カテゴリー別アーカイブ: スポートルート

榛名黒岩

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山梨方面が雨なので転戦して榛名。ところがどっこいこちらも染み出しMax。収穫の秋はなかなか来ない。テキトーにアップして「エンドオブザレインボー」を偵察に行く。北面はよく乾いていたが中間部に大きな蜂の巣があったので今回はパス。

重箱の隅 5.11b MOS

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ボルト3本ばかりのボルダリーなやつをトライ。核心部をじっくり粘ってオンサイトに成功する。最近大好きなバランスとムーブで登るタイプ。面白かった。となりにあるカンテラインも触ってみるがS兄貴ともどもムーブが解決せず。今度じっくり探ってみたい。

ルンゼ上部にあるラインも偵察に行くが全く登られていない様子で壁はザラザラ。「西18番ルート 5.11a」にトライするが2段目テラスでスーパーダイレクトに抜けようとすると予想以上に悪くてテンション。しょっぱい登りになってしまった。

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つる 5.11b RP

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最後は以前雨でOSを逃した「つる」にトライ。思った以上にヨレていたのでパンプから逃げるように手を進めて無事RP。やっぱ大事になのは呼吸ですね。

匠と怒濤とゴンベイ

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シーズンインにはまだ早いがカサメリ沢へ行った。「まだ暑いんじゃねーの」と口元まで出かかった言葉を呑み込んでお付き合いいただいたSAT6師匠とINO氏には頭が上がりません。

午前中はガスっていたが午後は快適。存分に花崗岩で指皮を削ってきました。

 

コセロック

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アップは定番のコセロック。白虎、青龍を登りたかったが下部がシットリ。バットマン取り付き部に至っては激しく染み出している。少し順番を待って「トータルリコール 5.10b」を再登する。2回くらい登ってるはずだが核心部はアドリブ全開。

続いて隣の5.10b。取り付きはびしょ濡れ。ガバ足にはナミナミと水が溜まっている。比較的濡れていない足を探して登る。結果、面白いムーブになったのでこれはこれでアリ。

INO氏は掛け替えの練習をしてロアーダウン。

 

怒涛のレイバック 5.11b RP

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アップ後、まだ登ったことのないコートダジュールへ移動。南に面しているが林のおかげでオランジュのような灼熱ではない。看板課題の「怒涛のレイバック 5.11b」に取り付く。

オブザベーションでは「中間部からが怒涛セクションなんじゃない」とか言っていたが、出だしからハンパない怒涛っぷり。加えてシケシケスメアにしっとりガバホールド。凹角に入り込みレイバックを作るが手も足もすっぽ抜けそうなフリクションである。実に恐ろしい。

パワフルなムーブと緊張感で呼吸が激しく乱れ、奮闘の末テンション。OS狙いだったがやや条件が厳しかった。その後、中間部のトラバースパートで危うくハマリかけるがなんとか打開。フレアードクラックをこれまたバランスの悪いレイバックで抜け、上部は炎天下のスラブ。ポジティブなホールドを探しながら慎重に抜ける。とりあえずトップアウトはできたがムーブは非常に荒削り。

続いてSAT6師匠がFLトライを開始。流石の登りで最適なムーブを次々と解明していく。勘所をしっかり押さえた匠のクライミング。勉強になるわー。

そしてINO氏。このコンディションでボルダラーにレイバック課題をやらせるのは酷ってもんだが果敢にもトライ。テンション入れつつも粘ってフレアードクラックまで。

2トライ目に入ると岩のコンディションが唐突に良くなり、シケシケスメアもしっとりガバも格段に良い。加えて匠ムーブの恩恵によりあんなにキツかった下部をスルリと突破。トラバースパートで手順を間違えるが、手堅く修正してフレアードクラックへ。ここでも匠のアドバイスを存分に活かして危なげなく突破。最後のスラブ面を着実に繋いで無事RP達成。

SAT6師匠もサクッとRP。ドロップニーフットジャムニーバーとでも言うべきお洒落なムーブを披露して登っていた。

INO氏は色濃いヨレ感を醸しつつトップロープでトライ。初回より圧倒的スムーズに抜けて無事終了点まで。リードでRPできたんじゃないかと思うほど安定していた。

 

りかちゃんバンザイフレーク 5.11a MOS

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〆のつもりでこれまたレイバック課題。ボルト二本目までがバランシーで緊張する。そこから数手も迷わされる展開。フレークに入ってからもクリップ体勢が見つからずハラハラするが大きく足を上げて打開していく。3P目を過ぎたあたりからハンドジャムもバチ効きで快適。最後のスラブ面がこれまた一癖あって充実の一本だった。

 

 

ごんべい4 5.11b TO

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シメたつもりだったがSAT6師匠のトライを見ているとどーしても自分もやってみたくなり、泣きの1トライ。師曰く「出だしからチョー怖いんですけど」という出だしのムーブは悪くて怖い。その後も典型的な花崗岩プッシュ系がメンタルと手皮を削ってくる。そして傾斜が緩くなったところで師曰く「てっきり核心終わったもんだと思ったらコレだよ」な絶妙のフリクションクライミングがスタート。

時期が良ければ突破できたかもしれないがここでフォール。あの手この手のムーブを試すが手も足も甘い。こいつは涼しくなるのを待つしかないかと諦めかけたが、なんとか最適ムーブを発見。次回が楽しみなルートとなった。

最近、この手の立体的スラブとでも言うべきルートが本当に楽しい。実は「怒濤のレイバック」より楽しかったかもしれない。下部の恐怖パートもいいアクセントだ。カサメリにはゴンベイシリーズが四本存在する。以前はテキトーな名前つけやがって、と思っていたが今ではシリーズコンプリートを密かに狙っている。

