月別アーカイブ: 2016年2月

意識高い系クラック

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日本が世界に誇るグローバルなシークリフ、城ヶ崎にてクラックリードデビューしてきました。

フェイスに逃げることなく、ジャミングとプロテクションスキルのキャッチアップに勤しみ、NPフォールのイニシエーションも済ませ、遂にトップロープとリードのギャズムを越えることに成功、感無量であります。

これでクラッククライマーを名乗っても許されるでしょうか…あ、とはいえギア類はS兄貴とH氏の全面的バックアップによるものなので経済的依存度は100%。両氏には全力でリスペクトであります。

 

カラス 5.9+ FL

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前回は爆風吹き荒れる「あかね浜」だったが、今回はポカポカ陽気の「オーシャン」。前回同様トップロープでアップと思いきやS兄貴が「リードでいいんじゃね?」とフランクにサジェッションするのでアップもなしに人生初クラックリードトライ。

ジャミングでクラックとがっぷり四つ…と思ったがそもそもクラックムーブは一部分だけ。ドキドキしたが無事フラッシュ達成。

 

ボクサー 5.10a FL

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お次は隣りのフィストサイズにトライ。フレアしたクラックに乏しいフットホールド。予想通りクラックに到達すると足が決まらない。フィストの効きが甘く、動きが制限される。次のジャムを極めたいが手順が悪いのか体勢が悪いのか、どうにも体が上がらない。

結局、クラックのエッジをガストンで耐えてガバ取り。そして完登。

フェイスのホールドには頼らなかったが、果たしてクラックムーブと呼べるのか…。5.10aのクラックを5.10aのクラックとして登れなければ瑞牆のクラックマルチは登れないだろう。

完登はうれしいが、更なる高みを目指すため今一度ロードマップを確認するのであった。

 
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ミストレル 5.9+

先ほどの反省を活かすべく、がっつりジャミング指向を肝に銘じてトライ。

下部パートを抜けテラスから核心部の凹角クラックへ。予想より傾斜があり悪い。足も決まらず左フェイスの魅力的なカチホールドがこれでもかと誘惑してくる。何度もカチに手が伸びそうになるが、その度に「いや待て待て、そうじゃないんだっ」と自制をかける。

いったいなんのプレイだろうか。

だが結局どうにもならずカチへ。ところが煮え切らない意識高い系が災いしてか、あっさりフォール。キャメロット#1だけが優しく私を包容してくれた。

その後、あーでもないこーでもないとムーブを探るが一向に解決せず。クラックムーブのボキャブラリー不足が露呈することとなった。しかし、ブレイクスルーは唐突にやってくるもの。期待値最底辺のフットホールドに足をあげると、あら不思議。

手も足もバチ効きであります。

ムーブ探りの影響でヨレヨレだったが、なんとか粘ってトップアウト。充実の登攀であった。

 

恐竜クラック 5.9

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最後に「しりいだし」に移動して恐竜クラック。

ここでもS兄貴は「OSやってみたいなら止めないよ?一生に一度のOS権だからね。俺は何にも言えね〜」とアグレッシブな姿勢を崩さない。入念にオブザベーションした結果、番手の大きいカムが使えると判断し、望むところとOSトライ。

下部に#5をキメて、左上パート出だしに#2をセット。徐々に広がるクラックをたどり#5をキメる。フットジャムとのコンビネーションで抜けようとするが、ここでクラックの洗礼、「カムが邪魔でジャミングスペースがない」に陥る。

何とか体をくねらせ核心に到達、#4をキメる。更にもうひとつ#4をねじ込むがそこからのムーブが謎。クラックムーブに拘らず強引に抜けようかと思いもしたが既に疲労はピーク。足掻くだけ足掻いてフォール。

#4は涼しい顔で墜落を止めてくれた。

その後、粘ってはみたがNPでハンドドッグは気持ちがフワついて集中出来ず。一旦トップアウトし、トップロープで解決。流石に体力が限界のためRPは諦めて回収に入った。だがここでロープスタック。頭上に月が輝きだす頃になんとかA0で登り返して回収に成功。ヒヤヒヤだった。

