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フリーウェイ 瑞牆山 大面岩

大面岩のフリーウェイを登った。ダーヤマ先生と2日間のトライでチームレッドポイント。

DAY1

数年振りに大面岩へ。カンマンボロンと比べて朝は日が入らないのでちょっと寒い。1ピッチ目は正規のボルトルートからではなく、やや左のクラックから。あまり深く考えた訳ではなく、こっちの方がプロテクション的にもライン的にも自然に思えたので採用。そのまま左のクラックを抜けようとしたが状態が悪いのでいったん戻る。直上ラインにハンガーを発見し正規ルートへ合流する。体感は5.10-。ちなみに左抜けは “Im Old Fashioned”のラインだと後で知った。


photo by yamada

続いて核心の2ピッチ目。2本目のボルトからもう悪い。yoyoスタイルで入れ替わりながらムーブを詰める。カンテ、フェイス、トラバースときてクラックで〆。各所にムーブがあって実に秀逸。花崗岩全部のせですか?みたいな構成(傾斜だけはないけど)。なんやかんやで3トライを費やしRPに漕ぎつける。

3ピッチ目は快適なクラック。右側に綺麗なハンド・フィンガークラックが並走しており、どうやら黒髭バリエーション、あるいは “Im Old Fashioned” の2ピッチらしい。これも登りたい。


photo by yamada

4ピッチ目は滑りそうな木登りスメアから這い上がってチムニーへ。チムニー内にプロテクションが取れるのでリングボルトは無視できる、ただし屈曲に注意。そしてダイクトラバース、ここをルンゼ直上ではなくトラバースを選ぶセンスとその高度感にしびれる。途中で直上クラックに心を奪われそうになるが忠実に右端まで。5ピッチ目の取りつきまで確認してこの日はここで終了。懸垂で黒髭バリエーション上部のクラックを通過するが、登攀意欲を掻き立てる素晴らしいクラック。これは登りたい(2度目)

DAY2

前回から2週間を経て一気に寒い。晴れ予報だが雲が日光を遮り、かつ時折風がつよい。とりあえず2ピッチ目まで上がれば日が当たるだろうとダウンを着たまま登る。終了点に到着すると日が当たるがなんと雪が残っている。遠くを見ると金峰山は冠雪。冬かよ(冬です)。

前回のムーブを再現するだけの簡単なお仕事、のはずが数メートル進んだところで指が急激に悴む。核心を超えたあたりでもはや何を持っているのやら。首筋で指先を温めようと試みるが焼け石に水。なんとかクラックにたどり着くが前回より悪く感じる。それもそのはずジャミンググローブが破れているではないか。出し切って終了点まで。あわよくば黒髭バリエーションから抜けようと考えていたが、すでに腹一杯なのでノーマルルートにシフト。今回はダーヤマ先生セレクトで4ピッチ目を直上クラックで抜ける。快適なクラック。このピッチはクライマーの感性に合わせてどう登っても楽しいと思う。


photo by yamada

そして5ピッチ目。豪快なV字クラック。取りつきからV字の先が見えないのがまたよい。V字の左から抜けてクラックを辿り再びカンテまで。クラック内がガタガタしているので雑にセットするとよろしくなさそう。丁寧にセットすれば#4までワンセットで行けるだろう(ご利用は計画的に)。終了点はハンド・フィンガーサイズのカムで構築。いつのまにか風は止んでてポカポカ。

6ピッチ目、カンテスラブをダーヤマ先生が渾身のRP。時間が迫ってきてるのでフォローはA0で抜ける。


photo by yamada

7ピッチ目、快適なクラックから岩茸が残るカンテをプルプルしながら抜ける。だいぶ疲れてる。今日イチ快適なテラスに到着。

8ピッチ目、実質の最終ピッチ。時刻は16時、日没まであと30分程。ここまでかという雰囲気を感じつつ、出だしのムーブさえこなせば上部は簡単そうに見える。あがってきたダーヤマ先生の「ここまでですかね〜」に被せ気味で「ワンムーブだけやってみてダメならおりましょう!」とトライ開始。

