タグ別アーカイブ: とある岩場

月の黒兎

「有頂天」を登ったあと、「月の黒兎」なるラインを登った。

岩の場所はエリア内でもアプローチ最短、多分車から3分とかからない。遊歩道が右に流れ始めるところを左下方に降りて行く。不法投棄が残念だが岩からは見えない。(焼石に水とわかりつつちょっとずつゴミを拾っている。なにもしないよりはマシかな…)

そこにエリア最大クラスのスラブと120~130°のハングがある。

カサEさんとスラブのラインを2本登ったあとにハングに取り付く。顕著なカチから中間部のクレーターを経由してリップに出るラインを妄想するが、初手からなんもできない。取り先は高いアンダーホールドだ。加えて130°。果てしなくクレーターが遠い。

しれっとクレータースタートに切り替えるが、高いアンダーホールドでスタートするのも楽な話ではない。さらに腰が下がった状態でリップに…出れない。微妙に足位置を調整すること小一時間、ようやくリップが止まる。スタートで楽な足を選ぶと初手が出せなくなるパターンであった。危うくどハマりするところだったが万事解決、これで完登目前と2手目を出すが遠い&痛い。なんとか止めるが今度は足が上がらない。カサEさんがふと「直上できるのかなあ」などと言い出すが、あのクソ遠いスローパーに何を夢見てるんだと臍で茶を沸かして無事敗退となった。

だが後日、驚きの事実が知らされる。

いやはや、試しもしないで無理と決めつけた己の不明を恥じるばかりである。

数週間後、娘氏に付き添ってもらって直上ラインをトライ。心なしか前回より近く感じる。とりあえず地ジャンでリップにぶら下がり飛ぶ。…意外に距離は出る。スローパーもインカット部分があり保持感はよい。そうか、これは可能なラインだったのかと改めて納得。

数トライの末、無事スローパーを止めて完登。なんでもやってみることが大事。とてもよい勉強になりました。ちなみにカチからクレーターに繋げるラインとカチから直上するラインは継続案件なのでセッション熱望中です。

有頂天

 

1年ほど前、娘氏とハイキング(という名の岩探し)でとある岩場にたどり着いた。GoogleEarthとネット上の断片的な情報から、ソコソコの岩がありそうだと予想していたが、ソコソコどころか立派なボルダーが鎮座していた。ローカルクライマーの足跡を感じながらチョーク跡のあるラインをいくつか登ったあと、スローピーなリップラインが目に入った。苔の状態とチョーク跡の無さから未登の可能性を感じつつ、ホールドの乏しさから簡単ではないことが伺えた。

その後、@gniyama 氏から情報を共有してもらい、SDスタートからマントルを返す既存ライン「雁ヶ腹摺(がんがはらすり)」が存在しているが上部に抜けるラインは未登らしいと判った。

トライはスローパーってこともありコンディションを待って12月から開始。2日目にはあと一手に迫まり、こいつぁ年内に完成させて気持ちよく正月を過ごしてやるぜとほくそ笑んでいた。今にして思えば典型的なフラグである。

しかし3日目、止めるだけと思ってた最後の一手はとうとう止まらなかった。よりにもよってクリスマス、家族はどーしたんだという批判は甘んじて受けよう。サンタはいい子のところにしか来ないってのはガチなんだな。サンタの代わりに@gniyama氏がいたけど。

とはいえ収穫がなかったわけではない。微妙なホールディングの調整でムーブが劇的に良くなり、終盤に多少なりとも余裕が生まれた。そういえば、こういう細かい最適化って好きだったよな。ムーブが洗練されたことも嬉しいが、初心というか大切な何かを再確認した気がする。

