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バムライフ 5.10d OS

先日末端の末端から見上げた未知のラインにトライしてきた。

結論から書くと我々が「本峰」と呼んでいたのは「文殊岩」で「本峰」に走るクラックは「クレイジーバム」だった。さらに下部ワイドと呼んでいたのは「瑞牆ロケット」といずれも由緒正しい既存ルートだった。

新しい瑞牆本やネットで情報を探せば早々に判明したと思われるが、そこはチームの共通意思としてあえて調べないスタイルを採用。残置無視の情報版みたいな考えになるだろうか。

ま、こんな立派な壁が手付かず…なんてうまい話がそうあるわけないのだが、先行きのわからないルートのことを妄想する時間は至福のひとときでした。

実際に行ってみるとチムニーの先に続くクラックを辿って行き詰まったり、コケむしたスラブ&リングボルトに敗退したり、沢の高巻きのようなルンゼを突破したり、妄想を裏切らない充実の山行…だったよね?

で、その流れからすると「クレイジーバム」を登る流れなのだが、十一面まで抜けるには時間が足りなかったので今回は隣のバムライフを登った。「クレイジーバム」はワンプッシュの時まで大切に取って置こうと思う。

なお、バムライフのクラックが美しかったので浮気心が湧いたんだろう、という指摘は上記の理由からあたらない。

さて、バムライフに取り付いてみると下部がやや立っているがジャミングもプロテクションも良いのでグイグイ手を進める。一旦傾斜が落ちるがすぐに薄被ったクラックに入る。日和らずに手も足も確実にジャミングを決めていけば導かれるように上部パートへ抜ける。

ここまでオブザベーション通りの順調な展開。

ここからは取り付きから見えないパートになるが、ここまで来ればあとはウィニングロード…ではなかった。傾斜は落ちるがクラックはやや細くなり加えて少々湿っぽい。さらに下部での消耗がジワジワ効いてくる。弱気になったら負けると、愚直に手も足もジャミングを決めると次の一手につながっていく最高の展開で終了点へ。

トポを改めてみると4つ星がついているが納得の内容だった。

シルバーフリーウェイ

 

昨年、丸氏と初めてマルチにいった際、彼はすこし伺うように聞いてきた。

「シルバーフリーウェイとか、どうですかね…?」

私はもちろんこう答えた。

「いつ行く?今週?それとも来週?」

それも食い気味に。

シルバーフリーウェイと聞いて行かないという選択肢は存在しない。いつ行くか、それだけである。

瑞牆本で目にして以来、ずっと登りたかった一本である。グレード的に難しいわけでもないしアプローチもそんなに遠くない。ただ中尾さんの名文から伝わる冒険性は否が応でも緊張感を高める。こういうルートはこういうのが好きなパートナーと組みたい。しかも双方初見が望ましい。そうなるとパートナー探しが難しくなるが、まさかの瓢箪から駒、棚からぼたもち。このチャンスを逃す手はない。時期的にシーズンは終わりに差し掛かっており、来シーズンに決行する運びとなった。

 

 

前述の会話から冬をまたぎ、その日はやってきた。少し雲が重いが5月にしては涼しい。ピリっとしたスラブを登るには悪くないコンディション。

取り付きから見上げると想像より傾斜は寝ている。広大なスラブの大海原を、わずかな凹凸を頼りにラインを見極めるつもりで肚を括ってきたが意外にも明瞭。プロテクションを決めるであろうフレークもはっきりと見て取れる。

第一印象は「快適そうなスラブ」だった。いや、正直なところ楽勝だと思った。本気シューズを出さなくてもいけるんじゃない、とナメた口をきいていると丸氏が味のある表情を向けてくるので、黙ってジーニアスを履くことにした。

立ち木にゼロピンをセットし、大海原へ漕ぎ出す。ひとつ目のRCCまであがると、急にホールドが乏しくなる。極端に悪いわけではないがムーブを見誤ると修正は難しいだろう。ナメてかからなくて良かったと安心しつつ慎重に高度を上げていく。フレークに到着するとラスクのような岩質。グラニュー糖のように粒子がポロポロ剥がれる。スリットにカムを多めに決めるが、果たして落下に耐えうるのだろうか。実に興味深い問いである。更にポケットホールドにスリングを通してプロテクションにする。

ふと誰かがスリングを通せる箇所があると嬉しそうに話してた気がする。どうも世の中は物好きが多い。

当初の読み通りスパイスは効きつつも概ね快適にオンサイト。むしろガルバニック腐食を起こしている終了点を整備したほうが良さそうに思えた。

2P目は丸氏リード。ポロポロと岩が欠けて落ちてきたがオンサイト。

3P目はクラックに入るところが濡れていて全体を通してここが一番悪く感じた。

4P目はふかふかの庭園を歩き。

5P目はワイルドなピッチを岩頭まで抜ける。

無事に全ピッチをオンサイトして取り付きへ戻った。

中尾さんに倣ってグレード感を書くとこんなところかと。

1P: 5.10c
2P: 5.10a
3P: 5.10a
4P: 歩き
5P: 5.8

Rがつくかどうかは他のRルートを登ったことがないのでわからない。何にせよ素晴らしいルートを登ることができてよかった。

他でも言及されているがご祝儀岩には他にもいくつかラインが引けそう。かつすでにステンレスアンカーが散見された。また来る機会があれば左のルンゼ〜クラックラインを見に行きたい。

