カテゴリー別アーカイブ: スポートルート

足ならし

冬の間は昇仙峡に篭っておりましたがシーズンも終わりが見えてきたので瑞牆マルチへ行ってきました。もちろんゲートはまだ開いていない。

ここ数年、12−3月はボルダーに集中してそれ以外はトラッドとかマルチというパターン。ちなみに今冬は大ハングに5日ほど通ったがまったく繋がるイメージが得られず。シャークティースがなんとか登れたのが救いだった。また来シーズンがんばりましょう。

というわけでマルちゃんと大面岩、左稜線。フリースを着て登り始めるが日が当たるところまで来ると半袖でも快適。ハイライトピッチの出だしで左からボルダーを巻くところをあえて強点をついて直登りする。このラインからだと10cくらいに感じた。ロープを伸ばせるだけ伸ばしてチムニーを抜けるところまで5ピッチ。約3時間で岩頭に抜けた。

下降後、パノラマックスに継続。1p目が5.10aとされてるが左稜線のスラブ最終ピッチの方が間違いなく難しいと思う。5.9が妥当なのでは。

前回一刀の後に2P目のクラックラインをトライしたので今回はRPを目指す。前回ほどヨレていないので核心までは比較的スムーズ。だが核心は手強い。ダブルチキンウイングというかなんと呼べばいいのかわからんムーブで抜ける。再現できるんかコレ、という気分にさせてくれる。

そしてダメ押しの抜け。これ5.11bに収まってないよね! とマルちゃんに同意を求めたが、右のフェイスラインをトライした彼曰く、「フェイスラインは同じようなムーブで上がってくるのでここだけ難しいとは感じなかった。ジャミングの後に出てくるから面喰らうのでは」ともっともらしい説を唱えていた。

足が痛いのでアナサジに履き替えて本日2try目。ダブルチキンウィング的な何かで核心と奮闘する。なんとか耐えてテラスに抜ける。先ほどのマル理論を信じて最後の抜けムーブをこなし岩頭に抜けた。

パノラマックスとしてはあと2pほどあるが、すでに大面岩にピークは踏んでいるのでここで終了。よい足ならしとなりました。

ギャラクシアン 12a RP

6年ぶりにギャラクシアンをトライした。

前回は真夏だったということもあるが、それ以上に花崗岩スキルが足りず、スラブに入るや否や完全にお手上げ。滝のような汗をかいてA0回収したのも今となっては良い思い出である。(もっとも大部分はパートナーの獅子奮迅の活躍による)

6年ぶりにトライすると前回見えなかったムーブやホールドが次々に見つかる。もしかすると前回の記憶を忘れてるだけかもしれないが、中間部のジャミングによる解決は成長の証だと主張したい。

そして長いだけのスラブとおもっていたこのルートが、実際には多彩な内容が詰まった珠玉の一本であることを知った。いったい6年前はどこを登っていたのだろう。

9月のトライではまだコンディションが悪く、いっしょにトライした雀ちゃんと日当たりがあーだこーだと会話した。縁があればチャンスは来るだろうと思って帰路についた。

2週間後、とくにギャラクシアンを狙うわけではなくカサメリ入り。壁を見上げると午前中は日陰に入るようでコンディションは良さそう。

とりあえず青龍を登って、これまた長いこと宿題の「朱雀 5.11a」を登る。2週間前とは比較にならないフリクションの良さに驚愕する。

オランジュに上がると雀ちゃんが既にギャラクシアンをトライしている。圧倒的な安定感を見せながら高度を稼ぐ。さっくり登って降りてくると開口一番「前回の5倍のフリクション」とのこと。まだ肚が据わっていないがこの時間帯を逃せば岩に陽が当たる。意を決して準備する。

結び変えボルトまで上がって第一核心へ。5倍のフリクションとやらは…ガセではなかった。異次元のスメアでどこでも踏めそうな雰囲気すらある。とか思っているとまさかの足スリップ。落ちたと思ったがなんなくリカバー。これが5倍ってやつなのか。そして中間部へ。おもむろにジャミングを差し込む。しかしフリクションが良すぎてスメアでもフツーに登れる。結局多少はジャムったもののほぼフェイスムーブで突破。成長の証は…またどこかで役に立つだろう。

そして上部。すこしずつ陽が差してきて眩しい。あと少しだが緊張感も高まる。上部核心に入るが前回のムーブがうろ覚え。落ちたくない一心で半分アドリブながら突破。最後の小ハングも記憶ほど悪くなくバタつきながらも抜ける。終了点の閉じないビナを自分のビナと交換して息が整うのを待った。

