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金のわらじを履いてでも…

IMG_6566[photo by satoshi hirayama]

 
今期、最も登りたかった一本をついに登った。

2年前にカサメリを訪れて以来、常に目標でありつづけた「金のわらじ 5.12a」は、魅力的なラインが故か、安易に取り付いてはならない気がしていた。

本年2月、初の5.12aとなる「生と死の分岐点」を皮切りに、カサメリで一本、有笠で一本、北川で一本づつ5.12aを登った。そして9月中頃、長期決戦を覚悟した上でトライを開始した。

意外にも1,2tryで核心突破、トップアウトと十分な可能性を得るが、しかし、そう簡単に登らせてくれる代物ではなかった。

10月に入り、ボルダーとの両立に苦心しながらカサメリを二度訪れた。非常に惜しいトライもあったが、いずれも自分と岩のコンディションが整わなかった。

 

ベストコンディション

その日、「このホールド悪いねー」と言いつつレストするのが定番プレイのSATO6兄貴に便乗してカサメリへ向かった。シーズンも終盤にして最高のコンディションを求めて中央道を快走する、兄貴の愛車はMT車。(運転できなくてサーセン)

不動沢への林道はスーパードライ、いつものヌカルミは完全に干上がり、砂塵すら舞う。姉御岩は落葉の林の中、11月の陽光を浴びてほのかに暖かかった。

早々にアップでドローセット。フリクションは予想どおり申し分ない。だが、足が冷たくてうまく乗れない。1tryで完登するつもりが、前回同様の核心越えてのフォール。1tenでトップアウト。

堪えきれず鳴きの1tryを嘆願。「そこで止めるとか言いだしたらブチ切れるよ?」と兄貴の快諾を得て核心ムーブを再チェック。

核心ムーブを丹念にチェックしていくと、ロープの流れが重要であることが判明。ロープとの関係上、ホールドの持ち直しを行っていた部分を省略するムーブを作る。さらに核心に入る際の足位置も微調整を入れる。若干だが負荷を軽減させる。

そして、姉御岩と対照的に凍てつくコロッセオで「神の手」のビレイ。レストを入れながらムーブを反芻した。

 
kaminote[神の手をトライするアニキ]

 

金のわらじ 5.12a RP

午後過ぎ、酷寒のコロッセオから南国の姉御岩へ移動。2try目を出す。

気温上昇のおかげで安定して足を置いていく。ハング下で軽くレスト、リズムを切ることなくトラバースを開始。クロスムーブからマッチに修正した手順もスムース。

核心手前のクリップを冷静にこなし、核心突入。前トライで見つけた足位置からハイステップ、ロープを躱してアンダーマッチ。そして甘いカンテを中継して遠いカチを取った。

最もハードな部分は抜けたが、まだ核心は終わらない。だが、ロープ干渉を回避したことが功を奏し、スムーズな足を運びでハング上部へ。呼吸に意識しながらホールドを繋ぎ、クリップ。

パンプが迫ってくるが無心でヒール、間髪入れず上部ホールドを捉える。そしてお気に入りの水平フラッギングからマッチ、乗り込み、一気に核心を抜ける。荒い息を整えながらレストポイントに到達した。

その後、兄貴のコールに後押しされながら、遂にトップアウト。2年越しの目標を達成することができた。

 

 
「結局、マメな男がもてるんだよ(意訳)」とSATO6兄貴が言ったように、突破したパートを強引に繋ぐのではなく、解決済みのムーブこそ、さらに研究を重ねる愚直な姿勢が完登へ導くのだと、改めて胸に刻むこととなった。

年上の女房は上玉であった。

 
IMG_6575[完登後のアクティブストレッチ(*注*妻子持ち)photo by satoshi hirayama]

阿修羅とチムニー、苦渋のマントル。

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阿修羅完登のために瑞牆に行きましたが、予想外のラインに開眼。けっして負け惜しみとかじゃないんだぜ。

 

穴契約社員 3Q リピート

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まずは童子岩でアップ。K子さんがターゲットとしている「穴契約社員」をリピート。ポケットがガビガビしてる故に嫌厭する人もいますが、個人的にはムーブが多彩でオススメ。

「あかね雲 3Q」ばかりが取り沙汰されるけど、私は「穴契約社員」の方が好きです。だからもうちょっと素敵な名前をつけてあげて欲しかった…

ちなみにK子さんはムーブ練習便みたいなノリでRP。一同驚愕。おめでとうございます。

 

阿修羅チムニーバージョン

ashura[誰もが完登を確信した瞬間]

