カテゴリー別アーカイブ: スポートルート

見つけた。何を。 …妖精を

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有笠といえば雨。雨といえば有笠。まだ2度目にもかかわらず(しかも雨の日を選んでるってのに)我々は有笠と雨をセットで捉えるようになっていた。だが、止まない雨はない。ついに我々は晴天を捉えた。それは秋晴れに映える3連休の初日だった。

 

緋牡丹博徒 5.12a 2撃

今回も定番フェアリーロックでアップを始める。これまでと大きく異なるのはその乾きっぷり。あの険谷のようなフェアリーロックがこの日ばかりは明るく輝いていた。

おなじみ「パスファインダー5.11b/c」を快適にトップアウトし、タロー君にチェンジ。長らく塩漬けとなっていたS兄貴もサクっとRP。

そして、次に我々が目を向けたのは「緋牡丹博徒 5.12a」

兄貴の「そんなのやってたらルンルンできなくなるんじゃないの?」という大人の意見に対し、「や、ほんのちょっとだけ。ほんのちょっと触るだけだから…」とエクスキューズを入れ、いざMOSトライ。

3クリップ目までをなんとかこなし、消耗しつつも核心に入る。しかしホールドが甘く、傾斜も強いためジックリは探れない。ごっつぁん12として知られているルートだが、やはり簡単には登らせてくれない。最後は気を吐いて手を出したが残念ながらフォール。

ロワーダウンしながらリップ周辺のホールドとムーブを解決、2トライ目でRP。つづいてタローくんもRP。ようやく妖精からご褒美を頂くことに成功。ごっつぁんでした。

 

ルンルンクラブ 入会

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続いて、前回2tensionとなった「ルンルンしんすけ 5.12b」。本日は1ten、いや、RPをキメたいところである。

しかし今回に限って先客はなく、当然ドローも掛かっていない。兄貴の便利ドローを拝借してムーブ確認しながらのドローセット。

しばしレストを挟んで本気トライ。順調に第一核心を抜け、右上クラックをたどる。そのまま、水平クラックに手を伸ばしたが僅かに届かずフォール。ここで落ちるとは思っていなかったが、繋げてくるとムーブが辛くなるようだ。軽くハングドッグを入れて再開、そのままトップアウトしてようやくルンルンクラブ入会となった。

その後、2トライ目で核心直下に至るが、ヨレとビビリでクリップできず。まだまだクリップが下手くそである。一方タローくんは一気に核心のカチを止め、完登かと思わせたがマッチができずフォール。最高のトライを見せた。兄貴も細かな修正を積み上げ2tenへと迫った。

各自、順調に完成度を上げているが、こっからが長いんだよ〜とか言われるのがこのルート。とはいえ、この調子で近いうちにRPしてやるぜ。

秋がもうすぐそこまで – キキンバック5.11d FLASH –

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少しづつ秋の気配がする瑞牆へ行った。

最近は調子が良いのか、登りに行くとそれなりに成果がある。体のコンディションに加え、岩場のコンデションも申し分ない。

この季節がもっと続けばいいのだが、秋は短い。植樹祭に着くと予想以上に冷たい空気に驚かされる。迂闊にも用意しなかったアウターをウッチーパイセンから拝借してカサメリへ向かった。

 

軍艦岩

 コロッセオを抜け、初めて軍艦岩を訪れる。「ブラッド・ライン 5.12d」が引かれている尖ったラインが強烈にかっこいい。聞いた話によると核心は最後のマントルだとか。グレード的に歯が立つ相手ではないので、ちかま隊長と隣の11台で遊ぶ。

 

キキンバック5.11d FLASH

 
IMG_3450[あっさりMOSをこなすウッチーパイセン]

 
スラビーで繊細そうな「ゆびきりげんまん 5.11c」に比べてキキンバックは明確な印象。隊長が「ゆびきり」を選択したのであえて「キキン」を選択する。比較的得意系に見えることに加え、ウッチーのMOSトライを見ているのでこれはFLASH狙いで取り付く。

予想通りホールドは明確。部分的に悪くなるが、粘り強くホールドを探し打開してゆく。最上部の小ハング直下には、ご褒美のようなレストポイント。その先は核心が待ち受ける。まるでジムルートのような展開。焦らずパンプが抜けるのを待って、核心へ入る。甘いホールドを耐えてなんとかトップアウト。FLASHグレードを更新。

立て続けにカサメリで成果が出ているが、正直このエリアで成果が出るのはもっと先になると思っていた。しかもFLASHグレード更新とは。やはり岩のコンディションが抜群なのだろうか。