ゴンベイ4

締めに「てるやまもみじ 5.10」とこれまた長い宿題の「ゴンベイ4 5.11b」を登った。

しばらく会ってなかった友人と久しぶりに遊ぶような、そんな気がするカサメリ沢だった。

砂の塔

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2週間ぶりにカンマンボロン。前回ややミスったアプローチをきっちり修正し、「太陽の塔」の取り付きへドンピシャで到着。前日の雨の影響か下部は沢登り状態。砂のエリアを偵察しに行く。

コルまで上がり砂のエリアを望む。とてつもなくカッコイイ。このエリアは実に4年ぶり、基部から見上げた壁はよく乾いていた。

 

砂の塔 5.12a

できる範囲でアップを済ませてOSトライ。下部はボロボロと脆い。まさに砂。大きなガバがミシミシいってる。気がする。たぶん気のせい。ポジティブなホールドをつなぎ高度を上げていく。進めば進むほど岩は硬くなっていく。

傾斜を喰らい始めるあたりでホールドも細かくなってくる。しばしラインを読む。何度か行きつ戻りつを繰り返し突破。そして核心。ブランクセクションに見えた部分は果たして…何もなかった。

詰んだ。と思っていると下から「出せー!」コール。出した。落ちた。

いくつかムーブを試して核心を超える。上部は気持ちよい凹角を辿って終了点まで。核心のムーブは割りと好きなタイプ。

スズメちゃんのビレイを挟んで2トライ目。

さっきよりミシミシいってる気がする。レストポイントで呼吸と意識を整え、核心に入る。片足が切れるがすぐに足を拾う。そして手を寄せ…られない。典型的なテンションムーブだったらしい。一気に次のホールドへ、ブランクセクションに入る。腰が落ちてるが全力で粘る。

ギリギリで届いた。上部でムダに吠えまくった。2トライで登れたのはとても嬉しい。

ボロンボロン 5.11c

4年前にヨレてA0回収した思い出のルート。改めて登ってみると、どこでA0したのか逆にわからなくなった。不思議なこともあるもんだ。

4年前より強くなったかは正直わからない。多分あまり変わってないだろう。ただ、上手くなったような気はする。もっと上手くなりたい。

クラック 11b

ほどよくヨレたので太陽のエリアにあるクラックへS兄貴と移動。7mくらいのシンハンド〜フィンガーサイズ。手はなんとかできるが足が痛い。それも親指の爪。クラックの時はアナサジレースを使ってるが兄貴曰く、それじゃあ痛いだろうとのこと。靴はいまだに悩みのタネだ。

クラックセッションでヨレヨレになったところで砂のエリアへ戻ると、山ちゃんのRPトライ。
コルを登り返し、対面から撮影。素晴らしいトライが撮れた。

太陽の登 1st Pitch

近況報告

5億年ぶりにブログを更新しようと思ったらプラグインエラーとか出ちゃってて、よし、Wordpressは捨ててhugoとかstatic-gen系に乗り換えてやるぜと決心しました。んで、30分くらいリサーチしてたらめんどくさくなってきたので、シレッとプラグインを削除してWordpressに戻ってきてイマココ。

1月ごろは自分史上最高のチムニー?課題が登れました。ロケーション、ムーブともに”胎内くぐり”そのものだと感じたので子育て・子授かりで下田にゆかりのある伊古奈の名をいただきました。こじつけだけど。

そのあと、城山のFateをバタつきながらも2tryでのぼりました。

この手のかぶったルートを動画でみかえすと我ながら下手すぎると思いました。どの辺が”崩れている”のか有識者の意見が欲しいところであります。

COVID-19

そして、そうこうする間に自粛と緊急事態宣言で岩場にもジムにもいけない日々に突入。しょうがないので鉄棒やってたら、マッスルアップができるようになってた。

ひとつ明確にしておこうと思いますが、この期間に登りにいった人も行かなかった人にも、自分は肯定したい気持ちが強い。まだうまく説明できないが、何かで読んだ「俺は俺のやりかたでやる、君は君のやりかたでやれ」がやけに沁みる。