そして年明け登り初め。最後の一手をもう一度観察。すると今まで見落としていたホールディングに気がつく。どうやら最後の一手ではなく二手だったのだが、まあそんなもんだ。しかし繋げてみるまでは正直よくわからない。入念にアップしてトライを開始した。岩はパリパリだが気温が低すぎてシューズが弾かれる。一度足が抜けるが最終局面まで来る。比較的順調だがやはりヨレを感じる。さっき作ったばかりのムーブをこなす。なんとか止まった。あと一手。けっこうヨレてる。ひよったら終わると手を出す。ヒールがぬけて振られる。落ちなかった。

登れてみると思った以上に嬉しかった。ホッとしたとかじゃなく単純に嬉しかった。それがまたよかった。

 

 

課題名は同じ岩にある「怒髪天」からインスパイアを受けて「有頂天」と命名。例によって完登前から名前は決めており、「怒髪天」と対になる名前を思いついた時は相当なドヤ顔だったと思われる。とはいえ「怒髪天」と双璧をなす課題が出来たと自負している。グレードは初段から二段のどこかになると思うが再登者の意見を待ちしております。

最後に、@gniyama氏をはじめ、このエリアを守り育てている全てのクライマーに心からお礼申し上げます。

ヒヨッコの集い

 

イノ+ミケと登りに行った。このメンツで登りに行くのはいつぶりだろう。ほんの数年前までは毎週のように岩に行ってた気がするが、思えば全員30代だった。今ではミケちゃん以外は四十を迎え、色々と変化に晒されながらもそれぞれにクライミングを続けている。

とはいえ周りを見渡せば、自分より長く登ってる強々オヤジクライマーはゴマンといる。

妙な感傷に浸ってしまったが我々など未だヒヨッコに等しい。

 

ヒヨッコ

本日、ヒヨッコどもはSSKにあった。便所横の◯臭シリーズが狙いである。朝イチで現場入りするとまあ寒い。極悪そうな左上クラックを眺めてヒヨッコにはまだ早えーなと早々に移動する。

とりあえずアップだということでお寺裏に上がる。シャーク〜夕影〜朔風〜刻一刻と岩巡り。この谷筋だけでも魅力的な岩は多い。パワフルなハングラインが見えたので今度やりたい。

 

夕影

一通り岩を愛でること小一時間、 シャーク上部のボルダーに取り付く。これぞSSKと言わんばかりのバリバリの粒子が手に刺さる。後から来たローカルさんに「夕影 初段」という課題を教えてもらったのでトライしてみる。

ハンドジャムが効きそうなのでクラックグローブをはめて取りついてみる。うむ、どうもしっくりこない。まあいつものことさ…と思ってるとなんということでしょう。

核心でバチ効きである。

イノ+ミケにもジャミンググローブを貸した上でジャミングの優位性を熱弁するが、いまいち賛同を得られず。

曰く、
「グローブがずれる」
「効いてるのかよくわからん」
「っていうかエイドですよね?」
などなど。

ちなみに私はクラックグローブはもとより、チョークやクライミングシューズもエイドギアだという論を支持しているが、その話はまた今度。

とりあえずムーブはわかったのでRPトライするが指皮の消耗激しく変なところで落ちまくり。全容がわかってしまうとどうも雑になってしまう。「わかったからもういいかな」と思わんでもなかったが、ちょっと休憩してトライ。完登することができた。

グレードは初段が妥当だと思うがジャミングしないと難しくなりそう。

ちなみに、ついでに触った「がんばれひろしくん」(ひろしじゃなかったかも)は3級とは思えぬ悪さだった。

 

 

 

朔風快晴

その後上部に移動してスラブ・カンテを登る。

すでに指皮の消耗激しく粒子を握り込んでると手汗が滲んでくる。風が吹いてるタイミングを狙って右カンテを完登。後で調べたが「朔風快晴 初段」らしい。上部でカンテに身をかわしたがフェイス側だけでもトップアウトできそうではある。その場合はワングレード上がりそう。