 

獅子岩マルチピッチ

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グンマには獅子岩というイカした名前の岩場があるー。

ということを知ったのはいつのことだったか。たぶん子持山のバリエーションルートを調べていた時だろう。スポートマルチの存在を知ったのは更に後になってから。完全にクライミングに傾倒してからだった。

いつか登りたい。けど技術も装備もない。ま、そのうち機会がやってくるだろう。そう思っていた。たぶん2,3年くらい。

するとフトした拍子でその時はやってきた。よりにもよって真夏に。

 

アプローチ

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前夜発で現地入り。落石による通行止めのため3号橋付近に車を留める。当日は薄曇り。真夏にしては条件は良さそう。林道を歩いて屏風岩まで30分前後、獅子岩までは更に50分前後。

登山道を詰めていくと道標にたどり着く。「この先危険」の方向に進むと岩壁基部が少しずつ姿を現す。

 

IMG_5920[左に進む]

 

1,2,3pitch

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出だしのピッチは繋げて登るのが一般的だが敢えてピッチを切ってワイフにリードをまかす。ちなみにトップは空身なのでフォローはダブルザックという苦行。なかなかハードなアップである。

3p目は巨大なフレーク。#6があれば決めてみたい。特に意味は無いが。

 

4,5,6pitch

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核心(5.8)となる4p目はグレードの割に難しいという話だったが、体が暖まったか荷物に慣れてきたのか、ここまでで最も快適にロープを延ばす。とは言え日が照ってきて暑い。

IMG_5936[核心ピッチ終了点から]

そこから頂上直下のテラスへはピッチを繋げて抜ける。スラブなのでロープが重いことこの上なし。

テラスでしっかり休んで最後の”おまけ”ピッチを登り岩頭へ。景観はいいんだけどとにかく暑い。

 

IMG_5949[獅子岩ピーク]

 

下山

下山路は屏風岩へ続く痩せ尾根ルート。妙義山と何となく似ている。道中でタマゴ茸やらスズメバチの巣など変化に富んだ下山だった。

長い間登りたいと思っていたルートが登れたのは嬉しいことだが、充実したかと問われると首をかしげる。瑞牆山のトラッドマルチを登る前に来ればもっと緊張感や充実感、感動を味わえたかも知れない。課題とは常に一期一会なのかもしんない。

 

IMG_5959[たまご茸]

 

真夏の卒業試験

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超絶猛暑到来ですが、果敢にも小川山に行ってきました。

流石に難しいルートは完全スルー、5.10台を中心に日頃お世話になっているINO氏のリードクライミングを全力でサポート。

前日はマラ岩方面と屋根岩方面のどちらが快適なのか、諸先輩方からご意見を伺いマラ岩方面を選択。ちなみに、これまで「屋根岩」のことを「尾根岩」だと自信満々で呼んでいたことは秘密だ。

 

だがシケシケ

そして当日、リバーサイドから妹岩を経由し、姉岩まで高度を上げながらめぼしいルートに取りつく想定でアプローチ開始。ほどなくしてリバーサイドに到着。

だが、そこに待っていたのはシッケシケの壁。あまりの潤いっぷりは沢かと言わんばかり。早々に妹岩に移動。

しかし妹岩も幾分マシとはいえシッケシケ。せっかくなので一本くらいは登ろうとトポに載っていない「見た感じ簡単そうだし、10a/bくらいなんじゃね?」にレッツトライ。するとお約束の如くこいつが激悪。居合わせた方によると「11のどこか」らしい。そりゃあ悪いよね。A0でなんとかトップアウトして回収。

まったくアップにならないままマラ岩へ向かう。混雑状況次第では「レギュラー」あたりを登りたかったが、やはり待ち人多し。634君に挨拶して姉岩へ上がる。

 

センター試験 5.8

姉岩まで上がってくると流石に乾燥した岩肌。やや日差しが強いが許容範囲。まずはスラブを登る。INO氏が果敢にMOS。なんの問題もなさそう。後に続くが乾いているだけあって快適そのもの。

 

卒業試験 5.10b MOS

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そして今日の本命、「卒業試験 5.10b」にトライ。中間部のホールドが下からでは全く検討が付かない。現場処理に賭けてスタート、懸念していた中間部はやはり悪い。なんとか突破するがグレードより遥かに悪く感じた。ホールドを見落としたかもしれない。

INO氏も無事FL。核心部で「これボルダーだったら迷うことなく体上げれるホールドなんだけど…」と唸っていたがアッサリ完登だった。

ライン取りも個性的で面白い一本だった。

 

yamashi 5.10b MOS

上部に移動して、短い垂壁を登る。これと卒業試験が同じグレーディングとは思えない。昔の人は緩傾斜が本当に強かったんだなーと我々は姿勢を正すのであった。

 

ゴールドグリッター 5.10a MOS

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更に上部に移動して、右端のスラブを登る。ややボルト間隔の遠いがホールドは良さそう。ラインは複数考えられるが最も無難に見えた右カンテラインを選択。すると最後のクリップがやや遠い。スメアが湿気でずるりと滑りヒヤっと。

滑った本人よりビレイしているINO氏のほうがビビっておいでだった。冷静にダイレクトラインに合流して無事完登。終了点からの景色がきれいだった。

 

Ka-Ching! 5.10a FL

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スラブはもういいかなってことでポジティブかつダイナミックな印象のルートを選ぶ。INO氏が快適にMOS。続いて完登、実に快適。

 