 

足ならし

冬の間は昇仙峡に篭っておりましたがシーズンも終わりが見えてきたので瑞牆マルチへ行ってきました。もちろんゲートはまだ開いていない。

ここ数年、12−3月はボルダーに集中してそれ以外はトラッドとかマルチというパターン。ちなみに今冬は大ハングに5日ほど通ったがまったく繋がるイメージが得られず。シャークティースがなんとか登れたのが救いだった。また来シーズンがんばりましょう。

というわけでマルちゃんと大面岩、左稜線。フリースを着て登り始めるが日が当たるところまで来ると半袖でも快適。ハイライトピッチの出だしで左からボルダーを巻くところをあえて強点をついて直登りする。このラインからだと10cくらいに感じた。ロープを伸ばせるだけ伸ばしてチムニーを抜けるところまで5ピッチ。約3時間で岩頭に抜けた。

下降後、パノラマックスに継続。1p目が5.10aとされてるが左稜線のスラブ最終ピッチの方が間違いなく難しいと思う。5.9が妥当なのでは。

前回一刀の後に2P目のクラックラインをトライしたので今回はRPを目指す。前回ほどヨレていないので核心までは比較的スムーズ。だが核心は手強い。ダブルチキンウイングというかなんと呼べばいいのかわからんムーブで抜ける。再現できるんかコレ、という気分にさせてくれる。

そしてダメ押しの抜け。これ5.11bに収まってないよね! とマルちゃんに同意を求めたが、右のフェイスラインをトライした彼曰く、「フェイスラインは同じようなムーブで上がってくるのでここだけ難しいとは感じなかった。ジャミングの後に出てくるから面喰らうのでは」ともっともらしい説を唱えていた。

足が痛いのでアナサジに履き替えて本日2try目。ダブルチキンウィング的な何かで核心と奮闘する。なんとか耐えてテラスに抜ける。先ほどのマル理論を信じて最後の抜けムーブをこなし岩頭に抜けた。

パノラマックスとしてはあと2pほどあるが、すでに大面岩にピークは踏んでいるのでここで終了。よい足ならしとなりました。

一刀

 

フリークライミングをしてきた。

瑞牆山は小面岩のマルチピッチ、それは「一刀」。

壁中に一切の残置物を残さず、取り付きから岩頭まで花崗岩のクラックに導かれトップアウトする、最高にかっこいいライン。

このラインを初めてトライしたのは5年ほど前。その時から「安易にトップアウトはしたくない」と考え、各ピッチ完登して次に進むことにした。おあつらえむきに最終ピッチはランナウトするという。A0でトップアウトするネタバレクライミングは相応しくない。最後まで未知の領域を残して登ろうと思った。

妥協した点があるとするとハングドックとヨーヨースタイルを許容したあたり。それも当時のパートナーとよく話し合って決めた。

そんなわけで5年まえは3Pを抜けることも叶わず敗退。なにもかも足りてなかったが心意気は買っていただきたい。

そして今年の春、パートナーは山ちゃん。我々が組むと晴天率が著しく悪い。びしょびしょの1Pを沢登りのように抜ける。2Pのクラックもシケシケ、ここは前回ピンクポイントしてるので3Pのハンドクラックに注力する。2日間のトライの末、2PのRPに成功、山ちゃんは3Pも成功していた。

 


 

満を持して秋、岩はパリパリ。1Pに至っては快適すぎて#5,6の出番なし。2Pを山ちゃん。クラックに枯葉が詰まっていたが堅実に登り切る。フォローも落ちることなく続き、3Pに取り掛かる。

 

1P
1P 5.9

 

岩の状態は控えめに言って最高。やや風が冷たい。ハングのムーブを忘れていて少し消耗する。数手進み足が切れるが耐えてレイバックで切り抜ける。前回悪く感じたワイドハンドは抜群のフリクション、気がつけばフィンガークラックが目の前。チョックストーン下で十分にレスト、集中してマントルを返した。

2Pと合わせて一刀でRPグレードを更新できたことになる。地味に嬉しい。

 

3P
3P 5.11b

 

ここからが念願の初見のピッチとなる。歩きを交えチムニーピッチを抜ける。

 


5p 5.7

 