しかし予想より難しい。一か八かで手を出すがなにもないスローパーを叩いてあっさりテンション。ホールドを確認して次に備える。既に時刻は16時15分。こんなに難しいなら上部は楽勝でしょうと盛大にフラグを立てる。集中してなんとか突破。あとはウィニングロードを辿るだけと中間部のスラブに入る。ところがまたしても予想より難しい…無事、フラグ回収である。しかも手順を間違えるのと修正できそうにないので出だしより遥かにプレッシャーが大きい。今日イチの集中力を動員して即興で細かいホールドを繋ぐ。2日間を通して一番よいクライミングをした気がする。

終了点に着くと程なくして日が沈んだ。

ショートサーキット・B1フィンガー

梅雨前にショートサーキット5.11bとB1フィンガー5.11aを登った。

どちらも数年前に何度かトライしたのち、とくに執着するわけでもなく放置していた課題だった。

今回も特に強いモチベーションはなく、なんとなく「数年も経ったんだからクラック技術は向上しているはず。きっと快適にRPできるだろう」的な希望的観測以外のなにものでもない気分で岩場に向かった。

まずはショートサーキット。この日はSJパイセンにお付き合いいただく。とりあえずムーブはできるがプロテクションが取れない。結論としては取り付きでキメたらあとは行くだけとなった。これ、数年前と同じ結論なのだが、自信を持って突っ込めるだけ成長したってことですよね。ええ、わかってますとも。セッションでヨレまくっていたがその日最終トライでなんとかRP。実に4年ごし。

つづいてB1フィンガー。この日はマルちゃん。相変わらずシケシケ。このラインがカラリと乾くことなど本当にあるのだろうか。ただこのラインに関してはもうこれ以上引っ張りたくはなかった。なんとしてもこの日登り切るぞという気持ちは強かったように思う。全身のフリクションで凹角に張り付き、ヌメるフィンガーをなんとか耐え、無事2トライ目でRP。なんと5年ごし。

執着していたわけではないが積年の宿題が完結するとフツーに嬉しい。

というわけで、そろそろアレやらないとな

バムライフ 5.10d OS

先日末端の末端から見上げた未知のラインにトライしてきた。

結論から書くと我々が「本峰」と呼んでいたのは「文殊岩」で「本峰」に走るクラックは「クレイジーバム」だった。さらに下部ワイドと呼んでいたのは「瑞牆ロケット」といずれも由緒正しい既存ルートだった。

新しい瑞牆本やネットで情報を探せば早々に判明したと思われるが、そこはチームの共通意思としてあえて調べないスタイルを採用。残置無視の情報版みたいな考えになるだろうか。

ま、こんな立派な壁が手付かず…なんてうまい話がそうあるわけないのだが、先行きのわからないルートのことを妄想する時間は至福のひとときでした。

実際に行ってみるとチムニーの先に続くクラックを辿って行き詰まったり、コケむしたスラブ&リングボルトに敗退したり、沢の高巻きのようなルンゼを突破したり、妄想を裏切らない充実の山行…だったよね?

で、その流れからすると「クレイジーバム」を登る流れなのだが、十一面まで抜けるには時間が足りなかったので今回は隣のバムライフを登った。「クレイジーバム」はワンプッシュの時まで大切に取って置こうと思う。

なお、バムライフのクラックが美しかったので浮気心が湧いたんだろう、という指摘は上記の理由からあたらない。

さて、バムライフに取り付いてみると下部がやや立っているがジャミングもプロテクションも良いのでグイグイ手を進める。一旦傾斜が落ちるがすぐに薄被ったクラックに入る。日和らずに手も足も確実にジャミングを決めていけば導かれるように上部パートへ抜ける。