ハラペーニョウルトラHOT 5.10d MOS

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そしてこの壁最長にして最難の一本に取りつく。中間部の灌木は限定がありそうだったが、下部テラスからダイレクトにあがっても容易に手が届いたのでアンダーをガッツリ保持して上部へ抜ける。

上部でヒールフックからのノーハンドレストを気分よくこなすと、最後は大胆なランナウト。こちらも終了点からの景色が良かった。

INO氏も無事にFLするが、二人の意見では「卒業試験のほうが難しいのでは…」という印象。

時期的に緩傾斜は格段に悪くなるし、ハラペーニョには限定があるのかも知れないが、やはり卒業試験は登り応えのあるルートなんだと思う。あ、もちろんハラペーニョも面白かったです。

 

大きな松の木の下で 5.10a MOS

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撤収時間が差し迫る中、ワークアウトの一本。出だしがやや悪かったが、その後は特に問題なし。INO氏は終了点の結びかえを無事修了。

蛇足で「入学試験 5.10c」を触ってしまったがフリクションの低さに左ルンゼからトップアウト。これは涼しくなったらやりましょう。

 

所感

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この時期の過ごし方として、5.10台のルートを沢山登るというのは良い選択だと思う。とは言え快適に登れるのは垂壁からだろう(可能であれば前傾壁も登りたいが花崗岩で5.10-5.11の前傾壁は多くない)。スラブに執着すると登れないばかりかラバーの摩耗がハンパない。

正直、こんなにもスラブが豹変するとは思っていなかった。改めて気温と湿度がフリクションに及ぼす影響を痛感したのでありました。

ジャミングドラゴンへの道

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小川山にクラッククライミングに行った。

昨年5月以来、1年2ヶ月ぶり。この間、城ヶ崎クラックや瑞牆マルチ、その他トラッドルートをコツコツと登りそれなりに手応えを感じていた。ここらでひとつ、現在の実力を測ってみるのも悪くない。あの時とは違う圧倒的に成長した姿をカサブランカに見せつけてやるぜ、そう思って妹岩を訪れた。

 

愛情物語 5.8 MOS

とりあえずアップで最も簡単なNPルートを登る。ジャミング要素は皆無。快適にカムセットを確認して完登。

 

龍の子太郎 5.9 RP

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続いて昨年トップロープで登っているタツノコにトライ。前回はハンドジャム初挑戦につきかなり強引な登りになった記憶がある。最後のマントルも無理やりなムーブだった。

まずは出だしに#1を決めて乗り込んでいく。クラック内はやや湿っているがジャムの効きはよい。冷静にプロテクションをとって高度を上げる。テラス手前でレイバックへ移行し乗っ越す。灌木をつないで終了点まで。

NP特有の緊張感こそあれどあっさり完登。ひとまず成長を実感する。

 

カサブランカ TO

続いて今日の大ボス「カサブランカ 5.10a」にトライする。こちらも昨年トップロープで登っている。核心部の「バチ効きのハンドジャム」とやらがまったく効かず、激痛のフットジャムに泣かされズタボロになったのはいい思い出である。

下部でのグラウンドフォールに注意と何かで呼んだので気合いを入れて取りつく。

最下部のやや甘いクラックを慎重に抜けバンド手前で#3を決め乗っ越す。既に足の疲労感を感じるが無視。カムをセットして十分に休み、次のバンドを目指してジャムを決める。不安定な体勢でカムを選ぼうとするが何かに引っかかってギアラックが回らない。なんとかセットをするが今度はロープがフットジャムに噛み込んでクリップに難渋。

半端なく消耗したところで核心直下のバンドに到達、#4を決めてマントルを返す。見上げると視線の先にはフレアしたクラック以外にホールドは皆無。じっくり休みたいところだが消耗が激しく十分な回復は見込めない。意を決してフットジャムをねじ込み気合いで立ち込む。しかし激しく足が痛い。数手進めたところで不安定な体勢からカムをセットするがメンタル、フィジカルともに限界となりテンション。

その後、A0混じりでセットしながらとりあえず上まで抜け、ロワーダウン後にトップロープでムーブのおさらい。昼寝を挟んでラストトライに挑む。核心まではスムースに進んだが核心でフットジャムをねじ込んだ瞬間に自分の体が終わってることを実感、数手進めてフォール。

まだまだ修行が足りなかった。

 

届け手のひら TO

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完全にヨレているがここからのスラブが面白いところ。定番の駄目押しスラブとして「届け手のひら 5.10c」に取り付く。

もちろんOS狙いで虎視眈々とムーブを読んで高度を上げていく。しかし中間部の大穴でムーブを間違えフォール。そのままムーブを探って核心へ。ここでも狙ったホールドが甘くあっさりフォール。最後は指力マックスから立ち込んでデッド。そういえば笠間の石器人スラブも同じようなムーブで登った気がする。もうちょっとスラブらしく足技で登りたい。

ま、次回いつになるんでしょうな…

 

フットジャム修行

というわけでタツノコには通用したがカサブランカには見事に跳ね返された。

この一年あまり、プロテクションとハンドジャムはそれなりの数をこなしてたきたがフットジャムに関してはほぼゼロだった。前者の成長を垣間見れた一方で後者の未熟さを痛感することになったのは、つまりそういうことだろう。

S兄貴曰く「俺はカサブランカよりタツノコのほうが登りにくいよ」とのことだが、個人的には「ワングレードの差とは到底思えない!」って感じだ。

何が辛いってフットジャムの痛さ。技術的な未熟さは当然だが、シューズも見直したほうがよさそう。今回使ったシューズはフェイス用サイズ感なので指の曲がりが深い。フットジャムをねじ込むと親の仇のごとく足指の第一関節が圧迫される。

