カテゴリー別アーカイブ: マルチピッチ

錫杖岳前衛壁

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錫杖岳デビューしてきました。パートナーはおなじみS兄貴。ルートは「黄道光」。北アルプスってことで森林限界を超えた場所でのクライミングを妄想していたのは内緒だ。(行ってみると樹林帯)

 

1P目

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左方カンテのルンゼからアプローチ。アップを意識して大きな動きでルンゼを上がる。荷物がやや重い。

黄道光は薄かぶりのボルトルートで始まる。グレードは5.11a、簡単ではないがオンサイト圏内である。しっかりオブザベーションしてから取り付く。ムーブがピシャリとはまってハング部を突破、ひゃっはーと雄叫びをあげる。てっきり核心部を超えたと思ったらそこからのムーブも一癖あって楽しかった。

なお、後述するが荷物は「やや」ではなく「わりと」重かった。

 

2P目 サンシャインクラック

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続いくハイライトピッチはフォローで上がる。クラックの表面はエッジが鋭い。スッパリ切れた安山岩クラックをイメージしていたが意外と荒々しい。日差しも強まってホールドが滑り、ロープはキンクして上がっていかない。こいつは辛えーと悶えてるとクラックから剥がされしまった。

木登りを交えてなんとか突破。松ヤニで手がべたつく。ワイルドな展開にアドレナリンがマシマシ。

小テラスで交代してリード。ボルトとカムを交えて抜ける。疲労からしょっぱいテンションが入ってしまった。

 

3P目

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最終ピッチ。壁が広い。上部にそびえるハング帯が遠く感じる。下部はボルトが多いので間引きつつ進む。面白いフェイスムーブが続き、快適に高度を上げたところでボルトが途絶える。しばし悩むが直上にハンガーのないボルトが見えた。

#0.5をアンダーに決め数手進む。砕けそうなホールドをスタティックに捉えて祈るようにムーブを起こすと、パキっと剥がれた。スラブフェイスを蹴るようにしてフォール、右臀部をぶつける。

その後、横にクラックがあったことを知る。クラック部のムーブもジャミング一辺倒ではなく変化があって面白い。しかし岩の形状ではなくボルトを追いかけてしまったことが悔しい。テンションを交えながら抜けるが消耗が激しく、終了点についたときは汗だくだった。

ハングを抜けたところで「黄道光」のラインは終わり、その先は北沢デラックスの最終ピッチが続く。正直この場所で終わるのは中途半端な感が否めない。釈然としないも下降を開始。壮絶なロープドラッグと格闘する。

 

軽量化

といわけで荷物が「ほんのちょっと」重かった。どれくらかっつーと5-6kgは確実にあったと思う。ひょっとすると8kgあったかもしれない。さすがに10kgはなかった…と思いたい。

「それ、登る前に気付けるでしょ」って話なんですが、左方カンテルンゼはアルパイン的なので荷物が重くても許容できちゃうんですよね。もちろん「重いな〜」と思ったが特に危機感はなく、「なんとなく違和感がある」くらいの感覚。 でも考えるべきは5.11aから先の行程で、そうすると明らかに重すぎた。

違和感があったということはアラートがあがっていたということ。なのに「気にしすぎ」と無視してしまった。ささいな違和感でも言葉にすれば問題意識が生まれて対応できたかもしれない。今後は積極的に言葉にしていきたい。

ギア周りは毎度難しい。今回はモカシムオンサイトとジーニアスという二足体制だったが、クライミングの内容的にはモカシム一足で対応可能だった。結果論に過ぎないと言われるとその通りだが、グレード、岩質、傾斜を含めて考えれば「ありえる選択肢」だったんじゃないかな。

カムに関しては#4を追加したが結局使わなかった。「どっかで使いたくなるかも」で持っていくことが多いが、そういうシチュエーションって実はあまりない。むしろレアケースな気がする。

もちろん安全性とのせめぎ合いなので簡単に答えは出ない。しかしPASをやめてメインロープでのセルフビレイに切り替えたように、シンプルなほどクライミングは楽しい。

 

ロープドラッグ

三回の懸垂の内、二回でロープドラッグ。ドラッグここに極まれリ。しかも最後は空中懸垂からユマーリングで脱出という壮絶な展開。とはいえ個人的にはいい経験になった。時間はかかったが安全にリカバリーできたんじゃないかと。久しぶりに作ったヌンチャクアブミも悪くなかった。いちばん成長を感じられたのはこの瞬間だったかもしれない。

だが、このトラブルも荷物の件同様に2P目をフォローした段階で予期できたはずだ。扇テラスでロープを整理すれば回避出来た可能性は高い。後続が来ていたこともあって先を急ごうとする心理が働いてしまった。

ちなみに後続は激強ソロクライマーだった。惚れる。

 

何を登るのか

色々と反省点やトラブルがあったが、残念極まりないのが3P目で直上してしまったことだ。

こういう岩場に来てボルトを追ってしまったのが実にショボイ。もっとよく観察すればクラックの存在に気づけたはずだ。できる限りトポや他者の情報に頼らず、自分の目と判断で登りたいと思っていた。しかし結局のところ、誰かが埋めたボルトを頼りに登ってしまった。これをダサいと言わずして何と言えよう。

ホールドが欠けたのは「もっと岩をよく見ろ」という黄道光からのメッセージだったかもしれない。

ぶつけた尻は当分癒えそうにないぜ。

十一面継続登攀

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調和の幻想とJoyful Momentを継続登攀してきた。天気予報がハッキリしないため不動沢のショートルートで溜飲を下げようとするも未練タラタラっぷりを見かねたSAT6師匠から「マルチ行った方がいいYO!」と言っていただき突撃。快く送り出してくれてた皆様にはこの場を借りて多謝であります。

 