ここまでオブザベーション通りの順調な展開。

ここからは取り付きから見えないパートになるが、ここまで来ればあとはウィニングロード…ではなかった。傾斜は落ちるがクラックはやや細くなり加えて少々湿っぽい。さらに下部での消耗がジワジワ効いてくる。弱気になったら負けると、愚直に手も足もジャミングを決めると次の一手につながっていく最高の展開で終了点へ。

トポを改めてみると4つ星がついているが納得の内容だった。

シルバーフリーウェイ

 

昨年、丸氏と初めてマルチにいった際、彼はすこし伺うように聞いてきた。

「シルバーフリーウェイとか、どうですかね…?」

私はもちろんこう答えた。

「いつ行く?今週?それとも来週?」

それも食い気味に。

シルバーフリーウェイと聞いて行かないという選択肢は存在しない。いつ行くか、それだけである。

瑞牆本で目にして以来、ずっと登りたかった一本である。グレード的に難しいわけでもないしアプローチもそんなに遠くない。ただ中尾さんの名文から伝わる冒険性は否が応でも緊張感を高める。こういうルートはこういうのが好きなパートナーと組みたい。しかも双方初見が望ましい。そうなるとパートナー探しが難しくなるが、まさかの瓢箪から駒、棚からぼたもち。このチャンスを逃す手はない。時期的にシーズンは終わりに差し掛かっており、来シーズンに決行する運びとなった。

 

 

前述の会話から冬をまたぎ、その日はやってきた。少し雲が重いが5月にしては涼しい。ピリっとしたスラブを登るには悪くないコンディション。

取り付きから見上げると想像より傾斜は寝ている。広大なスラブの大海原を、わずかな凹凸を頼りにラインを見極めるつもりで肚を括ってきたが意外にも明瞭。プロテクションを決めるであろうフレークもはっきりと見て取れる。

第一印象は「快適そうなスラブ」だった。いや、正直なところ楽勝だと思った。本気シューズを出さなくてもいけるんじゃない、とナメた口をきいていると丸氏が味のある表情を向けてくるので、黙ってジーニアスを履くことにした。

立ち木にゼロピンをセットし、大海原へ漕ぎ出す。ひとつ目のRCCまであがると、急にホールドが乏しくなる。極端に悪いわけではないがムーブを見誤ると修正は難しいだろう。ナメてかからなくて良かったと安心しつつ慎重に高度を上げていく。フレークに到着するとラスクのような岩質。グラニュー糖のように粒子がポロポロ剥がれる。スリットにカムを多めに決めるが、果たして落下に耐えうるのだろうか。実に興味深い問いである。更にポケットホールドにスリングを通してプロテクションにする。

ふと誰かがスリングを通せる箇所があると嬉しそうに話してた気がする。どうも世の中は物好きが多い。

当初の読み通りスパイスは効きつつも概ね快適にオンサイト。むしろガルバニック腐食を起こしている終了点を整備したほうが良さそうに思えた。

2P目は丸氏リード。ポロポロと岩が欠けて落ちてきたがオンサイト。

3P目はクラックに入るところが濡れていて全体を通してここが一番悪く感じた。

4P目はふかふかの庭園を歩き。

5P目はワイルドなピッチを岩頭まで抜ける。

無事に全ピッチをオンサイトして取り付きへ戻った。

中尾さんに倣ってグレード感を書くとこんなところかと。

1P: 5.10c
2P: 5.10a
3P: 5.10a
4P: 歩き
5P: 5.8

Rがつくかどうかは他のRルートを登ったことがないのでわからない。何にせよ素晴らしいルートを登ることができてよかった。

他でも言及されているがご祝儀岩には他にもいくつかラインが引けそう。かつすでにステンレスアンカーが散見された。また来る機会があれば左のルンゼ〜クラックラインを見に行きたい。

 

足ならし

冬の間は昇仙峡に篭っておりましたがシーズンも終わりが見えてきたので瑞牆マルチへ行ってきました。もちろんゲートはまだ開いていない。

ここ数年、12−3月はボルダーに集中してそれ以外はトラッドとかマルチというパターン。ちなみに今冬は大ハングに5日ほど通ったがまったく繋がるイメージが得られず。シャークティースがなんとか登れたのが救いだった。また来シーズンがんばりましょう。

