ホールディングスキル

imgp6948[写真と本文は関係ありません]

 

ルートやクラックなど最大強度が比較的低いクライミングから、ハードボルダーのような最大強度が強いクライミングに戻ってくると色々と(再)発見があって面白い。

最近強く実感したのはホールディングに関して。

先日登った「ジュゴン 初段」や「穴会長 V8」はいずれもホールディングによって解決、完登へ繋ぐことができた。

前者は左手親指のオープンピンチを発射ボタンピンチ(なんだこりゃ)に修正することでシットスタートからの一手目が飛躍的に安定した。後者は左手オープンポッケから俵ポッケへ修正し、それに伴い一・二手目の手順を入れ替えデッドの成功率を高めた。

両者とも初見では最適な持ち方がわからず、試行錯誤の末にたどり着いたホールディングだった。最近トライを開始した「消費者 二段(ホントかよ!)」「限られた時間 三段」も感触を確かめるようにホールドを馴染ませながら少しずつ高度を伸ばしている。

「感触を確かめるようにホールドを馴染ませながら」というのはルートではあまりやらない。限界グレードをトライしてないからって話もあるが、ルートではムーブの連続性やクリップポイント、レストポイントの試行錯誤が多い。たったひとつのホールドを穴があくまで凝視したり、あらゆる角度から撫で回したりは非常に稀だ。だからこそボルダーに戻ってきたとき、それまで日常的に行っていたあらゆる行為が新鮮に感じられ、そこに新たな解釈と知見が生じるんだと思う。

やっぱ色んなクライミングをするのがスキルアップには最適なんじゃないかな。

 

手首

具体的にはまず、手首。

以前からスローパなどは指だけではなく掌全体を使うことを意識していたが、最近では手首まで拡大解釈している。「指、掌だけでなく手首を使って効かせる」「手首の内旋、外旋モーメントの有効活用」などを意識している。

尚、個人的には右手外旋時では、2時~4時方向で保持力が最大となる。一方、12時~6時方向への内旋は故障しそうなのであまりやらない。

手首の重要性は花崗岩クラックやカンテのクライミングで再認識し、ボルダーで検証と言語化が進んだ。

 

力の効率化

次に、力の効率化。

単純にホールドに加える力を最大化させるのではなく、ホールドを起点とする力の流れを体幹の安定性やムーブにつなげたいと考えている。

「限られた時間」ではアンダー保持による右肘引き込みと右体側部のテンションがフットホールドの荷重に一役買っている。「ジュゴン」では左手親指の修正により左脇の絞り込みがスムースになり、背筋群を有効に使うことができた。

両者ともに「持ち感」に大きな変化は感じなかったが、ムーブの完成度は高まっている。あくまでも体感値だが「ホールドへの荷重量」に変化はほぼなかったと考えている。もし「ホールドへの荷重量が小さいままムーブが出せる」ようになったとすれば、一つの理想形じゃないだろうか。

保持力という言葉が示すように「単純にホールドに加えられる力」は重要な要素だ。だが「効果的にホールドに力を伝えられる能力」や「少ないエネルギーで保持できる能力」とかを開発できないかなーとぼんやり考えている。

かつてニーチェは言った「ホールドに力を込めるとき、ホールドもまたこちらを押し返すのだ」(うそですごめんなさい)


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