吉田さんのブログを読んでも上部のラインははっきりわからないが、まあこういうのは自分が見えたラインでいいと思う。

その後「韋駄天 1級」を地ジャンで登ろうとイノさんとセッションしたが止まらず。しれっとスタティックで登る。その後もイノ氏は果敢に飛び続けていた。初心貫徹の漢である。

 

 

両者ともラインが不明瞭だったりフリクション良すぎたりで正確な比較は難しいが、提唱されてるグレードよりやや簡単に感じる。そういえば「歳時機」とかも2級くらいに感じたもんな。個人的には吉田さんのスラブグレードは甘めだと感じている。

もっとも初段のマントル課題「なまはげ」に7年かかった奴が言っても説得力はないか。

最後に刻一刻に上がるが指皮が終わってて何もできなかった。また今度取り組んでみたい。

バイソンと苔

とある岩場でハイク&クライムしてきた。

 

岩質は安山岩で比較的しっかりしている。いわゆる里山って感じで日当たり良好、広葉樹の森の中からは富士山がドーンと望める好立地。地元ではハイカー、クライマーともによく知られた場所でトレイルは歩きやすく、4歳娘とゆっくり歩いて2時間くらいで周回できた。

 

そこで登った一押しの課題、「バイソン」について記しておきたい。

アプローチは駐車場から山腹コースを辿って登山道ボルダー群を抜け、頂上の手前まで登る。登山道から右手下に斜面から突き出したボルダーが現れる。(ちなみに下部にはさらにボルダーが存在する)

4m弱くらいのサイズだが下部にスペースがあり、ぱっと見で面白ムーブ間違いなしの雰囲気。前に回ってみると突進してくる牛に見える。上部の苔が毛むくじゃらにしか見えないつーことで登るまえからバイソンと呼ぶ。

課題は二つ。鼻先からスタートする「ノーズ」とSDスタートの「バイソン」。ここでいうSDとはもちろんスリープスタートのことである。シットなどヌルいことを言ってはいけない。地面に寝そべってバイソンの顎下を眺めていただきたい。(後日LD(lie down)スタートなるものがあると@senkatzさんから教わりました)

「ノーズ」に関しては既に登られている可能性は高いと思う。一方、「バイソン」に関してはひょっとすると初登かもしれない。信頼できる筋にも当たってみたが立派な苔から察するに登られてないんじゃない?というご意見だった。情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非!

ちなみに後日改めて見ると牛より恐竜、いやヨッ○ーなんじゃね?という気がしてきたがあえて「バイソン」のままとしたい。

こだわる理由は上部の苔にある。個人的には下地や苔も含めて可能な限り手を加えないで登りたいという思いがある。だが現実には苔を落とさず登れる岩は少なく、多くの場合苔を落として登られる。

しかし、この課題に関してはそうした掃除は必要なく登れる。そういった意味からも稀有なボルダーだろう。

この先も、訪れたクライマーに立派な毛むくじゃらを愛でられる「バイソン」であってほしい。そう願っている。

 

よみひとしらず

IMG_7423

 

前回に引き継いてSSK。メンバーも同じくSAT6師匠とスズメちゃん、カサE氏。二週間ぶりのアプローチは慣れもあったのか「あれ、こんなに近かったかしら」みたいな感じ。八海山をスルーして一気に末端壁まで。

到着後、アップ開始かと思いきや各自岩の匂いにつられて岩探し。あのラインがーとかこのクラックがーとか言ってたら10時を過ぎていた。情報が少ないと岩を探す楽しみがあっていいね。なんなら一日中岩探ししてられるかも。

 

IMG_7399[急登を駆け上がり岩を探す面々]

 

IMG_7394[とにかくかっこいい]

 

 

Like A Squamish

IMG_7405

 

今回の目当ては末端壁でひと際目をひくボルトライン。名前も初登者もグレードもわからないがとにかくセクシー。行ったこともないけどスコーミッシュっぽいので勝手に「スコーミッシュぽいやつ」と呼んでいる。