そして最終ピッチは噂のランナウト。出だしは左上したクラックでグリーンスピリットのように見えなくもない。快適に左上クラックをぬけマントルを返す。なるほどプロテクションは取れない。だが本日のフリクションにおきましては何の心配もございませんとばかりに、サラリとOS。あれ、もしかしてトラッドのOSグレード更新では…

冷たい秋風が吹き抜ける岩頭に抜け、小ヤスリのクライマーと談笑した。

取り付きを発ったのが9時半、岩頭に12時半。終わってみれば3時間程度のフリークライミング。壁には思い出だけを残してきました。

 

 


岩頭

ベルジュエール 10pitch 5.11b


パラパラと小雨が降り出した。レインウェアはいらないレベルだが、敗退すべきか否かを意識しつつ4年ぶりのチムニーに挟まった。

#6はスッカスカでまったく効かない。もちろんそれは4年前に経験済み。しかし今回はそれに加えてところどころ結露している。

ズリズリ上がって黒ずんだリングボルトにクリップする。一息ついて上部に目をやると、記憶より近い気がした。甘い考えが浮かぶがすぐさま打ち消し、ただひたすら無心で前進しようと覚悟を決めた。


天気予報

今秋の予報はいつもに増して難しい。当初は土日を使ってベルジュエールからビバーグを交えて蒼天攀路をプランニングしていた。だが七転八倒する天気予報に愛想を尽かして日帰りにシュリンク。それでも午後は崩れる予報。一方、土曜日は登れたっぽい。我々の土曜を返してくれ。


植樹祭発 (5:15)

そんなわけで前夜泊で瑞牆入り。オープンビバーグで霧に包まれながら時折訪れる晴れ間からオリオン座を見てまどろむ。3時間程度の仮眠時間。明日は午前中にカタを付けなければ雷雨に巻かれるかもな…とか考えると…朝になってた。

まだ暗いうちに植樹祭を発つ。


First Pitch (6:40)

ゆっくり登って準備してClimb On。4年ぶりのベルジュは寒くは無いけどシットリ。

ハング抜け口まで登ってロワーダウン、これをアップとする想定で登攀開始。

ハング抜けはちょっと悪い。前回はここでスリップフォールした記憶。慎重に手を進める。無事に抜けると、そのままイケそうな気がする。可能ならマスターで登りたい。次の手を出す。

上部核心に入る。前回は初見でムーブがわからず、そこそこ時間を使って抜けた気がする。ただ4年も経つとほぼ何も覚えていない。慎重にムーブを探る。ホールディングを調整して手を伸ばす。なんとしても登りたいと思った。核心を抜け、歓声をあげた。


2-3nd pitch (8:00)

続いてスラブトラバース。このルートの二大恐怖核心。だが、サクサクとスズメちゃんが突破。流水でヌルヌルのスラブもなんのその。ただでさえ重いシングルロープを引きずって3pitch目まで。小面岩が綺麗にみえた。



4th Pitch (9:00)

一番フレンドリーなピッチ。今回も美味しくいただきました。ちなみに今回はアナサジピンクですが、アッパーの厚み不足でフットジャムが痛い。


5th Pitch

ハイライトとなる大フレーク。ガスに巻かれて辺り一面まっしろ。予報どおり天気は下り坂で気持ちが焦る。ススズちゃんが高度を上げていくがクラック内部は流水でびちゃびちゃ。大胆にレイバックでグイグイ上がっていく。メンタルどうなってるんですかね。


6th Pitch

そして冒頭のチムニー。前回はここで30-40分は格闘したような気がする。だが今回の天候でそんな時間はかけられない。少しはチムニーも上手くなってると信じて挑む。

リングボルトにクリップして、#6をセットしようとギアラックから#6を外す。と、なぜか#4が脱落して遥か彼方に落ちていってしまった。こんなことが起こるんだろうか。呆然とするが、なかったことにして目の前のタスクに手中する。

#6を開き気味に決めた後は一切上を見上げず無心でプッシュで前進する。壮絶な耐久系クライミングの幕が開けた。と、思っていた。

すると…
.
..

………
あれ?めっちゃ快適なんだが…

クラックが少しずつ狭まってきて進みづらくなる。両手を逆手でPushしながら膝と足裏と背中でずりあがる。

落ちる気が全くしない…なんということでしょう。

不意にメットに何かが当たった。チョックストーンだった。前回はバテバテで必死の思いで返したマントルをこともなげに返して、チムニーの抜け口に立った。

できすぎた展開で我ながら嘘っぽいのでこの画像を貼っておこうと思った。


8th Pitch (11:00)

一時強まった雨脚も小康状態となり、これを抜ければ完登は目前というクラック。屈曲したラインで先の展開が読みにくいルートだが、抜群の読みで手堅くOS。

「ガバっぽかったのでしっかり片手固めて出したら登れた」みたいなコメントだったけどつくづくスゲー。


Last Pitch (12:20)