その後、「レマンサル」から遥々遊びにきてくれたH山さんと談笑しつつ「ブラッド・ライン」をお触り。ウッチーがするすると高度を上げていたパートですらテンション無しには抜けられない。最後の核心に至っては突破のイメージすらわかない。そして、けっこう怖い。たった1トライで激しく消耗する。うむ、まだまだ歯が立たないようである。

隊長とトモコさんの「ゆびきり」トライをビレイし、「金のわらじ」に移動。

 

口説けなかったけど脈はあるようだ

 
kinnowaraji

 
前回のトライでムーブは解決済み。あとは繋げるだけの「金のわらじ 5.12a」。

例えるならそう、金のわらじを履いて、年上の女房を見つけたんだけど、口説けなかった、みたいな状態。私はいつまで寸止めされるのでしょうか。

そして、告白タイム一回目。本気シューズNEXXOで向かうが、やっぱスラブには向かないね、この靴。そして核心部でカチを取り損ね、粘ったがフォール。地味に「ブラッド・ライン」のダメージを感じる。血を失いすぎたらしい。

続いて、告白タイム二回目。今度は定番ソリューション。やっぱ花崗岩でこの手の傾斜には最適。核心のカチを止め、クリップもスムーズ。このままいくぜーと思ったところで猛烈にパンプ&ヨレ。隊長が雑なムーブを察して「慎重にーーー!」と応援してくれたが悲しいかな上部のガバを保持できずフォール。っっくっそーーーーーー。

他の課題でヨレたあんたを相手するほど安い女じゃないのよ、的な。すいません、誠意がたりなかったっす。










っお高くとまりやがってっっ

 

 

ルンルンしてられるのも今のうちだぜ

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二度目の有笠山。スチームボーイ・タローとバイリンガル・S兄貴。

今回も安定の曇天。週中までは晴れ予報だったはずが一転、関越道に大粒の雨が降り注ぐ。しかし我々が目指す場所はそう、ヘルケイブ。ドライコンディションの約束された地である。S兄貴が「この雨で行くとか、お前ら正気なの?」的な雰囲気を醸しているが、アクセルを踏む足はゆるまない。

 

アップは沢登り

東の駐車エリアに今回も一番乗り、フェアリーへ上がる。アップは二度目にして恒例となった”びしょ濡れ”パスファインダー5.11b/c。S兄貴から「この状態でアップって、お前らアップの意味わかってる?」的な視線が突き刺さるが粛々とトライ開始。

核心部は前回同様にびっしょり。一方で抜け口のガバカンテは比較的ドライ。沢登りとしてはやや不完全燃焼である。(違

 

ルンルンしんすけ 2ten

アップも早々にヘルケイブへ上がる。前回、壮絶な3tryの末、やっとのことでトップアウトした「ルンルンしんすけ 5.12b」と再会である。一番乗りと思いきや先客がいらっしゃる。ありがたくドローを拝借。

さて、本日のミッションは2 tension、あわよくば1 tensionに迫りたい。「ワンテン地獄」と名高い当ルート、噂ではワンテンに達したままRPできない者が集う「ルンルンクラブ」とやらが存在するらしい。なんとも恐ろしい話である。

まずは本日の一本目、ムーブを探りながらトップアウト。相変わらず最後の核心と4−5pin間が厳しい。一方で第一核心は少しづつ安定してきているが、更にひと工夫欲しいところ。

するとタロー君が第一核心のニーバーを解決。前回8g氏だけがベストポジションを得ていたが彼も足位置を発見。「これだよー!」とか言ってるのでパクってみたところ「これかーー!!」って感じ。

更に、最終核心直下の水平クラックでのホールディングを兄貴が大発見。驚愕のフィンガージャムを見出す。「キメれば親指解放して握らなくてもOK」と意味不明の発言まで飛び出す。これは検証せねばなるまいとチェックするがジャムが決まらない。クラックマイスターの匠の技かそれともガセかと思い始めた頃、おや?