さくっとアップを済ませてオンサイトトライ開始。序盤のダイクの突破が意外に難しい。慎重にムーブを探りなんとか突破。核心部へ至る。

想定ムーブを試すが絶望的にカンテが遠い。レストは安定しているのでじっくりムーブを読みラインを変更する。よく見れば足もある。苔が乗っているが乾燥しているので気にしないことにして突入。

だが部分的にホールドが悪く、行きつ戻りつを繰り返す。ようやくシーケンスを固めるがやはり不安。そういえばボルトルートを本気でオンサイトトライするのっていつぶりだろうか。こういう時は吠えるに限る、イージーな一手目から吠えて寄せの一手、カンテへの一手、計3回くらい吠えた。

カンテは居心地が良すぎて長居すると集中力が切れそう。休みすぎないようにして無事にオンサイト。テラスに立ち上がって完登とした。いやーグレードがわからないオンサイトトライって充実する。

勢い「5.11a-bくらいあってもいいんじゃないかと」と言ってると超絶スムースにSAT6師匠がフラッシュ。核心部では全くリキみのないスタティックムーブ。吠える要素など皆無である。「うん、どう考えても11はないでしょ」とのこと。スズメちゃんも粘ってFLした後、「花崗岩の11台を一撃したことないからこれはもう少し簡単なのでは…」とのご意見。

ですよねー。俺もそうじゃないかなーと思ってたんだよ…

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA [photo by スズメちゃん]

 

フォールサイズ更新

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[photo by スズメちゃん]

 

非常に充実したのところでアップの際に偵察したフィンガークラックにトライ。ジャミングというより縦カチをつないで登るタイプ。全体的にバランシーかつプロテクションにも緊張感が漂う。リップを叩けば終わると肚をくくって手を進める。

だが予想に反してリップは甘かった。荒い息を整えつつホールドを探るが足が抜けてフォール。#0.5は抜群のプロテクション性能を発揮してくれた。過去に本気フォールしたカムサイズは#0.75なので、ワンサイズ更新である。今回は落ち練もする予定だったのでいい練習になったと思う。

尚、イージーだと思っていたリップ突破が実は核心だったわけだが、ロープの流れやプロテクション、ムーブなどを考えるとマントル中に落ちるとやばそう。さらに回収もフォーロー回収でない限りひと手間必要。とはいえ次はRPを狙いたい。

 

アイブリフェイス

IMG_7396

 

午後からはNP&ボルトなミックスフェイスルート。左側のフレークをNPで登って核心部はボルト。傾斜はスラブから垂壁、最後は少しかぶっている。もちろん名前もグレードもわからないが間違いなく面白そう。(帰宅後調べた結果、アイブリ5.11d-12?と思われる)

細い松の木にランナーを取って下部の階段状を上がる。やや緊張しながら高い位置でフレークに#0.5を決める。フレークが割れることはないと思うがあまりいい気分ではない。さらに高度を上げ信頼に足るスリットに#1を決める。徐々に悪くなるホールドを辿りながら一本目のボルトにクリップ。さらに手を進めるとホールドは悪くなるばかり。二本目のボルトに決死の覚悟でドローセットしてA0クリップ。うーん痺れる。

そして予想どおりここからが核心。スローパーと甘いカチ、悪いフットホールドがメンタルを削る。少しムーブを探ってSAT6師匠と交代、核心部を繊細なフットホールドを捉えて高度を稼いでいく。「このへんホールドが剥離しまっくてる」と言ってたけど、なんつーかメンタル系だ。そしてついに三本目直下のガバを捉える。そのあとはイージーと踏んでいたがそこからも小核心っぽい。だが嬉しいことに四本目のボルトを発見。最後はジャリジャリのハンドクラックにジャムを決めて終了点へ。予想どおり設定盛りすぎの一本であった。

