月別アーカイブ: 2016年1月

Crack Storm

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南岸低気圧の影響で10mの爆風が吹き荒れる城ヶ崎へ。ミッシェルガンエレファントを聞きながら夜明け前の東名高速をゆく。昨日降った雪は跡形もなく、小田原で日の出を睨む。抜けるような青空の下で木の枝が大きく揺れる。閑散とした駐車場からあかね浜へ、胸元でカムがカチカチと音をたてた。

 

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高波が岩に砕けるこの世の果てのシークリフは貸し切り。強烈な日差しと爆風が吹きすさぶ中、トップロープでアップを開始。かじかむ指をクラックにねじ込み「イソギク 5.7」、ほぐれない体をきしませ「ツワブキ 5.10a」。ときおり爆風がやわらぐが、すぐまた吹き荒れる。体は一向に暖まらない。

 

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レストを挟むと体がこわばるので連登。「ラッキー・ストーン 5.10a」の前傾クラックに苦戦するもトップロープで抜ける。同じくトップロープで「カーム・フライデー 5.10b」のレイバックを強引に突破、上部は快適。

 

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凪の瞬間を捉え、わずかばかりのレストを入れる。カムのレクチャーを受け、体が冷える前に再び壁に戻る。ついさっき登った「ラッキー・ストーン 5.10a」はカムを極めようとした途端、表情を変える。カムは決まっているが、ハンドジャムをねじ込むスペースがない。そしてテンション。数回テンションを繰り返しトップアウト。予想していたが、やはりプロテクションは難しい。良いイメージがまだ持てない。

 

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こういうときは同ルートをリピート。前傾クラックの傾斜を殺しカムを極める。ハンドジャムのスペースもある。さらにもう一本カムを極め、ハングを越える。なかなか良いイメージでトップアウト。日が傾き始める中、「カーム・フライデー 5.10b」も悪くないイメージで抜け本日は終了。

 

Stats

  • イソギク 5.7 (Tr)
  • ツワブキ 5.10a (Tr)
  • ラッキー・ストーン 5.10a (Tr)
  • カーム・フライデー 5.10b (Tr)
  • ラッキー・ストーン 5.10a (疑似リード)
  • ラッキー・ストーン 5.10a (疑似リード)
  • カーム・フライデー 5.10b (疑似リード)

S木兄貴、トップロープ並びにカム、ギアなど本当にありがとうございました。しっかし寒かったー。

城山 マルチピッチ

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2016年の初外岩は城山。

今年のテーマの一つであるマルチピッチを登ってきました。

 

丙申-ひのえさる-

photo by taro inomata[photo by taro inomata]

 

今回は一泊二日の行程、初日はワイルドボアでスポートルートをがっつり。

前回S木兄貴とトライした「トゥエルブモンキー5.12b」をタローくんを交えてあーだこーだ。今年の干支ってことで縁起もいい(気がする)。

ボルダリーなラインは、全力で体幹勝負を挑むイメージ。「かさぶた」のようなダイナミックムーブは出てこない。ポイントは核心のトラバースで声を出すことでしょうか。「サァーーーー!」みたいな。

ちなみに核心を超えても甘いホールドが続く。追い込まれたところで厳しい距離にパラダイスガバが出現。届きさえすればヒャッハーなのだが、これで終わりと思ったら大間違い。

駄目押しのクッソカチが出てきて心をヘシ折られたところで、ようやく雲の彼方からビクトリーガバ。

ドローセットを除いて3トライ、前回2トライと都合5トライ。ワンテンまでは比較的スムーズに進んだが、うーん。繋がるんかな?これ。

 

幕営

幕営は最近マダニが出たと話題の狩野川河川敷。

「おれ、明日二日酔いだったら、よろしくね」とおっしゃる兄貴はガロンでビールを流しこんだ後、2ピッチ目はハイボール。翌日は何事もなかったのように晴れ晴れとしていた。

 

南壁

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二日目は南壁初上陸。YAMAAN!チームから拝借したGoProを携えアプローチを行く。

それなりの盛況っぷりで目当ての「バトルランナー」「エキスカーション」はどちらも数パーティがトライ中。テキトーに5.10aあたりでアップ。日差しは強く半袖でも登れるが風が吹くと寒い。

なんやかんやと順番待ったり装備確認したりでようやく「バトルランナー 4ピッチ 5.10a」に取り付く。

 

バトルランナー

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1ピッチ目はタローリード、スイスイと下部スラブを抜ける。快適に高度を稼ぎつつフォローで続く。ときおり風が吹くがおおむね暖かい。むしろやや暑いくらい。

 

G0060813[高度感がイイ]

G0060831[1ピッチ目終了点]

G0060994[しんがりの兄貴]

 