アナサジレースの値段とにらめっこしながら、まだまだドラゴンは夢のまた夢、タツノコが精一杯だと痛感するのだった。

カンマンボロン

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ビッグウォールクライマーであるビッグ・サカイ氏の「LOL 5.13a」をビレイしている時、頭上から灰色の物体が降ってきた。てっきりロープの切れ端と思っていたそれは、羽毛すら生えていない産まれたばかりの雛鳥だった。脳天が割れすでに事切れていたその子には、やけに長いかぎ爪が備わっていた。おそらく猛禽類だったのではないだろうか。

カンマンボロンは絶命危惧種ハヤブサの営巣地である。もちろん雛鳥がハヤブサであったと断定はできない。ただ、幼く孤独な死を見るのは心が痛い。しばし合掌したのち、そっと土に埋めた。

 

水不足

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永福町から首都高速に乗ると電光掲示板が水不足を知らせていた。利根川が取水制限になるとか書いてある。水不足はよろしくないが、おかげでこうしてクライミングができる。とは言えコンディションは期待できない。当初はマルチピッチを視野に入れていたが山間部はどんよりと重い雲がのしかかっている。結局シングルピッチに変更することになった。

 

スラブ 5.10c MOS

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アップは「ハヤブサ 5.13a」の1ピッチ目、スラブ5.10cを登る。バランシーで面白い。最後の抜け口もワイルドで個性的。瑞牆の大岩壁にやってきたことを感じさせる。

カンマンボロンは初めてだったが、この日は次から次にパーティがやってきた。前回大面岩で3パーティしかいなかったのとは対照的。

 

NEXT LEVEL 5.11d RP

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砂のエリアは混んでそうなので隣にあった30mのラインに狙いを定める。日本離れした貴重な一本である(海外の岩場行ったことないけど)。

出だしは90度前後でホールドはポジティブな印象。弱点を突いてやや蛇行気味に乗っ越していけそう。一方、ボルトはほぼダイレクトに伸びている。ラインの選択はクライマーのルートファインディング次第、といったところか。

オブザベーションの印象をサクっと交換してサカイ氏がマスターでスタート。弱点を突いて乗っ越しを抜けて行く。核心は予想通り乗っ越しだったようだがどうもそのあとも悪そう。なにせ湿度も高い。じっくりレストを入れながら現場処理をこなして見事マスターオンサイト。

バトンタッチしてフラッシュトライ。もちろん気合十分…のはずが出だしでまごつく。予想よりポジティブじゃない、と思ったがよく見たらホールド発見。ややバタついたが核心直下へ入る。手順を間違えたかバランスが悪い。レストを入れ突入するがホールドがフィットせずまたしてももたつく。苦し紛れでムーブを起こすがフォール。勿体無いトライだった。

ホールディングの確認と掃除してロワーダウン。上部は未知のまま残す。

そして2try目。イメージしたホールディングとムーブで核心へ入る。やや強引だがそのまま押し切ってテラスへ。十分にレストできるスペースでこの先に待ち構えるラインを読む。集中力が切れないように呼吸を一定に保つ。

その先は明確に覚えていない。シケた浅いホールドに耐えてレストポイントへ向かい、そしてまた次の悪いホールドに耐え次のレスポイントを目指す。という展開を数回繰り返して終了点へ到着。

FLは逃したが自分のムーブでグランドアップできたのは嬉しかった。トポでは30mと記載されているがもう少し短い気がする。おそらく25m前後。

 

LIFE LINE 5.12a FL

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続いて本日のハイライト、これまた長〜い12a。トポには「ルートを間違わなければオンサイトもあり得る」とあるので、先ほどと同様ルートファインディングが鍵となりそう。一方、下部のホールドは細かくボルト間隔もなかなか渋い。

さっきと全く同じ流れでオブザベーションおよび意見交換、そしてサカイ氏のマスタートライ。予想通り2ピン目付近が悪い。下手なことをするとグランドフォールもありそう。一旦クライムダウンしてもう一度オブザベーションを仕切り直す。

今一度ホールドを確認し再出発する。もちろんオンサイトトライは継続中。ドローにロープがあるので幾分緊張感は和らぐが、依然悪いトラバースを抜けて上部へ向かう。慎重にルートファイディングをこなし着実に高度を上げる、そのまま完登。流石の登りである。

そして前述の「NEXT LEVEL」完登後、十分な時間を空けて僕のフラッシュトライ。

ビレイ中にキーホールドを見てしまっているので、比較的スムースにトラバースを抜ける。とは言え悪いものは悪い。中間テラスまで気を吐きながら抜け、レスト体勢へ。十分に体力を回復させ長い旅路へ向かう。ホールドは予想よりポジティブ。一瞬、勝ちを意識したが甘い考えだった。

一手進めるごとにホールドが細かくなり足使いも極めてシビア。もちろんホールドは湿っぽい。弱点を突きながらホールドを辿るとやや右巻きとなるが、当然の結果として左へ戻るトラバースが現れる。最終クリップは足下数十センチ。追い打ちをかけるように足を滑らせるが耐えに耐えて望みを繋ぐ。さらにモヤっとしたホールドまで出てきて心は折れる寸前。

落ちたくない一心で薄カチを握り倒す。だが、このままでは気力も体力が保たない。深く息を吐き、落ちてもいいから力まないように気持ちを切り替える。不安定な体勢でシェイクを入れ、流れが来るのを待つ。ジワジワとムーブを起こし進んでいくとお約束のようにガバホールド。だが終了点は見えてこない。