その後、回収便で二本目クリップ後にフォール。終了点までのムーブも自分なりに解析して次回の目標とした。

 

快適チムニー

@satosixxがシェアした投稿

 

装備をまとめて〆のチムニーに移動。スズメちゃんの奮闘トライをギャラリーしつつ「デイドリーム」の見学に行く。既にいい時間になっているのでSAT6師匠に挟まってもらって自分はギャラリーに徹する構え。

するとなんですかね。トップロープとはいえワイドの手本のように背中で登っていくじゃないですか。時間いっぱいフルフルで奮闘してもらう予定があっさりトップアウト。「ワイドおもしろいね!」と言ってたけどチートってやつじゃないかと。

すると微妙に時間ができてしまった結果、お鉢が回ってくる。しかたなくトップロープでお茶を濁そうとすると「絶対にリードでいくべき!」と猛プッシュの末、気がつけばワイドサイズのカムをぶら下げてクラックの中。あれ、なんか前回も同じ展開があったような…

しかし、両者の登りから多大なヒントを得たおかげで快適に前進することに成功。スクイーズサイズの奥には入り込まず手前の快適なレンジでプッシュとバックアンドフットを繰り返し登っていく。自分史上最高に快適なワイドクライミングとなった。

薄々気がついてはいたけど、びびってクラック奥に入り込むとメットは引っかかるわ足はツルわでいいことない。勇気を持って外へ出ていけば活路が開けるのだ。とにかく初めて心の底から「ワイドたのしい!」と思えるようになりました。もうベルジュエールのチムニーピッチも怖くないぜ。

 

 

よみひとしらず

今回トライした課題は最後のチムニーを除いてあまり情報が出てこない。ボルトの設置や整備を行ったであろうクライマーは察しがつくが、初登に関してはどうだろう。太刀岡や甲府幕岩開拓期と同時期にひかれたとしても不思議ではないと思う。

過去にトポも存在したようだが、それが出版物だったのか山岳会の会報程度のものだったのかもよくわからず、ローカルではない自分にとって、古文書とか密教的な経典のように思える。

もちろん、この地に詳しいクライマーに尋ねればすぐにわかるのかもしれない(第一人者と呼ぶべき人にはもう聞けないけど)。しかし謎は謎のまま、神秘的なこの岩場を楽しむほうが良いような気がしている。発表された情報からではなく、自分の目で岩を見て登りたい。

Wild Wide Wall

IMG_7364

 

原始的かつ野性味あふれるクラックを登りたい、という極めて個人的欲求にお付合いいただきましてカサE氏、スズメちゃん、SAT6師匠と花崗岩クラック。

前夜は路面凍結と未知のルートへの不安と期待が交錯してなかなか寝付けなったが、当日はスーパー快晴につきアプローチもルートファイディングも問題無かった。(ごくわずかですが日陰のコーナーに路面凍結あり)

 

アップ

IMG_7348

 

ナナメクラックまで上がってアップ開始。併せてSAT6師匠にカムの使い方とか注意事項をざっくり説明、低い岩でカムセットと回収の練習を行う。なかなか珍しい光景だ。

その後、以前ボルダーで登ったハイボールをスズメちゃんとトップ&フォローで登る。カムが効くと期待したクラックはビミョーな塩梅でスズメちゃんが痺れつつ突破、後に続く。危険度はボルダーと大差ないかも。

 

IMG_7344[テーピング大会]

 

IMG_7350[プロテクション練習にうってつけ]

 

白鳥正宗 5.10a

IMG_7351

 

で本日お目当ての一本。じゃんけん大会でカサE氏からスタート。正面からだとわからないが真横から水準器を使って撮影すると立派な前傾壁。本当に5.10aなのかよと思ってると荒い息を吐きながらカサEが見事にOS。一応OS狙いのためトライは見ないつもりだったが写真撮ったりガンバ送ったりでチラチラ見てしまった。