なんと小指がガッツりジャムっているではないか。その効きっぷりたるや次の手を出すときにスタックするレベル。最終核心直下で絶好のレストポイントが出現。

三人いれば文殊の知恵とはよく言ったものである。前回より大幅にムーブは洗練され、本日2try目で2ten。更に1tenに迫るつもりだったが、4−5pin目の解析不足でフォール。4try目は時間的にも体力的にも断念、移動することにした。

二日目にしてこの進捗率。この様子だとRPは意外と早いかもしれない。兄貴からも「ルンルンクラブ」に入会することなくRPしちゃえばいいじゃん。と強気のエールをいただく。入会せずにRPできるかはわからないが、ルンルンとか言ってられなくしてやるぜっ。

 

大いなる山の日々 5.11a OS

〆は東の石門エリアへ。濡れている故かヘルケイブとまったく異なる岩質に思える。兄貴推薦の「大いなる山の日々 5.11a」にトライ、まずはタロー君から。兄貴がOSトライを推すので岩陰でレスト。彼のトライをサウンドオンリーで楽しんでいると、何やらホールドを探すのが難しそう。ついに痺れを切らしたか、11aとは思えないダイナミックムーブの気配が。残念ながらランジは止まらなかったようでバトンタッチ。

予想通りホールドの繋ぎがキモのルート。ヨレで落ちそうになるがガバに救われなんとかOS。結構危うかった。

今シーズン中にはルンルンしたいなー。とムーブを反復しながら渋滞なしの関越で帰京。お疲れさまでした。

そして年上の女房は見つかったか?

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結論から先に述べると、見つけることはできた。しかし、口説き落とすことはできなかった。足りなかったのはクライミング能力か、甲斐性か。

 

ゾウリムシ 5.11a RP

お目当て「金のわらじ 5.12a」に隣接する「ゾウリムシ 5.11a」でアップ兼ドロー設置。ちなみにこの二本が引かれている石塔の名は姐御岩(もちろん未婚。そうだろう?)。「草履」は「草鞋」に掛けていると考えるのが自然だ。命名者のスキルフルなフローには脱帽である。

実は「ゾウリムシ 5.11a」は既に3try目。前回は降雨のため敗退してしまった。サクッとマスターで登り、調子よく「金のわらじ」を探る構えである。

しかし、中間部のムーブを失念し、あっさりテンション。先日「ボルドー」&「漁師の娘」を2撃した勢いはどこに行ったのだろうか。気を取り直してムーブを再チェック。2回目で無事RP。

 

金のわらじ 初トライ

そして漸く本命課題にトライ開始。出だしのスラブが地味に悪そうだと警戒していたが、登ってみると意外にムーブが楽しい。しかしハング直下から3クリップ目までのランナウトがメンタルを削る。なんとかクリップをこなし核心部へ。遠いと聞いていたホールドを探すが予想を上回る遠さ。粘る間もなくパンプによりテンション。

しばし前腕を休ませムーブ解析開始。ハング左下部付近に何やらホールドは存在するが、こいつらを保持できる気がしない。万一保持したとして、そこから遠い一手を放つのは絶望的だ。更にハング直下という性格上、ハングドックから壁に戻るのが一苦労。あっという間に体力を奪われる。

一通り傾斜回避ムーブを探ってみたところで、肚をくくって真っ向勝負にシフト。足位置を調整し強引に体をあげると、何やら手が届きそうな雰囲気。

気合い一発、左手を放つ。だが甘い。何とか耐えて更にもう一発。かろうじてハングを抜けたが、今度は右手の寄せが非常に厳しい。強引に寄せてはみたが繋げては出せるムーブではない。間違いなく最適化が必要だが、核心突破は初日の成果として十分。早めに切り上げて久しぶりに植樹祭でキャンプ。

 

お洒落ムーブは金の草鞋を履いてでも探せ

翌日、ゆっくり起きて「金のわらじ」二日目。前日1try目で核心を突破したこともあり「ひょっとしてRPできるんじゃね?」などと淡い期待を抱く。

しかし本日1try目、スラブで迷う。様式美のようなお約束パターン。無駄に消耗したままクリップにまごつき、核心突破できず。核心ムーブの足位置を確認し未着手のパートへ突入。

抜け口から5クリップ目までをヒールやら水平フラッギング、トウフック等々を駆使して突破。核心部が真っ向勝負なのに対してこちらは小技系。ヒールに乗り込むのが多数派と思われるが、足技を多用するムーブはやっぱ押さえとかないとね!