というわけで非常に充実感の高いクラッククライミングを堪能しましたが、とにかくクラックリードは楽しい。もうトップロープには戻れないと実感したのであります。

 

梅酒ロック、ダブルで。

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2016年になったと思ったら早くも2月が到来。そういえばまだ1回もボルダー行ってないんだぜ。

先日、「普段はリードなの?ボルダーなの?」って聞かれたんだけど、「もちろん、メインはボルダーです!」と即答。

だがクラッシュパッドを背負うのは実に2ヶ月ぶり。言ってることとやってることが大きく乖離してきた感が…や、でもいいんです。山と岩と雪は全部繋がっている、はず。

 

梅まつり

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というわけで1000氏&アンジーと湯河原幕岩。

自宅でカレーを食ったのにもかかわらず小田原港で刺身定食を完食し「梅まつり」初日の現場へ向かう。ちなみに体重は安定の厳冬季仕様である。

まずはアップで米粒岩。梅見のお客さんと歓談しながらボチボチ温める。

カンテ完全限定の米蔵を冷やかしていたつもりが、それっぽいムーブが出てきてやや前のめり。「これ、最後のトライなんで」を4,5回…いや6,7回リピートしてようやく貝殻岩へ移動。

 

Wプロジェクト 二段 RP

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初めて触ったのは2年前、離陸すら出来なかったのを覚えている。

しかし昨年1月、まったく期待していなかったが、アッサリ離陸に成功。調子にのって意気揚々とムーブをバラす。だが肝心の初手は止まることはなく、わずか2回で2015年の湯河原ボルダーは終了。

そしてこの日、決して期待値が低いわけではないのだが、「まーやってれば何かの間違いで指入っちゃうんじゃないの」という達観したアティチュードで向かう。

明鏡止水、いや、則天去私ってやつだ。

だがしかし、昨年ばらしたムーブの確認でつまづく。何やら色々とバランスが悪い。前回残した足もバンバン切れる。しかも久々の外ボルダーで指皮の消耗が激しく、早々に痛くなってくる。ざっくりムーブ確認を終え、繋げトライに入る。

 

 

1回目、ボディテンション100%から初手を出すがポッケを外す。まあ一発目はそんなもんだろう。

2回目、アンダーのホールディングを微修正し、初手を出すがミートせず。

3回目、足位置を変えるが離陸がきつくなり逆効果。徐々にヨレ始める。

4回目、ボディテンション120%から初手を出すがポッケを外す。やはり厳しい。

5回目、ボディテンション150%から、以下同文。

 

 

この時点で「なんか前回と同じ展開だわー。どーにもならんわー」と諦念モードまっしぐら。隣でサブウェイを打つアンジェラも同じような雰囲気を醸しており同病相憐れむ状況。

挙句、「フルロックがだめなら、ロード&リリースの脱力ムーブがあるじゃない」とヤケクソとも取れるムーブ変更を提案。駄目元でスタートから初手を放つ。

 
すると、おや?

 
過去最高に余裕のある離陸となり、滞空時間も長く感じるムーブ。何よりもフルフロックにならないのでヨレが少ない。

「こいつは間違っちゃうんじゃないの〜」とか言いつつ何度か感触を確かめ、ムーブ確認用にカメラセット。さらに溜めを大きく作りムーブを探るつもりで初手を放つ。

 
すると、あれ?