8:00 調和の幻想

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前回は偶数ピッチだったので今回は奇数ピッチ。Mサカ氏とギアチェックして登攀開始。相変わらず1ピッチ目はキツイ。2ピッチ目は前回も湿ってたが今回も湿りがち。3ピッチ目は一瞬ルートファインディングに戸惑ったが無事解決。

 

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4ピッチ目の木登りと変化に富んだフレークスラブをMサカ氏が抜け、最終5ピッチ目のフレアワイド。前回フォローだったのでリードが楽しみで仕方ない。すると期待を裏切らない極上ピッチ。適度なランナウトと快適なムーブ、最後はピリッとOWで〆。改めて素晴らしいルートだと思う。

 

IMG_8015[適度なランナウト]

 

11:30から懸垂開始、12:00ごろ取り付き。大休止を入れて十一面奥壁へとハイクアップ。

 

IMG_7996[ガスに覆われる末端壁]

 

13:30 Joyful Moment

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アプローチで少々迷ったが大きなロスはなく登攀開始。1−2ピッチを繋げて抜ける。本チャンっぽいが岩は硬く快適。

 

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3ピッチ目はMサカ氏が軽快に高度を稼ぐ。時間的に敗退も覚悟していたが杞憂だった。4ピッチ目はリービテーションがバチ効き。なんだけど慣れてないので結局奮闘系となってしまった。5ピッチ目は歩きから少しだけ登攀。

 

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15:10に岩頭へ抜ける。下降路へのクライムダウンも侮れなかった。

 

装備

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今回、装備に幾つかの工夫を凝らした。

まずハイドレーション。この時期は水不足になることが予想されたのでビレイ中の水分補給を確実にこなしたかった。結果、ビレイ中に荷物落下を気にせず適量づつ水分補給が可能になった。水分補給だけではなく心理的負担軽減にも効果的。

次にPASを省いてメインロープでのセルフビレイに切り替えた。以前からカムがPASに引っかかるのを煩わしいと思っていたので、今回思い切って取り除いた。結果、ビレイループ周りがスッキリし、登攀中にカムが引っかかることもなくなった。懸垂下降の時はスリングでカウテールを作って対応。PASは沢やアルパインでは有効だが、岩主体の場合は必要ない気がする。

 

所感

ルート選択が功を奏したようで無理なくマルチピッチ継続を楽しめた。数字的には「2ルート/9ピッチ/最大グレード5.10a」となるだろうか。もう少しアクセントになる要素が欲しい気もするが初回ということを考えれば十分なクライミングだったと思える。

ちなみにアクセントを入れるとなると、ピッチ数15以上とか、5.11aを含めるなど。或は情報の無いピッチを含めるとか、トラッドボルダーを交えるってのも楽しそう。更には沢遡行からの継続とかも良さそう。欲望は尽きない。

海金剛

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上部城塞基部で残りの2ピッチを見上げながらカサE氏が言った。

「まあ上まで抜けれないんならここで降りてもいいかな」
「あとちょっとなのに…”メルー”とおなじ展開や…」M坂氏が続ける。
「え…僕まだ観てないんですが…」まさかのネタバレに絶句する俺氏。

すこし強まった風の中、我々は撤退を決断した。

 

小春日和

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というわけで「海金剛 スーパーレイン 7ピッチ 5.10a」に行ってきました。メンバーは上記三名に加えてスズメちゃん。

とにかく風がハンパないとの噂だったがこの日はほぼ無風。青空もひろがりポカポカ陽気、駿河湾を挟んで富士山を望みつつ雲見キャンプ場入り。なんだよ春じゃねーか。

はやる気持ちを抑えつつアプローチを行くが早くもM坂氏がドーパミン全開。よくわかんないけど解放されちゃったようです。何からだよ。

海岸線へ懸垂で降り少し岩稜を登るとドカーンと大岩壁。周囲には巨大なボルダーがゴロゴロ。興奮を抑えきれずうっかりルートファインディングミス。ちょっとだけ彷徨った後、明瞭な踏み跡を発見。

 

First Pitch 5.7

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カサE氏 撮影

 
すでに10時を回ろうという時間帯、てっきり先行パーティは遥か上部と思いきや最後の一組がリード中。この時点で後の展開が予想されたが装備を整えてスズメ&僕ペアが先行。

久しぶりのカムセットを確かめながら凹角を抜ける。グラつくチョックストーンとか灌木へのランナーセットが懐かしい感じだ。先行パーティに追いついてしまったので一段下の灌木でピッチを切る。

 

2nd Pitch 5.8

緊張を強いられるトラバースをスズメちゃんが安定の突破。凹角にナッツとやらをセットしていたがナッツ童貞の俺氏、一瞬戸惑う。冷静を装いつつ回収するが今度はトラバースが怖い。スズメちゃんはダイレクトに突破していたが上部のガバから巻いて抜ける。

 

3rd Pitch 5.10a

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前座が終わっていよいよ本番。暑くなってきたので半袖で登攀開始。

左上気味に上がると露出感のあるアンダークラック。#0.3と#0.4を決めて足を上げていく。クラックが終わるとガバがお出迎え。ワンポイントかもしんないけど痺れた。だが楽しい。

先行パーティからビレイポイントを一本拝借して灌木と組み合わせて支点構築。間隔を空けるためフォローはしばし待ってもらう。半袖に風がちょっと寒い。先行パーティのお姉さんと雑談しながら待機。初めてのマルチだと仰ってたが中々チャレンジングである。(リスキーと言い換えるべきか迷う)

 

4th Pitch 5.10a

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続いて見た目最高のワイドクラック。スズメちゃんの目が完全にワイドに見入っている。ワイド直下のアンダーフレークがやや悪そうだがここでも安定したムーブ選択で突破。