その後、「ゾウリムシ」と共有するホールドをできるだけ避けつつ最上部へ。最後の乗っ越しもヨレてると非常にキツい。

 

3テン・トップアウト

長いレストを挟んで本日2try目。指皮が既に消耗しているが登り出せば無視できる程度。ハング直下に到達するが呼吸が荒い。若干最適化されたハング直下を抜け、3クリップ目をこなし核心へ入る。吠えながら左手を突き出し上部のホールドを捉える。しかし右手を寄せる余力はもうなかった。

その後、右手寄せの画期的な足位置を見いだし、抜け口のムーブとの連携も向上。中間部、上部でテンションを入れつつトップアウト。着々とムーブが洗練されていくが指皮と体幹が売り切れで回収。金のわらじ2daysは幕を閉じた。

次回完登できるかと問われると、可能性はありそう。しかし、もう少し時間をかけてじっくり登ってもいいんじゃないかなーと思える良課題に出会えました。姐さん、マジパねえっす。

秋の大収穫祭 ボルドー5.12a

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待ちに待ったシーズン到来ですが、種も蒔いてないのに大収穫がありました。全面的にスーパー・ハーベストクライマー、つよぽんパイセンのお力添えがあってこそですが、とにかく幸先いいのでご報告。ちなみに上の写真はベニテングタケ。スーパーキノコみたいだけど毒キノコです。

 

志賀ランド

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カサメリ沢を渡って普段とは逆方向の左手下流へ向かう。初めて訪れるが、ここも魅力的な岩が豊富。5分とかからず、本日のお目当て「ボルドー5.12a」に到着。予想より傾斜が強く、登攀意欲が一気に上昇する。

つよぽんパイセンが「何はともあれ前情報なしにOSトライすべし」と猛烈に推すので言われるがまま突撃。もちろんマスタースタイルである。スタートから第一バンドまでは快適なガバが続くが、第二バンドへ直上するあたりから一気にホールドが細かくなる。あれやこれやとムーブを試みるが謎が解けず、粘りに粘ってテンション。OSトライは幕を閉じた。

その後、それっぽいムーブを探り当てるがどうも厳しすぎる。とうとうパイセンに教えを請うと、「今のムーブで登る人もいるよ」と前置きしつつ神ムーブを伝授。目から鱗なシンプルムーブだった。これは初見では見つけらんないっす。少なくとも今の実力では。

その後はテンション入れながらムーブとホールド探し。なんとか第二核心まで進む。しかしここでも謎多きムーブに四苦八苦。カンテを抱え込んでみたりカチを刻んでみたりヒールフックしてみたり。どうやらカンテが正解のようだが最終カチが遠い。つよぽんパイセンも固まっていないとのことでバトンタッチ。

 

更なる神ムーブ

「まだ固まってないけどRP狙いでいくよ」と宣言してパイセンがトライ開始。宣言どおり圧倒的安定感と気迫で一気に第二核心直下へ。しっかりレストしていざ突撃。最終カチを捉えた、と思ったが惜しくもフォール。RPをほぼ確信していただけに非常に惜しい。だがまた本日一便目。じっくりと第二核心を錬る。

そして、最後の鍵となるムーブをカンテに見いだす。ちなみにこのムーブの有効性は身長によって大きく左右されるだろう。幸い我々は身長、リーチともにほぼ同じ。またしても神ムーブを授かる。

 

ボルドー 5.12a RP

そして2try目。リラックスして第一バンドまで上がる。軽くシェイクを挟んで第一核心の薄ピンチを保持。ゆったりとタメを作ってスローパー、カチへとムーブを繋ぎ、よどみなく第二バンドに到達し3ピン目をクリップ。パンプは感じない。呼吸も一定のリズムを刻んでいる。悪くない流れだ。

軽くレストを入れ、流れを断たないように第三バンドへ上がる。4ピン目をクリップし、ほぼパーフェクトで第二核心直下へ達する。一瞬、この流れのまま行こうかと考えがよぎるが焦らずレストを挟む。

左カンテで十分にレストした後、いよいよ核心に挑む。甘いカンテを保持して体を上げる。カンテをはたきながら抱え込み、更に体をあげる。そのまま一気に最終カチを取る予定が距離が足りない。思わず薄カチを刻み、もう一度カンテをはたいた。しかし刻んだカチが仇となり、バランスが崩れ手が出ない。

完全に硬直していると、つよぽんパイセンが「届くよー!」とPUSH。2try目の高度としては既に上出来。落ちてもいいからムーブを出そうと左手をビクトリーカチへ放った。フリクションが良かったのか、カンテとのバランスが良かったのか。果たして左手は不思議なほどビタリと止まった。

パイセンの「まじで !? 2撃じゃん !!」に祝福されながら必死の形相で乗っ越し。イージーなはずのムーブを吠えながらこなして終了点へ。

 

