月別アーカイブ: 2016年5月

調和の幻想

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声にだして読みたいルート名十選の常連である「調和の幻想 5P 5.10a」を登った。

ハンドからOWに至る各種サイズのクラック、カンテにディエードル、フェイスにスラブ、そして木登りまで。長いジャムセクションこそないが変化に富んだ濃厚なクライミングを味わえました。

濃厚すぎて翌日は食傷気味(つまり筋肉痛ってこと)。

 

1P 5.9+ 6:45

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5時に植樹祭広場を出発して6時ごろ到着。じゃんけん大会でS兄貴が奇数ピッチ、私が偶数ピッチと相成る。装備をチェックして6時45分にクライムオン。

7時前から荷物を背負ってのクライミグは想像よりきつい。岩も冷たく体がうまく動かない。こんなんで大丈夫かとちょっと不安を感じながらのスタート。

 

2P 5.8 7:10

2p目、リードの出番がやってきた。不安をかき消すようにスタートするが出だしがワイド気味で大変。なんとか乗っ越してプロテクションをとる。朝露の影響かフリクションが悪く手も足も座りが悪い。

ビビりながらも枯れ木のテラスに抜ける。

 

3P 5.9 7:40

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すこしづつ気温が上昇してきた3p目。ルートファインディングが必要なピッチを着実な読みで抜けていく。フリクションもよくなってきたようだ。

 

4P 5.10a 8:20

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数字上の核心ピッチ。出だしの木登りをみた瞬間「あ、これやったことありますよ」と得意ムーブ発言。意気揚々とチムニー登りでクラック下部へ。

蛇行したラインをたどりクラック中間部でプロテクションセット。そこからが悪くゼーハーと喘ぎながら上がっていく。カムに交えて心もとない灌木にもランナーをとる。なんとかOS。

 

5P 5.9 9:10

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そして本当の意味での核心ピッチ。フレアしたクラックが口を開けて待っている。兄貴がカムをずらしながらジワジワと上がっていくが非常にキツそう。上部のOWもこれまた。

フォローはゴボウ確定と思っているとプロテクションの必要がないのでレイバックで快適。しかしOWだけはA0となった。

 

IMG_5313[フレアしたクラックで#6をセット]

 

完登 10:30

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岩頭に抜けると日差しが眩しく、いつの間にか太陽が高い。懸垂下降3回で地上に降りると11:20、大休止を入れる。

 

継続登攀

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本日の大一番は無事に登ることができたが、目標とする「ベルジュエール」は2倍の10ピッチを擁する。ここからが本番とばかりに継続登攀を開始。疲労感を無視して「錦秋カナトコルート 5.10a」へ向かう。ついでにベルジュエールの取りつきと燕返しのハングを確認してカナトコへ。

カナトコ取りつき付近は炎天下。本チャンっぽい1p目を兄貴。上部の風化が著しく「調和の幻想」とのギャップに戸惑う。

2p目は私。小さめのカムで奮闘しながら上部のクラックに到達するがスローピー。ガクブルの足を踏ん張るがエッジングできずフォール。くやしー。

合計7ピッチを登ったところで行動終了。10ピッチには満たないが途中の下降や継続へのアプローチなど諸々の行程を勘案すると「ベルジュエール」は射程圏内じゃないだろうか。

大面岩方面のピークに立つクライマーを望みながら一服する。

 

IMG_5353[おれもあそこに立ちたい]

 

懸垂下降一回で地上まで。その後撤収してガチャ分けするが疲労感が半端なく、あらゆる動作が平時の80%くらい。のろのろと余韻に浸りながら下山した。

 

IMG_5362[振り返ればモアイフェイス]

 

高嶺の湯で疲れた足をほぐしながら、なんか懐かしい疲労感だなーとおもったら縦走山行のそれに似ていることに気がついた。城山のスポートマルチでは感じることはなかったが、トラッドマルチは「登山」をした感覚が色濃い。

スポートマルチもトラッドマルチも基本的にフリークライミング主体のアクティビティだが、後者の持つ圧倒的な「山を登った感」はどう説明すればいいんだろう。瑞牆山というロケーションがそうさせるのだろうか。