 
かろうじて指先がかかるじゃないか。ガリガリと指を削りながら持ち直す。周囲の「え?何?止まったの?」的などよめきを受けつつ足をあげて一気にリップを叩く。さっきまで足が切れ切れだったパートもトゥフックを決めホールドを繋いでいく。そして遂にマントル体勢へ。

私のヘタレマントルっぷりを誰よりも良く知る1000氏の「ぁあぁ、慎重にっっ」の声援に押されてマントルを返し、トップアウト。

狐につままれたような気分でハイタッチを交わした。

 

 

所感

まだ先は長いだろうと思っていた矢先に、まさかの完登。正直なところ現実見が薄い。初手の負荷がこれまでで最も少なく、冗談抜きでカカトが擦ってたのではないかと疑いもした。

こんなとき最も役に立つはずのカメラも「まだ登れはしないだろう」って理由からテキトーなアングルになっており、足元が見切れているのが痛い。ただし、フレームインしてたとしても体の陰に隠れて検証できない気もする。もう一度再現できればスッキリするんだが…

ちなみに離陸〜初手ムーブのヒントは、瑞牆ボルダーの竜王から着想を得ている。

一見、フルパワーが正解に思えて実際は力の入れ方と方向、タイミングこそが鍵だった。多分、あらゆるムーブがそうであるように。

 

辺境の氷瀑

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暖冬の影響で今シーズンのアイスは不作って話だったんですが、ここ数週間の寒気の恩恵を受け、各所で氷瀑がニョキニョキと成長しているそうです。

というわけで、タローくんのお誘いで同山岳会のY氏と3名で某所氷瀑。

 

期待と不安のアプローチ

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だが、寒気が入ったからといって絶対に氷結が約束されるわけではない。

「まあ、行ってみないと凍ってるかどうか分からないんで」と慎重派タロー案内のもと、転戦も視野に入れつつアプローチ。

果たして水分を多く含んだ雪をザクザクと踏みながら沢を詰めると、ゴルジュの奥にヤツは鎮座して待ち構えていた。

100m級の双頭の龍である(シークレットエリアなので話を盛っております)。

とは言え氷結はまだゆるく、全体的に水滴がポツポツと落ちてくるコンディション。アックスが弾かれることはないが、スクリューはやや心もとない。

 

登攀開始

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氷結状態をザックリ確認したのち、タローリードにて登攀開始。下部氷壁は70度前後(だいたい)。シャンデリア地帯を縫うように左上するラインを登る。抜群の安定感でテラスへ抜けピッチを切る。

さて上部はバーチカル。相変わらず湿っぽい氷瀑が聳え立っている。リードはもちろんタローくん。私がリードしたら少なくとも3回は死ねるだろう。流石にコンディションが厳しいとみえ、アックステンションを入れるがしっかりトップアウト。

そしてフォローで取り付く。予想通り氷結も甘くスクリュー回収も苦労知らず。するすると抜ける(スクリューが ! )。アックスの刺さりはいいがフルスイングで打つとパコっと容易く割れる。バーチカルに入ると足が消失。ステップを作るがキツい。Y氏に落氷コールをしたりなんやかんやキャパオーバー、あえなく足抜けフォール。前言撤回、3回じゃなくて5回死ねそう。

なんとか上に抜け安心したのも束の間、懸垂も一癖あって最後まで気の抜けない充実の登攀でした。

 

下段リード

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[photo by taro inomata]

 

その後、時間に余裕もあるので下段リードにトライ。このスケールと傾斜をリードするのは初めてである。

「スクリュー5本くらいでいいかな?」
「や、7本あったほうがいいよ」
「じゃあ8本にしとくか」

というやり取りを経てY氏のレーザースピードライトを強奪。気合をいれてアックスを振るう。

出だしの緩傾斜でまず1本目を打つ。徐々に傾斜がきつくなる前に2本目。そして中間部に3本目、しかしここでシャブシャブ氷が出現。とりあえず打ち足す。

シャブシャブスクリューは回収して更に高度を稼ぐ。比較的硬そうな氷を探してスクリューをセットするが緊張感は高まってくる。テラスまであと数メートルに迫るが気がつくとスクリューの残弾も僅か。ふと下を見るとどんだけスクリュー決めてんだよ状態。誰だ5本で登ろうとしたやつは。

鉄壁のリスクマネジメントで無事にテラス到達。タローくんとY氏のフォロービレイして撤収。

渋い温泉に入って帰路に。今シーズンの目標、阿弥陀北西稜に向けて少しは経験値を積めただろうか…