というわけでマルちゃんと大面岩、左稜線。フリースを着て登り始めるが日が当たるところまで来ると半袖でも快適。ハイライトピッチの出だしで左からボルダーを巻くところをあえて強点をついて直登りする。このラインからだと10cくらいに感じた。ロープを伸ばせるだけ伸ばしてチムニーを抜けるところまで5ピッチ。約3時間で岩頭に抜けた。

下降後、パノラマックスに継続。1p目が5.10aとされてるが左稜線のスラブ最終ピッチの方が間違いなく難しいと思う。5.9が妥当なのでは。

前回一刀の後に2P目のクラックラインをトライしたので今回はRPを目指す。前回ほどヨレていないので核心までは比較的スムーズ。だが核心は手強い。ダブルチキンウイングというかなんと呼べばいいのかわからんムーブで抜ける。再現できるんかコレ、という気分にさせてくれる。

そしてダメ押しの抜け。これ5.11bに収まってないよね! とマルちゃんに同意を求めたが、右のフェイスラインをトライした彼曰く、「フェイスラインは同じようなムーブで上がってくるのでここだけ難しいとは感じなかった。ジャミングの後に出てくるから面喰らうのでは」ともっともらしい説を唱えていた。

足が痛いのでアナサジに履き替えて本日2try目。ダブルチキンウィング的な何かで核心と奮闘する。なんとか耐えてテラスに抜ける。先ほどのマル理論を信じて最後の抜けムーブをこなし岩頭に抜けた。

パノラマックスとしてはあと2pほどあるが、すでに大面岩にピークは踏んでいるのでここで終了。よい足ならしとなりました。

一刀

 

フリークライミングをしてきた。

瑞牆山は小面岩のマルチピッチ、それは「一刀」。

壁中に一切の残置物を残さず、取り付きから岩頭まで花崗岩のクラックに導かれトップアウトする、最高にかっこいいライン。

このラインを初めてトライしたのは5年ほど前。その時から「安易にトップアウトはしたくない」と考え、各ピッチ完登して次に進むことにした。おあつらえむきに最終ピッチはランナウトするという。A0でトップアウトするネタバレクライミングは相応しくない。最後まで未知の領域を残して登ろうと思った。

妥協した点があるとするとハングドックとヨーヨースタイルを許容したあたり。それも当時のパートナーとよく話し合って決めた。

そんなわけで5年まえは3Pを抜けることも叶わず敗退。なにもかも足りてなかったが心意気は買っていただきたい。

そして今年の春、パートナーは山ちゃん。我々が組むと晴天率が著しく悪い。びしょびしょの1Pを沢登りのように抜ける。2Pのクラックもシケシケ、ここは前回ピンクポイントしてるので3Pのハンドクラックに注力する。2日間のトライの末、2PのRPに成功、山ちゃんは3Pも成功していた。

 


 

満を持して秋、岩はパリパリ。1Pに至っては快適すぎて#5,6の出番なし。2Pを山ちゃん。クラックに枯葉が詰まっていたが堅実に登り切る。フォローも落ちることなく続き、3Pに取り掛かる。

 

1P
1P 5.9

 

岩の状態は控えめに言って最高。やや風が冷たい。ハングのムーブを忘れていて少し消耗する。数手進み足が切れるが耐えてレイバックで切り抜ける。前回悪く感じたワイドハンドは抜群のフリクション、気がつけばフィンガークラックが目の前。チョックストーン下で十分にレスト、集中してマントルを返した。

2Pと合わせて一刀でRPグレードを更新できたことになる。地味に嬉しい。

 

3P
3P 5.11b

 

ここからが念願の初見のピッチとなる。歩きを交えチムニーピッチを抜ける。

 


5p 5.7

 