 
ワンデイで登れたら快挙と思っていたカサメリの5.12aがまさかの2撃という事態にしばし呆然。パイセンアドバイスがなければ2,3日は費やしただろう。花崗岩マジックの効いた良ルートでした。

その後、つよぽんパイセンは「プレッシャーだよ〜」と言いつつ危なげなくRP。二人で気分良く志賀ランドを後にした。

 

漁師の娘 5.11c RP

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予想外に早くボルドーが登れたので、次なるターゲットに「漁師の娘」をトライ。悪そうな印象を抱いていたが、改めてオブザベーションしてみると意外とポジティブな雰囲気。早速マスタートライを開始。

予想通り快適なホールドが続き、核心へ。やや遠いカチを捉え、右手を寄せる。あわやOSと期待したが寄せた右手が甘く、躊躇してるうちにパンプ。残念ながらワンテンとなった。

核心のムーブを修正して、つよぽんパイセンとバトンタッチ。ここでもリーチが同じ利点を生かしてムーブを共有、サクサクと高度を稼ぐパイセン。しかし柔軟性は個人差が大きかったか、やや股裂き状態。それでもアッサリと核心をマッチして突破。見事に一撃。続いて僕も2撃でRP。

 

 
リーチによって大きくグレードが異なり、身長170cm以上なら非常に登りやすい5.11cになるだろうと意見が一致する。

 

朱雀 5.11a ワンテン

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〆にヤバそうなスラブで始まる朱雀にトライ。案の定出だしがバランシーかつメンタル削り系。それっぽいムーブは発見したがヨレと湿度上昇のためワンテンで撤収となった。

最後の最後でスラブにはじかれるってところが花崗岩っぽいというかカサメリっぽい展開ですが、あまりある成果にホックホクの一日になりました。シーズン始まったばかりでこんな大収穫があるとどっかに大穴が待ち受けてるんじゃないかと不安になりますが、この調子でガッツリ登ってやろうと思います。

DryとWet、あるいは地獄と妖精

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めっきり涼しくなってきたと思いきや、台風ラッシュで未だシーズン開幕とはいかないこの数週間。ようやくなんとかなるかなーって感じで有笠山に行ってきました。毎度お世話になっているタロー君のパジェミに乗り込むのは、はんなり系クライマー8g氏とタロー君、そして僕。

ちなみにタロー君と僕は有笠山初上陸。8g氏を誘ったはいいが全く不案内。車内では以下のようなやり取りが交わされた。

  • 8「二人とも有笠はしょっちゅう行ってんの?」
  • タ&僕「へ!? まったくド素人ですが」
  • 8「え!? 二人とも庭みたいなもんやろうから付いてく気マンマンやったのに」
  • タ「まあアプローチ近いみたいだし」
  • 僕「分からなかったらエリアに居るであろう常連さんに聞けばなんとかなる。はず…」
  • 8「まじか…」

だが悲しいかな、駐車エリアには一台たりとも先客はいなかった。

 

パスファインダー 5.11b/c RP

東口からフェアリーロックに上がる。やはり事前情報通り目と鼻の先だ。しかし、予想外の潤いっぷり。しっとり、とかシケシケなんてチャチなもんじゃぁ断じてない、所謂「ビショビショ」ってやつだ。挙げ句の果てに上部からはひっきりなしに水滴が降り注ぐ。

どう考えても不利な条件だが、とりあえず「パスファインダー」だけはやっておくかと既に完登済みの8g氏を交えてセッション開始。比較的濡れていない下部を抜けるもビショビショの核心でスッポ抜け祭り。粘って3try目で完登。タロー君も続く。

IMG_3202[沢登りと化した上部をマスタートライするタロー君]

 

ヘルケイブ

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午後から「Blast Off」を触るためヘルケイブに移動。フェアリーとは打って変わってドライな岩肌。流石どっかぶりエリアである。その名前とは裏腹に非常に開放感かつ快適。むしろ濡れて険悪なフェアリーのほうがよっぽど地獄的なんじゃね?と我々は囁き合った。

常連クライマーさんのドローを拝借して「Blast Off」を触ってみるが、1pin目から悪いうえに濡れている。三人で一巡するや、早々にスーパードライを誇る「ルンルンしんすけ」に浮気。

 

ルンルンしんすけ 5.12b トップアウト

しかし、こちらも相当手強い。出だしこそガバが続くがフト気がつけば一転、悪いクリンプと甘いスローパが襲いかかる。第一核心を常連さんの的確なアドバイスでなんとかこなすがクリップも恐ろしくA0。