そして核心となる2ピッチ目はワタシ。小ハング直下まで前進するが、「うん?10aのハングなのにガバはどこにあるんだ?」とやや焦る。緊張感と日差しの強さが相まって手もヌメる。が、それ以上にモカシムの中で足汗がハンパない状態。

 

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こいつは気合入れないとフツーに落ちるな、と肚をくくってカチにかじりつくように乗っ越し。ヌルヌルの足で耐え、這々の体でビレイポイントへ。フヘー疲れた。ちなみにここでGoProのバッテリーが終わる。

 

G0061974[ハング突破中]

 

残りの2ピッチを爽快なランナウトで無難にこなして完登。そのまま「ダイレクトルート 2ピッチ 5.10d」まで懸垂して継続。

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[ハングに怯む私 photo by taro inomata]

 

ダイレクトルート 継続

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[ヨレヨレの私 photo by taro inomata]

 
1ピッチ目はタローリード、5.10dの垂壁をジワジワと着実に高度を上げていく。見るからにムズそうなんすけど…

S兄貴からサブザックを受け取りフォローで登攀。チョークバッグが前側にあるのが地味にいやらしい。すでにヨレヨレの足に鞭打って意地のトップアウト。

続く5.10bでリード交代。

タローくんが「ボルトからやや離れるけどリカバリー可能だよ!」とヒント&アドバイスをくれていたが敢えなくA0。5.10bとはいえ6ピッチ目、しかもスラブときては力及ばず。

鍛えなおして、10ピッチくらいはサクッと登れる耐久力を身につけたいと心に誓いました。

次の目標は「エキスカーション」から「ダイレクトライン」への継続かな。そのためにはロープワークやらギアの扱い等々、登攀以外の諸々の能力をもっと洗練させないとね。タローくん、S兄貴、本当に勉強させていただきありがとうございましたっ。

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[高度感サイコー photo by taro inomata]

御嶽神社詣で

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新春登山ってことで御嶽神社にお参りしてきました。

ことの発端は「気軽に奥多摩でバリエーションハイクでもするか」という「バリエーション舐めてんだろ」思考から。

10時台の中央線中野駅発と完全な正月気分丸出しで、登山道の付いていない尾根筋を車内で物色。(ちなみに遅延で御嶽駅に到着したのは12時過ぎであった)

「日の出山北尾根」から一般登山を経由して「御嶽神社」を巡り、「大塚山」から再びバリエーション。「越沢バットレス」上部となる北尾根を下降するルートを定める。

バリエーションルートは一般登山道と異なり、様々な困難が予想される。基本的にルートは整備されておらず、マップにも記載されない。従ってコースタイムは自らで予測し、行動中は常に読図を繰り返し、現在位置を把握しながら前進する。ルート上の危険箇所や崩落なども、行ってみなければ分からない。しかし一方で人が入らない静謐な山中を、自らの判断と発想によって切り開いていく自由と充実を得られる。…はずだった。

 

日の出山北尾根

御嶽駅からケーブル駅方面のバス道を歩き、鳥居をくぐる。想定ではこのあたりが取り付きである。昨年、前穂Ⅳ峰正面壁で取り付き敗退を喫した経験から慎重に地形を読む。

すると、おや?それっぽいところからおじさんが降りてくるではないか。

もしやと「これって日の出山北尾根ですかねー?」と尋ねると「おお、そーだよ!しっかりした道だよー!」と即答。一瞬、デッドエンドでボルダーでもしようかと考えがよぎるがおじさんにお礼を言って取り付く。せめてもと、沢床にわざわざ降りてロースタートから登攀開始。

IMG_3998[超絶明快な取り付き]

前評判(?)どおりの明確な踏み跡を辿りサクっと日の出山山頂に到着。一般登山道をたどり、宿坊に入る。

IMG_4009[お天気は見渡す限りどんより]

IMG_4012[宿坊の軒先に張られているしめ縄に風情を感じる]

IMG_4015[境内からの景色もどんより]

 

大塚山 越沢上部下降

御嶽神社を参拝して大塚山から下降に向かう。それなりに踏み跡が薄くなることを期待しつつ、大塚山頂上から北北西に進路をとる。なんとなくガスってるのがいい感じだ。

IMG_4016[人気のない山頂]

しかし、またしても克明な踏み跡。ま、御岳山ですからね。尾根という尾根、沢という沢が登り尽くされていて当然。

とは言えバットレスを上部からほんのちょっとだけ覗き込みつつ、痩せた尾根を下り、人気のないキャンプ場を抜け、林道を走って電車に飛び乗れば割と充実した一日となった。

IMG_4020[崖下はバットレス(多分)]

自分でラインを見いだし、判断しながら歩くのは楽しい。今回はバリエーションとは到底言えない踏まれっぷりだったが、そういった失敗を含めて既存の情報(トポとかガイドブックなど)と適当な距離を保ちつつ山を巡る。今年はもうちょっとそんな時間を増やそう。

迎春 -2016-

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H499Y N6W Y64R.

