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那珂川源流 井戸沢 遡行

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開放的な沢は樹林帯のそれとは違った魅力がある。3000m峰の稜線で味わう爽快感に近いが、またひと味違う趣だ。登攀的要素も重要だが、源頭に近づくにつれ広がっていく感覚、これこそが最大の魅力だと思っている。その手の沢と言えば上越方面がまっさきに思い浮かぶが、今回は体力的事情によりコンパクトな沢をセレクト。「那珂川源流 井戸沢」を遡行した。

 

恐怖核心

前日発で都内から深山ダム入り。ダムへの峠道にさしかかる頃にはジャスト丑三つ刻。ワイフの手前、気丈に振る舞っているがハンドルを持つ手に汗が滲む。仕事のBGMとして稲川淳二を聞いたことを激しく後悔するが後の祭りだ。あと少しでダムというところで突如、真っ暗なトンネルが現れる。トンネル内に照明はなく、涙目になりつつ通過。ようやく深山ダムに到着するがガスに霞んだ湖畔は心をざわつかせる。極めつけは公衆トイレ。いったい誰が丑三つ刻にこのトイレを利用できるというのか。いつもとは違う意味で恐怖核心であった。

 

IMG_2815[早朝の深山ダム]

 

熊注意(ガチで)

翌日6時起床、車で林道終点まで。そこから入渓地点へ小一時間。熊の出没が多いようで林業のおじさん達から何度も注意喚起を促される。出来るだけ大きな声で話しながら三斗小屋跡に到着。石灯籠や鳥居のある不思議な場所で夢とも現ともない不思議な雰囲気。大日如来像に安全祈願をして一服入れる。

IMG_2825[三斗小屋跡目前で開ける]

IMG_2829[石灯籠]

IMG_2832[大日如来]

IMG_2835[不思議な雰囲気の鳥居]

 

入渓

IMG_2853[入渓地点]

 
9:30登攀具を装備して入渓。すぐに井戸沢出会いとなるが水流がまったくないので確信が持てない。一旦峠沢を偵察遡上した上で井戸沢と判断して入る。堰堤までは完全に伏流が続き、わずか5−10分にも関わらず汗が噴き出す。ちなみに「東京起点 沢登りルート120」の遡行図には堰堤は記載されていないので注意が必要。

IMG_2848[新調したサワーシューズ]

IMG_2854[井戸沢出会いは完全に水流無し]

 

核心は末広の滝15m

IMG_2861[しょっぱなから核心]

 
堰堤を越えると水流が復活し、F1-3m滝となる。ほどなくしてF2-15m滝、井戸沢核心となる末広の滝が現れる。水線突破を探ってみるが右壁はブランクが続く上に、ヌメヌメ。左壁はクラックがあるが脆そう。そして抜けがかなり悪そう。大人しく右壁から巻く。

末広の滝以降はしばらく小滝と癒しのナメ滝。やはり水量が少ないようで全体的にヌメりがち。10m級の滝を越えていくが、ホールドが豊富なのでヌメりを気にせず快適に登攀できる。

IMG_2859[F1 3m]

IMG_2862[末広滝直後のナメ]

IMG_2867[10m滝 ここは右から]

IMG_2868[10m滝 こっちは左から]

 

18m階段状滝

IMG_2872[遠目に見るとヤバそう]

 
そしてようやく18m階段状滝。遠目には登攀困難に見えるが近づいてみるとなるほど快適なテラスが豊富。ここもヌメりが酷かったが問題なく突破。その後も快適に小滝を越え、気がつくと源頭の雰囲気となる。最後のトイ状滝を越え枯れ沢となってからの詰めが想像より長かったが、ほぼコースタイム通りに稜線へ抜ける。

IMG_2894[快適な小滝]

IMG_2902[源頭の雰囲気]

IMG_2914[しかし意外に長い詰め]

 

稜線へ

稜線上では2000m未満とは思えないスカイラインにトンボが舞っていた。

IMG_2929[笹とトンボ]

IMG_2931[大倉山への縦走路]

IMG_2941[大峠への縦走路]

雲行きが怪しいので早々に下山。大峠から峠沢を下降。下降中に雷雨となり待避も検討したが、川幅が広くゴルジュが存在しないため水量に気を配りながら継続。無事に入渓地点へと帰還。ゆっくり駐車場へと戻った。

IMG_2947[降りてくると木漏れ日]

色々と内容の詰まった遡行でしたが、熊にも遭うことなく増水に流されることもなく、無事に下山できたのは三斗小屋跡でお参りをしたご利益でしょうか。そんな三斗小屋跡ですが、調べてみると歴史的に複雑な土地のようです。調べるほどに現地で感じた不思議な感覚が色濃くなる、真夏の径でした。

鹿股川 桜沢 遡行

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「子連れで無理のないハイキングができて、水量は豊富だが危険ではない河原で遊べて、実はその間にコッソリ沢登りしつつ、ナメ滝だけでなく登攀も楽めて、比較的涼しく、できることなら渋滞に巻き込まれたくない」というこの上なくワガママな要求に応えてくれる「鹿股川 桜沢」に行ってきました。当初は丹沢のモロクボ沢を予定していたところ、酷暑と渋滞回避のため急遽変更。こちらのサイトで有力情報を入手し、炎天下に焦げ付く東京から全力で脱出。

 

山の駅 たかはら

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桜沢の入渓地点へは「山の駅 たかはら」から下山でアプローチとなる。遊歩道はよく整備されているので子連れでも快適。中間地点に架かる「雷霆の滝」までゆっくり小一時間(大人なら20-30分)で到着。河原遊びに夢中のマイソンとしばし別行動。

 
IMG_2683[子猿のように戯れる]

 

咆哮霹靂の滝

IMG_2655[霹靂の滝12m]

 
遊歩道を下り切ると、そのまま入渓地点となり遡行開始。咆哮滝8mと霹靂滝12mが出迎える。まずは霹靂滝を偵察。右側のラインに可能性を感じるが、予想よりヌメる上にやや脆い。ビレイヤーがいれば途中の灌木にランナーをとれそうだが今回はソロ。諦めて咆哮滝を登る。こちらもヌメっているが傾斜が寝ているので特に問題はなし。

 
IMG_2654[咆哮の滝8m]

 

癒しのなめ滝

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咆哮霹靂の滝から上部は広い川幅になめ滝と瀞がたゆたう。存分に癒されながら遡行。標高が高いためか奥多摩と比べて水温は低め。当日はピーカンだったので気持ちよかったが、曇ってると積極的に泳ぐ気にはならないかも。

 

雷霆の滝

IMG_2692[雷霆の滝10m]

 
ほどなくして雷霆の滝に到着。マイソンにラーメンを作りながら雷霆の滝を登攀。水量の少ない中央ラインを突破、トップロープを設置する。出来上がったラーメンをすすりながらワイフの登攀にガンバを送る(滝の音でかき消されてたけど)。

 

IMG_2685[子猿のように戯れる其の二]

 

渇水のおしらじの滝

IMG_2723[おしらじの滝]

 

雷霆の滝以降もしばらく癒しのなめ滝が続くが、伏流帯に入った後、水量は回復せず「おしらじの滝」に到達。美しい青みがかかった釜を湛えているが滝に水流はなし。その後もゴーロ歩きを経て林道へ上がり遡行終了。

帰りは城の湯やすらぎの里。お風呂もご飯もバッチリだった。