ついに最終ピッチ。またしてもパラパラと雨が降り始める。出だしの被ったクラックがやや悪い。雲が流れていくのを視界の隅に捉えながら最後のスラブを抜け、岩頭へ。

4年ぶりに十一面から眺める瑞牆はいたるところで霧が沸き立ち、雲の切れ間から富士山がのぞいていた。


鷹見岩南山稜

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カサEさんと鷹見岩南山稜を登った。当初は鷹見岩ー大日岩ー五丈岩をオープンビバーグを交えて継続する、という野心的なプランだったが天気やらなんやらで日帰りにダウンサイジング。とは言え山っぽいクライミングができてめっちゃよかった。

 

アプローチ

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瑞牆山荘から富士見平小屋を経て鷹見岩分岐まで。およそ1時間。カンマンボロン、大面岩、小面岩を真南から望む。新鮮なアングル。

鷹見岩のコルから右斜面に下る想定だが、不明瞭なので偵察。鷹見岩岩頭までハイクアップして他に選択肢がなさそうなので、コルから右斜面に降る。100m-200m下った辺りでケルンを確認。確信を得て進む。一般登山者の道迷いを防ぐため、あえて分岐付近は不明瞭にしてるのかな?

 

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取り付きの洞窟まで予想より下りが長い。およそ40分。トレースが薄くなるとケルンが現れるので迷うことはなさそう。

 

1ピッチ 5.10

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11:20から登攀開始。カサEリードでスタート。洞窟内は湿っぽいが濡れてはいない。おそらくコンディションは良さげ。1ピッチ目としては辛そうなムーブを抜けていく。

フォローはこれまた大変。バックパックが挟まって身動きがとれない。心拍数急上昇。終了点への胎内くぐりを土下座ムーブで抜ける個性的なピッチだった。

 

2ピッチ 5.10

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空へと続くような凹角ハンドクラックをパワフルに登っていく。めちゃくちゃ快適…と思っていると、おや?カム少なくないスか?振り返ると遥か足元にちょっと多めにカムが決まっている。残り4-5m。クライムダウンできなくもないが危うい。余った#3を真横にゴリ押しで決め、なけなしの#0.4を慎重にセット。ガバとはいえ緊張感のあるランナウトをこなす。

小テラスに這い上がりほっとするのも束の間、その先のスラブも手強い。むしろグレードはスラブにつけられている気がする。体感5.10bから5.10cかな。もっといいムーブがあるのかもしれない。なんとか押し切ってOSを達成。

このピッチだけでも十分な価値がある三つ星ピッチだった。控えめに言って最高。

 

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photo by kasai

 

3ピッチ 5.8

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脆い出だしから張り出したアンダークラックをたどる。簡単だけどこれまたバックパックがつっかえる。

 

4ピッチ 5.7

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簡単なチムニーを超えて岩綾歩き。このピッチはコンテで通過。右手に大日岩を望む。

 

5ピッチ 5.10-

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ハイライトとなるピッチ。序盤のトラバースでまごつくがとりあえず抜ける。チムニーを渡ってからは快適。最後のワンポイントがバランシーで面白い。壁が寝ているので高度感はあまり感じなかった。

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5,6ピッチ全景

 

6ピッチ 5.10-

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

photo by kasai

 

最終ピッチ。雨雲に焦りつつスタート。絶妙な感覚でホールドがつながっていく。ボルトがなかったら相当頭を使っただろう。ルートファインディングが楽しいピッチだった。雨に降られることもなく一坪テラスへ。

[追記] インシデントレポート

このピッチで1ピン目のドローが脱落した(上記写真でドローのかかっていないハンガーが確認できる)。
原因は以下と考えられる。

  • ドローを上下逆に設置したため、ハンガー側のビナが回転防止ラバー付きだった
  • トラーバースによるロープの流れでドローが回転
  • 2ピン目クリップ時のたぐりよせでゲートがハンガーに接触して脱落

2ピン目でたぐり落ちた場合、スラブとはいえ墜落係数は1を超える。重大事故となったかもしれない。
改善策は以下。

  • ドローをギアラックにセットする際、上下確認を行う
  • ドローをハンガーにセットする際、上下確認を行う

特にギアラックにセットするときはあまり意識していない気もする。ダブルチェックが好ましいが現実的にどこまでできるか…

badclipドローが上下逆にセットされている

 

7ピッチ 5.10(?)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

photo by kasai

 

おまけその1。岩綾歩きを経て10mほどの垂壁に出る。トポに書かれているラインを雑に探して取り付く。脆い凹角から薄被りへ…薄被りとか書いてたっけ?