カサE氏が上がってきたので一緒にワイドに突入するスズメちゃんを観察。ビレイポイントからだとプロテクション状況がよくわからずランナウトしてるようにも見えたがしっかりとカムは取られていた。

フォローでもアンダーフレークはちょっと悪い。またしてもナッツが出現したが経験者たる余裕をみせて(回収だけ)、慌てることなく回収。ワイドも簡単ではなく改めてスズメちゃんの実力を思い知った。

 

5th Pitch 5.10a

多段ハングとでも言うべきラインは3-5ピッチの中で最もフェイス的に感じた。乗っこす前にカムを多めに決め、乗っこした後にバッククリーンという戦術をとる。カムの節約になるしロープの流れも良くなる。もちろん乗っこし後に信頼出来るプロテクションを取れた場合に限る。

ついでにナッツでも決めてやるぜってことでいざパッシブプロテクション。バチ効きであります。もうナッツなんて怖くないぜ。

上部城塞基部に出ると下降パーティと先行パーティがいて大にぎわい。ビレイポイントは堆積している岩にメインロープで構築。風が強まる中フォローを迎える。

 

6th Pitch 5.7

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そして冒頭のやり取りに至る。トップアウトは諦めていたが、1ピッチだけロープを伸ばし最終ピッチを写真に納め下降開始。カサE&M坂ペアは城塞基部から先行して下降。

エーデルリッドのダブルロープはしなやかすぎるので何度も絡まったが、スズメちゃんおすすめの左右振り分けスリング固定方式にすると一気に解決。やっぱロープワークの基礎は面倒でも丁寧にやるのが肝要ですね。

キャンプ場への帰着時間が迫っていたのでカサE&M坂ペアに先に戻ってもらい後に続く。夕焼けで赤く染まる太平洋を背に海金剛を後にした。

 

所感

脆くて怖くて風が強い、とばかり思ってた海金剛ですが結果的には程よくスパイシーって印象でした。

天気に関しては非常に運が良かったし、年明けに行われた開拓者による整備の恩恵抜きには語れないが、しっかりと気持ちの準備が出来たことが充実の登攀を支えたと思っています。

登攀のイメージやアイデア、状況のシュミレーションや選択肢の整理など、「自分で判断して登るための準備」を実践できたと思ってます。(登山や沢では当たり前に意識していた筈なんだけど)

これからも自分の判断とかアイデアを大切にして登っていきたいな、と。つーわけで今回最大の判断ポイントとなった「敗退」に関しては「戦略的撤退」と呼ばせていただきます。んで、次こそはピークを踏んでやるぜ。

太刀岡山 右岩稜

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ほどよくワイルドなロッククライミングがしたいっつーことで「太刀岡山 右岩稜 6pith 5.10d/11a」に行った。

「ほどよく」ってところが微妙にヌルい感じだが、「基本NPで登りたいけど、ブランクセクションのボルトは許容しつつ(内心ウェルカム)、あまり踏まれてないのでルートファインディングがそれなりに必要」みたいなニュアンス。わかっていただけるだろうか?

 

First Pitch 5.10a

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というわけで季節外れの太刀岡山。メンバーはM坂、カサE、Y下(敬称略)である。駐車場に着いた時点でマイナス2−3度くらい。落葉樹の葉が落ちきっているので下部岩壁までのアプローチは明確。だが寒い。当然かもしれないが他にクライマーの姿は見えない。

岩壁下を右へと移動して取り付きを発見。しかしボルトが多く1ピッチ目の終了点が判然としない。装備を整えつつボルト位置とトポを見比べながら終了点を定める。

システムとコールの確認などをおさらいして、M坂氏からスタート。岩が冷たく足裏感覚も鈍いので2クリップ目からクライムダウン。何度か行きつ戻りつを繰り返しアップの替わりとする。凹角に入るまでが意外に悪そうだが無事に終了点に到達。フォローで続く。

 

img_7072[かっこいいシャーク岩]

 

2nd Pitch 5.9

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2ピッチ目からは少し日が差し込む。スタート直後から痺れるムーブをこなすと、ノープロテクションな浮石地帯が出現。クライミング難易度は低いが本ちゃん的な雰囲気。

落石に気をつけながら灌木にランナーを取ってほっと一息。樹林帯に入るがこれまた終了点の位置が判然としない。上部にハングと蜂の巣、右手にワイドハンドクラックという位置関係から大きなズレはないと判断してピッチを切る。

グレードはスタート後のワンポイントについてるんだろうが、体感は5.9Rって印象。さすがワイルド系だけあって「Rなんて飾りです」という意志を感じる(個人の感想です)。

 

3rd Pitch 5.10a

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そして苦戦必至と噂のNP&ボルトのミックスピッチをM坂氏がトライ。屈曲を避けるためスリングを大きく伸ばす。ハング下でカムセットを行い、カンテへとトラバースに入る。カンテの乗っ越しが悪いようで凹角を探ったりじっくりとラインを探るがテンション。初見では抜け口へのラインが見出すのが難しそう。ちなみにカサE氏はバッチリ突破。さすがである。

終了点はカム構築を想定していたので固め取りが命取りになるかとヒヤヒヤしたが、アンカーが設置されていた。ロープの流れがやや重くなったが概ね想定内。さらにスムースにするには最左側の#2を回収すれば良さそう。

ちなみにカンテ手前のボルトを目視した瞬間、我々は歓声をあげていた。ワイルドとはなんぞや。

 

img_7088[3ピッチ目終了点]

 

4th Pitch

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4ピッチ目は以前登っているので快適に抜ける。とはいえ5.7にしては少々ホールドが悪いんじゃないかと。1クリップ目から左にトラバースして直上するがラインが違うかもしれない。しかし高度感のあるクライミングは楽しい。体感は5.8。