タタラを踏む膝を堪えながら、今にも抜けそうなホールドをだましてムーブを繋げていく。遂に終了点が視界に入ったが、最後のカチが微妙に遠い。ここで雑になると間違いなく落ちるだろう。他に使えるホールドやムーブはないのか、何度も探るが最後は肚をくくる。

一度レストポイントに戻り呼吸を整える。大丈夫、アレはきっとポジティブなカチに違いない。最後はそう信じる以外にない。気を吐きながら捉えたカチは十分にポジティブだった。しかし自分の前腕は風前の灯、とても長居はできない。見渡すと完璧なガバが目に入った。もはや雑でも構わない、ガバを鷲掴みにしてマントルを返す。最後の力を振り絞ってジワりとテラスに立ちこんだ。

曇った空の先に青空が少し覗いていた。

 

LOL

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その後、砂のエリアに移動すると予想通りの賑わい。(そうはいっても10人に満たない)

名前どおり大きな砂山のような石塔がそびえ、中間部には顕著なハング。トポを見ながら各ラインをながめ最右端の「LOL 5.13a」を触ってみることにする。

サカイ氏がマスタートライを開始するが出だしから悪い。中間部まで抜けるが次はプロテクションが遠い。あーだこーだとムーブを探るが上部のフレアしたクラックは極悪の様相。落ちると当然のロングフォール。何とかトップアウトするが、降りてくると同時に「これ、再登者少ない筈だよ」の一言。

もはやヨレヨレ&充実感MAXだったが、せっかくドローもあることだし一回だけトライしてみる。予想通り出だしからハード。岩の表層も不安定で粒子がポロポロと剥離していく。そして下部もそれなりにプロテクションが遠い。上部に付いたころには既に身も心もズタボロ。

「本当に怖いのは上部、是非味わってくれ」と熱い推薦を頂戴していたが、ロクにムーブを起こせず。トップアウトすら許されなかった。

 

ボロンボロン 回収便

残った時間は風のエリアや周辺の偵察。最後に「ボロンボロン 5.11c」をトライ。もちろんオンサイト狙いだったが、ボロボロなのは岩じゃなく自分の方。終了点直下の核心でフォール。これまたボルト位置が低くて墜落距離が長い。流石にムーブを起こすのは諦めてマイクロカムを極めエイドで抜ける。

オンサイトを逃してしまったが、エイド登攀はそれはそれで楽しかった。最後の最後にひと仕事終えたような、奇妙な充実感に浸った。

梅雨時にフラッシュグレードを更新したのはとても嬉しいが、この日も色んなクライミングが楽しかった。そこにはアプローチやエイド登攀も含まれている。以前は打ち込んでいる課題を一日中打っていることも多く、頭の中はそのことでイッパイだった。そういったスタイルが嫌いなわけではないが、もう少し余裕をもって課題や岩場と向き合ってもいいかもしれない。かつての自分は、落ちてきた雛鳥を見てどう思っただろうか。

「Rock&Snow #063」に掲載された「希少猛禽類営巣地の保全について」では、ハヤブサの営巣期間はクライミングの自粛を提案している。ヨセミテでは既にそうした規定があるようだ。本文中では「3月初旬から5月末まで」を自粛期間として提案しているが、今回の個人的体験と、ヨセミテが3/1 – 7/15を基準としていることを考えると5月末では早すぎると思う。少なくとも6月いっぱいは営巣期間である可能性が高い。

いずれにせよ、期間や範囲については専門的な知見をもって公式な指針が出されることを望む。カンマンボロンを初め、瑞牆、そして多くの岩場がいつまでも登れる場所であってほしい。

次は秋晴れの空を終了点から眺めようと思う。

梅雨の甲府幕岩

本格的な梅雨が到来する前に甲府幕岩へと足を運んだ。ギリギリ間に合ったのか、間に合わなかったのか…いずれにせよ居心地のよい岩場だと再確認した。

 

小森川林道

今回は北杜方面から岩下十王を経由して小森川林道からアプローチ。甲斐方面から太刀岡を経由する観音峠は現在閉鎖中。およそ1年半ぶりだがケミトックスの案内板に助けられ迷わず到着。

 

キルト 5.11b/c MOS

本日も最近のテーマである「11台のOSトライを2-3本」に基づいてオブザベーションを開始。出だしが悪そうだが上部カンテは快適そうである。カンテに出れば勝ちだろうと踏んでいるとS兄貴から「トポにはカンテなしって書いてあるよ」とまさかの一言。

あれだけ顕著なカンテを限定するとは…

「いや、僕は美しいラインを登りたいだけで、グレードとか数字はおまけなんで…!」とか言いつつ限定を無視して自由かつ合理的なラインで登ろうと決意。

とりあえずスタートするとやはり出だし核心。ホールドが上手く探れずクライムダウン。取りつきに足が届かずややテンションが入ったが(1ピン目なのでロープが張り気味だった)ま、ご愛嬌ってことで。

仕切りなおして下部を突破してテラスへあがる。上部へと進み遠慮なくカンテを鷲掴み…と思って見上げれば終了点は目前。やや葛藤があったが結局限定に従いカンテを使わず完登。うーむ、より難しいラインで登ったはずなのに負けた気がするのは何故なんだぜ。

 

アフリカ象が好き TO

次なる一本は看板ルートのひとつ、すっぱりしたカンテライン。当初は「初夏 5.11d」をトライするつもりだったが全長が長い割に主要部が短い(前半部は平凡なスラブ?)ので鞍替え。

S兄貴が途中までドローをセットして一旦下降、バトンタッチ。可能な限りOSトライをしたかったので先行者にムーブを見ないでいたら、想像以上に出だしが極悪。A0クリップで取り合えず突破。右カンテを辿り中間部レスト地点まで。