 
634、マラJ君と阿修羅に移動。クラックのコンディションは抜群。こりゃあ頂きだなってほくそ笑みムーブ確認。本日1本目でクラック上部まで。

そして、2本目。初手からフットジャム、マッチ、クラック上部へと繋ぐ。足をあげてアンダー取り、左足を振られることなく解除して立ち上がり、フルリーチでポッケ取り。完璧な流れ。

少し緊張するクロスからマントルポッケを押さえ、更に右手を送る。足を考えていなかったが、もやっとしたリップを踏み、右手を送っていく。ややテンパっているがこのまま完登することを疑わなかった。

ところが右手がすっぽ抜け。背後の杉の木にガッツりボディージャム。もうそういうムーブでいいんじゃねーのつぅくらいのバチ効き。

スポッターの皆さんもまさかそこで落ちるとは思ってなかったようで、「その木、本当にあってよかったね」みたいな。狐につままれた表情というやつ。

その後、せっかくの杉の木を利用して、チムニー登りで上部まで。マントル返してトップアウト。「これはこれで面白いよ!」と634君を誘うがあっさりスルーされる。

 
chimney[阿修羅チムニーバージョン]

 

マントル確認して万全の体制。後はもう繋げるだけ。しかし、今度はポッケからのクロスムーブで落ちる。最後は180回転して634君にジャンピングハグ。なんだこりゃ。

集中力も低下してきてリスクが高まったところで終了。阿修羅を完登できなかったのは残念だったが、魅惑的なチムニーラインと出会えたことは非常に素晴らしいことだと







マントル下手すぎだろーーー!!
っくっそーーー!!

 

ブラックエンペラー 初段 RP

阿修羅の前で壮絶に散った後は皇帝岩。「十六夜」を冷やかしに行ってこれまた盛大に敗退したのは秘密だ。

マラJ君が「ブラックエンペラー」をトライしている隣で「皇帝」でも冷やかそうかと思っていると634君が「なんかいけそうな気がするんだけど」とか言ってトライ。

「んな簡単なわきゃねーだろ。二段登ったからって色気付きやがって(嫉妬)」と思っていると驚愕の一撃。まじかよー。さらに「フリークエントフライヤー」もあっさり完登。さすが「The Tow Monks 二段」を登った男は強かった。どこぞのヘタレマントル野郎とは一線を画す強さである。

マラJ君も無事完登する中、半端ないプレッシャーに晒されつつトライ。美味しくいただきました。

 

 

癋見と匠の技

rebeshimi

 

今シーズン初の大面岩下エリア。4ヶ月ぶりに「癋見 二段」を触りに行った。

いつものメンバーに加えて、今回はエド最強クライマーのKZ師匠が一緒だ。「大面下エリア案内しますよ!」とか言ってお誘いしたが、強々クライマーが「癋見」を登るところをシカト目に焼き付け、いいイメージを得たいってのが本音。渋滞が想定よりひどく、お待たせしてしまったが無事に合流してハイクアップ。

 

癋見 再会

前回、初手に苦戦したが今回は1回目から止まる。これは調子いいんじゃない?と沸き立つが、トラバースのフットジャムが抜けてカンテが止まらない。とりあえず上部までムーブを確認していくが、そうこうしてると初手の精度が低下。

INO氏の安定感抜群の初手を羨望の眼差しで見つめていると、ミケちゃんと1000氏も初手を止めフットジャムを練リ始める。KZ師は相変わらず少ないトライで確実に高度を上げてくる。焦っても仕方ないので、とりあえず初手は一旦棚上げ。フットジャムからカンテまでの精度向上に専念。息抜きにアンジェラとスラブ課題を設定して遊ぶ。

昼を過ぎた頃、まだムーブを練ってるのかなーとか思っていたKZ師が一気に核心を越えて、カンテマッチに迫る。「あ、これもう登っちゃうわ。なんすかこの爆発力」とか思ってると、マッチのムーブは固めていなかったようでフォール。非常に惜しいトライだった。

しかし、驚くべきはその後。てっきり後半パートをバラすのかと思いきや、オブザベーションのみ。その後、レストを挟んで圧巻のRP。匠のグラウンドアップにただもう感嘆。

撤収後、エリア入り口付近の「無名 初段」と「DKマントル 初段」もさっくり完登する師匠であった。

 

所感

とにかく初手の確度が低い。間違いなく5人の中でワーストである。一方、KZ/INO両氏は抜群の安定感で初手を止めていく。

両氏のムーブと助言から察するに、右足ヒールと左手保持への集中度が高い様子。自分のイメージでは「ぶら下がった状態からリキまず、大きな動きで初手を出す」であるが、彼らはヒールの掻き込みを効かせた、やや引きつけたムーブに見える。自分のムーブでは反動が大きくヒールが抜けがちである点からも、そちらが最適である可能性が高い。