 

5th Pitch

ここは懸垂だけ。枯葉のクッションに降り立つ。

 

6th Pitch

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そして最終ピッチへ。グレードではこのピッチが最難だが、ボルトもあるしフツーに考えて登りやすい5.10d/11aだろうと予想。オブザベーションでも予想を覆すものはなかった。だがここで再び、ワイルドはなんたるかを突きつけられる。

不要な装備を預け、軽くレストを入れたあと身心共に軽やかなクライムオン。すると、1クリップ目から2クリップ目へのトラバースでオブザベーションの甘さが露呈。ホールドは極端に悪いものではないが進行方向に対して向きが悪く、加えて足もタルい。取り付きに置いてきたソリューションがあればその名の通り一発解決なのだが後の祭り。

フォールすればグラウンドの可能性が高いが、ある程度はテンションで落下速度が抑えられるだろう。ランディングも斜面に枯葉マットなので衝撃はバックサイド吸収が期待出来る。普段のノーマットボルダーと大差はない。何よりも登山道が目前なのでエスケープも容易。

つーことで肚をくくって乗り込みトラバース。無事にホールドを捉える。ひょっとするとトラバースではなくダイレクトに上がれたのかもしれないが、充実感のあるムーブだった。あとはリップを乗っ越してビクトリーロードを行くだけ。そう思って勝利のマントルを返した。

だがそこは枯葉の堆積したワイルドスラブだった。埋もれたガバポッケを掘り起こし、枯葉を払いのけ足場を確保して前進する。既にRの範疇を超えてXに手が届きそうな雰囲気。だが「森の生活」にRやXがつくだろうか。いや、つかない。いわんや「先住者」「生命力」においておや。後者2課題は触ってもいないがそういうことにして灌木帯まで一気に抜ける。探せばプロテクションを取れたかもしれないが、体感は5.10d R。

鋏岩の終了点は強い風が吹き付けていたが日当たり最高。これでもかってくらい写真撮影会をしてラッペル。無事に登攀を終了した。

 

img_7103[おれの胸に飛び込んでこいよ(とは言ってない)]

 

ワークアウト

当初の予定では左岩稜に継続する予定だったが、時間の都合上ショートピッチとボルダーに切り替え。小山ロックの「義理チョコ」「チェリーブロッサム」を登り、小山ロック下のボルダーで適当に設定して登る。最後に左岩稜の取り付きを確認して1ピッチ目だけ登って終わった。次は左岩稜かな。

 

秋のマルチピッチ

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瑞牆の名作マルチピッチ「ベルジュエール 5.11b 10p」に行ってきた。

「行ってきた」という言葉から察せられる通り、オンサイトやレッドポイントではなくあくまでもトップアウトである。瑞牆の厳しさを全身で味わってきたんだぜ。

 

最低気温零度

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当初は10月頭を予定していたがずれ込んで10月も3週目。すると天気予報では最低気温0度、午前8時でも4度とかいきなりの冬模様。厳しい登攀になることを予想しながら備えた。

蓋を開けてみるとさすがに0度ってことはなく、5-6度だったが依然として寒いことに変わりはない。アプローチで暖まった体も登攀準備を整えているとすぐに冷えてくる。1ピッチ目の出だしを往復してとりあえずのアップとする。

そして1ピッチ目5.11bに取りつく。果敢にもオンサイト狙いである。気合い十分だったが中間部でしょうもないスリップをやらかしてフォール。寒さでフットホールドを捉えきれなかった。そのままフリーで抜けるが核心部と思われる部分でさらにフォール。結局2テンションでトップアウト。

 

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トラッドスタート

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2ピッチ目5.10aからトラッドが始まる。とはいえショボくれたピトンを頼りにスラブを進む痺れるピッチ。気温はまだ低く肝を冷やしながらS兄貴が抜ける。続いて3ピッチ目は潅木の生えた歩き混じりの5.7。

 

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そして4ピッチ目5.9は最後にスッパリと綺麗なクラック。一見簡単そうに見えるが若干斜めに進むクラックと最後のシンハンドに苦戦。落ちるかと思ったがなんとかオンサイトに成功。

 

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白クマのコルを挟んで5ピッチ目5.10a、大フレークをS兄貴が大胆なランナウトで抜けていく。フォローは回収が厄介。

そして悪名高い5.8チムニー。この数ヶ月、このピッチが放つ圧迫感を常に感じながら過ごした。「やばいと思ったら早めに諦めます」と告げ#6を持ってチムニーへ向かう。下から見上げるがチョックストーンでよく分からず、中間部にあるというリングボルトも見えない。

意を決してチョックストーンへ上がると意外にも快適、リングボルトも見つけることができた。だがもちろん錆びている。黒ずんだリングボルトにクリップしずり上がる。

チムニーは少しづつ狭くなり身動きが取れなくなっていく。ロープの流れが悪くなるがチムニー奥に#6を決めてT字スタックやらチキンウィングやら、本で読んだだけのジャミングを試す。もちろん全く効いてこない。

すでに疲労困憊、荒い呼吸をなんとか整え分速数センチで這いずりあがる。メットが引っかかって首を回すのも一苦労。脱水で足が攣りそうになるのを必死で誤魔化す。もっとチムニーの練習をしておくんだったと心の底から反省した頃にようやく上部チョックストーンに到達。ガバだが激しい疲労感から必死でマントル。いやー奮闘した。

 

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完全に出し切ったがまだ終わらない。ブッシュ帯を経て8ピッチ目5.10bは先行きが見えない左上クラック。脱水気味の体にザックが重くのしかかるが見上げると青空がどこまでも高い。最後は岩稜歩きを経て5.8をバテバテで超える。

 

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終了点から眺める大ヤスリ岩がなんつーかH.R.ギーガーのクリーチャーみたいだった。