IMG_3208[快適なガバ帯をゆく8g氏]

三人が一巡したところで、「ムーブきっついしクリップ怖いけどコイツぁおもしれー」と意見の一致を見る。

そして2try目。第一核心を白いブロック状ホールド、通称「豆腐」のマッチから薄ピンチを保持、右足ハイステップからスローパーへデッド。踏み替えて立ち上がりポッケを取る。クリップは出来なかったが可能性を感じる。

各駅停車で上部に抜け、第二核心に到達。明らかに悪そうなクリンプへデッドを放つが予想通り悪い。「ここまで上がってきて、これにデッドすか。まじすか」と言った印象だがこれはまだなんとかなる。問題なのはデッド後の左手マッチ。この一手が非常に辛い。第一核心がムーブの組み立てを含めて困難であるのに対して、第二核心では真っ向勝負を挑むこととなる。それも持久力と保持力とメンタルのトリプルコンボだ。

迎えた3try目。トップアウトは無理っぽいがせめてムーブの最適化を進めようと取り付く。第一核心は安定してきたが、生憎のヨレでA0クリップ。第二核心まで前進し、件のクリンプと対峙する。やはりマッチが出来そうにないが、常連さんからフラッギングのアドバイス。この局面ではフラッギング自体が厳しいが、アドバイスを信じてフラッギングからマッチ。ギリギリで保持。

その後はガバが続くんだけど、ヨレっぷりがハンパなく吠えまくってトップアウト。完登したわけじゃないけど充実しました。

 

沢渡温泉

IMG_3224[風呂上がりにコーヒーを振る舞われる図]

 

撤収後、常連さんおすすめの沢渡温泉(サワンドじゃなくてサワタリね)の公衆浴場(300円 !!)で汗を流して蕎麦食べて一息。中之条ビエンナーレ会期中なので時間があれば立ち寄ってみるといいんじゃないかな!
IMG_3228[クルミとゴマだれの天ぷら蕎麦]

Colosseo

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前回、南西面のオランジュ岩でサンサンと照りつける太陽の下、ギャラクシアンのスラブにかじりつきながら僕は悟った。瑞牆と言えど夏は暑い。標高が高いとはいえ日照条件を無視するのは無謀である。この夏を我々はどう過ごすのか。快適な岩場、言葉にするのは簡単だが、現実には希有な物件だ。しかしコロッセオ、あそこなら涼しいはずだ!(行ったことないけど)そこに行けばきっと出会える!そう信じて我々は向かった。

二週間後、梅雨前線が南下するのを見届けて訪れたカサメリは、すでに真夏の様相を呈していた。

しっとり感抜群のコセロックでアップ。Mサカ氏と取り付いた「ネコのヒゲ 5.10b」でまさかのドハマり。コンディションが原因なのかまったく5.10bとは思えない。とりあえずトップアウトしてスズメ&634ペアがアップしている「白虎 5.10c」に合流。フリクション故か、いつより悪く感じるがやはり面白い。

IMG_2617[白虎を攀じるスズメちゃん]

 

コロッセオ

その後、日が高くなるのを避けるように北面のコロッセオに移動。「真実の口 5.10d」を偵察にいくと先客が居たので「オスティカ・アンティカ 5.11a」に鞍替え。

快適なトラバースパートを抜け核心部のイメージ通り突破するが、最後のクリップでフォール。マスターでなければオンサイトできた可能性は高いが実力不足でした。

 

コセ・ド・ドン

634君とMサカ氏がNDDを撃つ側でスズメちゃんと「コセ・ド・ドン 5.11c」に取り付く。長い系5.11cってことは上手くすれば一撃、最悪でも3tryだろうとタカをくくっていると極悪。核心部は甘いスローパーと乏しいフットホールドに加え、絶妙なクリップ配置で怖さMAX。

NDD、トップガンのギャラリーをしつつ、結局トップアウトに3tryもかかってしまいレッドポイントは次回となった。(しかし次回ちゃんとトライするかは全く謎)

 

オスティカ・アンティカ 5.11a RP

Mサカ&634ペアは我々が「コセ・ド・ドン 5.11c」にやられっぱなしになっている間もひたすらNDD。私とてNDDに興味がないわけではないが(むしろ興味津々)ここはグッと堪えて「オスティカ・アンティカ 5.11a」のレッドポイントに向かう。