*開け

というわで「*(アスタリスク)開け」は瑞牆へ行った。それも屈指のマイナーエリアでワイドやらハンドやら。

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復帰一本目のワイド。良いスクイーズチムニーだった

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そして数年ぶりのカンマンボロン

カンマンボロン、大面、末端あたりは取り付きからして雰囲気が違っていて、そりゃあ雨の侵食でさえも梵字と言いたくなるよなと思う。

今回はスズメ&MSMと「太陽の登」をセッション。3回フォールしたら交代というグラウンドアップというかヨーヨースタイルをさらに大甘にしたような高回転スキームで各自高度を上げていく。正直取り付きからではクソ簡単に見えたのだが、実際には厳しい核心とその後も気の抜けないムーブが続く秀逸な構成。

2トライ目でトップアウトし、3トライ目でレッドポイントすることができた。

3トライ目で登りきったことも嬉しかったが、2トライ目で核心後の際どいムーブをマスターで落ちずに抜けきったこともよかった。花崗岩は最高すぎる。

ムーブメモ

雨月

  • 右手右足で手に足クロスヒール
  • 右手、悪いカチを刻む
  • 左手、さらに悪いフレークカチを保持って右足に乗り込んでいく
  • 左手、甘いカンテ状を抑える
  • さらに右足に乗り込めば多分リップに届く

熊岩フィンガークラック10c

  • 小ハングまではエイリアン黄、緑、ナッツ
  • 小ハングアンダーにC4#.4が決まるが回収注意
  • レイバック気味に上がる
  • ハンドサイズからはクラック右を利用
  • 上部はレイバックで快適に抜けられる(はず)

セルベッサ

下部ハング

  • テラスから左手インカットカチ、右手たるいカチでトラバース
  • 左手、薄いピンチホールド
  • 右手、やや高いサイドアンダーから足あげて左手カチへ
  • 左手、飛ばしでガバ
  • 右足、ハイステップから右手、サイドガバ
  • クリップ
  • 足位置調整して左手、ピンチポッケ
  • 左手、飛ばしてスローパ。スローパ上部の窪みに2&3番指を効かせる
  • 腰を落として右手、ピンチポッケへ寄せ(悪い。もっといいムーブあるかも)
  • 左手、ガストンカチ。右手、一気に上部ガバ
  • ハング左側の良いホールドでクリップ

上部ハング(うろ覚え)

  • ハング最下部のガバでクリップ
  • 戻ってレスト
  • 再びハング最下部のガバ
  • 左手、サイドガバ。足位置調整
  • 右手、アンダーポッケ中継(中継しないほうがいいかも
  • 右手、ガバ上部までデッド。左手マッチ。足位置調整
  • 左手、遠いリップ直下のガバへデッド
  • あとはよしなに

下部ハングは1try目にhangdogで解決。最適化の余地はあるだろうな。上部を探らずRPトライに挑むと、予想以上に遠くて撃沈。個人的には未知の要素を少しでも残したいのでこの判断は支持したい。あえて江戸川橋的な表現をしてみると下部ハングは◯ッシー課題で、上部ハングは岩◯課題な塩梅。また行きたい。

B1ハング

  • ハング下 C4#1
  • ハング上スリット Nシルバー
  • ハング上ガバ上部 エイリアン黄色
  • 確信手前のカチピンチ上スリット Nゴールド
  • 右手甘いかち、左足ハイステップ、右手クラック、右足クロスステップ、右腰つけて立ち上がる、左手カチ、右手ガバ

鷹見岩南山稜

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カサEさんと鷹見岩南山稜を登った。当初は鷹見岩ー大日岩ー五丈岩をオープンビバーグを交えて継続する、という野心的なプランだったが天気やらなんやらで日帰りにダウンサイジング。とは言え山っぽいクライミングができてめっちゃよかった。

 

アプローチ

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瑞牆山荘から富士見平小屋を経て鷹見岩分岐まで。およそ1時間。カンマンボロン、大面岩、小面岩を真南から望む。新鮮なアングル。

鷹見岩のコルから右斜面に下る想定だが、不明瞭なので偵察。鷹見岩岩頭までハイクアップして他に選択肢がなさそうなので、コルから右斜面に降る。100m-200m下った辺りでケルンを確認。確信を得て進む。一般登山者の道迷いを防ぐため、あえて分岐付近は不明瞭にしてるのかな?