ちなみに、初手を止めたテイでムーブを繋いでいくと1/5くらいの確度でカンテマッチまで到達できる。フットジャムの位置は奥に行き過ぎない程度。ジャムを効かせるよりヒールを安定させる方が重要と思われ。トップアウトはヨレていると厳しくなりそうだが、おそらく問題はない。

戦略として初手以降のムーブを限界まで洗練させ、あとは確率勝負で初手を止めれば完登できなくもないだろう。だが、それでいいのだろうか。数少ない強傾斜の二段である。できる限り全ムーブを練りこんで登りたい。秋シーズンはまだ一ヶ月以上ある。焦る必要はないのだ。

瑞牆三面六臂

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有笠山から戻って翌朝には瑞牆。末弟・ソーメイとUEChang a.k.a スラビスタという年齢差28歳のパティー編成である。天気予報では午前中が小雨となっていたが、中央道では遠慮なく雨が降り注ぐ。こりゃー今日はまったりだなーということで、

境川でゆっくりメシ

高嶺の湯で朝風呂するか

開店11時じゃあ朝風呂じゃないだろ

瑞牆の途中にある「岩屋堂」で観光するか

発見できず。案内増やしてくれ

植樹祭でまったりするか

雨降っててまったりできない

モツランドなら登れるかも

寒いから不動沢駐車場でマショマロパーティー

焼きマシュマロ旨い。新食感。

コーヒーにも合う。

重役出勤でモツランド

 

プラチナム 5.11c RP

IMG_3507[レーザーズエッジを登るスタビスタ]

 
というわけで昼頃にモツランド。あんなに雨が降ったというのに「ミルクミルク」も「レーザーズエッジ」も「プラチナム」もコンディションは申し分なし。というわけで塩漬け状態の「プラチナム 5.11c」にトライ。アッサリRP。

続いてスラビスタが「レーザーズエッジ 5.10d」にOSトライ。間違いなくOSだと思っていたら頭上のカンテガバを華麗にスルー、まさかのテンション。やはりロープをつけると違ってくるのか。ボルダーだと探れるホールドを容易く見落としてしまう、クライミングとは実に奥が深いアクティビティである。

 

姐御岩

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まだ時間が早かったので、一回だけ「金のわらじ」をトライ。思ったよりコンディションいいじゃない、とかいいながらハング下で二度三度と足がスリップ。やっぱ雨後はだめみたい(あたりまえだ)。しかし悔しさだけは普段通り。全力で「っくそー」と叫ぶ。

スラビスタも「ぞうりむし 5.11a」に2tensionと迫るが日が暮れて来たので撤収。「このルート面白いわー。リードもいいなー」と久々のリードを堪能したっぽい。

夜は植樹祭で干物パーティ。赤魚にホッケと烏賊。時々ソーセージ。

 

IMG_3528[干物は炭火で焼くに限る]

 

阿修羅

IMG_3538[kids限定課題]

 

翌日はゆっくり9時半から始動。皇帝岩で「ゔぉっく」の慢性疾患ぶりを確認して山形県エリアへ上がる。手頃なボルダーをソーメイと掃除しながら彼のトライを見守る。

ソーメイのレストの合間に阿修羅とファーストコンタクト。出だしのムーブがキツく、右手のポッケも痛い。体が重いこともあってモチベーションが上がらないが、何度かムーブを起こしていると徐々に好感触を得る。スラビスタからの助言で右手にテーピングを施し痛み対策もバッチリ。

すると、クラックマッチを一発で決め、そのまま上部クラック取りも成功。しかしそこから先を全く考えておらず手詰まりフォール。

 

ashura

 

その後は上部クラックまでは確実に到達、足位置を修正してポッケに迫る。だが、日当たりが良くなりクラックがヌメり始める。と思っていたら、ポッケ取りで左手がすっぽ抜けて盛大にフォール。マット外まで吹っ飛んだが、傾斜が衝撃を逃がしてくれて無傷。それにしても吹っ飛んだ。

スラビスタが「もう登れるじゃん、打ちなよ!」と言ってくれるが、腹が減ったので移動。

IMG_3542[謎のレスト体勢]

 

裂けた青空

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午後の部は「裂けた青空」へ。ちょうど一年ぶりの邂逅。久しぶりすぎてスタートでいきなり躓くが、最近触ったばかりのスラビスタのムーブをパクってスタート。相変わらずバランシーかつ緊張感高め。