上部はカンテ右に出れば5.12a、左ダイレクトラインなら5.12bという設定。だが右はランナウトと苔がヤバい。一方左は素直なラインかつジムナスティックなムーブ。取り合えずトップアウトして太郎君にチェンジ。

雨粒を感じ始めるが太郎トライスタート。我々が苦戦した序盤を抜群の安定感で突破すると着実に中間部までロープをのばし、現場でムーブを錬る。なんども試行錯誤を繰り返した末、圧巻のFlash。いや〜、恐れいった。非常にいいトライを見せてもらった。

その後、断続的に雨が強まる中トライを続行するが残念ながら繋がらず。次回に持ち越しとなった。

 

てるやまもみじ 5.10a/b

雨が心配だがもう一本くらいは登っておきたいので奥壁見学をかねて「てるやまもみじ」をトライ。比較的繊細なスラブフェイスだった。「HIVE 5.10a」とは真逆のタイプ。

更にもう一本と欲張ろうとするといよいよ雨は本降りに。急いで回収。

お天気は微妙だったけどなんだかんだで16時前まで登れて充実した一日だった。

大面岩 左稜線

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梅雨にはいっちまった。毎年のことだが実にアンニュイ。

当初の予定では「ベルジュエール 5.11b」のトライを目論んでいたが、天気予報を何度もチェックした結果「大面岩 左稜線 5.10c」へと変更することとなった。

とは言え、内心ほっとしたんですが…

ベルジュをガッツリ楽しむにはもうちょっと場数を踏みたいって思いもありまして。

 

謎のボルトラダー

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午前5時、植樹祭から瑞牆山を見上げると上部は完全にガスの中。この期に及んで燻っていたベルジュへの未練は完全に鎮火し、粛々とアプローチを開始。通い慣れたパノラマコースを辿る。

「ベシミ」を打ち込んだ昨シーズン、カンマンボロンの大ハングを見上げなが「いつか必ずあの大岩壁を登ろう」と強く思った。

もちろん今日の目的は大面岩である。だが、意外な展開からカンマンボロン登攀のチャンスは巡ってきた。ま、俗にいうアプローチミスってヤツですがね。

大面岩基部に到着してもガスは晴れず、視界は一時50m以下。岩壁の全体像は把握しづらく、カンマンボロンと大面岩は予想よりも隣接していた。そして接続部にはチョックストーンが挟まり、これをトポに記載されているチョックストーンと誤認。結果、カンマンボロン右稜線を大面岩左稜線と誤認することとなる。

 
IMG_3607[接続部のチョックストーン]

 
勘違いしたままカンマンボロン右稜線に乗り上げると古びたボルトが上部へ続いている。相変わらずガスが濃く位置関係を把握出来ない。とりあえず登攀を開始するが、人気ルートにしては風化が激しい。何よりもプロテクションがクッソ錆びていてフリーで抜けるにはリスクが高すぎる。A0で抜け灌木でピッチを切り作戦会議。

取りつきに失敗したのは間違いないってことで、ガスの切れ間から本来のラインっぽいのを探す。そして下降を決断。

 
IMG_3609[風化しまくり]

 

スラブ 5.8

IMG_3618[左稜線2P目取付]

 
仕切りなおして目星を付けたラインを探しに行く。フィックスロープやトレースをトポと照らし合わせながら程なく2P目5.8の取りつきを発見。一同胸を撫で下ろす。

9:40頃にS兄貴リードで「大面岩 左稜線 5.10c」の登攀が始まる。スラブを抜けるとルンゼ状3級、ここでリード交代。いつの間にやらガスは晴れていた。

 
IMG_3622[2P目出だしから上部を望む]

 

スラブ 5.10a

出だしが分かりにくかったがトポと照らし合わせて木登りからテラスへ這い上がる。基本的にほぼ歩き。ズルズルとロープを引きずりながら前進。とにかく流れが悪い。最後に5mほどの個性的なトラバースをこなしてピッチを切る。残置ハーケンにプロテクションを取ったら一段と流れが悪化。ロープの引き上げが過去最大級に大変になる。

 

カンテ 5.10c

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そして数字上の核心パート。S兄貴が「バランス悪いけど面白いなー」といいつつ抜けて行く。カンテから入ってスラブへ左上する面白いピッチ。岩も硬く純粋にフリークライミングが楽しめる。そのまま次も繋げられそうだが「独り占めするわけにはいかないからね」と交代。あざーす!

 

カンテ 5.10b

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んで本日のハイライト。出だしにボルダーを乗っ越して露出感抜群のカンテを登る。難しくはないが丁寧にホールドを探して高度を上げていく。前ピッチ同様、岩が硬く快適なフリークライミング。

 

スラブ 5.10a

つづいてトラバースから直上。トポ通り出だしのトラバースが恐ろしい。上部はデリケートなスラブ。灌木帯でピッチを切り、最終ピッチとなるチムニー〜OWへと歩く。

 

OW 5.10a

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順当に考えてS兄貴パートなのだが「やってみてもいいんじゃね?」と仰るので何を血迷ったか俺氏突撃。

チムニー内はジットリと湿っぽい。頭上には小さな空。まるで幽閉されたかのよう。

遥か頭上の空を目指してズリズリと這い上がる。バック&フットで高度を上げていくと次第に幅が狭くなりチムニーからOWへ。ヒール&トウ、チキンウイングなど聞きかじったムーブでは太刀打ちできない。全身全霊を込めて次のリングボルト(もちろん錆びてる)まで前進してドローをセット、力尽きてテンション。

その後、心折れそうになるも兄貴のアドバイスでヨレヨレになりつつ何とかフリーで突破。水分不足と疲労困憊で終了点作業中に何度も右手が攣った。

 