代わって取り付いてみるとなるほど前傾壁である。凹角にスメアを張れば傾斜は逃がせるがアームバーを深く決めたりするとモロに傾斜を食らう。この辺のサジ加減が面白い。岩肌がかつてないほど荒々しくさっそく前腕から流血。肩とメットを凹角にスメアして高度を上げる。フットジャムはバチ効き。快適にマントルをこなして無事OS。ムーブ的にも長さ的にもボルダーのようなルートだった。いつかハイボルダーとして登ってみたい。スズメちゃんも抜群の安定感で一撃。師匠も初クラックなのに危なげないハンドジャムでトップアウト。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[photo by スズメちゃん]

 

一同気分よく移動する。だがこの後、苦渋のワイドが待ち受けていようとは知る由もなかった。

 

イエローゲート 5.10?

IMG_7357

 

100mほど上がってこれまた立派なワイドクラック。

個人的にはトライすべきか否か大いに悩んでいたが「このワイドをみて触りもしないなんて、ずいぶん奥手なのね」ってオーラを感じたので謹んでオンサイト権を謙譲。歓喜に打ち震えるスズメちゃんのOSトライ開始。スタート付近は浮き石が堆積しててのっけから厳しい予感。そしてワイド入り口はハング。てっきりワイドに入るまでは容易と思いきやハング越えが難題。レイバックかジャミングか思い切るのが難しい。

こいつは厳しそうだなーと眺めつつ周辺の岩場探索。セクシーなフィンガークラックを見つける。たぶん「晩秋の交差点」だろう。

 

IMG_7360[美しいフィンガークラック]

 

待ってる間にSAT6師匠と東面のラインを見いだして登る。こちらもスタートはワイルド系、ぼろぼろと粒子が欠ける。一段上がって太い灌木の間を縫って進む。イワタケのこびり付いた岩に#4を決めてレイバックからマントル。先程のフィンガークラックまでとした。体感5.7くらい。

戻ってくるとスズメちゃん、カサE氏ともにワイド突入ならず「レイバックで入るのが正解と思うけど落ちたらテラスががが…」とのこと。

出来るだけ穏便に済ませようと「さ、移動ですかね」的な発言をするが「がみけんムーブを見せて」とか「クラックというよりフェイスムーブだから」とか押し切られて気がつけばハング下。

プロテクションをチェックしてホールドを確かめる。ふむ、レイバックはありそうだ。意を決してガストンからレイバックに移行して高度を稼ぐ。すると一気に身体が入る位置まで。ムーブは大正解だったようだ。しかしレイバックからクラックに入るムーブが悪い。強引に腕をスタックさせて身体をねじ込む。プロテクションは既に足下。あな恐ろしや。

入ってみるとスクイーズチムニー。開き気味の#6を腰の辺りに決める。次のプロテクションは数メートル先までない。この手のワイドを確実に登れるようになりたいもんだ、と思いつつ回収もまた壮絶だった。

 

16990502_2228322354059720_717309303_o[photo by hirayama satoshi]

 

末端壁

IMG_7376

 

ワイドを堪能したあとは末端壁へ。途中で目の覚めるような美しいフィンガークラックを発見。官能的なレベルで端正。これをボルダーとして登ったら最高だろうな。

ワークアウトは5.7のワイド。快適。カンテを挟んで右側のフィンガークラックも登る。こちらも面白い。上部は土が堆積してるので灌木を掴んでマントル。5.9くらいかな?