手首が痛いのであまりカンテ沿いに行きたくないね〜と話しているとナイスなムーブを発見。体勢的にも緊張感が和らぐ。なんとなくカンテから逃げている感もするが、これはこれで面白いムーブだ。

カンテの角度が変わる部分まで到達するが、見上げると上部リップはまだ遥か彼方。アレを取りに行くにはもう少しメンタルを削る必要がありそう。

 

IMG_3593[最高点を更新したがまだ遠い]

 

おにぎりプロジェクト

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一方、ソーメイは岩小屋の隣のボルダーを掃除。彼の身長だと立派なハイボルダーである。「これ、僕が登れたら名前つけれるね!」と嬉々としているが黒本に10級として記載されていることは内緒である。

中央部から右上、スラブを抜けるラインでトライを始めるが、本格的に掃除が必要そうなので左にトラバースして直上するラインに変更。初手をハイステップで抜け、踏み替えてトラバースに入る。踏み替えに苦戦しているところ、足送りに変更するとピシャリとフィット。

 

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直上パートに入りフルリーチで左手を出すがその後も遠い。一緒にムーブを考え、左手送りを提案するが、「いいアイデアが浮かんだ!」と却下。閃きの右手デッドでガバをキャッチ。そのままトップアウトしてバラし完了。やるじゃないか。

そして繋げトライ。しかしヨレで初手が出せず。時間もないので次回に持ち越しとなった。黒本に掲載されてるとはいえこのラインは未登と思われるの是非初登してほしいもんだ。

 

IMG_3565[おにぎりプロジェクト(右抜け)]

 

秋がもうすぐそこまで – キキンバック5.11d FLASH –

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少しづつ秋の気配がする瑞牆へ行った。

最近は調子が良いのか、登りに行くとそれなりに成果がある。体のコンディションに加え、岩場のコンデションも申し分ない。

この季節がもっと続けばいいのだが、秋は短い。植樹祭に着くと予想以上に冷たい空気に驚かされる。迂闊にも用意しなかったアウターをウッチーパイセンから拝借してカサメリへ向かった。

 

軍艦岩

 コロッセオを抜け、初めて軍艦岩を訪れる。「ブラッド・ライン 5.12d」が引かれている尖ったラインが強烈にかっこいい。聞いた話によると核心は最後のマントルだとか。グレード的に歯が立つ相手ではないので、ちかま隊長と隣の11台で遊ぶ。

 

キキンバック5.11d FLASH

 
IMG_3450[あっさりMOSをこなすウッチーパイセン]

 
スラビーで繊細そうな「ゆびきりげんまん 5.11c」に比べてキキンバックは明確な印象。隊長が「ゆびきり」を選択したのであえて「キキン」を選択する。比較的得意系に見えることに加え、ウッチーのMOSトライを見ているのでこれはFLASH狙いで取り付く。

予想通りホールドは明確。部分的に悪くなるが、粘り強くホールドを探し打開してゆく。最上部の小ハング直下には、ご褒美のようなレストポイント。その先は核心が待ち受ける。まるでジムルートのような展開。焦らずパンプが抜けるのを待って、核心へ入る。甘いホールドを耐えてなんとかトップアウト。FLASHグレードを更新。

立て続けにカサメリで成果が出ているが、正直このエリアで成果が出るのはもっと先になると思っていた。しかもFLASHグレード更新とは。やはり岩のコンディションが抜群なのだろうか。

その後、「レマンサル」から遥々遊びにきてくれたH山さんと談笑しつつ「ブラッド・ライン」をお触り。ウッチーがするすると高度を上げていたパートですらテンション無しには抜けられない。最後の核心に至っては突破のイメージすらわかない。そして、けっこう怖い。たった1トライで激しく消耗する。うむ、まだまだ歯が立たないようである。

隊長とトモコさんの「ゆびきり」トライをビレイし、「金のわらじ」に移動。

 

口説けなかったけど脈はあるようだ

 
kinnowaraji

 
前回のトライでムーブは解決済み。あとは繋げるだけの「金のわらじ 5.12a」。

例えるならそう、金のわらじを履いて、年上の女房を見つけたんだけど、口説けなかった、みたいな状態。私はいつまで寸止めされるのでしょうか。

そして、告白タイム一回目。本気シューズNEXXOで向かうが、やっぱスラブには向かないね、この靴。そして核心部でカチを取り損ね、粘ったがフォール。地味に「ブラッド・ライン」のダメージを感じる。血を失いすぎたらしい。

続いて、告白タイム二回目。今度は定番ソリューション。やっぱ花崗岩でこの手の傾斜には最適。核心のカチを止め、クリップもスムーズ。このままいくぜーと思ったところで猛烈にパンプ&ヨレ。隊長が雑なムーブを察して「慎重にーーー!」と応援してくれたが悲しいかな上部のガバを保持できずフォール。っっくっそーーーーーー。

他の課題でヨレたあんたを相手するほど安い女じゃないのよ、的な。すいません、誠意がたりなかったっす。










っお高くとまりやがってっっ

 

 

そして年上の女房は見つかったか?

