メガネ男子

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およそ一年ぶりに裏御岳。台風の影響で未明から雨だった割にはアスファルトは乾いてる。澤ノ井酒造さんの前を通り過ぎながら、こりゃあコンディションは上々だなっとほくそ笑んだ。午後二時過ぎ、護岸岩に到着。なんたる重役出勤。

しかし、林道から降りて行くに従い、見えてきたのはどんよりアンニュイな護岸岩。ビショビショとまでは言わないが、明らかにモイスチャー。一瞬、御岳へ転戦が頭をよぎるが重役出勤過ぎるので却下。ホールドの掃除とチョークアップで何とか登れるように整備していく。

掃除とストレッチを終えるとアップがてらムーブのチェック。なにせ一年ぶり、序盤の遠いデッドができなかったらどうしようかとムーブを起こすが、2tryくらいでサクッと止まった。

これは期待大と、やおらスタートから繋げようとするとスタートでスッポ抜け。盛大に尻餅を付く。「フリクション、なにそれ美味しいの?」と言わんばかりの抜けっぷり。再び転戦が頭をよぎるが、こんな時はチャートに良く効くおまじない「奥多摩の沢よりは湿ってない、むしろドライじゃん!」で気を取り直す。

その後、昨年の最高到達点「リップまで後一手」に迫るが、デジャヴの如く落る。右手の甘い最終ホールドが保持できず、リップに繋げられないのだ。

「ここは一つ肚をくくってリスキーなデッドでリップを取るか」とリスキーデッドを放つが、やはりフォール。しかもギリギリの着地点、あと数センチずれていたら沢ポチャである。そうなっては「奥多摩の沢より〜」とか言ってられない。早々に戦略を変更する。しかし、解決の糸口が見つからないまま、トライ数は重なっていった。

「この一年、お前は何をやってたんだ」という不甲斐なさと「いや、一年前はこんなマシンガントライはできなかったはず、やっぱ成長してるかも」という想いが交錯する中、ふと手順を修正、右手の飛ばしをクロスに変更した。すると、なにやら良い予感。更にフットホールドと下半身の使い方で右手最終ホールドが劇的に改善。これならリスキーなリップ取りもこなせると踏んだ。

レストを挟んで繋げトライ。余裕をもってリップに迫るがミートせずフォール。それでもこの時点で完登を確信した。

 

めがね 初段 RP

更にレストを挟んで最終トライ、デッドがややズレたが右手の寄せで修正、クロスへ繋ぐ。足を運んで右手最終ホールドへ。またしてもズレたが、スイートスポットを持ち直す。そしてリップへ。今度は外さなかった。マントルを返し、ここ最近登ったボルダーの中では最も充実した一本を反芻した。

 

 
自分の成長を客観的に知る事は非常に難しい。しかし、以前はハードに感じたムーブを何度も出し、結露したホールドを繋ぎ、ランディングの悪さにも負けず、スポッターも居ない状況で完登できた事は万感の想いだった。

雨雲の到来で駅からの帰路は土砂降り。ずぶ濡れで家に着いた。「あと一本早い電車にのれば…」というワイフに対して僕はきっぱりと言い切った、「ま、奥多摩の沢に行ったと思えばこんなもんでしょ!」


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