月別アーカイブ: 2022年2月

バイソンと苔

とある岩場でハイク&クライムしてきた。

 

岩質は安山岩で比較的しっかりしている。いわゆる里山って感じで日当たり良好、広葉樹の森の中からは富士山がドーンと望める好立地。地元ではハイカー、クライマーともによく知られた場所でトレイルは歩きやすく、4歳娘とゆっくり歩いて2時間くらいで周回できた。

 

そこで登った一押しの課題、「バイソン」について記しておきたい。

アプローチは駐車場から山腹コースを辿って登山道ボルダー群を抜け、頂上の手前まで登る。登山道から右手下に斜面から突き出したボルダーが現れる。(ちなみに下部にはさらにボルダーが存在する)

4m弱くらいのサイズだが下部にスペースがあり、ぱっと見で面白ムーブ間違いなしの雰囲気。前に回ってみると突進してくる牛に見える。上部の苔が毛むくじゃらにしか見えないつーことで登るまえからバイソンと呼ぶ。

課題は二つ。鼻先からスタートする「ノーズ」とSDスタートの「バイソン」。ここでいうSDとはもちろんスリープスタートのことである。シットなどヌルいことを言ってはいけない。地面に寝そべってバイソンの顎下を眺めていただきたい。(後日LD(lie down)スタートなるものがあると@senkatzさんから教わりました)

「ノーズ」に関しては既に登られている可能性は高いと思う。一方、「バイソン」に関してはひょっとすると初登かもしれない。信頼できる筋にも当たってみたが立派な苔から察するに登られてないんじゃない?というご意見だった。情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非!

ちなみに後日改めて見ると牛より恐竜、いやヨッ○ーなんじゃね?という気がしてきたがあえて「バイソン」のままとしたい。

こだわる理由は上部の苔にある。個人的には下地や苔も含めて可能な限り手を加えないで登りたいという思いがある。だが現実には苔を落とさず登れる岩は少なく、多くの場合苔を落として登られる。

しかし、この課題に関してはそうした掃除は必要なく登れる。そういった意味からも稀有なボルダーだろう。

この先も、訪れたクライマーに立派な毛むくじゃらを愛でられる「バイソン」であってほしい。そう願っている。

 

トワイライト

前回ファンタジスタ的な何かを登ったあと、トワイライトのラインを触った。鴛鴦のスタートから右にトラバースした後、カンテをたどるラインである。サンセットダディのエクステンションということになるが、割と自然なラインに見えるし何よりムーブがおもしろい。

そう、トーフックが出てくるのだ。

初日はトーフックかな…?くらいの感触だったが2日目に足先行トーフックで解決できたので一気に沸き立つ。瑞牆のスラッシュフェイスを彷彿とさせるムーブである(もちろんまだ登れていない)。他に最適なムーブがありそうだがこのムーブにこだわってみる。

しかしつなげてくると足が届かない。結局2日目は時間切れで終了。

そして3日目、相変わらず足が届かないので足先行を諦める。儚いこだわりだった。ホールディングもかなり微調整する。カンテへの一手がリーチを要求されるためオープンで手首の可動域を広く取る。保持優先でカチッてしまうとカンテへの距離が足りず、仮に手が届いてもトーフックで落ちる。ここらへんの調整というか最適化は久しぶりだがやはり楽しい。

ムーブは最適化されたが指皮が終了を告げ、なんと3日目も登れず。

そして4日目。平日なのでよく空いている。

だが前日の雨か雪か、周辺の岩が濡れている。幸いサンセットボルダーは濡れていなかったがどうも湿っぽい。アップ後のファーストトライが抜群に好感触だったが核心の一手を失敗する。やってれば今日は登れるだろうとトライを繰り返すが気持ちが空回りしてるのかむしろ高度が下がってくる。

これは登れないパターンだな。と頭によぎるが長レストを挟んで3トライは粘ろうと気持ちを切り替える。

すると1回目で登れてしまった。

ホールディングとムーブにたくさんの要素の詰まった面白いラインだった。S兄貴に教えてもらった稚鮎の干物を土産に買って帰った。