うまく言語化ができないが、子どもの頃に憧れた「ロッククライミング」という行為に最も近いのは多分、これだ。

 

SKY HIGH

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三人そろうと100%雨、という定説を覆しミケ&オショー&ガミによる奥多摩スカイハイクライミングを満喫してきた。

とはいえ前日は結構な降雨。ホントどうなってんだか。だがしかし、評判通り氷川屏風岩の乾きは早く、アルパインゲレンデ感あふれるチャートはなんだか懐かしかった。

 

スパイシーなアップ

とりあえずB峰下部でアップ。ドライアルパインなルンゼをスパイスたっぷりで登った後、「第一苔ハング 5.10b」と思われるラインに取り付く。スタートのテラスがカタカタと小気味良い音を奏でる(オイ。

慎重に剥離チェックをしながら上がっていくがホールドを見つけられずまさかのテンション。この手のクライミングは久しぶりだったとは言えちょっとショック。

オショー&ミケのTrトライを見届けた後、一応RP。

 

直上右ルート 5.10a MOS

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A峰に場所を移してスラブ。チャートのスラブとか久しぶりすぎる。トポ通り「快適なフェイスからスラブ」へと上がる。やや湿っぽいホールドをごまかしながらじわじわと完登。なかなか良いラインでした。

オショー君が緊張感のあるナイスクライミングを披露した後、ミケちゃんに回収をお願いして懸垂下降&掛け替え講習タイム。

その後、C峰へ。

アップで登ったルンゼをザックを背負ってアプローチシューズで這い上がる。そしてフォローをビレイ。スポートルートをやりに来たとは思えない展開だが超楽しい。

 
IMG_5227[BC間テラス]

 
IMG_5217[C峰岩頭から奥多摩を一望]

 

イクイノシシ 5.11d RP

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露出間のあるC峰は城山の二間バンドを小振りにしたみたいな雰囲気。こいつぁ気持ちがいいぜ。さっそくイクイノシシをオブザベーション。1ピン目は渋い高さだ。この岩場はどこまで我々を試すのだろうか。

しばし1ピン目を眺めるがクリップできなかった場合、ルンゼを転がり落ちるのは火を見るよりも明らか。諦めてプリクリップする。安全には変えられない?いえ、私がクソ弱いだけです。

そしてOSトライ。出だしから悪い。刻みながら2,3手進めてポジティブなサイドカチへ…と思ったら清々しいまでの外傾カチ。なんじゃこりゃーと叫びながらフォール。改めてプリクリップで良かった。

とりあえず力ずくで抜け2ピン目に進む。オブザベーションどおりここはホールドが遠い。これまた力ずくで突破。繋がるんかコレ。

3ピン目はだらりとチェーンが垂れ下がっている。もちろん信頼性は不明。というか延長しなくてもフツーにクリップできるぞ。そしてまたしても遠いホールド。今度はダイナミックに気持ち良くデッドを放つ。

ロワーダウンしながら力ずくムーブをブラッシュアップ。だが「さっきどうやって抜けたんだっけ」を連発。オショー君が「現代人はスイカのせいで電車賃も覚えられねえ。記憶能力の低下だ」とまさかのスイカdisを展開していたが真摯に受け止めようと存じます。

地上に下りてミケちゃんのトライを見ながらレストタイム。出だしで苦戦する彼に「そこはXXで〜」とかアドバイス。

んで、2トライ目。出だしで行き詰まる。得意げにアドバイスしていた赤っ恥をムーブと一緒に忘れてしまいたい。とはいえ比較的無理のないムーブを探り当て仕切り直し。

順調にムーブをこなし、3ピン目の遠いホールドも捉えビクトリーガバへ。しかし、おや?微妙に遠いんですが…。まごまごしていたら指が滑ってくる。軽くタメを作ってデッド。微妙に違う所をはたいてフォール。しょっぺーーー。