剥離しそうなホールドをテストしながら抜けていく。思ったより傾斜を食らう。被りを抜けると多少安定するが表面の粒子は相変わらずボロボロ。抜けが読めないが#2を決めて突っ込む。登れてよかった。

 

8ピッチ 5.8

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おまけその2。更に岩綾歩きを経てヘッドウォール(と呼んでみたい)直下の左上クラック。抜けると正に岩頭。気持ちよいフィナーレを迎える。

 

Stats

  • 瑞牆 山荘 8:40
  • 鷹見岩分岐 9:45
  • 下降 開始 10:20
  • 取り 付き 11:00
  • 登攀 開始 11:20
  • 一坪テラス 15:10
  • 鷹見岩岩頭 16:30

 

一刀両断

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最近、ハングドッグやエイドに頼らないマルチピッチがやりたいなーと考えていたところ、M坂マンが「これからはグラウンドアップにこだわりたいと思います!」と高らかに宣言していたのでそれならっつうことで瑞牆の「一刀」に行ってきた。

ちなみに「一刀」はオンサイト・グラウンドアップによって初登され、終了点を含めてボルトや残置物は一切ない。フリークライミングの理念を体現したかのようなルートである。ルート上には25mの5.11aとか5.11bを含み、5.11aのクラックをまともにトライしたことのない僕には高嶺の花つーか、現実を見ろよ感抜群である。

 

アプローチ

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ゲート開放前なのでゲートから歩く。チップの駐車場まで10分前後。なんだ、近いじゃねえか。これまでゲートが開くまで指をくわえて待っていたことに激しく後悔する。

大面岩下ボルダーは誰もいない。ベシミを抜けて一気に大面岩基部まで。パノラマコースを少し歩き大面・小面間のルンゼに到着。念のため周辺を偵察、ルートミスの可能性は低そうなのでルンゼを進む。ルンゼ内でもう一度偵察を行いFIXロープを発見。チップから1時間10分前後で取り付き。

 

1P 5.9 OW

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9時45分くらいにM坂氏のリードでスタート。快適に下部を抜けてOWに突入。悶絶しつつも見事にOS。フォローは一旦空身で登り終了点から#5,6を持って下降、取り付きにデポ。すぐに登り返して2P目に備える。

 

2P 5.11a hand

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リードを交代して一本目のイレブンをOSトライ。クラックの中は少し湿っぽく、久しぶりの高度感からか動きがやや硬い。出だしのコーナーを超えてハンドサイズに突入し、カムを決めたところであっさりテンション。当たり前だけど簡単ではない。ムーブは探らずカムの効きを確認してロワーダウン。M坂氏に交代。一旦ロープを引き抜きリードでトライ開始。力強い登りでハンドクラックを前進しプロテクションをセットする、登れそうな雰囲気を放ちまくっていたが惜しくもフォール。

すぐさまロワーダウンして今度はロープを残したまま交代。ヨーヨースタイルのチームトライとでも言えばいいのか、適切な呼称がわからないがチームで高度を上げていく感じがこれまでになく楽しい。M坂氏の決めたエイリアンまで上がってムーブを起こす。しかしどうにもバランスが悪い。モカシムで来たことを後悔しつつ、せめて前進してカムを決めようと肚をくくったところでスリップしてフォール。じつにショッパイ。

ロワーダウンしてすぐさまワントライするがパンプが抜けずにフォール。交代したM坂氏は力強い登りでクラックの向こう側へ消えていった。つええ。

ちなみにトポにはナッツの記載があったが、二人揃ってどこで使えばいいのかわからずプロテクションはカムのみだった。

 

4P 5.11b

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この時点ですでにいい時間になってるので急いでハイライトピッチへ。目が覚めるような美しいクラックが威圧感のあるチョックストーンへと続いている。

チョックストーンに0ピン目をかけてM坂マンのリードトライでスタート。チョックにタイオフとか地味に楽しい。しかし出だしの凹角が思いのほか悪い。ヨレも相まってフォール。交代してトライするが確かに悪い。なんとなくそれっぽいムーブを起こそうとしたところでフォール。すでにヨレヨレ。ムーブは正解だったようでなんとか凹角は突破したが続かず。

ムーブ強度的にはボルトルートであれば問題なく登れそう、とか考えてしまったがコレが実力ってやつだ。

時間的、体力的にはもう少し前進することも可能だったが、敗退が難しくなると考えここで敗退を決断。カム回収はエイドでこなして懸垂下降を開始。後続パーティは著名なプロクラマーでサクサクと4P目を抜けていった(上の写真)。

 

グラウンドアップ

というわけで見事に一刀両断されてきました。冒頭でも触れたけどこれでもかってくらい現実を突きつけられた感じである。

しかしスタイルにこだわったクライミングは非常に充実感のあるものだった。

これまでマルチピッチでフォールした場合、レッドポイントより突破を優先してきた。まずはハングドッグでフリー解決を試み、無理ならエイドで突破する。そして次ピッチの登攀を開始する。

できることならフォールしたピッチをレッドポイントするまで次ピッチへ進みたくないという思いもあったが、後続パーティが来てるのにロワーダウンしてリトライするわけにも行かないし、ルートの屈曲次第では取り付きに戻れない場合もある。くわえてレッドポイントできたとしても、時間切れによって次ピッチへ前進できない可能性もあり、そう簡単な話ではなかった。