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結論から先に述べると、見つけることはできた。しかし、口説き落とすことはできなかった。足りなかったのはクライミング能力か、甲斐性か。

 

ゾウリムシ 5.11a RP

お目当て「金のわらじ 5.12a」に隣接する「ゾウリムシ 5.11a」でアップ兼ドロー設置。ちなみにこの二本が引かれている石塔の名は姐御岩(もちろん未婚。そうだろう?)。「草履」は「草鞋」に掛けていると考えるのが自然だ。命名者のスキルフルなフローには脱帽である。

実は「ゾウリムシ 5.11a」は既に3try目。前回は降雨のため敗退してしまった。サクッとマスターで登り、調子よく「金のわらじ」を探る構えである。

しかし、中間部のムーブを失念し、あっさりテンション。先日「ボルドー」&「漁師の娘」を2撃した勢いはどこに行ったのだろうか。気を取り直してムーブを再チェック。2回目で無事RP。

 

金のわらじ 初トライ

そして漸く本命課題にトライ開始。出だしのスラブが地味に悪そうだと警戒していたが、登ってみると意外にムーブが楽しい。しかしハング直下から3クリップ目までのランナウトがメンタルを削る。なんとかクリップをこなし核心部へ。遠いと聞いていたホールドを探すが予想を上回る遠さ。粘る間もなくパンプによりテンション。

しばし前腕を休ませムーブ解析開始。ハング左下部付近に何やらホールドは存在するが、こいつらを保持できる気がしない。万一保持したとして、そこから遠い一手を放つのは絶望的だ。更にハング直下という性格上、ハングドックから壁に戻るのが一苦労。あっという間に体力を奪われる。

一通り傾斜回避ムーブを探ってみたところで、肚をくくって真っ向勝負にシフト。足位置を調整し強引に体をあげると、何やら手が届きそうな雰囲気。

気合い一発、左手を放つ。だが甘い。何とか耐えて更にもう一発。かろうじてハングを抜けたが、今度は右手の寄せが非常に厳しい。強引に寄せてはみたが繋げては出せるムーブではない。間違いなく最適化が必要だが、核心突破は初日の成果として十分。早めに切り上げて久しぶりに植樹祭でキャンプ。

 

お洒落ムーブは金の草鞋を履いてでも探せ

翌日、ゆっくり起きて「金のわらじ」二日目。前日1try目で核心を突破したこともあり「ひょっとしてRPできるんじゃね?」などと淡い期待を抱く。

しかし本日1try目、スラブで迷う。様式美のようなお約束パターン。無駄に消耗したままクリップにまごつき、核心突破できず。核心ムーブの足位置を確認し未着手のパートへ突入。

抜け口から5クリップ目までをヒールやら水平フラッギング、トウフック等々を駆使して突破。核心部が真っ向勝負なのに対してこちらは小技系。ヒールに乗り込むのが多数派と思われるが、足技を多用するムーブはやっぱ押さえとかないとね!

その後、「ゾウリムシ」と共有するホールドをできるだけ避けつつ最上部へ。最後の乗っ越しもヨレてると非常にキツい。

 

3テン・トップアウト

長いレストを挟んで本日2try目。指皮が既に消耗しているが登り出せば無視できる程度。ハング直下に到達するが呼吸が荒い。若干最適化されたハング直下を抜け、3クリップ目をこなし核心へ入る。吠えながら左手を突き出し上部のホールドを捉える。しかし右手を寄せる余力はもうなかった。

その後、右手寄せの画期的な足位置を見いだし、抜け口のムーブとの連携も向上。中間部、上部でテンションを入れつつトップアウト。着々とムーブが洗練されていくが指皮と体幹が売り切れで回収。金のわらじ2daysは幕を閉じた。

次回完登できるかと問われると、可能性はありそう。しかし、もう少し時間をかけてじっくり登ってもいいんじゃないかなーと思える良課題に出会えました。姐さん、マジパねえっす。

