声にだして読みたいルート名十選の常連である「調和の幻想 5P 5.10a」を登った。
ハンドからOWに至る各種サイズのクラック、カンテにディエードル、フェイスにスラブ、そして木登りまで。長いジャムセクションこそないが変化に富んだ濃厚なクライミングを味わえました。
濃厚すぎて翌日は食傷気味(つまり筋肉痛ってこと)。
1P 5.9+ 6:45
5時に植樹祭広場を出発して6時ごろ到着。じゃんけん大会でS兄貴が奇数ピッチ、私が偶数ピッチと相成る。装備をチェックして6時45分にクライムオン。
7時前から荷物を背負ってのクライミグは想像よりきつい。岩も冷たく体がうまく動かない。こんなんで大丈夫かとちょっと不安を感じながらのスタート。
2P 5.8 7:10
2p目、リードの出番がやってきた。不安をかき消すようにスタートするが出だしがワイド気味で大変。なんとか乗っ越してプロテクションをとる。朝露の影響かフリクションが悪く手も足も座りが悪い。
ビビりながらも枯れ木のテラスに抜ける。
3P 5.9 7:40
すこしづつ気温が上昇してきた3p目。ルートファインディングが必要なピッチを着実な読みで抜けていく。フリクションもよくなってきたようだ。
4P 5.10a 8:20
数字上の核心ピッチ。出だしの木登りをみた瞬間「あ、これやったことありますよ」と得意ムーブ発言。意気揚々とチムニー登りでクラック下部へ。
蛇行したラインをたどりクラック中間部でプロテクションセット。そこからが悪くゼーハーと喘ぎながら上がっていく。カムに交えて心もとない灌木にもランナーをとる。なんとかOS。
5P 5.9 9:10
そして本当の意味での核心ピッチ。フレアしたクラックが口を開けて待っている。兄貴がカムをずらしながらジワジワと上がっていくが非常にキツそう。上部のOWもこれまた。
フォローはゴボウ確定と思っているとプロテクションの必要がないのでレイバックで快適。しかしOWだけはA0となった。
完登 10:30
岩頭に抜けると日差しが眩しく、いつの間にか太陽が高い。懸垂下降3回で地上に降りると11:20、大休止を入れる。
継続登攀
本日の大一番は無事に登ることができたが、目標とする「ベルジュエール」は2倍の10ピッチを擁する。ここからが本番とばかりに継続登攀を開始。疲労感を無視して「錦秋カナトコルート 5.10a」へ向かう。ついでにベルジュエールの取りつきと燕返しのハングを確認してカナトコへ。
カナトコ取りつき付近は炎天下。本チャンっぽい1p目を兄貴。上部の風化が著しく「調和の幻想」とのギャップに戸惑う。
2p目は私。小さめのカムで奮闘しながら上部のクラックに到達するがスローピー。ガクブルの足を踏ん張るがエッジングできずフォール。くやしー。
合計7ピッチを登ったところで行動終了。10ピッチには満たないが途中の下降や継続へのアプローチなど諸々の行程を勘案すると「ベルジュエール」は射程圏内じゃないだろうか。
大面岩方面のピークに立つクライマーを望みながら一服する。
懸垂下降一回で地上まで。その後撤収してガチャ分けするが疲労感が半端なく、あらゆる動作が平時の80%くらい。のろのろと余韻に浸りながら下山した。
高嶺の湯で疲れた足をほぐしながら、なんか懐かしい疲労感だなーとおもったら縦走山行のそれに似ていることに気がついた。城山のスポートマルチでは感じることはなかったが、トラッドマルチは「登山」をした感覚が色濃い。
スポートマルチもトラッドマルチも基本的にフリークライミング主体のアクティビティだが、後者の持つ圧倒的な「山を登った感」はどう説明すればいいんだろう。瑞牆山というロケーションがそうさせるのだろうか。
うまく言語化ができないが、子どもの頃に憧れた「ロッククライミング」という行為に最も近いのは多分、これだ。