今シーズンの締めくくりは「阿弥陀岳 北稜」
ようやく雪と岩がフツーに出てくる、所謂「アルパインルート」を登った事になります。
南沢大滝
今回の行程は一泊二日。初日は南沢大滝でアイスクライミングを行う。メンバーは「剣岳源次郎」と同じZK夫妻。源次郎の時から「冬は北稜ですな」って話をしていたので割と構想は長い。ちなみに今回の山行終了時で「来シーズンは北西稜ですな」ってことになっている。
さて、大滝は既に10名ほどのクライマーが取り付いており、空いてるラインは右端のみ。おそらく最も難しいラインだ。しかしZK氏はアップもなしであっさりリード。抜群に安定したクライミングを魅せる。その後、奥様と続き私。もちろんTRである。ちなみに1try目でアックスがすっぽ抜けてフォールしたのは秘密だ。
三人で5本ほど登って撤収。行者小屋へ向かう。
阿弥陀岳 北稜
翌日、6時に起床して外を見るとなんと雪。そして阿弥陀も赤岳もガスの彼方。某天気予報によればA判定の登山日和だったはずだが、やはり山の天気。転戦すべきか検討しつつ出発を一時間延ばす。
一時間後、若干回復の兆しが見えてきた事もあり突っ込まない前提で出発。既に10組近いパーティーが先行しているため、トレースは明瞭かつラッセルいらず。1時間程でサクっとジャンクションピークに到達。岩稜取り付きに到着すると順番待ち10人強。幸いにも無風なので気長に順番を待つ。
そしてようやく登攀開始。出だしのチムニーにアックスを掛けてみるが、ドライツーリングのセンスの無さを痛感して早々に手で登る。その後、2ピン目を経て短いトラバースをやや緊張しながら通過、草付きと雪面にダガーポジションを効かせてテラスへ抜ける。
2ピッチ目は初めからアックスをクリッパーに掛けたまま登攀。ピナクルにランナーを取ることも考えたが、特に問題なさそうなのでフリーソロのまま抜ける。乗っこすと小さな痩せ尾根。もしやこれがナイフリッジなのか?いや、岩稜短すぎない?と思いながらZK氏の元へ。
「ひょっとしてこれで終わり?」「いや、いくらなんでも…」とか話していると先行パーティの方から「ここで第二岩稜は終わりですよ」と教えていただく。ZK奥様も上がってきて三人であっけにとられたまま阿弥陀頂上までハイクアップ。
頂上から中岳のコルを経由して中岳沢から行者へ約1時間。無事、行程を終える。
早朝の降雪時は敗退・転戦も考えたが、終わってみると快適かつ余裕のある山行だった。技術的にも体力的にも十分なマージンを取って行動する事ができたのでアルパイン初級としては理想的な展開だったかと。