秋の大収穫祭 ボルドー5.12a

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待ちに待ったシーズン到来ですが、種も蒔いてないのに大収穫がありました。全面的にスーパー・ハーベストクライマー、つよぽんパイセンのお力添えがあってこそですが、とにかく幸先いいのでご報告。ちなみに上の写真はベニテングタケ。スーパーキノコみたいだけど毒キノコです。

 

志賀ランド

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カサメリ沢を渡って普段とは逆方向の左手下流へ向かう。初めて訪れるが、ここも魅力的な岩が豊富。5分とかからず、本日のお目当て「ボルドー5.12a」に到着。予想より傾斜が強く、登攀意欲が一気に上昇する。

つよぽんパイセンが「何はともあれ前情報なしにOSトライすべし」と猛烈に推すので言われるがまま突撃。もちろんマスタースタイルである。スタートから第一バンドまでは快適なガバが続くが、第二バンドへ直上するあたりから一気にホールドが細かくなる。あれやこれやとムーブを試みるが謎が解けず、粘りに粘ってテンション。OSトライは幕を閉じた。

その後、それっぽいムーブを探り当てるがどうも厳しすぎる。とうとうパイセンに教えを請うと、「今のムーブで登る人もいるよ」と前置きしつつ神ムーブを伝授。目から鱗なシンプルムーブだった。これは初見では見つけらんないっす。少なくとも今の実力では。

その後はテンション入れながらムーブとホールド探し。なんとか第二核心まで進む。しかしここでも謎多きムーブに四苦八苦。カンテを抱え込んでみたりカチを刻んでみたりヒールフックしてみたり。どうやらカンテが正解のようだが最終カチが遠い。つよぽんパイセンも固まっていないとのことでバトンタッチ。

 

更なる神ムーブ

「まだ固まってないけどRP狙いでいくよ」と宣言してパイセンがトライ開始。宣言どおり圧倒的安定感と気迫で一気に第二核心直下へ。しっかりレストしていざ突撃。最終カチを捉えた、と思ったが惜しくもフォール。RPをほぼ確信していただけに非常に惜しい。だがまた本日一便目。じっくりと第二核心を錬る。

そして、最後の鍵となるムーブをカンテに見いだす。ちなみにこのムーブの有効性は身長によって大きく左右されるだろう。幸い我々は身長、リーチともにほぼ同じ。またしても神ムーブを授かる。

 

ボルドー 5.12a RP

そして2try目。リラックスして第一バンドまで上がる。軽くシェイクを挟んで第一核心の薄ピンチを保持。ゆったりとタメを作ってスローパー、カチへとムーブを繋ぎ、よどみなく第二バンドに到達し3ピン目をクリップ。パンプは感じない。呼吸も一定のリズムを刻んでいる。悪くない流れだ。

軽くレストを入れ、流れを断たないように第三バンドへ上がる。4ピン目をクリップし、ほぼパーフェクトで第二核心直下へ達する。一瞬、この流れのまま行こうかと考えがよぎるが焦らずレストを挟む。

左カンテで十分にレストした後、いよいよ核心に挑む。甘いカンテを保持して体を上げる。カンテをはたきながら抱え込み、更に体をあげる。そのまま一気に最終カチを取る予定が距離が足りない。思わず薄カチを刻み、もう一度カンテをはたいた。しかし刻んだカチが仇となり、バランスが崩れ手が出ない。

完全に硬直していると、つよぽんパイセンが「届くよー!」とPUSH。2try目の高度としては既に上出来。落ちてもいいからムーブを出そうと左手をビクトリーカチへ放った。フリクションが良かったのか、カンテとのバランスが良かったのか。果たして左手は不思議なほどビタリと止まった。

パイセンの「まじで !? 2撃じゃん !!」に祝福されながら必死の形相で乗っ越し。イージーなはずのムーブを吠えながらこなして終了点へ。

 

 
ワンデイで登れたら快挙と思っていたカサメリの5.12aがまさかの2撃という事態にしばし呆然。パイセンアドバイスがなければ2,3日は費やしただろう。花崗岩マジックの効いた良ルートでした。

その後、つよぽんパイセンは「プレッシャーだよ〜」と言いつつ危なげなくRP。二人で気分良く志賀ランドを後にした。

 

漁師の娘 5.11c RP

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予想外に早くボルドーが登れたので、次なるターゲットに「漁師の娘」をトライ。悪そうな印象を抱いていたが、改めてオブザベーションしてみると意外とポジティブな雰囲気。早速マスタートライを開始。

予想通り快適なホールドが続き、核心へ。やや遠いカチを捉え、右手を寄せる。あわやOSと期待したが寄せた右手が甘く、躊躇してるうちにパンプ。残念ながらワンテンとなった。