完登

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OW以降は簡単な岩稜歩きで頂上台座まで。ピーク左手のボルダーから乗っ越して下降地点へ。この日は空いていたのか他のパーティは二組だけ。先行パーティの下降をのんびり待ちながら絶景を堪能した。

コルから取りつきへ戻る道中にもカッコいい岩壁やらボルダーが無数にあって大興奮。瑞牆山のポテンシャルは底知れないなーと再確認した。

 
IMG_3672[佐久間の塔下部の洞窟]

 

恋するスラブ

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この世には二種類の人間がいる。

スラブを愛する者と、スラブから愛される者だ。

この日、黒岩を訪れたのは低傾斜界の重鎮 – UEchang aka Srabista -。いうまでもなく後者に分類される人物である。彼を案内するのは「キメイラ 5.12a」。天高くそびえるスラブは天国へ続く階段のようだ。

 

梅雨目前の転戦

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当初の予定は甲府幕岩だった。榛名黒岩はすでにシーズンオフだと思っていたのだ。しかし前日に山梨方面の予報は雨へと崩れる。反対に群馬方面の予報は好転。偶然とは思えない展開に翻弄されつつ、最終的に榛名黒岩を選択。

翌朝、小雨が舞う関越道を不安げに北上し高崎で高速を降りる。すると乾いたアスファルトに雲の切れ間からは太陽。この男、どんだけスラブに愛されてるんだよ。

しかし、思わぬアクシデントが発生。落石防止工事で林道が一部通行止め。40分程歩くこととなった。なんすか?ツンデレってやつですか?

 

無名 5.10d FL

予定外のハイキングをこなして9時頃現場に到着。東壁の「無名 5.10d」でアップ開始。リード慣れしていないUEchangが果敢にマスタートライ。ホールドを探すのに苦労しながら高度を上げて行く。終盤は黒山名物の埃まみれホールドに面喰らいながらも無事MOS。続いてFL、回収する。

 

ボランティア 5.11a MOS

交代して隣りのラインを登る。出だしのクラックにフィンガージャムがバチ効きでテラスまで快適に上がる。じっくりとムーブを錬り、ダイレクトラインで抜ける。

そしてUEchangと交代、こちらもテラス以降のムーブをじっくりと錬るがホールドの見当が違ったかフォール。体力温存の為に回収する。

 

舞姫 5.11b 2RP

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そしてもう一本イレブン前半をトライ。オブザベーションでは上部核心と予想したが実際には下部核心。序盤の外傾カチを保持しながらも足がスリップしてフォール。ムーブを探ろうかと考えたがロワーダウンしてグラウンドアップに拘ってみる。

ほぼレストなしで再トライ。外傾カチを保持して手を進めるがまたしても悪い。更に進めて何とか突破。上部は予想外に素直だった。安定して5.11bをMOSできるようになるにはもう少しだけ経験値と集中力を高める必要がありそう。

 

キメイラ逢瀬

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そしてお待ちかねスラビスタ on キメイラ。

生い茂った木の葉に岩頭が隠され、春先より高く遠く感じる。「うわっ!? こんなに!? 高くない!?」と興奮を隠せないスラビスタ。面喰らったような物言いとは裏腹に、当然のようにノーヒントでマスタートライを始める。

やや高い1ピン目を丁寧に掛けて順調に2ピン目へ。そして核心へ入って行く。しかし安山岩が不慣れなためかホールドがなかなか見つからない。とりあえず3ピン目をクリップして更にムーブを探る。試行錯誤の結果3ピン目付近へ突入、核心へ向かう。

しかし既に長時間のムーブ探りでヨレが見え始める。更にその先は微妙なホールディングが続く。流石に初見では突破出来ずフォール。その後、あーだこーだとホールディングやらムーブを試行錯誤。下からもそれとなく「俺の時はその足を〜」とかアドバイスを送るが帰宅後に動画を確認すると全く別のムーブ。とんだ妨害工作であった。

とは言え3トライ目で核心は解決。しかし体力的に繋げるのは厳しく、次回へ持ち越しとなった。ちょっとスラブからの愛が重かったんじゃないかな。

 

ラーコンナ 5.10b MOS

キメイラの右隣に位置するスラブラインだが、ルンゼ状クラックにプロテクションを取りながら登った。出だしはチムニーからハンドサイズになり、最後は適当に抜ける。終了点は絶景。

 

サルバドール 5.13a 初トライ

そして本日の高難度強傾斜課題。そういえば真面目にアッパーグレードをトライするのは久しぶりな気がする。とりあえず「5.13aってどんなのもんなの?」を確かめるためスタート。

威圧的な強傾斜カンテで1ピン目までは緊張感が高い。必要以上に力が入るがとにかくクリップ、ほっと一息してテンション。しかし地上からは持てそうに見えていたホールドはことごとく極悪。カンテ側のホールドも遠かったり甘かったり。探りながら2ピン目まで進む。

高度が上がるにつれ傾斜は緩くなってくるがホールドは悪くなる一方。ヒールを駆使し3ピン目まで進む。地上からでは2ピン目までが核心と踏んでいたが一向に強度は下がらない。

強傾斜のハングドックでヨレるのを感じながら試行錯誤してムーブを探って行く。遂に3ピン目を付近を突破し、後はリップを取れば終わりだっと思っているとまたしても「地上からは持てそうに見えたんですけど」なホールド。これが13aってやつなんですかね。

フルリーチで直接リップをたたけば一瞬だけ保持できたが突破する体力は残っていなかった。時間のことも考えて今日はここまでとした。

 