 

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取り付きの洞窟まで予想より下りが長い。およそ40分。トレースが薄くなるとケルンが現れるので迷うことはなさそう。

 

1ピッチ 5.10

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11:20から登攀開始。カサEリードでスタート。洞窟内は湿っぽいが濡れてはいない。おそらくコンディションは良さげ。1ピッチ目としては辛そうなムーブを抜けていく。

フォローはこれまた大変。バックパックが挟まって身動きがとれない。心拍数急上昇。終了点への胎内くぐりを土下座ムーブで抜ける個性的なピッチだった。

 

2ピッチ 5.10

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空へと続くような凹角ハンドクラックをパワフルに登っていく。めちゃくちゃ快適…と思っていると、おや?カム少なくないスか?振り返ると遥か足元にちょっと多めにカムが決まっている。残り4-5m。クライムダウンできなくもないが危うい。余った#3を真横にゴリ押しで決め、なけなしの#0.4を慎重にセット。ガバとはいえ緊張感のあるランナウトをこなす。

小テラスに這い上がりほっとするのも束の間、その先のスラブも手強い。むしろグレードはスラブにつけられている気がする。体感5.10bから5.10cかな。もっといいムーブがあるのかもしれない。なんとか押し切ってOSを達成。

このピッチだけでも十分な価値がある三つ星ピッチだった。控えめに言って最高。

 

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photo by kasai

 

3ピッチ 5.8

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脆い出だしから張り出したアンダークラックをたどる。簡単だけどこれまたバックパックがつっかえる。

 

4ピッチ 5.7

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簡単なチムニーを超えて岩綾歩き。このピッチはコンテで通過。右手に大日岩を望む。

 

5ピッチ 5.10-

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ハイライトとなるピッチ。序盤のトラバースでまごつくがとりあえず抜ける。チムニーを渡ってからは快適。最後のワンポイントがバランシーで面白い。壁が寝ているので高度感はあまり感じなかった。

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5,6ピッチ全景

 

6ピッチ 5.10-

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

photo by kasai

 

最終ピッチ。雨雲に焦りつつスタート。絶妙な感覚でホールドがつながっていく。ボルトがなかったら相当頭を使っただろう。ルートファインディングが楽しいピッチだった。雨に降られることもなく一坪テラスへ。

[追記] インシデントレポート

このピッチで1ピン目のドローが脱落した(上記写真でドローのかかっていないハンガーが確認できる)。
原因は以下と考えられる。

  • ドローを上下逆に設置したため、ハンガー側のビナが回転防止ラバー付きだった
  • トラーバースによるロープの流れでドローが回転
  • 2ピン目クリップ時のたぐりよせでゲートがハンガーに接触して脱落

2ピン目でたぐり落ちた場合、スラブとはいえ墜落係数は1を超える。重大事故となったかもしれない。
改善策は以下。

  • ドローをギアラックにセットする際、上下確認を行う
  • ドローをハンガーにセットする際、上下確認を行う

特にギアラックにセットするときはあまり意識していない気もする。ダブルチェックが好ましいが現実的にどこまでできるか…

badclipドローが上下逆にセットされている

 

7ピッチ 5.10(?)

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photo by kasai

 

おまけその1。岩綾歩きを経て10mほどの垂壁に出る。トポに書かれているラインを雑に探して取り付く。脆い凹角から薄被りへ…薄被りとか書いてたっけ?

剥離しそうなホールドをテストしながら抜けていく。思ったより傾斜を食らう。被りを抜けると多少安定するが表面の粒子は相変わらずボロボロ。抜けが読めないが#2を決めて突っ込む。登れてよかった。

 

8ピッチ 5.8

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おまけその2。更に岩綾歩きを経てヘッドウォール(と呼んでみたい)直下の左上クラック。抜けると正に岩頭。気持ちよいフィナーレを迎える。

 

Stats

  • 瑞牆 山荘 8:40
  • 鷹見岩分岐 9:45
  • 下降 開始 10:20
  • 取り 付き 11:00
  • 登攀 開始 11:20
  • 一坪テラス 15:10
  • 鷹見岩岩頭 16:30

 

錫杖岳前衛壁

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錫杖岳デビューしてきました。パートナーはおなじみS兄貴。ルートは「黄道光」。北アルプスってことで森林限界を超えた場所でのクライミングを妄想していたのは内緒だ。(行ってみると樹林帯)

 

1P目

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左方カンテのルンゼからアプローチ。アップを意識して大きな動きでルンゼを上がる。荷物がやや重い。

黄道光は薄かぶりのボルトルートで始まる。グレードは5.11a、簡単ではないがオンサイト圏内である。しっかりオブザベーションしてから取り付く。ムーブがピシャリとはまってハング部を突破、ひゃっはーと雄叫びをあげる。てっきり核心部を超えたと思ったらそこからのムーブも一癖あって楽しかった。