核心のムーブを修正して、つよぽんパイセンとバトンタッチ。ここでもリーチが同じ利点を生かしてムーブを共有、サクサクと高度を稼ぐパイセン。しかし柔軟性は個人差が大きかったか、やや股裂き状態。それでもアッサリと核心をマッチして突破。見事に一撃。続いて僕も2撃でRP。

 

 
リーチによって大きくグレードが異なり、身長170cm以上なら非常に登りやすい5.11cになるだろうと意見が一致する。

 

朱雀 5.11a ワンテン

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〆にヤバそうなスラブで始まる朱雀にトライ。案の定出だしがバランシーかつメンタル削り系。それっぽいムーブは発見したがヨレと湿度上昇のためワンテンで撤収となった。

最後の最後でスラブにはじかれるってところが花崗岩っぽいというかカサメリっぽい展開ですが、あまりある成果にホックホクの一日になりました。シーズン始まったばかりでこんな大収穫があるとどっかに大穴が待ち受けてるんじゃないかと不安になりますが、この調子でガッツリ登ってやろうと思います。

Colosseo

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前回、南西面のオランジュ岩でサンサンと照りつける太陽の下、ギャラクシアンのスラブにかじりつきながら僕は悟った。瑞牆と言えど夏は暑い。標高が高いとはいえ日照条件を無視するのは無謀である。この夏を我々はどう過ごすのか。快適な岩場、言葉にするのは簡単だが、現実には希有な物件だ。しかしコロッセオ、あそこなら涼しいはずだ!(行ったことないけど)そこに行けばきっと出会える!そう信じて我々は向かった。

二週間後、梅雨前線が南下するのを見届けて訪れたカサメリは、すでに真夏の様相を呈していた。

しっとり感抜群のコセロックでアップ。Mサカ氏と取り付いた「ネコのヒゲ 5.10b」でまさかのドハマり。コンディションが原因なのかまったく5.10bとは思えない。とりあえずトップアウトしてスズメ&634ペアがアップしている「白虎 5.10c」に合流。フリクション故か、いつより悪く感じるがやはり面白い。

IMG_2617[白虎を攀じるスズメちゃん]

 

コロッセオ

その後、日が高くなるのを避けるように北面のコロッセオに移動。「真実の口 5.10d」を偵察にいくと先客が居たので「オスティカ・アンティカ 5.11a」に鞍替え。

快適なトラバースパートを抜け核心部のイメージ通り突破するが、最後のクリップでフォール。マスターでなければオンサイトできた可能性は高いが実力不足でした。

 

コセ・ド・ドン

634君とMサカ氏がNDDを撃つ側でスズメちゃんと「コセ・ド・ドン 5.11c」に取り付く。長い系5.11cってことは上手くすれば一撃、最悪でも3tryだろうとタカをくくっていると極悪。核心部は甘いスローパーと乏しいフットホールドに加え、絶妙なクリップ配置で怖さMAX。

NDD、トップガンのギャラリーをしつつ、結局トップアウトに3tryもかかってしまいレッドポイントは次回となった。(しかし次回ちゃんとトライするかは全く謎)

 

オスティカ・アンティカ 5.11a RP

Mサカ&634ペアは我々が「コセ・ド・ドン 5.11c」にやられっぱなしになっている間もひたすらNDD。私とてNDDに興味がないわけではないが(むしろ興味津々)ここはグッと堪えて「オスティカ・アンティカ 5.11a」のレッドポイントに向かう。

前述の快適トラバースから核心部をスムーズに突破、最終クリップを掛ける。パンプでギリギリだが、次のムーブを出そうとフト足下をみた。するとシューズのベロクロが外れている。一瞬、心が折れそうになるが踏めないほどのホールドはないはず。気持ちを切り替えて苦し紛れの一手を耐え、続く一手も止めると漸くガバのお出迎え。強烈にタタラを踏みながら終了点にクリップ。めでたくレッドポイントを修めた。

ムーブが多彩でホールドも明確。やはりこの手のルートは楽しい。もう少しコンスタントに11が登れるようになりたいがそろそろ本気で打ち込む12も探したいところ。

帰りの車の中では疲れてるはずなのに、バカっ話で誰一人寝落ちすることなく帰京。みなさん本当にありがとうございました。

灼熱のギャラクシアン

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12時間ごとに言ってることがコロコロ変わる各種天気ヨホーを総合的にアナライズした結果、