しかし、未解決のピッチをエイドで抜け、その先の冒険性を失ってまでトップアウトするのはあまりにも勿体無い気がしてきたとき、「やっぱ降りるのが妥当だよな」と思えるようになった。

とは言え理想とするスタイルはヨーヨースタイルでもピンクポイントでもなく、あくまでもレッドポイントなので精進したいと思います。

錫杖岳前衛壁

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錫杖岳デビューしてきました。パートナーはおなじみS兄貴。ルートは「黄道光」。北アルプスってことで森林限界を超えた場所でのクライミングを妄想していたのは内緒だ。(行ってみると樹林帯)

 

1P目

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左方カンテのルンゼからアプローチ。アップを意識して大きな動きでルンゼを上がる。荷物がやや重い。

黄道光は薄かぶりのボルトルートで始まる。グレードは5.11a、簡単ではないがオンサイト圏内である。しっかりオブザベーションしてから取り付く。ムーブがピシャリとはまってハング部を突破、ひゃっはーと雄叫びをあげる。てっきり核心部を超えたと思ったらそこからのムーブも一癖あって楽しかった。

なお、後述するが荷物は「やや」ではなく「わりと」重かった。

 

2P目 サンシャインクラック

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続いくハイライトピッチはフォローで上がる。クラックの表面はエッジが鋭い。スッパリ切れた安山岩クラックをイメージしていたが意外と荒々しい。日差しも強まってホールドが滑り、ロープはキンクして上がっていかない。こいつは辛えーと悶えてるとクラックから剥がされしまった。

木登りを交えてなんとか突破。松ヤニで手がべたつく。ワイルドな展開にアドレナリンがマシマシ。

小テラスで交代してリード。ボルトとカムを交えて抜ける。疲労からしょっぱいテンションが入ってしまった。

 

3P目

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最終ピッチ。壁が広い。上部にそびえるハング帯が遠く感じる。下部はボルトが多いので間引きつつ進む。面白いフェイスムーブが続き、快適に高度を上げたところでボルトが途絶える。しばし悩むが直上にハンガーのないボルトが見えた。

#0.5をアンダーに決め数手進む。砕けそうなホールドをスタティックに捉えて祈るようにムーブを起こすと、パキっと剥がれた。スラブフェイスを蹴るようにしてフォール、右臀部をぶつける。

その後、横にクラックがあったことを知る。クラック部のムーブもジャミング一辺倒ではなく変化があって面白い。しかし岩の形状ではなくボルトを追いかけてしまったことが悔しい。テンションを交えながら抜けるが消耗が激しく、終了点についたときは汗だくだった。

ハングを抜けたところで「黄道光」のラインは終わり、その先は北沢デラックスの最終ピッチが続く。正直この場所で終わるのは中途半端な感が否めない。釈然としないも下降を開始。壮絶なロープドラッグと格闘する。

 

軽量化

といわけで荷物が「ほんのちょっと」重かった。どれくらかっつーと5-6kgは確実にあったと思う。ひょっとすると8kgあったかもしれない。さすがに10kgはなかった…と思いたい。

「それ、登る前に気付けるでしょ」って話なんですが、左方カンテルンゼはアルパイン的なので荷物が重くても許容できちゃうんですよね。もちろん「重いな〜」と思ったが特に危機感はなく、「なんとなく違和感がある」くらいの感覚。 でも考えるべきは5.11aから先の行程で、そうすると明らかに重すぎた。

違和感があったということはアラートがあがっていたということ。なのに「気にしすぎ」と無視してしまった。ささいな違和感でも言葉にすれば問題意識が生まれて対応できたかもしれない。今後は積極的に言葉にしていきたい。

ギア周りは毎度難しい。今回はモカシムオンサイトとジーニアスという二足体制だったが、クライミングの内容的にはモカシム一足で対応可能だった。結果論に過ぎないと言われるとその通りだが、グレード、岩質、傾斜を含めて考えれば「ありえる選択肢」だったんじゃないかな。

カムに関しては#4を追加したが結局使わなかった。「どっかで使いたくなるかも」で持っていくことが多いが、そういうシチュエーションって実はあまりない。むしろレアケースな気がする。

もちろん安全性とのせめぎ合いなので簡単に答えは出ない。しかしPASをやめてメインロープでのセルフビレイに切り替えたように、シンプルなほどクライミングは楽しい。

 

ロープドラッグ

三回の懸垂の内、二回でロープドラッグ。ドラッグここに極まれリ。しかも最後は空中懸垂からユマーリングで脱出という壮絶な展開。とはいえ個人的にはいい経験になった。時間はかかったが安全にリカバリーできたんじゃないかと。久しぶりに作ったヌンチャクアブミも悪くなかった。いちばん成長を感じられたのはこの瞬間だったかもしれない。