一同完登を確信していただけに落胆も大きい。最後のムーブを今一度詰めて次に備える。

けっこうヨレてきているが踏ん張りどころの3トライ目。ムーブが馴染んできて疲労を感じさせないスムースクライムで2ピン目まで。核心の遠いホールドに一瞬怯むが止まると信じてデッド。なんとか捉える。

焦らず冷静かつ丁寧にムーブをつないで完登。マントルを返して岩峰の頂上に立てるのもこのルートの魅力だ。 

 

 

岩峰で記念撮影したあと、裏のルンゼをラペルで下降。最後までアルパインゲレンデっぽい展開だった。

 
IMG_5253[雨男御三家]

 

トポにないライン

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自由な発想で面白そうなラインを登った。

初登とか開拓とかってやつじゃなく手元のトポにはないけど登ったら楽しそうなやつを掃除してトライ。なので名前とかグレードは書いてはみるけど「個人の感想です」って塩梅でお願いします。

ちなみに本当は「眠った風」とか「ガルーダ」をがっつり打つ予定だったけどフリクションがね…今年の春シーズンはあっという間に終わっちゃったなーと強く思いました。

 

おやつのじかん

IMG_5143[おやつのじかん]

 

手始めにキッズ課題。簡単に掃除してトライ。大人だとリップに手が届いてしまうが5−10歳くらいにはちょうどよさそう。

登られた形跡はほぼない、というか大人はやらないだろう。「これ、ショトーなの??」と彼らの鼻息があらいのでハイハイと流していると「おやつのじかん」という名前を付けていた。

ついでに左隣りのラインをトライ。しかしマントルを返せずプロジェクト入り。いつか完成させてくれ。

 
img[プロジェクト]

 

しめった風

ひとしきりキッズと戯れた後、先住岩に上がって「眠った風」をトライ。到着直後はフリクションは良好。核心ムーブもサクサクとつながる。

しかし時が経つにつれ瞬く間にフリクションは低下。平地からの風が山頂付近でガスになっている。とんだしめった風である。ホールディングが定まらないと痛めている右薬指が不安。案の定スプーンカットで嫌な負荷がかかる。

気合いでピンチ取りまで繋ぐがクロスが出ない。深追いせず終了。

 

生き仏SD(仮)

img1[生き仏(仮)]

 

先住岩上部にあるルーフクラック「現人神」取り付き付近の岩小屋を登る。SDスタートとして使った棚は上部のルーフとは独立した岩だが気にしない。ジムナスティックなムーブが楽しめるいいライン。マントルも程よい。体感4-5級。

登られた形跡はあまりなさそう。とりあえず「現人神」にちなんで「生き仏」とした。(情報をお持ちの方がいらっしゃればお知らせください)

その隣にランジ課題を見出したが手も足も悪くて敗退。初段以上はありそう。

 
img2[ランジプロジェクト]

 

現人神を見上げるフェイス

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なんとなくキジ場っぽい枯葉たまりからスタートするフェイス。潤沢なガバでこれまたジムナスティック。体感5-6級。

こちらはスタートホールドに明確なチョーク跡。割と登られている様子だ。しかし普段とは別の意味で下地が気になる。

他にも可能性が見出せそうなハイボールやスラブが4,5個くらい。また来よう。

 

ポール・ロビンソン

IMG_5173[優しげなイケメン現る]

 
午後は「ガルーダ」を打ちに阿修羅岩。前回スタートに成功したので今回は初手止め。足位置を修正してごにょごにょしてるとNEXXOを持った物静かな白人男性が現れる。

「お、おれも同じのもってるよ、それいい靴だね!」とか思ってるとよく見るとポール・ロビンソン。そりゃあNEXXO持ってるわけだよ。

なにやらプロモーションで瑞牆に来ているらしく、スタッフの女性が「サインもらいますか?」とアゲアゲで提案してくれるので流れに任せてマイNEXXOにサインしてもらう。

ポールはハンパなく小顔のイケメンであった。

ちなみにガルーダの初手は一瞬止まりそうになった。もうちょっと打ち込んでみたいな。

 