 

IMG_7380[ワイド 5.7]

 

IMG_7387[フィンガー 5.9]

 

最後にスクイーズチムニー5.8。終了点から「情熱の薔薇」を眺めて本日の締めくくりとした。トラッド楽しすぎる。

 

IMG_7378

 

古え人

img_7058

 

大阪からヒゲ氏が来てたのでINO氏、ZAKI氏を迎え4人パーティにて某岩場。ICを降りて市街地を通り抜け山間部に入っていくとマイナス2度の表示。日陰の気温とはいえなかなかハードな予感がした。

 

ちびちびトラバース 2級 FA

アプローチを開始してもなかなか日が当たらず寒い。とりあえず大ハングまで上がる。アプローチ慣れしていないZAKI氏に「アプローチ楽勝だよ!!」とか言ってたけどナマハゲから大ハングまではちょこっと登りだった。あと序盤の切り立ったトラバースでも面喰らってたな…この場を借りてテヘペロしておきます。

アップは大ハングの裏面。適当に掃除して簡単な課題を登る。「スイトラレバース」のスタートをやってみるけど極悪。左ハムストの調子もイマイチなので即座に鞍替え。ZAKI氏が「このトラバースあるかも」つって楽しんでる課題に参戦。

巨大ボルダーの足下をちびちびとトラバースするある意味贅沢な一本。

中央にある顕著な棚ホールドから右にトラバースして棚足まで来たら直上。トップアウトは木を使う。中間部の一見ブランクセクションに見えるところが核心。ムーブの組み立てが面白い。最後、木を掴んだ瞬間に訪れるパラダイス感で昇天。

ラインはアップでμ UP!が詳しい。

既に登られてるかもしれないけど、とりあえず「ちびちびトラバース 2級」と遊びで名前を付けておいた。情報をお持ちの方や、ご意見などがありましたらこちらまで。

 

大ハング

img_7063

 

スラブトラバースから一転してどっかぶりのランジ課題。

とりあえずスタンドで初手を何度か飛ぶ。飛距離は十分、指皮の消費を度外視して何回かやれば初手は止まりそう。その後は基本的に悪くなさそうなのでテンポよく行けば登れる予感。ってことで本日はここまで。ZAKI氏はまさかのマシンガントライでめっちゃ飛んでた。

 

ナルコレプシー

最上部まで上がってナルコレプシー。

既に登っている僕とINO氏はナルコ左面にあるのっぺりしたリップでマントル特訓。くそワリーんだが。左側に墜落時にヒットしそうな岩があるので右抜けを試みていたがどうにも解決不可能。

そうこうしているとZAKI氏がさっくりナルコをRPして参戦。マットを追加して件の岩を覆って左抜けを慣行。おや、なんかありそうな雰囲気…

ひょっとするかもと左抜けをトライしてみるといい感じに腰が上がってくる。あとはpushで返し切れば…と言いたいところだが上部が微妙に起きているのでバランスが悪く奮闘しているとヒールが抜けてフォール。なんどかやってみるが結局返しきれず移動。

ところで今まで気がつかなかったがナルコ周辺から古い時代の石垣が点在しており、そのまま谷筋を詰める形で続いている。100m上部にいくと過去に整地されたであろう台地がある。建造物のあとは見つけられなかったが興味がわく。

 

古え人 一級 RP

img_7069

 

良い時間になってきたので下山しつつ、これだけは登っておきたかった「古え人 1級」にトライ。前回マントルの悪さと日差しにやられて敗退したのは酸っぱい思い出、被ったカンテをフック系の足技で登るお洒落な課題だ。

一発目から核心の初手が止まるが、思ったより身体がヨレてることに気がつく。何度目かでマントルまで進むがやはり悪い。前回作ったマントルムーブをもう一度おさらいする。

INO氏と情報交換をしながら大切にトライを重ねていくとINO氏が鮮やかにマントルを返して一抜け。驚くほどスムースなマントルだった。どうやら手は送らずに返した方が良いとのこと。更に二手目の足位置を盤石な位置に最適化し時が来るのを待った。そして短いレストを挟んでトライ。初手取りは足下眼力ムーブ。二手目を最適化した足位置から的確に寄せ、リップに繋ぐ。更にリップを進めヒールを上げた。するとそのままマントルが返って後はバランスを取るだけとなった。