そして最終ピッチは噂のランナウト。出だしは左上したクラックでグリーンスピリットのように見えなくもない。快適に左上クラックをぬけマントルを返す。なるほどプロテクションは取れない。だが本日のフリクションにおきましては何の心配もございませんとばかりに、サラリとOS。あれ、もしかしてトラッドのOSグレード更新では…

冷たい秋風が吹き抜ける岩頭に抜け、小ヤスリのクライマーと談笑した。

取り付きを発ったのが9時半、岩頭に12時半。終わってみれば3時間程度のフリークライミング。壁には思い出だけを残してきました。

 

 


岩頭

月の黒兎

「有頂天」を登ったあと、「月の黒兎」なるラインを登った。

岩の場所はエリア内でもアプローチ最短、多分車から3分とかからない。遊歩道が右に流れ始めるところを左下方に降りて行く。不法投棄が残念だが岩からは見えない。(焼石に水とわかりつつちょっとずつゴミを拾っている。なにもしないよりはマシかな…)

そこにエリア最大クラスのスラブと120~130°のハングがある。

カサEさんとスラブのラインを2本登ったあとにハングに取り付く。顕著なカチから中間部のクレーターを経由してリップに出るラインを妄想するが、初手からなんもできない。取り先は高いアンダーホールドだ。加えて130°。果てしなくクレーターが遠い。

しれっとクレータースタートに切り替えるが、高いアンダーホールドでスタートするのも楽な話ではない。さらに腰が下がった状態でリップに…出れない。微妙に足位置を調整すること小一時間、ようやくリップが止まる。スタートで楽な足を選ぶと初手が出せなくなるパターンであった。危うくどハマりするところだったが万事解決、これで完登目前と2手目を出すが遠い&痛い。なんとか止めるが今度は足が上がらない。カサEさんがふと「直上できるのかなあ」などと言い出すが、あのクソ遠いスローパーに何を夢見てるんだと臍で茶を沸かして無事敗退となった。

だが後日、驚きの事実が知らされる。

いやはや、試しもしないで無理と決めつけた己の不明を恥じるばかりである。

数週間後、娘氏に付き添ってもらって直上ラインをトライ。心なしか前回より近く感じる。とりあえず地ジャンでリップにぶら下がり飛ぶ。…意外に距離は出る。スローパーもインカット部分があり保持感はよい。そうか、これは可能なラインだったのかと改めて納得。

数トライの末、無事スローパーを止めて完登。なんでもやってみることが大事。とてもよい勉強になりました。ちなみにカチからクレーターに繋げるラインとカチから直上するラインは継続案件なのでセッション熱望中です。

有頂天

 

1年ほど前、娘氏とハイキング(という名の岩探し)でとある岩場にたどり着いた。GoogleEarthとネット上の断片的な情報から、ソコソコの岩がありそうだと予想していたが、ソコソコどころか立派なボルダーが鎮座していた。ローカルクライマーの足跡を感じながらチョーク跡のあるラインをいくつか登ったあと、スローピーなリップラインが目に入った。苔の状態とチョーク跡の無さから未登の可能性を感じつつ、ホールドの乏しさから簡単ではないことが伺えた。

その後、@gniyama 氏から情報を共有してもらい、SDスタートからマントルを返す既存ライン「雁ヶ腹摺(がんがはらすり)」が存在しているが上部に抜けるラインは未登らしいと判った。

トライはスローパーってこともありコンディションを待って12月から開始。2日目にはあと一手に迫まり、こいつぁ年内に完成させて気持ちよく正月を過ごしてやるぜとほくそ笑んでいた。今にして思えば典型的なフラグである。

しかし3日目、止めるだけと思ってた最後の一手はとうとう止まらなかった。よりにもよってクリスマス、家族はどーしたんだという批判は甘んじて受けよう。サンタはいい子のところにしか来ないってのはガチなんだな。サンタの代わりに@gniyama氏がいたけど。

とはいえ収穫がなかったわけではない。微妙なホールディングの調整でムーブが劇的に良くなり、終盤に多少なりとも余裕が生まれた。そういえば、こういう細かい最適化って好きだったよな。ムーブが洗練されたことも嬉しいが、初心というか大切な何かを再確認した気がする。