だが、このトラブルも荷物の件同様に2P目をフォローした段階で予期できたはずだ。扇テラスでロープを整理すれば回避出来た可能性は高い。後続が来ていたこともあって先を急ごうとする心理が働いてしまった。

ちなみに後続は激強ソロクライマーだった。惚れる。

 

何を登るのか

色々と反省点やトラブルがあったが、残念極まりないのが3P目で直上してしまったことだ。

こういう岩場に来てボルトを追ってしまったのが実にショボイ。もっとよく観察すればクラックの存在に気づけたはずだ。できる限りトポや他者の情報に頼らず、自分の目と判断で登りたいと思っていた。しかし結局のところ、誰かが埋めたボルトを頼りに登ってしまった。これをダサいと言わずして何と言えよう。

ホールドが欠けたのは「もっと岩をよく見ろ」という黄道光からのメッセージだったかもしれない。

ぶつけた尻は当分癒えそうにないぜ。

十一面継続登攀

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調和の幻想とJoyful Momentを継続登攀してきた。天気予報がハッキリしないため不動沢のショートルートで溜飲を下げようとするも未練タラタラっぷりを見かねたSAT6師匠から「マルチ行った方がいいYO!」と言っていただき突撃。快く送り出してくれてた皆様にはこの場を借りて多謝であります。

 

8:00 調和の幻想

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前回は偶数ピッチだったので今回は奇数ピッチ。Mサカ氏とギアチェックして登攀開始。相変わらず1ピッチ目はキツイ。2ピッチ目は前回も湿ってたが今回も湿りがち。3ピッチ目は一瞬ルートファインディングに戸惑ったが無事解決。

 

IMG_8000

4ピッチ目の木登りと変化に富んだフレークスラブをMサカ氏が抜け、最終5ピッチ目のフレアワイド。前回フォローだったのでリードが楽しみで仕方ない。すると期待を裏切らない極上ピッチ。適度なランナウトと快適なムーブ、最後はピリッとOWで〆。改めて素晴らしいルートだと思う。

 

IMG_8015[適度なランナウト]

 

11:30から懸垂開始、12:00ごろ取り付き。大休止を入れて十一面奥壁へとハイクアップ。

 

IMG_7996[ガスに覆われる末端壁]

 

13:30 Joyful Moment

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アプローチで少々迷ったが大きなロスはなく登攀開始。1−2ピッチを繋げて抜ける。本チャンっぽいが岩は硬く快適。

 

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3ピッチ目はMサカ氏が軽快に高度を稼ぐ。時間的に敗退も覚悟していたが杞憂だった。4ピッチ目はリービテーションがバチ効き。なんだけど慣れてないので結局奮闘系となってしまった。5ピッチ目は歩きから少しだけ登攀。

 

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15:10に岩頭へ抜ける。下降路へのクライムダウンも侮れなかった。

 

装備

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今回、装備に幾つかの工夫を凝らした。

まずハイドレーション。この時期は水不足になることが予想されたのでビレイ中の水分補給を確実にこなしたかった。結果、ビレイ中に荷物落下を気にせず適量づつ水分補給が可能になった。水分補給だけではなく心理的負担軽減にも効果的。

次にPASを省いてメインロープでのセルフビレイに切り替えた。以前からカムがPASに引っかかるのを煩わしいと思っていたので、今回思い切って取り除いた。結果、ビレイループ周りがスッキリし、登攀中にカムが引っかかることもなくなった。懸垂下降の時はスリングでカウテールを作って対応。PASは沢やアルパインでは有効だが、岩主体の場合は必要ない気がする。

 

所感

ルート選択が功を奏したようで無理なくマルチピッチ継続を楽しめた。数字的には「2ルート/9ピッチ/最大グレード5.10a」となるだろうか。もう少しアクセントになる要素が欲しい気もするが初回ということを考えれば十分なクライミングだったと思える。

ちなみにアクセントを入れるとなると、ピッチ数15以上とか、5.11aを含めるなど。或は情報の無いピッチを含めるとか、トラッドボルダーを交えるってのも楽しそう。更には沢遡行からの継続とかも良さそう。欲望は尽きない。

海金剛

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上部城塞基部で残りの2ピッチを見上げながらカサE氏が言った。

「まあ上まで抜けれないんならここで降りてもいいかな」
「あとちょっとなのに…”メルー”とおなじ展開や…」M坂氏が続ける。
「え…僕まだ観てないんですが…」まさかのネタバレに絶句する俺氏。

すこし強まった風の中、我々は撤退を決断した。

 

小春日和

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というわけで「海金剛 スーパーレイン 7ピッチ 5.10a」に行ってきました。メンバーは上記三名に加えてスズメちゃん。

