夏の間はクラック修行に全力で勤しむ予定だったが気がつけば9月も半ば。最後にクラックに行ったのはいつだったか…思えば短い夏だった。
もっともこれからがベストシーズンってやつで、岩の状態も身体の状態も上向いてきている。去年は良い入り方ができたので今年もそうありたい。
森林浴 5.8 MOS
そんなわけで2ヶ月ぶりに小川山でクラッククライミング。藐姑射岩というオシャレな響きの岩場にやってきた。パーティー内にリピーターが居るかと思いきや全員初見。四人仲良く百岩片手にルートを探す。
上部、下部を一通り偵察した後、「冬のいざない 5.10b」がある下部にベースを固める。取り合えずアップで「森林浴 5.8」を登る。久しぶりのNPルートだがホールドが良いので安定してプロテクションを取っていく。印象的なフレークはやや期待ハズレだったが、快適に完登。M坂氏と交代。
冬のいざない 1ピッチ目 5.9 MOS
続いて左隣りの5.9に取りつく。下部のダブルクラックをオブザベーション通りにカムを決め抜ける。上部がやや被り気味でムーブも意外性があって面白い。少々複雑なクラックラインがいい味を出している。
右へトラバースして上部を見上げると美しいクラックが目に飛び込む。スズメちゃん、カサE氏がトライしている2ピッチ目、5.10bである。これは早急に合流せねばと心に決める。
[かっちょいいライン]
大和なでしこ5.8 MOS
中段テラスに上がり順番を待つあいだに凹角ルートを登る。下部でまごついたがよく見れば側壁にガバを発見。クラックとなるとクラックにばかりホールドを求めてしまう。もうちょっと肩の力を抜いて登りたい。上部にやや脆い部分もあるが概ね快適。M坂氏もリード。
[扇岩の裏]
冬のいざない 2ピッチ目 5.10b 敗退
そして件の「冬のいざない」核心ピッチ。先行トライを見ているので不要なギアを減らしてスタート。ハングまではスムーズ。このまま行けるんじゃないのとスケベ心が顔をのぞかせる。#0.75をタイトフィットさせ十分にレストを入れる。
そして肚をくくって核心へ。するとあま〜いフレアハンド。実に激甘。たまらず引き返す。もう一度確認して再度クラックへ手を伸ばす。しかし極まらない。周辺をまさぐるがどうにも極らない。もう一度引き返し再度アタック、まったく同じ展開。
行っては戻りを4,5回繰り返し、このままじゃあラチがあかないと覚悟を決める。今一度カムを確認、#0.75は申し分なく効いている。30cm下には#2もしっかり効いている。カムが外れることはほぼないだろう。墜落距離も長くない。しかし腰下にカムがある状態での落下は未経験、緊張感が高まる。
しばし呼吸を整えフレアーハンドにジャミング、やはり甘い。そのままフットジャムをねじ込みさらに両足でフットジャム。すると今までにない安定感が生まれ、ついに右手を送ることに成功。しかし次のホールドが絶望的に遠い。苦し紛れで突っ込んだフィストは何の解決にもならずフォール。結局カムエイドでトップアウト。
今にして思えば、両足フットジャムから立ち込むのが正解だったかもしれない。「もっとハンドジャムが上手くならなければ」としきりに言ってたけど足をしっかり極めれば手も極るんじゃないかな。試してないけどそんな気がする(そうであってくれ!)。
[ヘキセンを決めたくてしょうがない人]
冬景色 5.7 MOS
ここからはワークアウトモードでM坂氏とバチ効きハンドを堪能。
発熱の街角 5.10b TO
さらに「もう一本だけ」と日が暮れかける中、スラブに取りつく。しかしガスが降りてきたこともあり痛恨のスリップ、OSを逃す。そのまま上部のレイバックを抜けトップアウト。コンディションは悪いけど楽しい。
そしてM坂氏と交代するとなんと雨。お互いにあせらず細心の注意を払って回収。ヘッデン下山となった。
所感
5.9以下のクラックで一日遊んだが色々と気付くことがあった。
まずは落ち着いてカムセットが出来るようになったこと。アイスクライミングのスクリューセットより落ち着いて作業できる。
そして、フットジャム。やっぱ足と腰ですね。コイツが極らないと手も極らない。こういうのを巷では基礎と呼ぶのだろう。
最後にシューズ。前回、足の痛みでカサブランカに敗退したことから、痛くないシューズを求めてやまなかった。そして今回、モカシムでのフットジャムを試したところ全く痛くないことを確認。やはり攻めた靴でフットジャムはよくないんだよ(今更)。まさに目から鱗が…
というわけで朧げながらクラックに必要な要素が分かってきた気がする。次は不動沢に行きたいなー。
[アプローチで見つけた分岐岩]