そして年明け登り初め。最後の一手をもう一度観察。すると今まで見落としていたホールディングに気がつく。どうやら最後の一手ではなく二手だったのだが、まあそんなもんだ。しかし繋げてみるまでは正直よくわからない。入念にアップしてトライを開始した。岩はパリパリだが気温が低すぎてシューズが弾かれる。一度足が抜けるが最終局面まで来る。比較的順調だがやはりヨレを感じる。さっき作ったばかりのムーブをこなす。なんとか止まった。あと一手。けっこうヨレてる。ひよったら終わると手を出す。ヒールがぬけて振られる。落ちなかった。

登れてみると思った以上に嬉しかった。ホッとしたとかじゃなく単純に嬉しかった。それがまたよかった。

 

 

課題名は同じ岩にある「怒髪天」からインスパイアを受けて「有頂天」と命名。例によって完登前から名前は決めており、「怒髪天」と対になる名前を思いついた時は相当なドヤ顔だったと思われる。とはいえ「怒髪天」と双璧をなす課題が出来たと自負している。グレードは初段から二段のどこかになると思うが再登者の意見を待ちしております。

最後に、@gniyama氏をはじめ、このエリアを守り育てている全てのクライマーに心からお礼申し上げます。

空木岳ボルダー

森林限界を超えたところでボルダーがしたくなって中央アルプスは空木岳へ行ってきた。

当初は一泊二日で縦走にボルダーを交える予定が天気と予定が噛みあわず、前夜から歩き始める弾丸ツアーへ変更。

午後22時半、空木岳登山口からスタート。木々の隙間からわずかに月が見えるが暗い。ソロで初見の山域を夜間行動するのは控えめに言って怖い。ルートファインディング的な話もあるけど、まあなんだ、お化けなんていないんだぜ。日中だと全く気にならない枝が折れる音や遠くで鳴く鹿の声にいちいちビクビクする。熊よけも兼ねてポッドキャストを再生しながら歩みを進める。正直ポッドキャストなかったら心折れてたかもしれない…

午前3時半、ようやく森林限界を抜け一気に視界が広がる。


背後には下界と雲海、南アルプスの稜線。これこれ、こういうのが見たかったんですよ。到着したら秒で寝るつもりだったが絶景を前に写真を撮ったりはしゃいでたら午前四時半。駒石上でオープンビバーグ。

ようやく寝入った頃、風が強くなってきて目が覚める。シュラフから外を見ると南アルプスの稜線が赤く燃えている。寝てる場合じゃねえ。さっそく朝活を開始する。たぶん1時間も寝てない。

まずは駒石の正面クラック。

初見ではジャミングで登ろうとしたが高所の花崗岩は風化が激しく足が決まらない。結局レイバックでサクッと登る。他にもいくつか登って、完全に日が登り切った頃ようやく朝食。フリーズドライにお湯を入れすぎてお粥となったおこわを食す。

その後、発熱トラバースを数手やってみるがメンタル不足で敗退。快適なハンドクラックだと思うが状況的に肚をくくれなかった。

頂上に向かって歩き出す。綺麗なダブルカンテをSDで登る。

駒石同様こちらも岩肌が脆いが許容範囲。周辺にはハングやワイドもあったのので他にもラインはありそう。

さらに上がっていくと被ったクラックに遭遇。これはすごい。

下地も高さも申し分ない。何よりもこの傾斜、120−130度はあるだろう。クラックは強烈に利きそうなハンドサイズ。早速トライする。予想通りの快適ハンドで足を切っても問題なし。リップ付近のガバを捉えると少し脆い。やや左からトップアウト。間違いなく三つ星課題だが、すこし気になるのが板状のチョックストーン。ジャミングには耐えてくれそうだがガバを強引に引くと脱落するかもしれない。というわけで四つ星課題としておく。ぜひ多くの方に登っていただきたい。

