シャープなランジプロブレム、倶利伽羅岩の「竜王 一級」を登った。
パワー全開と決めつけていたスタートは実はテクニカルで、届くと思えなかったリップは絶妙の距離感と形状を擁していた。まさに、隠れた名課題ってやつだった。
「カラクリ 初段」から「倶利伽羅 初段」、そして「竜王 一級」を経て倶利伽羅岩の三課題はここにコンプリート。気がつけばカラクリの完登から2年が経っていた。
とまあ、さも狙いにいったような書きっぷりですが、実際には本命「ベシミ 二段」に全力で弾かれた上にエンクラな二日目に降って湧いた完登。いやー安定のマントルヘタレでした。
耐寒キャンプ
今回の主題は晩秋の瑞牆で鍋キャンプ。
メンバーはスラビスタとイズミとマイファミリー(チョーナンは合宿)。子連れで行くには過酷じゃないかと心配されるが、きりたんぽ鍋であったまればいいよ!と言い切る。
だが、きりたんぽはどこにも売っていなかった。自家製も考えたが、比内地鶏も手に入らないので鶏塩鍋に変更。前日は仕込み祭り。
胃痛と失意の敗退
当日はゆっくり現場入り。山腹にガスが漂いなんとなくモイスチャー。山形エリアの童子岩で遊んで大面岩下へ上がる。
到着すると見知った強強クライマーが大挙。潤沢なマットを前に宿願のベシミと相対するが、謎の胃痛が発生。ナベさんの完登をガンバしつつ小一時間ほど横になるが一向に収まらず。痛みに耐えながらトライするが胃液が逆流する。挙句にガスが降りてきてフリクションも下がる一方。まったくいいところなく下山。
銘酒・谷川岳
凹んでもしょうがないので、鍋の準備を進める。炭火で焼き味噌きりたんぽを焼く予定だったが、フランスパンを焼いてチーズと一緒に喰らう。なにも登れてないのに旨えー。
そして、鶏鍋。サミットで仕入れたフツーの国産モモ肉がこれまたプリプリ。鍋もうまいが炭火焼も絶品、先日頂戴した純米大吟醸谷川岳との相性も抜群。
先日クライミングの帰りに拾ったケータイをご本人に郵送したらお礼に純米大吟醸谷川岳いただいた! pic.twitter.com/GgVtdSeZZ0
— Kappa-Lab.gamiken (@kappaLab) 2015, 10月 14
呑んで喰って、あれよあれよと酒と食材が尽き果て〆はラーメン。予想より暖かく無風だったため、ゆったり焚き火を楽しんでコーヒー飲んで就寝。
DAY.2
翌日もどんより。こりゃー今日もフリクションは悪いだろうなーと思って「スーパークーロワール 7Q」をやってみると、スメアがすっぽ抜けそう。イズミ君のクーロワールトライを眺めつつ「夜をまちながら 2Q」をだらだら打つ。
ホールドが痛い上にフリクションも悪く、どーにも高度が稼げないでいると「光合成」に弾かれたスラビスタがサクッと再登。「今日はなんか悪いね」的なことを言っちゃあいるが何ら不安要素のない登りっぷり。負けてらんねえと意地で上部のカチまで到達するがそっからカンテを使ってトップアウト。プスー。
今日は(も)ダメだーと思いながら移動し始めるとINOさん登場。我らの宿願、ベシミを完登しての凱旋である。チキショー羨ましい!とは言え、おめでとうございます。
竜王 一級 RP
イズミ君に大黒岩を見せて「え、アレ登るの?おちたら死ねるよ?馬鹿なの?」という定番のリアクションを頂戴して倶利伽藍岩に上がる。
スラビスタが「カラクリ 初段」打つ裏側で「竜王 一級」にトライ。相変わらずスタートが辛い。右手首に悪いなーと思ってるとINOさんが遅れて合流。
「これ、コツものって噂ですよ」
「こういうのなんでもコツで済ますの止めようよ」
とか言ってるとなんだか腰が浮き始める。
「やっぱ壁に入らないとね!」
「なんども言うように人は壁に入れないから」
と定番のやり取りをする頃にはほぼスタートは解決。壁に入ってから上に向かう、二段階右折的なムーブ(謎)が有効なようです。
ところが、そこからリップへのランジもこれまた悪い。フットホールドの向きが悪く、距離は足りているが一向に止まらない。それでも試行錯誤を重ねつつ飛んでいると遂に止まる。この瞬間は二日間でもっとも歓喜にあふれた瞬間だった。
思いもよらず射程圏内に入った上玉をINOさんと共に喜ぶ。するとINO氏、いきなり次のトライで完登。えっと、そんなドSな人でしたっけ?
こうなっては登らないわけにはいかない。気合いを入れていざトライ。スルっとスタートしてビシッとランジを止める、完璧である。あとはマントルを返すだけ、少しヒールがズレたがそのまま返そうと手首を返すと、あら?ヒールが抜けてフォール。先日の阿修羅に続き下手すぎるマントルが露呈。
その後、指皮が熱を持ち始めリップが止まらなくなる。大事なトライをフイにしてしまったことを悔いながら指皮が冷えるのを待った。しかし時間は残り僅か、指皮はまだ熱かったが少しでも冷まそうと上裸になる。更にハイアングルのヒールがまだ馴染んでいないと判断してネクソに履き替える。
そしてスタート。リップで指皮がダレるのを感じたが何とか止めてマントルへ。深くヒールを決めて突入。すると今度は深すぎて最後まで返ってくれない。心が折れそうになるが意地で返して遂に完登。いやー落ちなくてホントによかった。
というわけで、意外な上玉をゲット出来たのは望外の成果でしたが、ベシミを登れなかったは非常に痛かった。
天候不良で二回連続延期となったのをきっかけにコンディションを崩してしまったのが最大の敗因。ちょっとくらい外岩に行けなくてもフィジカル、メンタル共にキープし続けるスキルを磨こうと、安易に呑みに逃げるなと、そう痛感した二日間でした。
え?谷川岳?まだまだあるよ!一升瓶だからね!(呑むとは言ってない