瑞牆山
 ↓
中止
 ↓
沢はまだ寒いか?
 ↓
榛名黒岩どうでしょう
 ↓
30度だと!?
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瑞牆晴れてきたー

と、壮絶な堂々巡りの結果、一周して瑞牆山カサメリ沢に落着。先週に引き続いてセニョールタローと同じ山岳会のN氏。

 

きのこ 敗退

モツランドでアップがてら「きのこ 5.11d」を触る。どう見てもマントル課題なラインにリードクライミングとしてやる意味を見いだすのは難しい(個人的感想です)。

タロー君と盛大に指皮を消耗したあげく、早々に上部へ移動。前回登ったレイバック課題「白虎」を皆でトライ。3度目となると非常に快適。何度登っても楽しい。

IMG_2533[ミルクミルクでアップ]

 

ギャラクシアン 敗退

そしてピーカンのオランジュ岩に移動、ギャラクシアンを初トライ。序盤の前傾壁部分は明快なガバホールドの連続で非常に快適。思わず「これ、ほんとに5.12aあるんでしょうか」とか言ってしまうレベル。

しかし、中間部のラッペルステーションから事態は急変、いきなりホールドが乏しくなりパワー&バランシーなフェイスが出現。もれなく恐怖感付きだ。

更に雲ひとつない晴天から容赦なく太陽が照りつけ、指皮もシューズラバーもダレダレ。結局中間部でタロー君にバトンタッチ。

IMG_2549

 
珍しく(というか初めて)上裸で挑んだタロー君も快適な前傾壁部分を抜けたところで苦戦。灼熱の太陽が照りつける中、雄大な甲斐駒をバックに1ピンだけ前進してロワーダウン。気温が高すぎるので涼を求めて日陰の課題へ移動。

 

ボトレイアン 5.11a RP

日陰かつ簡単そうな見た目ってことで取り付くが、いきなりテンション。下から見るとポジティブな印象なのに実際に触ってみるとどれもビミョーなホールド。核心部もムーブを見つけるのに一苦労。

タロー君のあわやFLトライを見届けた後、2try目でなんとかRP。帰宅後、トポで確認したら「見た目は簡単そうだが決して侮れない」とか書いてある。まったくだよ!

 

ギャラクシアン 回収

IMG_2571[快適な下部]
 

ボトレイアンから戻ってくると既に4時半。急いでギャラクシアンの解析&ハングドッグ撮影。しかし既に指皮が売り切れているタロー君は前回以上の高度を稼げず、回収便に移行。あの手この手を駆使してなんとか回収を完遂。さすがアルパインクライマー。

IMG_2605[無慈悲な上部]

 
オランジュ、コートダジュール周辺の岩場は方角的に10月以降がよろしいようで。つーわけで次回はコロッセオかな。

青龍、白虎

IMG_2472

 

瑞牆山カサメリ沢コセロックの「青龍 5.10b」「白虎 5.10c」を登った。20m前後の快適なラインで、どちらとも左に体を開くレイバッック。左右逆のレイバックならもっと美しい2本となるが、さすがにそんな出来すぎたラインはないだろう。個人的にはスタート核心の「白虎」が登りやすかった。

それから、青龍5本目のボルトが緩んでいたので増締めしておきました。最近はモンキースパナを常に携帯しております。

 

IMG_2473[顕著なフレークが面白い]

 

 

プラチナムとポパイ

ワイフの「トラバント 5.9」解析をビレイした後、前回未回収のプラチナムへ移動。しかし、モツランドは湿度1000%。同じエリアでこれほどコンディションが違うのかっつーくらいのシミったれ模様。

とりあえずドロー設置とムーブ確認でプラチナムに取り付くがヌメる。極めつけはマントル。リップは日が当たってるはずなのに何故だ。

せっかくなのでポパイ偵察で継続。しかしこれは大きな戦略ミスとなった。どっかぶりを下部から真っ向勝負で抜け、上部の(一見)易しそうな部分に入るが、なんかボルトがゆるゆる。前述のスパナはあいにく地上だ。びびりながら次のボルトに到着するもこれも緩い。激しく後悔しながら終了点へ。その後、回収にも苦労させられヨレヨレ。

帰りの時間を気にしながらレストして2try目。ヌメりとヨレに耐えながら、なんとか最終クリップに到達。気力を振り絞って最後のシークエンスをこなし、気合いでリップをはたいた。

止まったと、そう思ったんですよ。

これが5月のフリクションなら、、、、いや、言うまい。

その後、最後のホールドを探るとカンテを回り込んだところにガバが。また、このパターン。次行った時はポパイと一緒に頂いてやるぜ(増締めも忘れません)