初上陸の岩場で、初めて目にするルートを、グレードにはあまりこだわらずに、できるだけ多く登りたいなーってことで榛名山は黒岩に行った。
関越道でパラパラと小雨が降ってきたが、現場に降雨の形跡はなし。けどちょっと寒い。
軽くストレッチを入れながらパッキングを確認してアプローチ開始。最近、アップやストレッチはベース設営やギアの準備など諸々の作業と並行しながら行なっている。
最後に仕上げとして大きくスタティックストレッチもするんだけど、その手前で筋温あげたり可動域をほぐしておくとなんつーか「話が早い」感じだ。
夏子 5.8 MOS
まずは簡単なやつから。
核心部でワイフでも届くムーブをごにょごにょと探る。イマイチしっくりこないがとりあえず抜ける。ちなみにワイフはデッドで抜けておりました。
ま、そうなるよな。
柿ドロボー 5.10b MOS
続いて二つ星の立体的なルートをセレクト。中間部の「くの字」にえぐられた変則的なテラスにワクワクする。
実際にはテラスというには傾斜がありすぎるため、入り込むことはなくフェイス面を直上する。上部がやや悪く感じたが、悩むと良くないと思い一気に抜ける。
変化に富む好ルートだった。
黒岩老眼鏡 5.10c MOS
こちらも二つ星だが、うってかわってデリケートな印象のスラブ。
核心まではイージーで、そこからは予想どおりホールドが乏しい。しかも砂っぽい。
あまり登られていないんじゃね?
スノードロップ 5.11a MOS
そろそろギアを上げてくぜってことでスッパリしたフェイス。こういう安山岩ルートを登るは久しぶりな気がする。
入念にオブザベーションして取り付く。着実に高度をあげて無事終了点…と思いきや、終了点付近が砂まみれ。
冷静に対処して完登。
キメイラ 5.12a トップアウト
ちょうど昼ごろになったので軽く腹ごなしして南壁上部へ偵察。
イマイチ興味が湧かなかったスラビーなキメイラは実物を目にすると俄然モチベーションアップ。
ロープスケールで25mくらいだろうか。ホールドの乏しいスラブフェイスをテクニカルなムーブで謎解きをするように抜けていく、そんな状況が目に浮かぶ。
とりあえずマスターで取り付く。1クリップ目からやや遠い。痺れるクライミングになりそうな予感が漂う。
左カンテも使い2,3クリップ目まで進むとホールドが見当たらない。登攀ラインは右上気味だが出だしのトラバースムーブから解決困難。カンテと行きつ戻りつを繰り返し、遂にトラバースに成功。
と思ったけど、次の手も足も悪くてそこでフォール。さすがは5.12aのスラブ。
その後、目を皿のようにしてホールドを探し、足をあげたり下げたり、カチやらピンチやらプッシュやら、チクタクまで出てきてなんとか核心を突破。
ほっと一息をつくが、そっから先は砂まみれに加えオールアンカー。相当登られてないと見える。
掃除しながら野性味溢れるスラブをジリジリと抜け最後はランナウトでトップアウト。予感は正しかった。
2トライ目は首尾よくトラバースをこなし、ビクトリーカチに手を伸ばそうとしたが「あれ、ここのムーブどうでしたっけ」とワイフに尋ねながらフォール。足位置のツメが甘かったようです。
しかしこのテクニカルなスラブは実に面白い。ムーブを忘れないうちにもう一度トライしないとね。
つる 5.11b トップアウト
キメイラを探っていると雨がパラついてきたが、もう一本登りたいってことで薄かぶりの前傾カンテにトライ。
こいつも1クリップ目が高い。しかもバランスが悪くてドキドキのクリップ。なんとか抜けるがヨレとヌメリであっさりテンション。とりあえずトップアウトして回収。
コンディションを考慮して慎重にルートを選ぶべきだった。もったいないトライをしてしまったことを反省する。
ベルジュエールへ続く道
というわけで本日の主題、「初上陸の岩場で、初めて目にするルートを…」ってのは8割くらいの達成できたと思われる。単純に楽しかったけど、あと2本くらいトップアウトしたかったのが本音だ。
というのも実は裏テーマが存在しており、それは「マルチピッチトレーニング」だからだ。5.10台を主体に5.11bまでを8本継続できたらベルジュエールに向けて良いトレーニングになるんじゃないかと考えている。
もちろんベルジュエールはトラッド主体だし、マルチピッチ特有のロープワークは今回のクライミングからは習得できないんだけど。
その日のクライミングをしっかり楽しみつつ、次につながるトレーニングとなるように創意工夫してゆくのだ。