サーキットの狼

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兼ねてから温めていた計画をついに実行に移す時がきた。そう、ボルダーサーキットである。

「アルパインクライミング考 (横山 勝丘 著 )」で紹介されていたボルダーサーキットについて、S兄貴と盛り上がったのは去年の暮れ。当初はマルチピッチトレーニングの一環くらいの位置付けだった。

しかし、色々と準備を進めていくうちに「ひょっとして我々はとんでもなく楽しいことをやろうとしているのではないのか?」と期待値は上がった。

その後、課題を選定しタクティクスを考えたり妄想を膨らませていると、「初見の課題に対して体力と精神力と集中力を全力でぶちこんで、踏破ならぬ登破を成し遂げたい!」というモチベーションがフツフツと沸き上がり、もはやトレーニングの一環ではなくサーキットそれ自体が目的となった。

そしてGW目前の週末、例年より新緑の早い瑞牆にS兄貴とHSyungと共に降り立った。初見という条件を満たすためハットエリアを舞台にV1からV5までの20課題を厳選し、ボルダーサーキットがここに開幕した。

 

オロチ V5 FL

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序盤戦は「オロチ V5」周辺のボルダー。去年ちょろっとだけ訪れこの辺りは確認済み。

とりあえず「みのりんカンテ V1」「みのりん凹状 V1」「ミズガキハイ V2」などでアップして本日の第一核心「オロチ」へ向かう。S兄貴とHSyungが目を丸くして「え?これじゃないよね!?そうだよね?」という表情を向けているが気づかないふりだ。

「ま、ハイボールは早いうちに打った方がいいから」と彼らの目を見ないでセッション開始。

顕著なポッケとカンテ際のスローパを確認して気合いをいれる。サクッとフラッシュ。上部の緊張感も程よい。S兄貴とHSyungも無事RP、幸先のよいスタートとなった。

正直なところ、早々に敗退課題を出したらどうしようとか思っていたけど心配無用。みんな強かった。

そして「マッドステップ V2」「ホワイトシャーク V3」を程よい緊張感で登り、「ガビンアレート V3」でジムナスティックに遊ぶ。どれも面白い課題だった。

 

IMG_4902[スラブの苔は気にしないのがマナー]

 

穴くまじろう V5 RP

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中盤戦は林道上部に移動。一本手前の踏み跡から入ったため迷う。30分ほどの岩探しを経てS兄貴が穴くまじろう岩を発見。

「段々フェイス V2」のポジティブなカチでフェイスクライミングを楽しみ、胎内くぐり&枯葉ラッセルで「穴くまじろう V5」へ抜ける。見事なポッケホールドと強傾斜に惚れ惚れ。

初手とリップ取りを失敗するが、3トライくらいでRP。非常にいいラインだった。トポにあるように背面の傾斜がなければ見栄えのいい世界的課題だったかもなー。

その後 「森とら V3」が狭すぎるのでリップトラバースに過大解釈し、「スティープファンタジー V4」は地面から三角カチに手が届いたのでそのまま抜ける。この二つ、トポに明確な記載はないが前者はクラックのみ、後者は薄カチスタートと思われる。…ヤバイくないすか?

 

IMG_4930[カチが悪い]

 

そんごくう V5 OS

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さらに上部に上がって「クリスタルキング V4」、マントル部が苔むしているが気にしない。余裕があれば「ダイアモンド 凹角 V6」「山ガール V7」を冷やかしたいところだったが時間が押しているのでスルー。

「ちょはっかい V2」を快適に登り、予定にはなかったが隣の「そんごくう V5」に心惹かれサクッとオンサイト。ガンダーラ岩は魅力的なラインが豊富なのでまた来たいと思う。

 

山のアナアナ V3 OS

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そしてサーキットも終盤戦へ。尾根を越えるとハイボールなスラブが目に入る。「山のアナアナ V3」である。程よい高さと美しいスラブにヒャッハーしているとS兄貴、HSyungの両氏からドン引きされる。

丁寧に足を拾ってリップへ上がるとのっぺり。慎重にマントルを返す。S兄貴とHSyungもきっちりRP。やはり終盤こそスラブ、それもハイボールが面白い。

踏み跡を下りながら「マントル練習 V1」「マントル入門 V1」で基本をおさらい。マントルは重要な技術です。

 

穴課長 V4 OS

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空模様が怪しくなってきたあたりで最後の核心「穴課長 V4」にトライ。最後の穴が遠く、これまたマントル核心だったがしっかり完登。おまけで「ケロモリスラブ V2」「スラブ右 V1」を登り、全20課題をコンプリート。

ほぼレストを入れないまま、7時間半に及ぶボルダーサーキットは幕を閉じた。

 

 

本気のエンクラ

冒頭で紹介した「アルパインクライミング考」の受け売りだが、クライミングはちょっとした工夫や視点を変えることによって楽しみ方は無限に広がる。

つい最近までボルダリングではエンジョイクライミングは成立しないというスタンスだった。限界グレードに挑戦する以外に高い充実感を得る術はないと考えていたのだ。しかし、今回の経験を経て入念な計画とタクティクスがあれば限界グレードや高負荷のムーブがなくとも非常に充実することがわかった。

そう、エンクラも本気でやれば最高に楽しいのだ。

また一つ新たなクライミングの楽しさに目覚めた気がする。なによりもそいつが嬉しい。(そろそろ限界グレードも打ち込むけどね)


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