 

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簡単には登らせてくれないとわかってはいたが予想を上回るハードワークで、植樹祭を6時に出発して帰着は17時。クライミングで11時間行動なんて記憶にない。

さて、次はもちろんレッドポイントを狙いに行くのだが色々と改善点も見えた。装備に関してはもう少しギアを減らそう。クイックドローとマイクロカムは減らせるはず。反対に水は一人750mあったほうがいい。終了点は把握できたので以外と時間のかかったピッチ間の連携は短縮出来るだろう。今回は花崗岩からやや離れていた(最後に瑞牆に来たのが一ヶ月以上前)ので、次回はもう少しこまめに花崗岩を登ってから挑みたい。とはいえその辺は冷え込み同様、お天気次第なんだよな。

いつかサラリとレッドポイントできるように励みたいと思います。

獅子岩マルチピッチ

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グンマには獅子岩というイカした名前の岩場があるー。

ということを知ったのはいつのことだったか。たぶん子持山のバリエーションルートを調べていた時だろう。スポートマルチの存在を知ったのは更に後になってから。完全にクライミングに傾倒してからだった。

いつか登りたい。けど技術も装備もない。ま、そのうち機会がやってくるだろう。そう思っていた。たぶん2,3年くらい。

するとフトした拍子でその時はやってきた。よりにもよって真夏に。

 

アプローチ

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前夜発で現地入り。落石による通行止めのため3号橋付近に車を留める。当日は薄曇り。真夏にしては条件は良さそう。林道を歩いて屏風岩まで30分前後、獅子岩までは更に50分前後。

登山道を詰めていくと道標にたどり着く。「この先危険」の方向に進むと岩壁基部が少しずつ姿を現す。

 

IMG_5920[左に進む]

 

1,2,3pitch

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出だしのピッチは繋げて登るのが一般的だが敢えてピッチを切ってワイフにリードをまかす。ちなみにトップは空身なのでフォローはダブルザックという苦行。なかなかハードなアップである。

3p目は巨大なフレーク。#6があれば決めてみたい。特に意味は無いが。

 

4,5,6pitch

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核心(5.8)となる4p目はグレードの割に難しいという話だったが、体が暖まったか荷物に慣れてきたのか、ここまでで最も快適にロープを延ばす。とは言え日が照ってきて暑い。

IMG_5936[核心ピッチ終了点から]

そこから頂上直下のテラスへはピッチを繋げて抜ける。スラブなのでロープが重いことこの上なし。

テラスでしっかり休んで最後の”おまけ”ピッチを登り岩頭へ。景観はいいんだけどとにかく暑い。

 

IMG_5949[獅子岩ピーク]

 

下山

下山路は屏風岩へ続く痩せ尾根ルート。妙義山と何となく似ている。道中でタマゴ茸やらスズメバチの巣など変化に富んだ下山だった。

長い間登りたいと思っていたルートが登れたのは嬉しいことだが、充実したかと問われると首をかしげる。瑞牆山のトラッドマルチを登る前に来ればもっと緊張感や充実感、感動を味わえたかも知れない。課題とは常に一期一会なのかもしんない。

 

IMG_5959[たまご茸]

 

大面岩 左稜線

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梅雨にはいっちまった。毎年のことだが実にアンニュイ。

当初の予定では「ベルジュエール 5.11b」のトライを目論んでいたが、天気予報を何度もチェックした結果「大面岩 左稜線 5.10c」へと変更することとなった。

とは言え、内心ほっとしたんですが…

ベルジュをガッツリ楽しむにはもうちょっと場数を踏みたいって思いもありまして。

 

謎のボルトラダー

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午前5時、植樹祭から瑞牆山を見上げると上部は完全にガスの中。この期に及んで燻っていたベルジュへの未練は完全に鎮火し、粛々とアプローチを開始。通い慣れたパノラマコースを辿る。

「ベシミ」を打ち込んだ昨シーズン、カンマンボロンの大ハングを見上げなが「いつか必ずあの大岩壁を登ろう」と強く思った。

もちろん今日の目的は大面岩である。だが、意外な展開からカンマンボロン登攀のチャンスは巡ってきた。ま、俗にいうアプローチミスってヤツですがね。

大面岩基部に到着してもガスは晴れず、視界は一時50m以下。岩壁の全体像は把握しづらく、カンマンボロンと大面岩は予想よりも隣接していた。そして接続部にはチョックストーンが挟まり、これをトポに記載されているチョックストーンと誤認。結果、カンマンボロン右稜線を大面岩左稜線と誤認することとなる。

 
IMG_3607[接続部のチョックストーン]

 
勘違いしたままカンマンボロン右稜線に乗り上げると古びたボルトが上部へ続いている。相変わらずガスが濃く位置関係を把握出来ない。とりあえず登攀を開始するが、人気ルートにしては風化が激しい。何よりもプロテクションがクッソ錆びていてフリーで抜けるにはリスクが高すぎる。A0で抜け灌木でピッチを切り作戦会議。

取りつきに失敗したのは間違いないってことで、ガスの切れ間から本来のラインっぽいのを探す。そして下降を決断。

 
IMG_3609[風化しまくり]

 

スラブ 5.8

IMG_3618[左稜線2P目取付]

 
仕切りなおして目星を付けたラインを探しに行く。フィックスロープやトレースをトポと照らし合わせながら程なく2P目5.8の取りつきを発見。一同胸を撫で下ろす。

9:40頃にS兄貴リードで「大面岩 左稜線 5.10c」の登攀が始まる。スラブを抜けるとルンゼ状3級、ここでリード交代。いつの間にやらガスは晴れていた。

 
IMG_3622[2P目出だしから上部を望む]

 

スラブ 5.10a

出だしが分かりにくかったがトポと照らし合わせて木登りからテラスへ這い上がる。基本的にほぼ歩き。ズルズルとロープを引きずりながら前進。とにかく流れが悪い。最後に5mほどの個性的なトラバースをこなしてピッチを切る。残置ハーケンにプロテクションを取ったら一段と流れが悪化。ロープの引き上げが過去最大級に大変になる。

 

カンテ 5.10c

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そして数字上の核心パート。S兄貴が「バランス悪いけど面白いなー」といいつつ抜けて行く。カンテから入ってスラブへ左上する面白いピッチ。岩も硬く純粋にフリークライミングが楽しめる。そのまま次も繋げられそうだが「独り占めするわけにはいかないからね」と交代。あざーす!