こんな最適なマントルがあったとは気がつくのが遅せえなーと思いつつ、良い課題が登れて嬉しかった。

最後はパスウェイを冷やかして撤収。次は48やって見たいぜ。

 

Daemon / Granite

IMG_1765

 

二週続けて「なまはげ」。もちろん秋田のじゃなくて山梨の。

 

パスウェイ 初段 RP

まずはアプローチ開始直後に表れるパスウェイ。初段でアップと言いたいところだが、周辺のボルダーやらSD3Qを触って遊ぶ。

そしてパスウェイ。前回あまり好印象を持てなかったので実は消極的。しかし、指皮のコンディションが良いのかカンテを保持する右手が劇的に良い。「あ、浅く持った方が効くやつなのね」とか言いつつヌルりとスタート。前回あれだけ苦労したスタートと同じとは思えない。そのまま初手を放つが、ミートせずフォール。デッドのイメージを固めて再トライに望む。

コツ系ムーブはコツを掴むと実に快適、ヌルっとスタートからスパッとデッド、ピシャリと止まる。そのまま手を進めてマントルを返し完登。やや苦手意識を感じていただけに登れてしまうと一転、「何度でも登りたい名課題」に感じる。いや〜、現金なもんですな。その後、「カメラ回してなかったので」というブザマなエキスキューズを入れつつ、再登。うむ、すばらしい課題だった。是非もう一度、いや何度でも登りたい。

 

 

悪い子はいねぇがぁ〜

 
IMG_1741

 
そしてもう一つの宿題、「なまはげ 初段」。結論から先に述べると、またしても鬼退治ならず。多分、良い子じゃないと登れないのだ。その左証に、ミケ&イノはあっさり完登(イノ氏は再登)。今回も後一手、いや最後の一手を掴みつつも指のかかりが浅く、無念のフォール。どんだけマントルセンスないんだよって話。

 

ウーマンフロムトーキョー

 
ミケちゃんが打ちたいというので、またしてもマントル課題。あまり登られていない雰囲気だが、ここは彼の気持ちを尊重して他二名も友情の接待トライ。しかし、極悪スタートから初手を取りにいけず3-4トライを出した後、驚愕の一言を放つ。「あんまり…もういいかな」

 

Mr Boo

 
野外劇場ハング(勝手に呼んでるだけ)裏にあるルーフ課題。全くムーブが解決できない。二手目からトウフックをかけマッチに進むがそこから謎。そもそもトウフックじゃないかも。

 

オフスプリング 3Q RP

野外劇場ハングのアンダートラバース課題。マントル直前までアンダーホールドを掴み逆層スラブをトラバースする。前回見た時に一目惚れ。スリップで惜しくもOSならずだったが、その後RP。マントルが怖かったがヒールをかけるとあっさり返せた。

 

 

ミケちゃんは流石のOS。ino氏は苦手系と見え危うくはまりかけたあげく、チョークバックなしでマントルに突入。「手が滑ってきた〜」と焦りながらも無事完登。念のため断っておくが、我々は当然「inoパイセン、俺のチョークバック使ってください」と申し出たのだ。

 

IMG_1772

 
その後「ナナメクラック」に移動するがまさかの雪。結局回収ならず。

 

たきちハング

 
降りてくると雪も止んで、ヨレた体でレッツどっかぶり。「Mr Boo」よりムーブ解析の進捗は良いが、とんでもなく粒子が粗い。ルーフのスタートをあれやこれやと探り、フリクション系マントルで指皮を削りまくって終了。

 

摩擦係数

帰りの車中ではino氏が婚活ブログを始めようかなと言うのでみんなでブログタイトルの大喜利。多数の候補(下ネタ含む)の中から珠玉の一本を選ぶのは難しく、結論は持ち越し。そのうち公開されたら摂ブログから大量のトラックバックを飛ばそうと存じます。