路傍のクラック

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山形県エリアからパノラマコースを辿ると道端にあるクラック。トポにはないけど間違いなく登られてるやつ。ジャミングしなくても登れるけど是が非でもジャムをキメて登りたい。体感は10級くらい。めっちゃ快適。

 

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さらに上部にハイボールなスラブ。こちらも掃除バッチリなので登られてるっぽい。最後の窪みがガバなのかスローパーなのか下からは判断できず。クライムダウンして敗退。

そんなこんなで割と楽しい1日だった。

ゴールデンスラブ

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連休後半の初日はまたしても安山岩。家族総出で榛名黒岩。

往きに「みさと芝桜公園」に立ち寄るがピークを完全に過ぎており、まばらな芝桜を眺めながらソフトクリームを食べる。早々に黒岩へと移動するのだった。

 
IMGP1948[長男・次男のテンプレのような写真]

 

練習岩

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麓では青空が見えていたが、黒岩に上がるにしたがってお天気はどんよりアンニュイ。なにやら湿度も高く感じる。極め付けは壁からの染み出し。「キメイラ」が染みてないことを祈りながら練習岩でトップロープ。

多分一年ぶりくらいにキッズがトップロープ。二人とも楽しかった様子。その後二人は秘密基地作りへと消えていくのであった。

 

IMGP1997[本日の力作]

 

掃除と開拓

そして今日の本命に取り付く。とはいえまずは掃除とドローセットから。同時に前回やや強引なトラバースとなった部分をより自然な右上ラインへと修正する。回収用ビナから上部は汚れが酷い。丁寧に掃除しながらホールドもしっかり確認しておく。テキトーだと間違いなく落とされるだろう。

そして上部。右カンテに一切体を出さない方法を探るが結局ワンポイントだけ右に出たのち左に戻ってきて直登に落ち着いた。

ロワーダウンしてくると上部で落とした土埃が中間部のホールドに積もっていた。もちろん再度お掃除。

レストがてらキッズボルダー開拓に混じる。ロクでもないムーブを提案すると「お父さんは黙ってて!」的なことを言われたのでスゴスゴと退散。

 
IMGP2018[中1には狭い]

 

IMG_5074[小2にはジャスト]

 

キメイラ 5.12a RP

そして繋げトライ2回目。

2クリップ目まで上がって、フットホールドを再確認。呼吸を整えて核心へ入っていく。柔軟性を要求されるムーブから息を吐きながらデッド、クリップをこなしてハイステップで高度を稼ぐ、甘いホールドにガチャっとジャムを効かせてバランシーな寄せ、さらにチクタク、からのハイステップ、そしてようやくクリップホールドへ。

核心を抜けた後もなんどもレストを繰り返しようやく終了点まで。いやー充実した。

 

 
ゴールデンウィークは花崗岩とがっぷり四つの予定だったが、蓋を開けてみると安山岩の割合が高く、しかも成果まで付いてきてしまった。棚からボタ餅な感もあるがゴールデンスラブをがっつりと味わうことができて感無量。

再登者の少なそうなラインだが、もっと登られてよい魅力的なスラブルートだと自信をもってオススメします。

 

テクニカルライン

ここ数ヶ月で急速にスラブ熱が高まったきっかけは、ベースキャンプトーキョーとかロッキーの巨大ボテを使った緩傾斜課題の影響が大きい。

巨大ボテを使った各種ムーブはコンペ向きのテクニックと捉えられがちだが、実際には花崗岩や安山岩のスラブやカンテ、ディエードル、クラックで十分に使える。

例えばマントル、プッシュ、バランシーな立ち込み、全身でのジャムやチョック、フリクションを効かせたホールディングなどなど。

石灰岩や凝灰岩の強傾斜課題では出番の少ないムーブかもしれないが、先に挙げた岩場では不可欠なテクニックだ。

他にもデュアルテクスチャのマイクロアンダーホールドをプッシュして立ち込む、とか思いっきり花崗岩のテラス這い上がりで出てきそうだし。

こういった繊細がゆえに地味と見られがちなムーブやテクニックの楽しさを再確認させてくれたジムには割と本気で感謝している。