 

カンテ 5.10b

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んで本日のハイライト。出だしにボルダーを乗っ越して露出感抜群のカンテを登る。難しくはないが丁寧にホールドを探して高度を上げていく。前ピッチ同様、岩が硬く快適なフリークライミング。

 

スラブ 5.10a

つづいてトラバースから直上。トポ通り出だしのトラバースが恐ろしい。上部はデリケートなスラブ。灌木帯でピッチを切り、最終ピッチとなるチムニー〜OWへと歩く。

 

OW 5.10a

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順当に考えてS兄貴パートなのだが「やってみてもいいんじゃね?」と仰るので何を血迷ったか俺氏突撃。

チムニー内はジットリと湿っぽい。頭上には小さな空。まるで幽閉されたかのよう。

遥か頭上の空を目指してズリズリと這い上がる。バック&フットで高度を上げていくと次第に幅が狭くなりチムニーからOWへ。ヒール&トウ、チキンウイングなど聞きかじったムーブでは太刀打ちできない。全身全霊を込めて次のリングボルト(もちろん錆びてる)まで前進してドローをセット、力尽きてテンション。

その後、心折れそうになるも兄貴のアドバイスでヨレヨレになりつつ何とかフリーで突破。水分不足と疲労困憊で終了点作業中に何度も右手が攣った。

 

完登

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OW以降は簡単な岩稜歩きで頂上台座まで。ピーク左手のボルダーから乗っ越して下降地点へ。この日は空いていたのか他のパーティは二組だけ。先行パーティの下降をのんびり待ちながら絶景を堪能した。

コルから取りつきへ戻る道中にもカッコいい岩壁やらボルダーが無数にあって大興奮。瑞牆山のポテンシャルは底知れないなーと再確認した。

 
IMG_3672[佐久間の塔下部の洞窟]

 

恋するスラブ

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この世には二種類の人間がいる。

スラブを愛する者と、スラブから愛される者だ。

この日、黒岩を訪れたのは低傾斜界の重鎮 – UEchang aka Srabista -。いうまでもなく後者に分類される人物である。彼を案内するのは「キメイラ 5.12a」。天高くそびえるスラブは天国へ続く階段のようだ。

 

梅雨目前の転戦

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当初の予定は甲府幕岩だった。榛名黒岩はすでにシーズンオフだと思っていたのだ。しかし前日に山梨方面の予報は雨へと崩れる。反対に群馬方面の予報は好転。偶然とは思えない展開に翻弄されつつ、最終的に榛名黒岩を選択。

翌朝、小雨が舞う関越道を不安げに北上し高崎で高速を降りる。すると乾いたアスファルトに雲の切れ間からは太陽。この男、どんだけスラブに愛されてるんだよ。

しかし、思わぬアクシデントが発生。落石防止工事で林道が一部通行止め。40分程歩くこととなった。なんすか?ツンデレってやつですか?

 

無名 5.10d FL

予定外のハイキングをこなして9時頃現場に到着。東壁の「無名 5.10d」でアップ開始。リード慣れしていないUEchangが果敢にマスタートライ。ホールドを探すのに苦労しながら高度を上げて行く。終盤は黒山名物の埃まみれホールドに面喰らいながらも無事MOS。続いてFL、回収する。

 

ボランティア 5.11a MOS

交代して隣りのラインを登る。出だしのクラックにフィンガージャムがバチ効きでテラスまで快適に上がる。じっくりとムーブを錬り、ダイレクトラインで抜ける。

そしてUEchangと交代、こちらもテラス以降のムーブをじっくりと錬るがホールドの見当が違ったかフォール。体力温存の為に回収する。

 

舞姫 5.11b 2RP

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そしてもう一本イレブン前半をトライ。オブザベーションでは上部核心と予想したが実際には下部核心。序盤の外傾カチを保持しながらも足がスリップしてフォール。ムーブを探ろうかと考えたがロワーダウンしてグラウンドアップに拘ってみる。

ほぼレストなしで再トライ。外傾カチを保持して手を進めるがまたしても悪い。更に進めて何とか突破。上部は予想外に素直だった。安定して5.11bをMOSできるようになるにはもう少しだけ経験値と集中力を高める必要がありそう。

 

キメイラ逢瀬

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そしてお待ちかねスラビスタ on キメイラ。

生い茂った木の葉に岩頭が隠され、春先より高く遠く感じる。「うわっ!? こんなに!? 高くない!?」と興奮を隠せないスラビスタ。面喰らったような物言いとは裏腹に、当然のようにノーヒントでマスタートライを始める。

やや高い1ピン目を丁寧に掛けて順調に2ピン目へ。そして核心へ入って行く。しかし安山岩が不慣れなためかホールドがなかなか見つからない。とりあえず3ピン目をクリップして更にムーブを探る。試行錯誤の結果3ピン目付近へ突入、核心へ向かう。

しかし既に長時間のムーブ探りでヨレが見え始める。更にその先は微妙なホールディングが続く。流石に初見では突破出来ずフォール。その後、あーだこーだとホールディングやらムーブを試行錯誤。下からもそれとなく「俺の時はその足を〜」とかアドバイスを送るが帰宅後に動画を確認すると全く別のムーブ。とんだ妨害工作であった。