大スラブ中央クラック 5.9 2P

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〆は2ピッチのマルチ。既に5時をまわっていたが夏至の恩恵を最大限に生かすべく登攀開始。事前情報がなくカムの必要数も不明だったが隣接ルートから回収も可能と踏む。

1ピッチ目はボルトルートを快適に辿る。2ピッチ目は#1,#3,#.5あたりをセットし、最後はグサグサに錆びたRCCボルトにクリップ。終了点が目前に見えているが最後のワンムーブを見つけるのに苦労して抜ける。部分的に痺れたが充実のクライミングだった。

 

所感

というわけで今日もスポートルートに始まり、トラッド、マルチピッチ、限界グレードトライと多彩なクライミングを楽しめました。

最近は一日で5本以上初見のルートを登るっていうのが楽しくてしょうがないけど、一方で限界グレードより高難度をトライする機会を伺ってもいました。そんなわけで梅雨入り前にその機会を得れたことは非常にうれしい。

「サルバドール」はずっと気になっていたルートだが、触ってみた印象は基本的にポジティブ。全てのムーブを解決したわけではなく、むしろ今回詰めなかった部分こそが最大核心な気もするけどそれでも期待と希望は大きい。

しっかり夏の間に準備して秋にがんばりましょう。

SKY HIGH

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三人そろうと100%雨、という定説を覆しミケ&オショー&ガミによる奥多摩スカイハイクライミングを満喫してきた。

とはいえ前日は結構な降雨。ホントどうなってんだか。だがしかし、評判通り氷川屏風岩の乾きは早く、アルパインゲレンデ感あふれるチャートはなんだか懐かしかった。

 

スパイシーなアップ

とりあえずB峰下部でアップ。ドライアルパインなルンゼをスパイスたっぷりで登った後、「第一苔ハング 5.10b」と思われるラインに取り付く。スタートのテラスがカタカタと小気味良い音を奏でる(オイ。

慎重に剥離チェックをしながら上がっていくがホールドを見つけられずまさかのテンション。この手のクライミングは久しぶりだったとは言えちょっとショック。

オショー&ミケのTrトライを見届けた後、一応RP。

 

直上右ルート 5.10a MOS

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A峰に場所を移してスラブ。チャートのスラブとか久しぶりすぎる。トポ通り「快適なフェイスからスラブ」へと上がる。やや湿っぽいホールドをごまかしながらじわじわと完登。なかなか良いラインでした。

オショー君が緊張感のあるナイスクライミングを披露した後、ミケちゃんに回収をお願いして懸垂下降&掛け替え講習タイム。

その後、C峰へ。

アップで登ったルンゼをザックを背負ってアプローチシューズで這い上がる。そしてフォローをビレイ。スポートルートをやりに来たとは思えない展開だが超楽しい。

 
IMG_5227[BC間テラス]

 
IMG_5217[C峰岩頭から奥多摩を一望]

 

イクイノシシ 5.11d RP

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露出間のあるC峰は城山の二間バンドを小振りにしたみたいな雰囲気。こいつぁ気持ちがいいぜ。さっそくイクイノシシをオブザベーション。1ピン目は渋い高さだ。この岩場はどこまで我々を試すのだろうか。

しばし1ピン目を眺めるがクリップできなかった場合、ルンゼを転がり落ちるのは火を見るよりも明らか。諦めてプリクリップする。安全には変えられない?いえ、私がクソ弱いだけです。

そしてOSトライ。出だしから悪い。刻みながら2,3手進めてポジティブなサイドカチへ…と思ったら清々しいまでの外傾カチ。なんじゃこりゃーと叫びながらフォール。改めてプリクリップで良かった。

とりあえず力ずくで抜け2ピン目に進む。オブザベーションどおりここはホールドが遠い。これまた力ずくで突破。繋がるんかコレ。

3ピン目はだらりとチェーンが垂れ下がっている。もちろん信頼性は不明。というか延長しなくてもフツーにクリップできるぞ。そしてまたしても遠いホールド。今度はダイナミックに気持ち良くデッドを放つ。

ロワーダウンしながら力ずくムーブをブラッシュアップ。だが「さっきどうやって抜けたんだっけ」を連発。オショー君が「現代人はスイカのせいで電車賃も覚えられねえ。記憶能力の低下だ」とまさかのスイカdisを展開していたが真摯に受け止めようと存じます。

地上に下りてミケちゃんのトライを見ながらレストタイム。出だしで苦戦する彼に「そこはXXで〜」とかアドバイス。

んで、2トライ目。出だしで行き詰まる。得意げにアドバイスしていた赤っ恥をムーブと一緒に忘れてしまいたい。とはいえ比較的無理のないムーブを探り当て仕切り直し。

順調にムーブをこなし、3ピン目の遠いホールドも捉えビクトリーガバへ。しかし、おや?微妙に遠いんですが…。まごまごしていたら指が滑ってくる。軽くタメを作ってデッド。微妙に違う所をはたいてフォール。しょっぺーーー。

一同完登を確信していただけに落胆も大きい。最後のムーブを今一度詰めて次に備える。

けっこうヨレてきているが踏ん張りどころの3トライ目。ムーブが馴染んできて疲労を感じさせないスムースクライムで2ピン目まで。核心の遠いホールドに一瞬怯むが止まると信じてデッド。なんとか捉える。

焦らず冷静かつ丁寧にムーブをつないで完登。マントルを返して岩峰の頂上に立てるのもこのルートの魅力だ。 

 

 

岩峰で記念撮影したあと、裏のルンゼをラペルで下降。最後までアルパインゲレンデっぽい展開だった。

 
IMG_5253[雨男御三家]