頂上まで上がってランチ&仮眠タイム。頂上周辺にもボルダーはあるが思ったより高さのある課題はなかった。もうすこしゆっくり探せばいいのが見つかるかもしれない。岩小屋ルーフもあったがホールドは乏しく、次世代に委ねようと思う。

昼前に下山開始。同じルートで降りる。真っ暗闇をビビりながら降ったルートはとても気持ち良く紅葉も美しかった。

ストロンブレイカー ノーグレーディング

 

ゴールデンウィークはいろいろと登った。

リハビリと称して「正面壁右岩稜線」のマルチピッチから、カサメリの「はるな」、「ストロンブレイカー」、「瑞牆大橋下ルーフクラック」など。

あらためて書き出すと4課題にすぎないが、それぞれ特色があって印象深い。

なかでも「ストロンブレイカー」は強く印象に残ってる。「はるな」を登ったあと軽い気持ちでカサE氏と取りついたのだが、「こんなところにクラック課題なかったはず」という先入観からロクに調べもせずにトライを開始する。(なお、トポにはバッチリ記載されている。山ちゃん教えてくれてありがとう)

まあ結果的にそれはよかった。自分で判断せざるを得ないし、「5.11c」とあればトライしなかった可能性は高い。

ちなみに我々の当初の読みでは5.10aから5.10cであった。

 

で、登ってみると読み通りフィンガーからハンドサイズ。右上ラインなので右足の置き場所に困る。核心のジャミングやプロテクションで試行錯誤しつつトップアウト。カムは0.4が比較的多かった。

しっかり休んでレッドポイントを狙うが核心のプロテクションで力尽きる。まあ前日マルチ登ってるし致し方なしとこの日は撤収。グレードについては疲労もあり、加えてクラック経験が足りなさすぎてなんともだが、当初の読みは大きくずれていないように思えた。

 

 

数日後、今度は家族でカサメリ。この間、ストロンブレイカーをどう登るかを考えていた。
選択肢は3つ、

  • 普通にリードする
  • ロープソロでリードする
  • ボルダーとして登る

結果的にボルダーを選択したのだが、その理由はざっと以下

  • ビレイヤーの確保が難しい
  • ロープソロは未経験
  • 斜面沿いなので山側に飛べば落差を減らせる
    • もっとも谷側にふっ飛ぶと落差は増える
  • すでにプロテクションありで全貌を知ってしまってるので冒険性をもとめるとボルダーしかない
  • フレッシュな状態なら不確実性のあるムーブはほぼない
  • ボルダーとしてギリ許容できる数少ないチャンス

他にもあった気もするが、ボルダーとして登るのがもっともクリエイティブだと思えた。

 

家族をモツランドに残してオランジュへ。クラックの状態を確かめるために中間部まで上がる。めちゃくちゃ快適。クラックの状態云々より、体の状態がよい。前回はどんだけ疲れていたのだろう。

一度クライムダウンして今度は核心直下まで。核心はやはり少々緊張する。山側に飛べば…とか言ってたけど濡れた露岩に苔が生えているのでできれば飛びたくない。着地で盛大に滑って肘をぶつけて滑落するイメージが浮かんでくる。

地上に降りて「本当にやるのか」とあらためて問い直すが、リスク的にもムーブ強度的にもできない理由は乏しい。何よりロープもカムも持たずにムーブを起こすことが思っていた以上に楽しく、この選択は間違っていないと思えた。

短いレストの後、再び取りつく。

中間部のハンドまでサクサク上がる。やはり快適。フィンガーを交え核心まで。少し甘いシンハンドを決め意を決して足を上げる。するとシンハンドがバチ効き。前回はチョークアップする余裕など皆無だったが、今は違う。余裕のチョークアップからビクトリージャムへ。ルンゼを詰めて取りつきへ戻った

とても良い課題だった。
この場を借りて初登者に敬意を表したい。

 

おそらくボルダーとしては登られていないと思うが、高さや内容を踏まえると「ノーグレーディング」とするのが良いと思っている。