とは言え3トライ目で核心は解決。しかし体力的に繋げるのは厳しく、次回へ持ち越しとなった。ちょっとスラブからの愛が重かったんじゃないかな。

 

ラーコンナ 5.10b MOS

キメイラの右隣に位置するスラブラインだが、ルンゼ状クラックにプロテクションを取りながら登った。出だしはチムニーからハンドサイズになり、最後は適当に抜ける。終了点は絶景。

 

サルバドール 5.13a 初トライ

そして本日の高難度強傾斜課題。そういえば真面目にアッパーグレードをトライするのは久しぶりな気がする。とりあえず「5.13aってどんなのもんなの?」を確かめるためスタート。

威圧的な強傾斜カンテで1ピン目までは緊張感が高い。必要以上に力が入るがとにかくクリップ、ほっと一息してテンション。しかし地上からは持てそうに見えていたホールドはことごとく極悪。カンテ側のホールドも遠かったり甘かったり。探りながら2ピン目まで進む。

高度が上がるにつれ傾斜は緩くなってくるがホールドは悪くなる一方。ヒールを駆使し3ピン目まで進む。地上からでは2ピン目までが核心と踏んでいたが一向に強度は下がらない。

強傾斜のハングドックでヨレるのを感じながら試行錯誤してムーブを探って行く。遂に3ピン目を付近を突破し、後はリップを取れば終わりだっと思っているとまたしても「地上からは持てそうに見えたんですけど」なホールド。これが13aってやつなんですかね。

フルリーチで直接リップをたたけば一瞬だけ保持できたが突破する体力は残っていなかった。時間のことも考えて今日はここまでとした。

 

大スラブ中央クラック 5.9 2P

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〆は2ピッチのマルチ。既に5時をまわっていたが夏至の恩恵を最大限に生かすべく登攀開始。事前情報がなくカムの必要数も不明だったが隣接ルートから回収も可能と踏む。

1ピッチ目はボルトルートを快適に辿る。2ピッチ目は#1,#3,#.5あたりをセットし、最後はグサグサに錆びたRCCボルトにクリップ。終了点が目前に見えているが最後のワンムーブを見つけるのに苦労して抜ける。部分的に痺れたが充実のクライミングだった。

 

所感

というわけで今日もスポートルートに始まり、トラッド、マルチピッチ、限界グレードトライと多彩なクライミングを楽しめました。

最近は一日で5本以上初見のルートを登るっていうのが楽しくてしょうがないけど、一方で限界グレードより高難度をトライする機会を伺ってもいました。そんなわけで梅雨入り前にその機会を得れたことは非常にうれしい。

「サルバドール」はずっと気になっていたルートだが、触ってみた印象は基本的にポジティブ。全てのムーブを解決したわけではなく、むしろ今回詰めなかった部分こそが最大核心な気もするけどそれでも期待と希望は大きい。

しっかり夏の間に準備して秋にがんばりましょう。

調和の幻想

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声にだして読みたいルート名十選の常連である「調和の幻想 5P 5.10a」を登った。

ハンドからOWに至る各種サイズのクラック、カンテにディエードル、フェイスにスラブ、そして木登りまで。長いジャムセクションこそないが変化に富んだ濃厚なクライミングを味わえました。

濃厚すぎて翌日は食傷気味(つまり筋肉痛ってこと)。

 

1P 5.9+ 6:45

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5時に植樹祭広場を出発して6時ごろ到着。じゃんけん大会でS兄貴が奇数ピッチ、私が偶数ピッチと相成る。装備をチェックして6時45分にクライムオン。

7時前から荷物を背負ってのクライミグは想像よりきつい。岩も冷たく体がうまく動かない。こんなんで大丈夫かとちょっと不安を感じながらのスタート。

 

2P 5.8 7:10

2p目、リードの出番がやってきた。不安をかき消すようにスタートするが出だしがワイド気味で大変。なんとか乗っ越してプロテクションをとる。朝露の影響かフリクションが悪く手も足も座りが悪い。

ビビりながらも枯れ木のテラスに抜ける。

 

3P 5.9 7:40

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すこしづつ気温が上昇してきた3p目。ルートファインディングが必要なピッチを着実な読みで抜けていく。フリクションもよくなってきたようだ。

 

4P 5.10a 8:20

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数字上の核心ピッチ。出だしの木登りをみた瞬間「あ、これやったことありますよ」と得意ムーブ発言。意気揚々とチムニー登りでクラック下部へ。

蛇行したラインをたどりクラック中間部でプロテクションセット。そこからが悪くゼーハーと喘ぎながら上がっていく。カムに交えて心もとない灌木にもランナーをとる。なんとかOS。

 

5P 5.9 9:10

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そして本当の意味での核心ピッチ。フレアしたクラックが口を開けて待っている。兄貴がカムをずらしながらジワジワと上がっていくが非常にキツそう。上部のOWもこれまた。

フォローはゴボウ確定と思っているとプロテクションの必要がないのでレイバックで快適。しかしOWだけはA0となった。

 

IMG_5313[フレアしたクラックで#6をセット]

 

完登 10:30

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岩頭に抜けると日差しが眩しく、いつの間にか太陽が高い。懸垂下降3回で地上に降りると11:20、大休止を入れる。

 

継続登攀

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本日の大一番は無事に登ることができたが、目標とする「ベルジュエール」は2倍の10ピッチを擁する。ここからが本番とばかりに継続登攀を開始。疲労感を無視して「錦秋カナトコルート 5.10a」へ向かう。ついでにベルジュエールの取りつきと燕返しのハングを確認してカナトコへ。