なお、後述するが荷物は「やや」ではなく「わりと」重かった。

 

2P目 サンシャインクラック

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続いくハイライトピッチはフォローで上がる。クラックの表面はエッジが鋭い。スッパリ切れた安山岩クラックをイメージしていたが意外と荒々しい。日差しも強まってホールドが滑り、ロープはキンクして上がっていかない。こいつは辛えーと悶えてるとクラックから剥がされしまった。

木登りを交えてなんとか突破。松ヤニで手がべたつく。ワイルドな展開にアドレナリンがマシマシ。

小テラスで交代してリード。ボルトとカムを交えて抜ける。疲労からしょっぱいテンションが入ってしまった。

 

3P目

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最終ピッチ。壁が広い。上部にそびえるハング帯が遠く感じる。下部はボルトが多いので間引きつつ進む。面白いフェイスムーブが続き、快適に高度を上げたところでボルトが途絶える。しばし悩むが直上にハンガーのないボルトが見えた。

#0.5をアンダーに決め数手進む。砕けそうなホールドをスタティックに捉えて祈るようにムーブを起こすと、パキっと剥がれた。スラブフェイスを蹴るようにしてフォール、右臀部をぶつける。

その後、横にクラックがあったことを知る。クラック部のムーブもジャミング一辺倒ではなく変化があって面白い。しかし岩の形状ではなくボルトを追いかけてしまったことが悔しい。テンションを交えながら抜けるが消耗が激しく、終了点についたときは汗だくだった。

ハングを抜けたところで「黄道光」のラインは終わり、その先は北沢デラックスの最終ピッチが続く。正直この場所で終わるのは中途半端な感が否めない。釈然としないも下降を開始。壮絶なロープドラッグと格闘する。

 

軽量化

といわけで荷物が「ほんのちょっと」重かった。どれくらかっつーと5-6kgは確実にあったと思う。ひょっとすると8kgあったかもしれない。さすがに10kgはなかった…と思いたい。

「それ、登る前に気付けるでしょ」って話なんですが、左方カンテルンゼはアルパイン的なので荷物が重くても許容できちゃうんですよね。もちろん「重いな〜」と思ったが特に危機感はなく、「なんとなく違和感がある」くらいの感覚。 でも考えるべきは5.11aから先の行程で、そうすると明らかに重すぎた。

違和感があったということはアラートがあがっていたということ。なのに「気にしすぎ」と無視してしまった。ささいな違和感でも言葉にすれば問題意識が生まれて対応できたかもしれない。今後は積極的に言葉にしていきたい。

ギア周りは毎度難しい。今回はモカシムオンサイトとジーニアスという二足体制だったが、クライミングの内容的にはモカシム一足で対応可能だった。結果論に過ぎないと言われるとその通りだが、グレード、岩質、傾斜を含めて考えれば「ありえる選択肢」だったんじゃないかな。

カムに関しては#4を追加したが結局使わなかった。「どっかで使いたくなるかも」で持っていくことが多いが、そういうシチュエーションって実はあまりない。むしろレアケースな気がする。

もちろん安全性とのせめぎ合いなので簡単に答えは出ない。しかしPASをやめてメインロープでのセルフビレイに切り替えたように、シンプルなほどクライミングは楽しい。

 

ロープドラッグ

三回の懸垂の内、二回でロープドラッグ。ドラッグここに極まれリ。しかも最後は空中懸垂からユマーリングで脱出という壮絶な展開。とはいえ個人的にはいい経験になった。時間はかかったが安全にリカバリーできたんじゃないかと。久しぶりに作ったヌンチャクアブミも悪くなかった。いちばん成長を感じられたのはこの瞬間だったかもしれない。

だが、このトラブルも荷物の件同様に2P目をフォローした段階で予期できたはずだ。扇テラスでロープを整理すれば回避出来た可能性は高い。後続が来ていたこともあって先を急ごうとする心理が働いてしまった。

ちなみに後続は激強ソロクライマーだった。惚れる。

 

何を登るのか

色々と反省点やトラブルがあったが、残念極まりないのが3P目で直上してしまったことだ。

こういう岩場に来てボルトを追ってしまったのが実にショボイ。もっとよく観察すればクラックの存在に気づけたはずだ。できる限りトポや他者の情報に頼らず、自分の目と判断で登りたいと思っていた。しかし結局のところ、誰かが埋めたボルトを頼りに登ってしまった。これをダサいと言わずして何と言えよう。