とにかく風がハンパないとの噂だったがこの日はほぼ無風。青空もひろがりポカポカ陽気、駿河湾を挟んで富士山を望みつつ雲見キャンプ場入り。なんだよ春じゃねーか。

はやる気持ちを抑えつつアプローチを行くが早くもM坂氏がドーパミン全開。よくわかんないけど解放されちゃったようです。何からだよ。

海岸線へ懸垂で降り少し岩稜を登るとドカーンと大岩壁。周囲には巨大なボルダーがゴロゴロ。興奮を抑えきれずうっかりルートファインディングミス。ちょっとだけ彷徨った後、明瞭な踏み跡を発見。

 

First Pitch 5.7

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カサE氏 撮影

 
すでに10時を回ろうという時間帯、てっきり先行パーティは遥か上部と思いきや最後の一組がリード中。この時点で後の展開が予想されたが装備を整えてスズメ&僕ペアが先行。

久しぶりのカムセットを確かめながら凹角を抜ける。グラつくチョックストーンとか灌木へのランナーセットが懐かしい感じだ。先行パーティに追いついてしまったので一段下の灌木でピッチを切る。

 

2nd Pitch 5.8

緊張を強いられるトラバースをスズメちゃんが安定の突破。凹角にナッツとやらをセットしていたがナッツ童貞の俺氏、一瞬戸惑う。冷静を装いつつ回収するが今度はトラバースが怖い。スズメちゃんはダイレクトに突破していたが上部のガバから巻いて抜ける。

 

3rd Pitch 5.10a

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前座が終わっていよいよ本番。暑くなってきたので半袖で登攀開始。

左上気味に上がると露出感のあるアンダークラック。#0.3と#0.4を決めて足を上げていく。クラックが終わるとガバがお出迎え。ワンポイントかもしんないけど痺れた。だが楽しい。

先行パーティからビレイポイントを一本拝借して灌木と組み合わせて支点構築。間隔を空けるためフォローはしばし待ってもらう。半袖に風がちょっと寒い。先行パーティのお姉さんと雑談しながら待機。初めてのマルチだと仰ってたが中々チャレンジングである。(リスキーと言い換えるべきか迷う)

 

4th Pitch 5.10a

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続いて見た目最高のワイドクラック。スズメちゃんの目が完全にワイドに見入っている。ワイド直下のアンダーフレークがやや悪そうだがここでも安定したムーブ選択で突破。

カサE氏が上がってきたので一緒にワイドに突入するスズメちゃんを観察。ビレイポイントからだとプロテクション状況がよくわからずランナウトしてるようにも見えたがしっかりとカムは取られていた。

フォローでもアンダーフレークはちょっと悪い。またしてもナッツが出現したが経験者たる余裕をみせて(回収だけ)、慌てることなく回収。ワイドも簡単ではなく改めてスズメちゃんの実力を思い知った。

 

5th Pitch 5.10a

多段ハングとでも言うべきラインは3-5ピッチの中で最もフェイス的に感じた。乗っこす前にカムを多めに決め、乗っこした後にバッククリーンという戦術をとる。カムの節約になるしロープの流れも良くなる。もちろん乗っこし後に信頼出来るプロテクションを取れた場合に限る。

ついでにナッツでも決めてやるぜってことでいざパッシブプロテクション。バチ効きであります。もうナッツなんて怖くないぜ。

上部城塞基部に出ると下降パーティと先行パーティがいて大にぎわい。ビレイポイントは堆積している岩にメインロープで構築。風が強まる中フォローを迎える。

 

6th Pitch 5.7

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そして冒頭のやり取りに至る。トップアウトは諦めていたが、1ピッチだけロープを伸ばし最終ピッチを写真に納め下降開始。カサE&M坂ペアは城塞基部から先行して下降。

エーデルリッドのダブルロープはしなやかすぎるので何度も絡まったが、スズメちゃんおすすめの左右振り分けスリング固定方式にすると一気に解決。やっぱロープワークの基礎は面倒でも丁寧にやるのが肝要ですね。

キャンプ場への帰着時間が迫っていたのでカサE&M坂ペアに先に戻ってもらい後に続く。夕焼けで赤く染まる太平洋を背に海金剛を後にした。

 

所感

脆くて怖くて風が強い、とばかり思ってた海金剛ですが結果的には程よくスパイシーって印象でした。

天気に関しては非常に運が良かったし、年明けに行われた開拓者による整備の恩恵抜きには語れないが、しっかりと気持ちの準備が出来たことが充実の登攀を支えたと思っています。

登攀のイメージやアイデア、状況のシュミレーションや選択肢の整理など、「自分で判断して登るための準備」を実践できたと思ってます。(登山や沢では当たり前に意識していた筈なんだけど)

これからも自分の判断とかアイデアを大切にして登っていきたいな、と。つーわけで今回最大の判断ポイントとなった「敗退」に関しては「戦略的撤退」と呼ばせていただきます。んで、次こそはピークを踏んでやるぜ。