湯河原トラッド

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当初のプランでは「子持山 獅子岩マルチ」を「残置無視トラッド」でメイクするっつー鼻息荒い妄想を繰り広げておりましたがよく考えりゃ2月。加えて寒波到来で伊香保方面はバッチリ降雪。

転戦先は城ヶ崎か湯河原が挙がったわけですが梅が見たいよねってことで湯河原正面壁をセレクト。キャメロットを携えて五分咲きの梅とクラックを愛でてきました。

 

ベビーピナクル 5.9

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梅林を抜けて正面壁基部に着くと、ひときわ目を引くハンドクラックを発見。トポと照らし合わせながら「エミリー(5.9)っぽいね」「まちがいねーな」「サイコーに綺麗だぜエミリー…」とか言ってたが実際は「ベビーピナクル 5.9」だった。(R&S 2015 069参照)

「No7ルート 5.10b」でアップして意気揚々と「エミリー」に取りつく。M坂氏がOS権を熱望するので快諾。近くで見てみると思ったより短いクラックだったが快適なハンドサイズ。カンテを乗っこしたところに終了点があり「ベビーピナクル 5.9」としてのラインはここまで。ルートは続いているが「樵ハング 5.12b」のラインである。

だがそうとは知らない(百岩あるある)M坂氏はとりあえず前進。しばし探ったあげく「どう考えてもありえない」って感じで戻ってきた。

 

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交代して僕ターン。快適クラックを抜けスラブ面に出る。のっぺりしたスラブはどうみても5.9に収まりそうにない。予想通りテクニカル。スラブと甘いカンテを駆使してバランシーに高度を上げていく。非常に面白い。なんとか落ちずにスラブを抜けると張り出したハングに到達。

しかしこれまたマスターでは痺れるボルト位置。クリップできなかった場合はスラブの最終ボルトを支点に頭から転がり落ちる予感。ハング下部の角ばったホールドを効かせてクリップ。突破を試みるが手が甘くテンション。じっくり探ってみたいところだが今日はトラッドの日。次回の楽しみのためA0で抜け、Y下氏と交代。

しかしこのルート、クラックに始まりスラブ、カンテ、ハングと設定盛りすぎな「隠れた名ルート」なんじゃないかな。

 

ダブルクラック

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一巡したところで今一度エミリーを探すためトポを開く…全くわからん。

何となくそれっぽいヤツを自由な発想で登ることにしてコーナークラックに取りつく。実はこれが「エミリー 5.9」だったのだがクラックから雑草。一本目のカムを凹角部に決めるや左のクラックにトランスファー。「小ハング右凹角ルート 5.10a」の上部にあたると思ぼしき、これまた快適なハンドサイズを登る。

それにしても百岩の乖離が酷かったが、正面壁解禁の際に近接しすぎているルートや不自然な蛇行ルート、クラック直近に打たれたボルトは撤去したからだろう。その辺は前述R&Sに詳しいが、現在の状態が適切だと感じた。幅4,5mの間に3本もルートあったらなにがなんだか解らんよな。

 

No.1 ルート 5.10a

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軽くお昼を挟んで「No.1 ルート」にトライ。「幕岩を代表するクラック」だそうだが取りつきからだと簡単なスラブしか見えない。

ジャンケンで先攻を勝ち取ったM坂氏が意気揚々とスタート。中間部のテラスでラインを読むのに苦労して右往左往。右に大きく回り込んでしまった結果、灌木でロワーダウンという結果に。きっとビレイヤーからのOS権強奪オーラに負けたんだと思う。

 

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つーわけで強奪者ターン。ソーリューションに履き替えて気合い十分。中間テラスまで上がってクラックを見上げると、思ったより快適そう。テラスの下降点にドローをセットして右側のフィンガークラックから取りつく。

トラバースを丁寧にこなしメインのクラックに入る。絵に描いたようにスッパリ切れたクラックにカムをセット。ジャミングとステミングで快適に高度を上げる。だがテラスのドローが原因でロープが重い。そして次第にクラックは細くなってくる。気がつくと最後にセットした#1は足下50cmくらい。緊張感と同時にパンプが襲ってくるが冷静にカムをセット…できない。

サイズ選択にまごつきながらも何とか冷静を保って一本決める。だが一本では心もとない。更にもう一本突っ込む。今度は座りが悪い。カムよりむしろナッツの方が相性が良さそうだが無い物はしょうがない。落ちたところで#1が効いてるんだから止まるはず…と思うことにして懸命にレスト、粘りに粘って突破に成功。雄叫びを上げたいところだったが梅祭り期間なのでグッと堪え、充実感に浸りながら回収した。

その後M坂氏も無事完登。最後は三人でマルチのロープワークを練習して本日のワークアウトは完了。

 

所感

トラッドルートの楽しさを過去最高に感じた一日だった気がする。湯河原はトラッドの岩場として評価が高いわけではないが、今の自分の実力にはちょうどいいんだろう。自分よりキャリアのあるクライマーと登って得られる経験値は貴重だが、身の丈にあった場所で自分で考えて登るのが基本的な成長プロセスだと思う。正解は教わるより試行錯誤から導きだした方が圧倒的に楽しい。ムーブの解析と一緒だ。(安全性に関わる部分は一概に言えないけど)

つーわけで5.10aでこんなに楽しかったのってあまり記憶にないので、「トラッドはグレードじゃない」がすこし解った気がします。成長させてくれる5.10台のルートって大量にあると思うのでこれからが楽しみでしょうがない。グレードを追求するんじゃあなくて一本一本を大切に登って行きたいですね。

あ、でも「樵ハング」はハングさえ越したら5.12bなんですよね…
5.12bか…
…ふ〜ん…。


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