前述の快適トラバースから核心部をスムーズに突破、最終クリップを掛ける。パンプでギリギリだが、次のムーブを出そうとフト足下をみた。するとシューズのベロクロが外れている。一瞬、心が折れそうになるが踏めないほどのホールドはないはず。気持ちを切り替えて苦し紛れの一手を耐え、続く一手も止めると漸くガバのお出迎え。強烈にタタラを踏みながら終了点にクリップ。めでたくレッドポイントを修めた。

ムーブが多彩でホールドも明確。やはりこの手のルートは楽しい。もう少しコンスタントに11が登れるようになりたいがそろそろ本気で打ち込む12も探したいところ。

帰りの車の中では疲れてるはずなのに、バカっ話で誰一人寝落ちすることなく帰京。みなさん本当にありがとうございました。

灼熱のギャラクシアン

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12時間ごとに言ってることがコロコロ変わる各種天気ヨホーを総合的にアナライズした結果、

瑞牆山
 ↓
中止
 ↓
沢はまだ寒いか?
 ↓
榛名黒岩どうでしょう
 ↓
30度だと!?
 ↓
瑞牆晴れてきたー

と、壮絶な堂々巡りの結果、一周して瑞牆山カサメリ沢に落着。先週に引き続いてセニョールタローと同じ山岳会のN氏。

 

きのこ 敗退

モツランドでアップがてら「きのこ 5.11d」を触る。どう見てもマントル課題なラインにリードクライミングとしてやる意味を見いだすのは難しい(個人的感想です)。

タロー君と盛大に指皮を消耗したあげく、早々に上部へ移動。前回登ったレイバック課題「白虎」を皆でトライ。3度目となると非常に快適。何度登っても楽しい。

IMG_2533[ミルクミルクでアップ]

 

ギャラクシアン 敗退

そしてピーカンのオランジュ岩に移動、ギャラクシアンを初トライ。序盤の前傾壁部分は明快なガバホールドの連続で非常に快適。思わず「これ、ほんとに5.12aあるんでしょうか」とか言ってしまうレベル。

しかし、中間部のラッペルステーションから事態は急変、いきなりホールドが乏しくなりパワー&バランシーなフェイスが出現。もれなく恐怖感付きだ。

更に雲ひとつない晴天から容赦なく太陽が照りつけ、指皮もシューズラバーもダレダレ。結局中間部でタロー君にバトンタッチ。

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珍しく(というか初めて)上裸で挑んだタロー君も快適な前傾壁部分を抜けたところで苦戦。灼熱の太陽が照りつける中、雄大な甲斐駒をバックに1ピンだけ前進してロワーダウン。気温が高すぎるので涼を求めて日陰の課題へ移動。

 

ボトレイアン 5.11a RP

日陰かつ簡単そうな見た目ってことで取り付くが、いきなりテンション。下から見るとポジティブな印象なのに実際に触ってみるとどれもビミョーなホールド。核心部もムーブを見つけるのに一苦労。

タロー君のあわやFLトライを見届けた後、2try目でなんとかRP。帰宅後、トポで確認したら「見た目は簡単そうだが決して侮れない」とか書いてある。まったくだよ!

 

ギャラクシアン 回収

IMG_2571[快適な下部]
 

ボトレイアンから戻ってくると既に4時半。急いでギャラクシアンの解析&ハングドッグ撮影。しかし既に指皮が売り切れているタロー君は前回以上の高度を稼げず、回収便に移行。あの手この手を駆使してなんとか回収を完遂。さすがアルパインクライマー。

IMG_2605[無慈悲な上部]

 
オランジュ、コートダジュール周辺の岩場は方角的に10月以降がよろしいようで。つーわけで次回はコロッセオかな。

城山 OFF Season

OLYMPUS DIGITAL CAMERA[photo by I.taro]

 
絶滅危惧種とも言われる若手ソロアルパインクライマー・タロー君と、オールラウンドクライマー・ミノルパイセンと共に城山。

当初、瑞牆に行く予定だったが金曜の降雨から転戦を決断。梅雨真っ只中、完全オフシーズンにもかかわらずワイルドボア&チューブロックは意外と悪くなかった。

 

カルカッタ 5.10c FL

ボルト事情が意味不明な当ルート、一本目は地上1mで二本目は地上5-6m。当然二本目でクリップできなければグラウンドは必至。だが何を思ったかタロー君はやる気マンマン、さすがはソロアルパイン野郎である。見てる側でさえ痺れる二本目を苦戦しながらも見事突破、そのままMOS。

 

IMG_2490[流石のメンタル]