ホールドが欠けたのは「もっと岩をよく見ろ」という黄道光からのメッセージだったかもしれない。

ぶつけた尻は当分癒えそうにないぜ。

超最高露府

15007539_2147749785450311_1183085046_o[photo by satoshi hirayama]

 

SAT6師匠と昨年春以来のチョーサイコールーフへ行った。花崗岩らしからぬルーフは相変わらず立派でまさに天井。といっても僕の狙いはあくまでも下部の5.11cなんだけどね。匠はもちろんフルバージョンの5.12c狙いである。

 

錦秋トラベルチャンス 5.10d RP

見るからに花崗岩エッセンスを濃縮還元したかのようなルートでアップ。「これは是非マスターで行くべきだよ」とSAT6師匠が猛烈プッシュするので気合いを入れてスタート。予想どおり出だしからペタシなマントル。そしてステミングなハイステップ、向きの悪いフレーク、遠いフットホールドとアップにしては要求度が高い。寒さを理由にモカシム&靴下で取りついたことを後悔するが後の祭り。下部でスリップしてフォール。しょっぱい。

そのまま上部へ抜けてハング越え。ここの「試されてる感」は秀逸の一言。終了点までのランナウトも初登者の心意気を感じさせる。ロワーダウンして2回目で完登。技術的にも精神的にも花崗岩っつーか瑞牆らしさが抜群だった。次はマスターでRPしたい。

 

チョーサイコールーフ

そして今日の本命ルートにマスターで取りつく。下部は以前にトライしているのでシビアな足使いとリーチフルな核心部が印象に残っている。しかし細かな足位置は記憶になく、案の定下部でテンション。そのままルーフ直下まで抜けて本題の上部に入る。と、思ったよりもガバで快適。ヒールフックやらトウフックやら盛大にジムナスティックムーブを連発してテンション交えつつリップまで。

そして核心の抜け。瑞牆本では左から抜けるとあるが直上部に良さげな凹凸があるじゃないか。ものは試しとはたいてみるが…激甘。何度かムーブを探ってみるが慣れないルーフハングドックはぶら下がってるだけで疲れる。前傾壁とはひと味違う疲労感は腹筋やハムストリングに顕著。ポンピングによる指皮消耗も激しい。そして背後の空間が広いというのもジワジワくる。ランナウトなスラブやフェイスとはまた違った緊張感。一旦ロワーダウンしてレスト。

匠は絶妙なフットワークで下部をスルスルと抜けルーフ直下へ。ノーハンドレストを入れてルーフに突入。下から見ていると「あんなところに足あったかしら」だが安定して繋げていく。クリップがムーブと連携していていかにも疲れなさそう。スムースに抜け口をこなし残り1,2手というところで滑ってフォール。めっちゃ悔しがりながら降りてきてレスト。

大レストを挟んで2トライ目、右上パートを色々試しながら結局初期ムーブで突破。ひとまず5.11cは登れたーと思ってたら核心部で手の位置を間違えてフォール。ほんとしょっぱい。そのまま上部まで進んでルーフ抜けを探る。カンテとフレークを挟み込んでデッドするのが比較的良さげ。しかしその後に控える匠直伝の鬼ピンチや甘々ガストンとは真っ向勝負しかなさそう。今一度ダイレクトラインも探ってみるがやっぱねーなと諦める。既にヨレヨレだが気合いで抜け口を突破しマントルへ。ロープがクソ重いので堪らずボルトを踏む。そこから先も最終クリップが実に合理的(つまり遠い)。出し切ってトップアウト。

 

サイコールーフ下部 5.11c RP

もうヨレヨレだがせめて下部は完登しておこうと最終トライ。色々悩んだが右上パートは初期ムーブを採用。すると小さな発見があり劇的に負荷軽減。もっと早く気付けよって話だがそのまま核心もこなして無事完登。そしてルーフ直下でレスト。ノーハンドであるがやや股関節が疲れる。ゆっくりと呼吸を整えルーフに突入。比較的スムースに繋ぐが抜け口のクリップにまごつき盛大に消耗。強引に突っ込みピンチを掴んで乗り込む。右手を寄せてきてリップに手を伸ばしてフォール。まあ今の実力じゃここまでかな。くたくたになってロワー。

