2年ほど新年エントリーを書いてなかったので久しぶりに書いてみようと思う。

2020年は色々あったわけだが、下の子も3歳になり以前より岩場に行ける回数は増えた。ありがたいことにキャンプ大好きっ娘に育ってくれたので瑞牆や廻り目平に関しては非常にアクセッシブルになった。あとはビレイを習得してくれれば…

昨年最大の成果としてはベルジュエールのレッドポイントだが、その後登ったもので印象に残ってる課題を備忘録しておく。

ナーガ 1級

これは2020年で一番面白かった課題。可能な限り足先行にこだわってスタートしたかったので満足度高し。中間部もバチ効きのフットジャムとハンドジャムで構成される秀逸な構成だった。体感グレードはよくわからないけど2級でもいいのかもしれない。ちなみにチップクラック2級は登れてないぞ。

生命力

ここ数年登った中で、トップアウト後にもっともシャウトした課題。

中間部のポッケを捉えるまでムーブ解析とトライ数を要したが、ポッケを捉えてからは2トライで登れた。リップから先は完全に初見だったので脳汁がMAX。めちゃくちゃ充実した。

初日はスラビスタとセッションだったので、完登はソロが理想的と思っていた。念願叶ったわけだが、登れたら登れたで誰でもいいからグータッチをさせてくれと割と本気で思った。人とはわがままな生き物ですね…

グレードは雷帝と比較すると易しく感じた。新しいトポによると生命力 初段(V8), 雷帝 初段 (V7)とグレーディングされているが、個人的には生命力 初段(V7), 雷帝 初二段(V8)あたりが妥当に思える

Hapinnest You

これは3日ほどトライしているがまだ登れていない。春シーズンには登りたい。めちゃくちゃ面白い。

水際カンテ

年始に御岳に行ったのでかねてより気になっていた池田功の名作にトライ。

下地がかなり上がっているのでお買い得だよと居合わせたクライマーさんに教わる。せめてスタートは地面からやるかとトライ開始。思ったよりホールドはよくてそのままリップまで。

リップは予想通りツルツル。カンテと言うか稜線というかとにかく岩の形状に合わせてもがくとなんと登れてしまった。

え…!? もしかして..これって….二段フラッシュ…ってやつじゃ…

と思いながらスポットしてくださったクライマーさんに「いやでも、ちょっと左上気味でしたかね…デュフフフ」みたいに浮かれポンチな会話をかましてしまったのでかなりキモかったと思われる。

とは言え奮闘感溢れる直登マントルラインも魅力的なので再度トライを開始。だが、見事にスベスベかつ足もない。何度かトライしたのち、下手にホールドを探っても望みは薄いと判断し、リップをマッチして返しきるムーブを選択。

秋冬に緩く継続した懸垂15回3セットの真価を見せる時がきたのだ。

リップマッチから全力でプッシュするがほぼ膠着状態。やっぱムーブ間違ってるんじゃね、という思いと、諦めんな返し切れ、という思いが交錯しているとジワジワ体が上がってきてなんとか完登。期待を裏切らない奮闘系マントル課題だった。カンテ、とは…

 

今年の抱負

というわけで今年も可能な範囲で登っていこうと思います。特段大きな目標を立てるつもりはないけれど、こどもたちとマルチピッチができると楽しそうだな、と思っている。

ムーブメモ

雨月

  • 右手右足で手に足クロスヒール
  • 右手、悪いカチを刻む
  • 左手、さらに悪いフレークカチを保持って右足に乗り込んでいく
  • 左手、甘いカンテ状を抑える
  • さらに右足に乗り込めば多分リップに届く

熊岩フィンガークラック10c

  • 小ハングまではエイリアン黄、緑、ナッツ
  • 小ハングアンダーにC4#.4が決まるが回収注意
  • レイバック気味に上がる
  • ハンドサイズからはクラック右を利用
  • 上部はレイバックで快適に抜けられる(はず)

セルベッサ

下部ハング

  • テラスから左手インカットカチ、右手たるいカチでトラバース
  • 左手、薄いピンチホールド
  • 右手、やや高いサイドアンダーから足あげて左手カチへ
  • 左手、飛ばしでガバ
  • 右足、ハイステップから右手、サイドガバ
  • クリップ
  • 足位置調整して左手、ピンチポッケ
  • 左手、飛ばしてスローパ。スローパ上部の窪みに2&3番指を効かせる
  • 腰を落として右手、ピンチポッケへ寄せ(悪い。もっといいムーブあるかも)
  • 左手、ガストンカチ。右手、一気に上部ガバ
  • ハング左側の良いホールドでクリップ

上部ハング(うろ覚え)

  • ハング最下部のガバでクリップ
  • 戻ってレスト
  • 再びハング最下部のガバ
  • 左手、サイドガバ。足位置調整
  • 右手、アンダーポッケ中継(中継しないほうがいいかも
  • 右手、ガバ上部までデッド。左手マッチ。足位置調整
  • 左手、遠いリップ直下のガバへデッド
  • あとはよしなに

下部ハングは1try目にhangdogで解決。最適化の余地はあるだろうな。上部を探らずRPトライに挑むと、予想以上に遠くて撃沈。個人的には未知の要素を少しでも残したいのでこの判断は支持したい。あえて江戸川橋的な表現をしてみると下部ハングは◯ッシー課題で、上部ハングは岩◯課題な塩梅。また行きたい。

B1ハング

  • ハング下 C4#1
  • ハング上スリット Nシルバー
  • ハング上ガバ上部 エイリアン黄色
  • 確信手前のカチピンチ上スリット Nゴールド
  • 右手甘いかち、左足ハイステップ、右手クラック、右足クロスステップ、右腰つけて立ち上がる、左手カチ、右手ガバ