 
熱い登攀の見届けたあと、シレッと他のルートに乗り換えるつもりだったが言い出せる雰囲気になくトライ。懸案の2クリップ目はドローがかかっている状態だと特に問題はなし(マスターだとかなり遠い)。快適な中間部を抜け、これで終わりかと思いきや最後のハングがやや悪い。慎重にホールドを探して無事完登。ボルト位置がもう少し良ければ好ルートなんですが…

 

スーパースター 初トライ

長い12を触ろうってことで「スーパースター 5.12a」を3人でトライ。しかしトポと実情が食い違っているためラインを見いだすので精一杯。3人掛かりでなんとかライン(とムーブ)を解決。序盤のハングを越えると中間部でしっかりレストできる。終盤のカンテがやや悪く、ヨレたところに駄目押しの抜け。登りごたえは十分。冬シーズンの目標かな。

 

ミウラー 5.11a MFL

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日が陰ったのでチューブロックに移動、11台でエンジョイする構えである。まずは看板イレブンな「ミウラー 5.11a」をマスターで一撃。オンサイトと言いたいところだが、既にタロー君のトライを見てるので言えない。こういう場合「マスターフラッシュ」とでも言えば良いのだろうか。

下部核心を抜け、以降のフェイスをカチやらポッケを繋いで登っていく感じはなんとなく「生と死の分岐点」に似ている気がした。

 

こんにちはマコロン 5.11b RP

更にもう一本、「生と死〜」の右隣りに位置する「こんにちはマコロン 5.11b」にトライ。そろそろヨレを感じる頃合い、3クリップ目でホールドが見つからず粘りに粘ったが敢えなくテンション。ヨレで閉店状態のタロー君を強引に取り付かせる間、ゆっくりレスト。2トライ目でレッドポイント。

IMG_2512[ミノルパイセンは一撃、流石13クライマー]

 
こちらも下部核心。チューブロックはこのパターンが多いのだろうか。ミウラーよりムーブが多彩で面白いと感じた。どうせなら、更に右隣りの「オンリーイエスタデイ」を継続して最高点まで抜けるとより充実できそう。

その後、タロー君の「グレイシー」やらミノルパイセンの「シャムロック」を見届け、クールダウンの「ストーンフリー」でまさかの敗退。

 

ホテル狩野川

翌日の天候が崩れるのはほぼ間違いなかったが、せっかくなので狩野川で幕営&宴会。伊豆の国ビールと絶品あなご寿司を堪能して就寝。

翌早朝は薄曇りで一見登れそうな空模様。しかし雨雲レーダーで東海地方まで雨雲が迫ってきていることを知り、早々に撤収となりました。

青龍、白虎

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瑞牆山カサメリ沢コセロックの「青龍 5.10b」「白虎 5.10c」を登った。20m前後の快適なラインで、どちらとも左に体を開くレイバッック。左右逆のレイバックならもっと美しい2本となるが、さすがにそんな出来すぎたラインはないだろう。個人的にはスタート核心の「白虎」が登りやすかった。

それから、青龍5本目のボルトが緩んでいたので増締めしておきました。最近はモンキースパナを常に携帯しております。

 

IMG_2473[顕著なフレークが面白い]

 

 

プラチナムとポパイ

ワイフの「トラバント 5.9」解析をビレイした後、前回未回収のプラチナムへ移動。しかし、モツランドは湿度1000%。同じエリアでこれほどコンディションが違うのかっつーくらいのシミったれ模様。

とりあえずドロー設置とムーブ確認でプラチナムに取り付くがヌメる。極めつけはマントル。リップは日が当たってるはずなのに何故だ。

せっかくなのでポパイ偵察で継続。しかしこれは大きな戦略ミスとなった。どっかぶりを下部から真っ向勝負で抜け、上部の(一見)易しそうな部分に入るが、なんかボルトがゆるゆる。前述のスパナはあいにく地上だ。びびりながら次のボルトに到着するもこれも緩い。激しく後悔しながら終了点へ。その後、回収にも苦労させられヨレヨレ。

帰りの時間を気にしながらレストして2try目。ヌメりとヨレに耐えながら、なんとか最終クリップに到達。気力を振り絞って最後のシークエンスをこなし、気合いでリップをはたいた。

止まったと、そう思ったんですよ。

これが5月のフリクションなら、、、、いや、言うまい。

その後、最後のホールドを探るとカンテを回り込んだところにガバが。また、このパターン。次行った時はポパイと一緒に頂いてやるぜ(増締めも忘れません)