匠はなんとスタティックに抜け口をこなして見事RP。回収作業も高所作業者かしらってくらいこなれていた。いやー勉強になりますねぇ。

 

所感

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今シーズンの瑞牆ルートはこれが最後になりそうだけど、いいトライができたし色々と勉強にもなりました。

帰りは渋滞回避で下道。尚、MT車なので運転は完全にSAT6師匠にお任せ(猛省)。しかし運転が上手いのなんの。ワイディングをいいペースで抜けていくのに横Gが少ない。「え、その侵入速度で突っ込むんですか」と思うがまったくロールしない。コーナーの侵入角度がいいのかクリッピングポイントを抜群に捉えて抜けていく。クライミングのスムースさと関連付けるのはこじつけだろうか…

デザートソング

desertsong

 

初めて「デザートソング 5.12a」をトライしたのは3年前くらいで、「大五郎 5.11a」をRPした日のことだった。「トライ」したと言っていいのか怪しいくらい何もできなかったと記憶している。「大五郎」のダメージを言い訳にしたが、細かい足置きや磨かれた石灰岩への対応、高さへの恐怖心、ムーブの引き出しのなさ、およそ思いつく全ての要素が足りず1クリップ目で音を上げたのだった。

その後、瑞牆を始めとする花崗岩ボルダーに魅了されると同時に、フリクションとは無縁のような河又には厭なイメージばかりが重なっていった。

しかし先日、3年ぶりにトライした「デザートソング」はあっさりとムーブが解決し、最初の本気トライで核心を超えるに至った。核心のスローパーはデュアルテクスチャかよってくらいにツルツルだったが怯むこともなく、高さやクリップへの不安もなかった。むしろケミカルボルトのおかげで安心感が勝った。

ボルダーやルート、トラッドやマルチなど、色々なクライミングに取り組んだ成果だろうか。3年という時間の重みを感じた。

 

湿度90%

天気予報では晴れ間も見えるとのことだったが、名栗の山間は霧が立ち込めててジットリ。お約束のような展開をミケちゃんとボヤく。軽くアップしてドローセット。厳しいムーブはほぼ無いが終盤の一手にやや不安が残る。足位置を確認して本気トライに備える。

その後、ミケちゃんの「モスグレイハンド」ドローセットをビレイ。核心をあっさり抜け、そのまま完登しそうな雰囲気だが焦らずムーブ確認に徹する。本人曰く「またチョークアップわすれてたー!」ってことでまだリードにはちょっと緊張気味。確かに呼吸が浅いような気もする。

で、早々に本気トライ開始。順調に核心に進むが左手が滑る。なんとか突破するがギリギリ。荒い息を整えて後半に突入。懸念事項だった一手を強引にデッドで止めるも予定外の足切れ。最終クリップをこなし残り2手と迫るが頭からムーブがすっ飛んで何故か正体ハイステップで突っ込む。んごーとフォール。はい、しょっぱい。他人にアドバイスする前に自分のクライミングを改善しろってことですよね。

 

最適化

というわけで久しぶりにガッツリハングドック、丹念にムーブを探ることにした。2015年の秋シーズンからオンサイトやグランドアップ、ミニマムトライに拘って、時には「手垢にまみれたムーブで登って嬉しいのか?」とまで言ったり言わなかったりしていたがここで宗旨替え。

するとまー楽しいのなんの。微妙なフットホールドの調整でホールドがぐんぐん近くなる。チョックーアップのタイミングやムーブの緩急など繊細な微調整を積み重ねた結果、飛躍的に完成度が高まる。ホールディングに関しては新たな発見はなかったが、全体の流れや些細な足位置を探求するのは本当に楽しかった。

そしてミケちゃんの「モスグレイハンド」完登を見とどけて本日2回目のトライ。チョークアップから核心のシークエンスを一気につなげレストポイントへ。ムーブはスムーズだったが前回トライの疲労もあってより一層息が荒い。ゆっくりとシェイクを入れ後半に突入。件の一手をスタティックに止め最終クリップをこなす。冷静に最後の2手を繋げて無事完登。久々に煮詰めたムーブは絶品であった。

 

ワークアウト

残った時間はお楽しみタイムで「ディレティッシマ・ドラゴン」。石灰岩といえばジムナスティックなムーブを連想させるが、意外にも花崗岩ライクな立ち込み系。ボルトの間隔も心意気を感じる距離感。これこそハングドックせずに登りたい。こんなルートがあるとは思いもしなかった。河又のことを知ったつもりで全く知らなかったんだなーと反省。僕が知らないだけで奥多摩の岩場にはまだまだ驚くべきルートがあるんだろう。