カナトコ取りつき付近は炎天下。本チャンっぽい1p目を兄貴。上部の風化が著しく「調和の幻想」とのギャップに戸惑う。

2p目は私。小さめのカムで奮闘しながら上部のクラックに到達するがスローピー。ガクブルの足を踏ん張るがエッジングできずフォール。くやしー。

合計7ピッチを登ったところで行動終了。10ピッチには満たないが途中の下降や継続へのアプローチなど諸々の行程を勘案すると「ベルジュエール」は射程圏内じゃないだろうか。

大面岩方面のピークに立つクライマーを望みながら一服する。

 

IMG_5353[おれもあそこに立ちたい]

 

懸垂下降一回で地上まで。その後撤収してガチャ分けするが疲労感が半端なく、あらゆる動作が平時の80%くらい。のろのろと余韻に浸りながら下山した。

 

IMG_5362[振り返ればモアイフェイス]

 

高嶺の湯で疲れた足をほぐしながら、なんか懐かしい疲労感だなーとおもったら縦走山行のそれに似ていることに気がついた。城山のスポートマルチでは感じることはなかったが、トラッドマルチは「登山」をした感覚が色濃い。

スポートマルチもトラッドマルチも基本的にフリークライミング主体のアクティビティだが、後者の持つ圧倒的な「山を登った感」はどう説明すればいいんだろう。瑞牆山というロケーションがそうさせるのだろうか。

うまく言語化ができないが、子どもの頃に憧れた「ロッククライミング」という行為に最も近いのは多分、これだ。

 

城山 マルチピッチ

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2016年の初外岩は城山。

今年のテーマの一つであるマルチピッチを登ってきました。

 

丙申-ひのえさる-

photo by taro inomata[photo by taro inomata]

 

今回は一泊二日の行程、初日はワイルドボアでスポートルートをがっつり。

前回S木兄貴とトライした「トゥエルブモンキー5.12b」をタローくんを交えてあーだこーだ。今年の干支ってことで縁起もいい(気がする)。

ボルダリーなラインは、全力で体幹勝負を挑むイメージ。「かさぶた」のようなダイナミックムーブは出てこない。ポイントは核心のトラバースで声を出すことでしょうか。「サァーーーー!」みたいな。

ちなみに核心を超えても甘いホールドが続く。追い込まれたところで厳しい距離にパラダイスガバが出現。届きさえすればヒャッハーなのだが、これで終わりと思ったら大間違い。

駄目押しのクッソカチが出てきて心をヘシ折られたところで、ようやく雲の彼方からビクトリーガバ。

ドローセットを除いて3トライ、前回2トライと都合5トライ。ワンテンまでは比較的スムーズに進んだが、うーん。繋がるんかな?これ。

 

幕営

幕営は最近マダニが出たと話題の狩野川河川敷。

「おれ、明日二日酔いだったら、よろしくね」とおっしゃる兄貴はガロンでビールを流しこんだ後、2ピッチ目はハイボール。翌日は何事もなかったのように晴れ晴れとしていた。

 

南壁

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二日目は南壁初上陸。YAMAAN!チームから拝借したGoProを携えアプローチを行く。

それなりの盛況っぷりで目当ての「バトルランナー」「エキスカーション」はどちらも数パーティがトライ中。テキトーに5.10aあたりでアップ。日差しは強く半袖でも登れるが風が吹くと寒い。

なんやかんやと順番待ったり装備確認したりでようやく「バトルランナー 4ピッチ 5.10a」に取り付く。

 

バトルランナー

G0060342[登攀開始]

 

1ピッチ目はタローリード、スイスイと下部スラブを抜ける。快適に高度を稼ぎつつフォローで続く。ときおり風が吹くがおおむね暖かい。むしろやや暑いくらい。

 

G0060813[高度感がイイ]

G0060831[1ピッチ目終了点]

G0060994[しんがりの兄貴]

 

そして核心となる2ピッチ目はワタシ。小ハング直下まで前進するが、「うん?10aのハングなのにガバはどこにあるんだ?」とやや焦る。緊張感と日差しの強さが相まって手もヌメる。が、それ以上にモカシムの中で足汗がハンパない状態。

 

G0061842[ハングを望む]

 

こいつは気合入れないとフツーに落ちるな、と肚をくくってカチにかじりつくように乗っ越し。ヌルヌルの足で耐え、這々の体でビレイポイントへ。フヘー疲れた。ちなみにここでGoProのバッテリーが終わる。

 

G0061974[ハング突破中]

 

残りの2ピッチを爽快なランナウトで無難にこなして完登。そのまま「ダイレクトルート 2ピッチ 5.10d」まで懸垂して継続。

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[ハングに怯む私 photo by taro inomata]

 

ダイレクトルート 継続

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[ヨレヨレの私 photo by taro inomata]

 
1ピッチ目はタローリード、5.10dの垂壁をジワジワと着実に高度を上げていく。見るからにムズそうなんすけど…

S兄貴からサブザックを受け取りフォローで登攀。チョークバッグが前側にあるのが地味にいやらしい。すでにヨレヨレの足に鞭打って意地のトップアウト。

続く5.10bでリード交代。

タローくんが「ボルトからやや離れるけどリカバリー可能だよ!」とヒント&アドバイスをくれていたが敢えなくA0。5.10bとはいえ6ピッチ目、しかもスラブときては力及ばず。

鍛えなおして、10ピッチくらいはサクッと登れる耐久力を身につけたいと心に誓いました。

次の目標は「エキスカーション」から「ダイレクトライン」への継続かな。そのためにはロープワークやらギアの扱い等々、登攀以外の諸々の能力をもっと洗練させないとね。タローくん、S兄貴、本当に勉強させていただきありがとうございましたっ。

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[高度感サイコー photo by taro inomata]