あけましておめでとうございます。旧年中は大きな怪我もなく、ボルダー、リード、沢、ホンチャン、アイス、などなどやりたいクライミングは一通りやり切りました。

前々年の秋シーズンで波にのれなかった反省から、2015年はシーズンの切り替えを意識したのが勝因だと思ってます。ま、難しいことは特になく「その季節にあった楽しみ方を全力でやる」を実践しただけなんですが。

一年の流れをざっくり振り返ると、年明けをリードで迎え合間にボルダーと雪山。春はボルダーとリードでエンジョイ。夏は毎週のように沢、合間に山。秋口はリードがっつり。晩秋はボルダーがっつり。年末はアイスちょろっと。ってな具合です。やー四季折々が楽しめていいぜ。

グレードに関しても目標達成しましたが、あんまりそういった視点で語る気分でもないので、印象に残った課題をピックアップしておきたいと思います。

 

 

男泣き

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2016年の抱負は

  • 初登
  • マルチピッチ
  • グランドアップ

を掲げていこうかと…

書き初めみたいにファジーな抱負ですが、グレード更新を高らかに宣言するのは今年はいいかな。もちろんグレードも狙ってはいきますが。上記を一言にまとめると「より濃密に課題と向かい合って男泣きしたい!!」ってやつです。んー、ますます意味不明だな。

というわけで今年もよろしくお願いします。写真は年末に思いつきでお参りした東大寺からでした。


2016目標課題

今年登りたい課題一覧。仲間募集中です!

ボルダー

瑞牆山

  • スラッシュフェイス 二段
  • No Name 二段
  • 生命力 初段
  • 皇帝 二段
  • 眠った風 初段
  • エレスアクベ 二段

小川山

  • 上弦 初段
  • 忘却の河 二段
  • AIT 初段
  • 大いなる河の流れ 二段

湯河原

  • Wプロジェクト 二段

リード

瑞牆山

  • The Face 5.13a
  • 禁太の大冒険 5.11c
  • ギャラクシアン 5.12a
  • 怒涛のレイバック 5.11b
  • 真実の口 5.10d
  • 砂の塔 5.12a
  • 錦秋カナトコルート 5.10a マルチピッチ
  • NDD 5.12c

甲府幕岩

  • スモーキーマウンテン 5.12c
  • 風になれ 5.13a

子持山

  • 獅子岩マルチピッチ 5.8

城山

  • 白壁の微暇 5.12d
  • トゥエルブモンキー 5.12b
  • エキスカーション 5.10d マルチピッチ
  • バトルランナー 5.10a マルチピッチ
  • かさぶた 5.12c

山行

  • 阿弥陀 北西稜
  • 白毛門沢 遡行
  • 赤沢山-白毛門 積雪期縦走

2015リザルト

2015に登った主要な課題。

改めて俯瞰するとリードを沢山登っております。充実度や達成感もグレードに関わらずリードがボルダーのそれを上回った気がする。

敗退した課題も含まれているけど、「成長させてくれたルート」「楽しかった課題」という観点からピックアップなのであしからず。

ボルダー

瑞牆山

  • ブラックエンペラー 初段
  • 竜王 1級
  • べしみ 二段
  • 阿修羅 初段

小川山

  • 神の瞳 初段 2撃
  • 変人 1級
  • ベヒーモス 1級
  • ギガント 初段

昇仙峡

  • ナルコレプシー 初段
  • パスウェイ 初段

湯河原

  • サンセットダディ 1級
  • ヒールマン 1級

裏御岳

  • めがね 初段

リード

二子山

  • BigMoMo 5.11c

北川

  • 北落師門 5.12a 2撃

城山

  • 生と死の分岐点 5.12a
  • グレーシー 5.11c OS
  • ジャンバラヤ 5.11c
  • チャンディーラサ 5.11a
  • ミウラー 5.11a
  • こんにちはマコロン 5.11b
  • ドロンパ 5.12a

有笠山

  • パスファインダー 5.11b/c
  • 大いなる日々 5.11a OS
  • 緋牡丹博徒 5.12a 2撃

瑞牆山

  • めんたいこ 5.11b
  • オリーブ 5.11c
  • レーザーズエッジ 5.10d
  • 青龍 5.10b
  • 白虎 5.10c
  • ボトレイアン 5.11a
  • オスティカアンティカ 5.11a
  • ボルドー 5.12a 2撃
  • 漁師の娘 5.11c
  • ゾウリムシ 5.11a
  • プラチナム 5.11c
  • キキンバック 5.11d FL
  • 金のわらじ 5.12a

山行

八ヶ岳

  • 裏同心ルンゼ
  • 阿弥陀北稜

那須

  • 桜沢
  • 那珂川源流 井戸沢

穂高連峰

  • 前穂高北尾根Ⅳ峰正面壁 敗退