グランドアップの充実感も、ハングドッグの没入感もどちらも等しく楽しい。また一つ、自由にクライミングを楽しめるようになった気がします。

 

秋のマルチピッチ

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瑞牆の名作マルチピッチ「ベルジュエール 5.11b 10p」に行ってきた。

「行ってきた」という言葉から察せられる通り、オンサイトやレッドポイントではなくあくまでもトップアウトである。瑞牆の厳しさを全身で味わってきたんだぜ。

 

最低気温零度

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当初は10月頭を予定していたがずれ込んで10月も3週目。すると天気予報では最低気温0度、午前8時でも4度とかいきなりの冬模様。厳しい登攀になることを予想しながら備えた。

蓋を開けてみるとさすがに0度ってことはなく、5-6度だったが依然として寒いことに変わりはない。アプローチで暖まった体も登攀準備を整えているとすぐに冷えてくる。1ピッチ目の出だしを往復してとりあえずのアップとする。

そして1ピッチ目5.11bに取りつく。果敢にもオンサイト狙いである。気合い十分だったが中間部でしょうもないスリップをやらかしてフォール。寒さでフットホールドを捉えきれなかった。そのままフリーで抜けるが核心部と思われる部分でさらにフォール。結局2テンションでトップアウト。

 

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トラッドスタート

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2ピッチ目5.10aからトラッドが始まる。とはいえショボくれたピトンを頼りにスラブを進む痺れるピッチ。気温はまだ低く肝を冷やしながらS兄貴が抜ける。続いて3ピッチ目は潅木の生えた歩き混じりの5.7。

 

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そして4ピッチ目5.9は最後にスッパリと綺麗なクラック。一見簡単そうに見えるが若干斜めに進むクラックと最後のシンハンドに苦戦。落ちるかと思ったがなんとかオンサイトに成功。

 

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白クマのコルを挟んで5ピッチ目5.10a、大フレークをS兄貴が大胆なランナウトで抜けていく。フォローは回収が厄介。

そして悪名高い5.8チムニー。この数ヶ月、このピッチが放つ圧迫感を常に感じながら過ごした。「やばいと思ったら早めに諦めます」と告げ#6を持ってチムニーへ向かう。下から見上げるがチョックストーンでよく分からず、中間部にあるというリングボルトも見えない。

意を決してチョックストーンへ上がると意外にも快適、リングボルトも見つけることができた。だがもちろん錆びている。黒ずんだリングボルトにクリップしずり上がる。

チムニーは少しづつ狭くなり身動きが取れなくなっていく。ロープの流れが悪くなるがチムニー奥に#6を決めてT字スタックやらチキンウィングやら、本で読んだだけのジャミングを試す。もちろん全く効いてこない。

すでに疲労困憊、荒い呼吸をなんとか整え分速数センチで這いずりあがる。メットが引っかかって首を回すのも一苦労。脱水で足が攣りそうになるのを必死で誤魔化す。もっとチムニーの練習をしておくんだったと心の底から反省した頃にようやく上部チョックストーンに到達。ガバだが激しい疲労感から必死でマントル。いやー奮闘した。

 

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完全に出し切ったがまだ終わらない。ブッシュ帯を経て8ピッチ目5.10bは先行きが見えない左上クラック。脱水気味の体にザックが重くのしかかるが見上げると青空がどこまでも高い。最後は岩稜歩きを経て5.8をバテバテで超える。

 

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終了点から眺める大ヤスリ岩がなんつーかH.R.ギーガーのクリーチャーみたいだった。

 

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簡単には登らせてくれないとわかってはいたが予想を上回るハードワークで、植樹祭を6時に出発して帰着は17時。クライミングで11時間行動なんて記憶にない。

さて、次はもちろんレッドポイントを狙いに行くのだが色々と改善点も見えた。装備に関してはもう少しギアを減らそう。クイックドローとマイクロカムは減らせるはず。反対に水は一人750mあったほうがいい。終了点は把握できたので以外と時間のかかったピッチ間の連携は短縮出来るだろう。今回は花崗岩からやや離れていた(最後に瑞牆に来たのが一ヶ月以上前)ので、次回はもう少しこまめに花崗岩を登ってから挑みたい。とはいえその辺は冷え込み同様、お天気次第なんだよな。

いつかサラリとレッドポイントできるように励みたいと思います。